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勝っている人の真似をしても勝てないという悩み その3

2023/01/29 Sun

いろんなコメントありがとうございます。
みなさんが、それぞれ考えてもらえる機会を作れてよかったと思います。
こういう議論をすることで、本質に近づければと思っています。
さらに、ラリー・ウイリアムズ氏の極端な事例を引用したので、それも議論を巻き起こしたようです。


さて、主旨について言及されているコメントがあったように、今回の記事の目的は、

勝っている人の真似をしても勝てないという悩み

なので、

どうやったら相場で勝てるのか

ではありません。

なので、やり方を真似しているというのは、前提としてあるわけです。
その上で、真似しているのに、どうして勝てないのだろう、という切実な悩みがあるわけです。
勝っている人のスクールに入って、勝てるようになったという人ももちろんおられると思いますので、それはめでたいことです。
ただ、多くの人がそうならないのは何故なんだろうってことです。



ということで、手法について、色々と話題になっているので、今回は、手法について、私の思うところを書いてみます。

昔は、勝ててもいない教材屋がそもそも勝てない教材を売りつけるだけのものが多かったのですが、今は、本当に勝っている人が、丁寧に教えてくれているところがいくつもあると思います。
無料でYouTubeで貴重な話をしてくれている方なども大勢おられます。
ほんとうに、相場を勉強するのに、これほどのいい環境は過去無かったと思います。
そういう勝っている人の教材を買ったり、投資塾に入ったり、スクール生として学んでいる人も大勢おられると思うのです。
しかし、その結果、やはりなかなか勝てるようにはならない、という人がものすごく多いわけです。
その原因は何なのだろうというのが、今回の連載の主旨です。
なので、具体的やり方については、そのスクールや教材にお任せします。
柳生新陰流でも、北辰一刀流でも、武蔵の二刀流でも、色んな流儀がありますので、それを学んでもらえればいいと思います。



こういうブログを書いているので、手法を軽視していると思われても仕方がありませんが、実は、私は、手法が大好きです。
今でも、いいやり方がないかと色々と当たることが多いです。
勝てる手法というのは、やはり投資家の夢なんだと思います。
ただ、残念なことに、帯に短し襷に長しで、それを知ったとて、まあ無いよりはマシか、ぐらいのものがほとんど98%なのが実情です。

私も、経験を積んでいますから、それなりに目利きできると思いますが、それでも「これを知ったら勝ち組になれる」というものに出会えることはほぼありません。
初心者が、玉石混交というより、ほとんどが石の中で、ダイヤモンドの原石を見つけられる確率たるや皆無だろうと思えるのです。
手法探しの道が全くダメだとは言いませんが、こちらの道こそが茨の道じゃないかと思います。



ここでちょっと誤解が無いように書くと、

手法には、松竹梅があって、そのランクは、エッジの強さによります。

松クラスなら、やり方を知っただけで勝てるランクの強いエッジがあるものですが、大勢が知ることによって儚く散ってしまいます。
過去を紐解くと、
タートルの手法、225銘柄の入れ替えに伴うものや新興市場の逆張りなどなど、知っただけで勝てる手法がありました。
こういうものは、みんなが知らなかった時代には、赤子の手をひねるが如く、魔法のように勝てた時代がありました。
みなさんが渇望している「勝てる手法」とは、過去のこういうものを言っているのだと思います。
私もいくつか恩恵に預かったことがありますが、残念ながら、こういうものは、誰かが公表した瞬間に消えてしまいます。

一方で、大半の手法と言われるものは、梅クラスで、それ単体で勝つのは難しいものです。大半がこれだから、プラスアルファーがどうしても必要になるという話なんです。
テクニカル分析系のものの大半は梅クラスです。
テクニカル系で松クラスというのは、過去からほとんど見たことがありません。
松クラスというのは、マーケットの隙間や癖を見抜いたものになることがほとんどだからです。

現役の松クラスの手法が、一般に出回ることはほとんどありませんし、出回ればそれで終わりです。
AIが市場の隙間を探し回っている昨今では、いずれ松クラスの手法は全滅するのではと思われます。
ということで、手法だけを真似してもダメだというのは、勝てるとしても、梅クラスの手法だからなんです。

もっといいものは無いだろうかと、より有利な手法を求めて、頑張って探す道もありますが、過去に比べて最強に難しくなってきている、というのが今の相場環境だというのが私の認識です。



さて、チャート分析など、分析にのめり込むと、わかりずらくなりますが、そもそも相場とは、大勢を相手にした対戦ゲームです。
この相場の本質というか、相手がいて、それぞれが勝とうとして戦っているのだという理解は、相場を理解する上でとても大切です。
ここを徹底的に突き詰めることで、見えることが多いのですが、これはまた別の機会にします。

対戦なのだから、比較優位で勝てるゲームとも言えます。
その中で、先ほどは、流儀に例えましたが、手法というのは武器だとも言えます。

名刀を使ったからといって、勝てるのかと言えば、勝てません。
ただ、すごい新しい武器を使ったら勝てるのかもしれませんが、みんなが真似をして同じ武器を使うようになったら、やはり勝てなくなります。
といって、武器を持っていなければ、やはり不利になります。

ゴルフで言えば、クラブ。
一本10万円のクラブとセットで3万円で買ったクラブのどちらがいいかと言われれば、10万円のクラブの方がいいのですが、それだけでシングルになれるわけではありません。
だからといって、クラブ無しではゴルフはできません。

結局、みんな何らかの武器は持っているわけです。
その中で、武器の優劣だけで勝負を決しようとしても、なかかな比較優位となれるほどの武器を手に入れることは難しいのが現実なんです。


できるだけいい武器をと望んで、懸命に武器探しをしているのは、自分だけではありません。
みんな血眼になって武器探しをしているといってもいいでしょう。

そういう中なので、結局は、

それなりの武器

しか手に入らない、というよりも、自分以外にもみんな持っているという結果になっているわけです。

もしくは、先ほど例に出したように、新興市場の逆張りなど、

昔はすごい武器だったのに、今はみんなが使っている汎用品

というケースも多いです。

比較優位なんで、対戦相手が素手なら、ちょっとした武器でも勝てるのですが、そうではないというところがポイントです。



ところが、不思議なことに、みんなが、それなりの武器で戦っていても、その中から、勝ち組と負け組が出てきてしまう。
その差は、一体どこから来ているのか。
何故、勝っている人は常に勝っていて、負けている人は結局負けるのか。
その差は武器の差なんだろうか。
勝っている人と同じ武器を手にしているはずなのに、何故か負ける。どうしてなのか。
ということを考察しているわけです。



こうして私のブログを読んでいただいているみなさんなら、何の手法も知らない。
順張りと逆張りも知らない。
押し目戻り目も知らない。
移動平均もボリンジャーも知らない。
という人は、いないと思います。
というよりも、これだけディープでマニアックなブログを読むぐらいだから、歴戦の勇士でもある方が大半だと思います。
みんな、それなりの武器を持って、集まったつわ者揃いだと思うのです。

その中で、何故差がついてしまうのか、そこを考察しているのが、今回のタイトルにあるように、

勝っている人の真似をしても勝てないという悩み

つまり、

勝っている人に教えてもらって、同じ武器を持って、同じように振っているはずなのに、何故か負ける。どうしてか。

これが大命題なんです。

すでに、みなさんは、武器をお持ちなんです。

なかなか勝てないからといって、10万円のクラブを12万円のクラブに買い替えたとて、同じようなものだということです。


次回


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DMM FX

勝っている人の真似をしても勝てないという悩み その2

2023/01/21 Sat

ちょっと油断すると、すぐに時間が経過してしまいます。
この間、色々とご推察コメントありがとうございます。
みなさん、書いておられること、それぞれが勝てない理由になっていると思いました。
今回ご説明するのは、私の答えであって、これが正解ということではないとご理解ください。

さて、今回ご説明するのは、次の⑥番です。

⑥教えている勝ち組さんも、聞いている負け組さんも、双方が本当の勝ちの理由をわかっていない。

これだけ読むと完全に意味不明だと思いますので、解説していきます。
なるべく短く書きたいのですが、少し長くなります。


それではやっていきましょう。

セミナー、教材など多くの勉強道具に触れる機会が多い昨今です。
また、YouTubeを見ると、無料で一生懸命教えてくれている熱心な方もおられます。

その大勢が使っている代表的なものが、ボリンジャーバンドと移動平均でしょう。
ボリンジャーバンドを使った手法をレクチャーされている方もおられます。
また、移動平均を使って色んなパターンを解説されている高名な投資家さんもおられます。

いずれも、大儲け間違いなし、という話なのですが、では実際にそれを見ている読者さん、生徒さんの多くが勝ち組に回れたのか、というと、ほとんどがそうはなっていないのが悲しい現実です。
高額セミナーを受けて、みんなが勝ち組になった、という話はほとんどといって聞きません。
結局、勝っているのは、講師をしているトレーダーさんだけ、という状況は全く変わりません。

例えば、ボリンジャーバンド。
知らない人はいないと思いますが、これを使って儲けられる、と言っている勝ち組さんはすごい数に登ります。
聞いている読者・生徒としては、
「ボリンジャーを使って自分が勝てないのは、本当の使い方を知らないからだ。」
と思って、さらに熱心に勉強している方も多いですし、高額の授業料を支払って教えを請う方も大勢おられます。
これは、移動平均も同じです。
移動平均を使えば、魔法のように相場で勝てるようになる、という話もよく聞きますし、本もたくさん出回っています。
高名な講師さんが、熱心に教えておられて、大勢の生徒さんも熱心に勉強されていますが、そこから大儲けできたという話はあまり聞きません。

色んな勉強を熱心にされているのですが、結果は散々なことがほとんどなんです。
何故、ボリンジャーを使っても、移動平均を使っても、勝てる人は勝てるのに、その人に教えてもらっている人のほとんどの人は勝てないままなのか。
大勢の生徒さんは、「自分の使い方が悪いのだ。まだ先生の本当のやり方をわかっていないからだ。」と思って熱心に勉強されますが、結局勝てないまま月日が虚しく過ぎていきます。

何故こうなってしまうのか。
自分には、本当に才能が無いということなのか。
そう思ったことが一度や二度ではない方も多いのではないでしょうか。
何故そうなってしまうのかを本気で考えていけば、どうしたら勝てるのかの答えが見えるかもしれません。



さて、ここで、大変示唆に富んだ逸話が書籍「ラリー・ウイリアムズ短期売買法」に書いてありましたので、ご紹介したいと思います。

1991年8月 第28巻8号

農夫とギャンブラーと投機家

トレーディングで金儲けなんて、このビジネスはなんと簡単なゲーム!

ルールは3つか4つかだけ。ただ、人はこのゲームをやり過ぎ、カネを注ぎ込むことになる。なぜか?どうすれば良いのか? 先週末、フロリダでのセミナーで講演したジェイク・バーンスタインは、こんな興味深い話を披露した。

何年か前、ジェイクがある証券会社の顧客の集まりで講演したときのことである。 顧客たちは、主に牧場主や農場経営者、数人の投機家も混じっていた。 講演が終わると、1人だけトレーディングでカネ儲けをした顧客がいて、その人に会ってみないかと誘われたのである。その顧客は別に頭脳明晰というわけではないが、それでもトレーディングでは必ず儲けていた、との話だった。

この老農夫とジェイクはうまが合ったようで、老農夫はジェイクに自分がどんな取引システムを使っているのか知りたいか、と尋ねたのである。「もちろん」とジェイク。「どんな手法なのか、ぜひ拝見したいですね。」
そこで、老農夫はポークベリーのチャートを開き、糸の付いた振り子を取り出した。 チャートの上に振り子をかざすと、彼はジェイクに言った。「このページの上で、振り子が上下に振れたら買い、横に振れたら売りなんだよ。ジェイク、見てしまったね、俺のシステムを!」
ジェイクは後ずさりすると、ちょっと考え、そして尋ねた「それだけですか? 他に何もありませんか?」
「えーと••••••」と、この相場師は口ごもり、「もう1つあるけれど、あんまり意味がないと思うね。その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切ることにしているんだ。」

出発が遅れた飛行機で(爆破予告があったため、 航空会社を変更して) 帰途についた私はこの老農夫の賢明さに思いを巡らしていた。そして、カントリー・ミュージックのラジオ局にダイアルを合わせながら、国道5号線を北上していた午前1時15分、冗談ではなく、本当にケニー・ロジャースの 「ギャンブラー」がラジオから流れたのである。そして胸を打たれたのは、「(ポーカーで) どの手でゲームを続け、どの手で降りるのか、ギャンブラーなら知っていなければ」というメイン・コーラスではなく、そのバックコーラスの「どれを捨て、どれを持っていなければいけないか、ギャンブラーなら知っていなければ」というリフレインだったのである。
あの老農夫は、この歌詞を紙に書いて壁に張っているに違いない、と私は思った。ギャンブラーは、勝ちにつながらないカードを捨てるのである。投機家としてのトレーダーは、農夫やギャンブラーの仕事に、一度注意を向けてみる必要があるのかもしれない。

要点の証明

この発見を反映させるため、私はある実験を試みた。考えていたのは、3つの単純なルールで構成されるTボンドの取引システムを開発することであった。
第1のルールは、今日の終値が8日前の終値より高かったら買い。別に神がかりなことではなく、単に、需要があり、マーケットが上昇傾向にある、というだけのことである。次に、いつこのカードを捨てるべきか、である。そこで、損切りは損失が850ドルに達したレベルに置く。それ以下の手では勝負しないのである。最後に、収益レベルは損失許容レベル(850ドル)の3倍あたり。実際の最高益は3500ドルであった。

そんなルールで、上場以来、Tボンドを1枚ずつトレードして、3万6500ドルも稼ぐことができたのである。最悪のドローダウンはちょっとひどかったが、トレード1回ごとの平均収益は、50ドルの取引手数料を差し引いても、160ドルと魅力的であった。
このシステムは、魔法や高等数学をベースとするものではない。また、戦略と言えばマネー・マネジメントだけである。 ケニー・ロジャースは正しかったのである。





この逸話が本当かどうかは別にして、大変示唆に富んだものだと私は思いました。

ここでラリー・ウイリアムズ氏が言いたかったことは何でしょう。

まず、この勝っている老農夫は、自分の勝ちの理由を

振り子システム

だと信じています。

そして、あまり意味がないこととして、

その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切る

という説明をしました。

勝ち組であるこの老農夫は、自分が勝っている理由を振り子システム」だと教えました。

つまり、具体的やり方、手法です。

さて、この話を聞いた、ジェイク・バーンスタイン氏とラリー・ウイリアムズ氏が一流のトレーダーだったので、この老農夫の「本当の勝ちの理由」にすぐに気がつきました。

もし、この老農夫の話を負け組の人が聞いたら、「勝ちを引き寄せる振り子」を100万円で買っていたかもしれません。

多くの勝てない人は「相場で勝っている人は、本人が勝っている理由は当然わかっているはずだ。」と思っていると思います。

勝っている人は、この老農夫と同じく、自分は、ボリンジャーや移動平均を使いこなすことで勝っているのだ、と本当に思っているのです。
だから、熱心に移動平均を教えてくれるのですが、聞いている方は一向に勝てるようにならない、という結果が待ち構えていることになります。

私は、最近、ある高名な投資家さんが、高額のセミナーで、これで絶対に勝てると言っていた「あるやり方」を検証ソフトを使って検証してみました。
この人が言うとおりなら、当然システム的に勝てるはずだからです。
ところが、実際に検証すると、勝率は50%を下回り、損益比率も1以下という散々な結果に終わりました。
結局、いくら検証しなおしても、負けるということがわかりました。
よくこれを高額セミナーのネタにしたものだと、ある種感心しました。
じゃあ、この高名な投資家さんは、詐欺師なのか、というと恐らくは違います。
実際には、この「老農夫の錯覚」を起こしていて、実際の勝ちの理由が見えていないのでしょう。

つまりは、

何故勝っているのかという理由を、教える側、教えられる側双方が誤解しているために、「勝ちを引き寄せる振り子」を熱心に勉強する、という愚策をやってしまっている。

ということが容易に起きるのものなんです。

私も、YouTubeなどで、色々と熱心に相場を教えてくれているものを見たりしていますが、この人たちが熱心に教えてくれていることは、実は本質ではないな、ということを感じることが多いです。
その人が勝っている理由は、教えてくれている手法ではなく他にあるということがわかるのです。



何故、こういう錯覚が頻繁に起きるのか、というと次のような理由があります。

ある有名トレーダーさんが次のように言ってました。

損切りできないなんて論外。。

はい、論外なことなんです。

論外・・わざわざ論ずる価値もないこと。取るに足りない、または、もってのほかであること。

論外のことなので、いちいち説明しない、ってことです。

勝っている投資家にとっては、損切りなどということは、息をするのと同じぐらい当たり前のことなので、いちいち意識などしていないし、説明もしないのです。

損切りが完璧にできてこそ、やり方が存在するのであって、論外のことができなければ、やり方などいくら勉強しても無駄です。
何の意味もありません。

強調しますが、

論外のことができなければ、いくらやり方の勉強をしても、何の意味もありません。

こんな論外のことができない人にボリンジャーを教えたとて、勝てるわけが無いってことは、最初からわかっていることです。

ただ、お金を取ってセミナーをやっている高名な投資家さんは、みんなが何に興味があって、何に興味が無いのかを知っています。
つまりは、やり方、手法の話をしないと、お金が取れない、ってことです。
逆に、勝てそうな手法の話さえしていれば、投資家はいくらでもお金を払ってくれます。
手法を教えないと、誰も寄っては来なくて、お金が取れません。
リスク管理セミナー、資金管理セミナー、などやっても、誰もわざわざお金を払ってまで聞きになど来てはくれないのです。

ある有名FXトレーダーさんが次のように言っておられました。
「本当は、資金管理をじっくりやりたいのですが、みんな聞いてはくれないし、めちゃくちゃ人気が無いのでやりませんが、ほんとうは一番大切なことなんですよね。」

実は、勝っている人はわかってるんですが、誰も聞いてもらえないから、やらないだけなんです。

移動平均を使っても、ボリンジャーをいくら熱心に勉強しても、論外のことができていないのに、相場で勝てる道理はそもそもありません。
最初から100%負けるに決まっているわけです。

お前はもう死んでいる

何をやっても、どれだけ努力しても、やる前から、もう負け組が確定しているってことです。

土台が腐っている上にどんな家を建てても無駄です。

歩く体力が無いのに、イチローのバッティングをマネしても一流のバッターにはなれません。

まともな体力が無いのに、100万円のゴルフクラブを使ってもスコアーは伸びません。

道具というのは、土台があってこそ意味があるものなんです。



私の知っている勝ち組トレーダーは、一人の例外も無く、損切りが上手です。

そして、私の知っている負け組投資家のほとんどは、損切りが下手、もしくはできないです。

この差こそが、勝ち組と負け組の違いなので、もうこれが答えです。




前回、私は、

そもそも、コンスタントに勝っている勝ち組さんと全く同じことをすれば、結果もまた同じになる、という理屈は、間違ってはいません。

と書きました。

全く同じこと = 手法

と理解している人がほとんどですが、だからダメなんです。
手法だけマネして、それで全く同じことをしているつもり、など、程遠いです。

本当に、

門前の小僧習わぬ経を読む

です。

そもそも、手法など、好き好きで、自分の趣味趣向で、好きなものをやればいいんです。

勝っている人が、ボリンジャー使ったり、移動平均使ったり、すっぴんでやったりと、好き好きでやっているのがその証拠です。

さて、「全く同じ」ということにおいては、さらに別の大きな関門が待ち受けています。

ということで、さらに他の理由がありますので、次回、もう少し話題を広げて行きましょう。

「全く同じ」というのには、道はまだまだあります。



どれを捨て、どれを持っていなければいけないか、ギャンブラーなら知っていなければ。

ギャンブラーは、勝ちにつながらないカードを捨てるのである。

勝っている投資家は、呼吸をするように損切りする。



おサルの温泉のリクエストが多いと、記事が早くなるという法則があります 笑


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勝っている人の真似をしても勝てないという悩み その1

2022/12/18 Sun

超お久しぶりです。
同じことを書くことに飽きたというか、ネタが尽きたというか、ブログ更新が気がつけば止まっていました。

そういう中でしたが、こういうコメントが時々入ります。

「あらゆることをやっていますが全然勝てません。何かヒントだけでももらえませんか?」

私の書く気の無さとは裏腹にして、悲痛な叫び声のようなコメントが時々入るので、その声に呼び起こされました。



さて、勝とうと頑張っておられる方が、何を努力されているのか、それは、概ね想像できます。

もっとも多い努力は、

勝っている人が何をやっているのかを探って、自分も同じやり方をすれば勝てるという考え方

勝っている人と同じことをすれば同じような利益が得られるという理論


つまり、

勝ち組マネ理論

に基づく努力だということです。

なので、大勢の方が、色んな勝ち組さんのブログを見たり、Twitterを巡回したり、教材を買ったり、オンラインサロンに入ったり、という努力を惜しまず頑張っておられます。

これは、過去から同じです。昔は、秘法だとか、特殊な罫線法とか、が高額で売られていたものでした。

こういう勝ち組マネ理論で大勢の方が散々に努力されているのですが、結果として、なかなか成果に結びつかない事例がほとんどだということも、残念ながら、これまたまた現実の姿です。

このギャップに一体何が起きているのか、そこにメスを入れていくことによって、どう努力をすればいいのか。今の努力は間違っていないのかに切り込んで行きたいと思います。
実は、非常に納得しにくい話題なので、丁寧にやっていきます。



そもそも、コンスタントに勝っている勝ち組さんと全く同じことをすれば、結果もまた同じになる、という理屈は、間違ってはいません。先人の知恵を借りて、人類は進歩しているのだから、その考え方に間違いはありません。
なのに何故勝てないのだろうか。
ここで普通に考えられる理由としては、次のようなことが挙げられます。

①勝ち組と称している人が、実は勝ち組を語った偽物だった
実にあるあるです。
特に商材屋と呼ばれる人は、「勝ち組マネ理論」の人が多いのに目をつけて、自分を勝ち組に見せて、私の教材でやれば、あっという間に大金が稼げますよと呼び込みしますが、実際には勝てていない確信犯的な詐欺師だったというケースです。
そもそも、教材を売るという時点で、自分の教材で勝てるかどうかぐらいわかるはずなので、これだけ勝てない教材が世にまん延しているという事実が、この手の詐欺師が大勢いることの証明にもなっています。
偽物であるが故に、とんでもない利益が出せると豪語することができるので、これまたマネ理論派にとっては、実に甘い罠になります。

特に思うのは、システム系の教材で全然勝てないものを売っている人。いったいどういう神経でこれを売っているのかと思います。よほど強心臓の持ち主なのでしょう。

教材検証ブログを書いている人も大勢いますが、客観的と見せていますが、アフィリ目当てなので、いいことを書くことでアフィリがもらえればそれでいいというものが非常に目立ちます。
良心的な人もいるようですが、こちらも少数に留まります。

この世界、残念ながら、詐欺師が大半だというのが実態です。
ここの関門で90%の人は脱落するものと思われます。



ここで既に大勢が脱落し、やっと詐欺師をくぐり抜けて、本物の勝ち組トレーダーに辿り着いたとしても、さらなる大きな関門が待ち受けています。

②教えてくれている勝ち組さんが本当のノウハウは隠している
こういうこともあるのだろうと思います。
相場は所詮取るか取られるかの奪い合いが基本なので、相手に手の内を明かすことは致命傷になりかねません。
CISさんが、「(手法を教えるということは、)じゃんけんをするときに次に何を出すか教えるようなものだ」と書いておられましたが、そういう奪い合いの仕組みこそが相場です。
なので、さわりは教えても、核心的な部分は言わないということです。
それをわざわざ教えて自分に何の得になるのだろうってことです。
じゃあ、そもそも何で教えるのか、ってことなんですが。。


③その勝ち組さんはそもそも天才肌の職人
これもあるあるです。
自分にできるのだから人もできるだろうということで教えてくれるのですが、人にはマネのできない境地というのがあるものなんです。
長嶋さんのマネをしたらホームランが打てるのか、ということで、伝説的な長嶋さんのアドバイスは、「しゅっと振れ!!」「ぱっと打つ!」とか、普通の人が聞いたら意味不明な天才の言葉です。


④勝ち組さんの勝っている理由が暗黙知にある場合
暗黙知というのは、「経験や勘、直感などに基づく知識」「簡単に言語化できない知識」「言語化しても、その意味が簡単には伝わらない知識」であって、意識していないレベルでやっていることです。
そもそも本人が意識していないのだから、人に教えることができません。
人に教えることができるのは、形式知と呼ばれるもので、言語化できるものだけなんです。
トレードは、ある種、職人技的なところがあるので、この暗黙知の守備範囲は想像外に広いです。
教える方は、形式知の部分を精一杯、出し惜しみなく教えてはいるものの、その勝ち組さんをマネしようとしても、周りの誰もマネすることはできないということが起こり得るのです。


⑤勝ち組さんの教えていることがとにかく複雑で冗長、そして要領を得ない
あれもこれもいっぱい書いたり、長時間動画で説明してくれてはいるのですが、
結局、何なんだ、何が言いたいんだ!!
と聞き返したくなるほどに複雑で、山のような分析を繰り出してこられるパターン。
ディズニーランドに初めて行って、迷子になったような心地でしょう。
フィボナッチ、RCI、RSI、トレンドライン、サポートレジスタンス、移動平均、もうこれでもかこれでもかと分析手法を機関銃のように繰り出してきて、結局何が言いたいのかが相手にはほとんど伝わらないのです。
You Tubeで動画を上げている人に多いパターンですが、とにかく長時間の動画はありがたいのですが、長時間の動画を何本も連発して、結局、何なんだろう、何が言いたいってことなんだろう、となってしまうケースです。
そこから、ポイントを読み取るには多大な時間を労力が必要になるという、

正に、考古学の世界を紐解いているかのような錯覚に陥ってしまうほど長い!!

という教え方をしている人が結構おられます。

まあ、私のブログも長いという不評を買うことが多いので、注意しているつもりなのですが、自戒も込めてということで。。汗




ということで、いくつか、「勝ち組マネ理論」に基づき頑張っている人がなかなか勝てない理由を書きました。

以上の理由の複合というケースが多いと思います。

ただ、実は、最強最大の理由がもう一つあります。

これに気がついていないから、いくら努力しても勝てるようにならない、というはっきりとした理由があるのです。

ただ、私のブログが長いという批判が多いことにも考慮しつつ、今回は、前振りとして、次回いよいよ本題に入ります。

ということで、次回半年後に会いましょう!!

とならないように、もう少し早く書こうと思います 笑


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環境認識

2022/02/20 Sun

私が環境認識を重要視していることは、読者の方ならご存知でしょう。
ところがこの環境認識という言葉、初心者にとっては、いやはや何とも厄介でよくわからないことの筆頭でもあると思います。

相場が上手な人が「環境がよくない」「今は地合いが悪いから」とか「場味がどうもよくない」「センチメントは強い」とかよく使いますが、ほんと何のこっちゃと思われている方も多いのではないでしょうか。

相場巧者は、常に意識していることですが、初心者にとっては、意味不明で曖昧、よくわからないことの筆頭がこの環境認識でしょう。

ここで出てくる言葉だけを取っても、環境、地合い、場味、センチメント、と人によって様々な言葉使いをしますし、その定義も実に曖昧。
なので多くの投資家は避けて通っていることも多いと思いますが、私から見れば、ちょっと待った~、それはダメだよ、ってことなんです。

この環境認識という言葉の定義は、狭義にも広義にもできる、人によって違うふわふわとして定義ですので、私が考えている環境認識を書いておこうと思います。

そして、何故環境認識が重要なのか、相場で勝つためには避けて通れないのか、実は言葉にするのはすごく難しいのですが、その理由にも挑戦してみます。



まず、狭義の環境認識といえば、テクニカル的な要素だけを言う人が多いです。

つまり、

自分が使っている時間軸よりも上位の時間軸を環境と定義している

ということです。

例えば、日足で売買している人は、週足、月足を見て、今がトレンドなのか、レンジなのか、高値安値など、長期の値動きを環境として認識する、ということです。

私は、この狭義では、全く不十分だと考えていて、もっと広義に環境を認識しています。

私の考えている環境は、自分の時間軸のテクニカル的な要素以外を全て含みます。

コメント欄で、ある方が、デイトレはファンダメンタルなど関係ない、と言われていましたが、私は、めちゃくちゃファンダメンタルを見ています。

今月前半までは、四半期の決算発表でした。
私は、このトレンドが出やすくなる決算発表シーズンの環境を得意としていますので、ここでは、冬眠前のヒグマが鮭をたらふく食べるように脂肪をつけていました。
今月前半までの決算発表シーズンという環境で、その環境に適応した戦略を使って勝負するわけです。


では、今の環境はどうでしょう。
今の環境を一言で言えば、ヘッドライン相場です。
ヘッドライン相場とは、ニュースのヘッドラインに振り回される相場環境のことです。
今の環境は、ウクライナ問題に対する要人発言に日々揺り動かされる状態で、かつ、インフレリスクに対するFRBの姿勢次第で大きく動く状態です。
この2大ヘッドラインで、リスクオン、リスクオフの間を揺れ動き、世界中の株価や為替が行ったり来たりという状況で、一番難しい状態になっています。




多く投資家は、テクニカル的に相場を見て、相場を分析しています。

しかし、そういった

テクニカル = 内部要因、需給

というのは、外部要因が穏やかな通常時には通用しますが、ヘッドラインで揺れる相場の前には完全に無力です。


いくら緻密な分析をしたとしても、明日ロシアがウクライナに進行したら、そんな分析など吹っ飛びます。

また、FRBがインフレの進行を前にして、どう利上げに来るのか、次回3月16日のFOMCに向けて調整に入っていますが、相場も3月16日のFOMCの利上げに向けての動きがこれから始まります。
その間の雇用統計や米消費者物価指数など重要指標に一喜一憂する相場展開が容易に読めるわけです。

このような状況は、海の家に例えれば、お天気が続く環境では、海水浴客が大勢訪れて、かき氷や焼きそばなどを売って商売が盛況なわけですが、ひとたび台風が来ると、店じまいして、台風に備えることになります。

これは、

お天気な環境なのか、台風が来るという環境なのかという環境で商売が左右されるのであって、台風の時に如何にして焼きそばを売るのかという工夫の問題ではない

ということです。

ここが重要な考え方のポイントです。

多くの人は、相場の環境のことをほとんど意識していません。
なので、ひたすらに、いつでも、どんな時でも上か下かを予想して、当てようともがいています。
そして、台風の時に如何に焼きそばを売るのかを一生懸命工夫しているのです。
これは、普通に考えて、ものすごくナンセンスなことだとは思いませんか。
私なら、台風の時は、店じまいします。実に簡単なことです。

ヘッドラインでリスクオン&リスクオフで揺れ動く相場を読むことは、至難の技です。
どんなにすごい人工知能であっても、世界最大のヘッジファンドであっても、今の相場を読むことは不可能です。
チャートをどう分析しても、ヘッドライン次第で相場が動くのだから、値動きの因果関係がわかっていれば、分析の無駄なことはわかると思います。
恐らく、今の相場を簡単に読めるのは、世界広しと言えどもプーチンだけでしょう。
ロシア系ファンドがあれば、そのファンドが売りなら売り、買いなら買いで間違いないです。
ただ、残念ながら、そういうファンドは知りませんが。。

また、未だにコロナの影響も相場に出ていますが、アメリカでの旅行レジャー関連の動きなどを見ることによって、コロナによるリスクオンオフの動向がわかります。

このように、外部環境やファンダメンタル、そしてヘッドラインを見ることで、相場の環境を認識し、その中で、最適な戦略をケースバイケースで考えていくわけです。

1つのやり方を知ったからといって、それで「完全思考停止」して相場を当てられる、という手法万能論の方には申し訳ないことですが、そんなことで相場を読めるということは、こういう理屈から考えれば、非現実的であることがはっきりとわかると思います。
今なら、プーチン発言一つで動く相場を、どうやってテクニカルで読むのか、という実に非論理的なことをやろうとしているからです。

こういった色んなファクターの結果が値動きなのだから、チャートが先付けすることはありません。



さて、ウクライナ問題がある程度決着すれば、次はいよいよインフレと利上げに焦点が当たります。
こちらは、基礎的ファンダメンタルの要件の中でも、金利動向と中央銀行の緩和と引き締めという最大級に相場を動かすドライバーとなります。
この中央銀行の政策によって、相場の方向性が決まるといっても過言ではないので、相場の土台とでも言うべきもので、環境認識派としては、最大級に注意を払うべきものとなります。


2012年12月にスタートしたアベノミクスによって、どのような相場が演出されたのかは、記憶に新しいところでしょう。
アベノミクスによる経済政策と金融の大幅緩和というドライバーが相場を動かしたのです。
仮に民主党政権があのまま続けば、あれだけの相場が出ることはなかったわけで、テクニカル分析でどうのこうのということではないのです。

トレンドが出たかどうかはチャートでもわかりますが、そのトレンドが続くかどうかはドライバー次第ということになります。



相場の環境認識とは、このように相場をその時その時に動かしているドライバー(推進装置、エンジン)を読む作業、と言い換えてもいいのかもしれません。

今の相場は、何によって動いているのか、どういう原因があって動いているのか、そう考えると、環境認識も少しはわかりやすいかもしれません。


そして、認識した相場環境に応じた戦略をチョイスするのが次の作業になるわけです。

環境さえ読んでしまえば、もう8割方は相場の分析も終わりです。
後は、シンプルな汎用の道具からチョイスして、シンプルな手法で相場を攻めればいいだけです。
ここに特別な手法とか秘密のチャートなどの道具は不要です。

というかごちゃごちゃしたテクニカル分析など邪魔ですらあります。

あくまでも、環境が先にあって、手法や戦略は従となります。
この逆はあり得ません。


多くの投資家は、自分のやり方を相場に押し付けているというテレコをやっているから相場に追い出されるのです。

泣く子(ヘッドライン)と地頭(基礎的相場環境)には勝てぬ

聞き分けのない子や横暴な地頭とは、道理で争っても勝ち目はないから、無理を言われても黙って従うしかないということ。

これが私の基本的な相場認識です。



相場は、ドライバー(推進装置)がなければ、需給要因で行ったり来たりを繰り返すしかありませんが、ひとたび大きなドライバーがかかれば大きな方向転換や巨大なトレンドが発生します。
その時こそ順張り派が活躍する場面であり、逆張り派は逃げておく場面になるわけです。

今は、何が相場を動かしているのか、決算なのか、ヘッドラインなのか、中央銀行なのか、内部需給だけなのか、経済指標なのか、果たしてコロナなのか。

それぞれのドライバーがあって、注目されているファクター(要素)があって、そこへ向けて相場がどう反応するのか、それを一つ一つ紐解いていくのが環境認識だ、と私は考えています。

そして、それぞれの相場の環境に応じた戦略を使って相場に乗っていく、これが私にとっては、勝てる相場だと考えています。

じゃあ、今はどうなのだ、と問われたら、プーチン次第でわかりません!!

そうです。

個人投資家最大の優位性である高見の見物戦略、見ているだけ手法

を使う時です。

この

待つことの重要性

に比べれば、小手先の手法ややり方など、どうでもいいことなのです。



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何故勝てるようになったのか 5

2022/02/12 Sat

よく次のような相談を受けます。
「私は、デイトレをしていますが、相場観がよくて8割ぐらいは当たります。ただ、引っ張ったものの損失が大きく、トータルでは負けてしまいます。」

最初は、この相談の意味がわかりませんでした。
なぜなら、答えは簡単だからです。
引っ張ったものの損失が大きいのなら、さっさと損切りしてしまえばいいだけのことだからです。
しかし、問題の本質は、そこにはありませんでした。

実は、この相談の本質というのは、損失を引っ張るから勝率8割を維持できているというところにあったのです。

つまり、勝率8割を維持するために、損失を持ち越すことは欠かせない措置だったわけです。
もし、この方が損切りをきちんとやったら、勝率は5割以下に簡単に落ちてしまいます。
だから、勝ちたいという欲で、勝率を優先する限り、損切りをすることはできないということだったのです。
この方の相場観が良かったわけでもなんでもなくて、単にしょぼ利食い&損切り放置が勝率8割の理由だったわけです。

目先の勝利を得るためには、損失を繰り延べする。

実は、このメカニズムは、昭和の時代からずっと変わらずに来たことでした。

信用で買う。勝ったら速攻で利食い。負けたら塩漬けで、6ヶ月で現引き。

これが昭和の投資家の黄金セットでした。
この黄金セットが現代では、デイトレという仮面の下で蘇ったに過ぎないわけです。

勝ったらサクッと利食い。負けたらオーバーナイト。

時間軸は違えど、やっていることは、昭和の負け組投資家と1ミリも違わず同じことをやっているわけです。

何故こんなことが起きるのかというと、諸悪の根源であるすべてのトレードで勝ちたい、負けたくない、という欲がこのような行動にさせてしまうのです。



さて、このようなトレード方法は、専門用語を使えば、

テールリスクを引き受けるトレード

ということになります。

このテールリスクというのは何かというと、

テールリスク(Tail risk)は、「ブラックスワン・イベント」とも呼ばれ、マーケット(市場)において、ほとんど起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスクをいいます。 これは、通常、確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク(大幅下落する可能性)を指します。(iFinanceより)

実は、テールリスクを引き受けることで、目先の勝率を上げるという手法は、様々な形で存在しています。

その代表的事例は、保険です。
自動車保険を例にあげると、自動車保険はみんながかけているものです。
1年経過して、事故を起こさなければ、保険料は保険会社の丸儲けです。
ほとんどの場合、事故を起こすことはありませんので、毎年毎年保険料を払い続けることになるのがほとんどの自動車ユーザーでしょう。
もし、この保険を引き受けていれば、勝率は極めて高いわけです。
しかし、ひとたび事故が起きれば多額の支払いが発生します。
これがテールリスクです。
保険会社は、事故率などを勘案し、トータルで勝てるように設定していますから、この場合は、保険会社が儲かる仕組みになっています。

オプションを売るというのもテールリスクを引き受ける行為です。
今の価格から離れたオプションというのは、ほとんどの場合は、オプション期日に消滅し、ゼロになります。
ですから、今の価格から離れたオプションを売るショートストラングル戦略は、非常に高い勝率を得ることができます。
しかし、ひとたびマーケットに大きな変動があれば、悲惨な損失を受けることになります。
オプションを売るということは、保険を売るのと同じ行為で、これもテールリスクを引き受けるトレードということになります。

FXにおいては、トラリピとか、リピートイフダンと呼ばれるような無限ナンピントレードがシステムとして存在し、一定のファンがいます。
ある一定のレンジで往来している限り、このナンピントレードは利益を得ることができるので、それなりに人気があるようです。
このトラリピトレードも、ひとたび大きなトレンドが発生したら、これまでせっせと稼いだものが大爆死するリスク、すなわちテールリスクを引き受けることで目先の勝率を得ているトレードということになります。



さて、最初の方のように、素早い利食いと損失放置のセット取引は、これらと全く同じで、要するにテールリスクを引き受けることで高い勝率を得ているトレードなので、損失放置をやめるわけにはいかなかったのです。

目的が、(目先の勝負に)勝つこと、だからです。

このように、

単に勝率を上げるだけなら、テールリスクを取ればいいだけの簡単なことなんです。

ここまでのシリーズで書いてきたように、相場を始めて、数年すると、ほとんどの人は、損失を放置することで、勝率が上がることに気がつきます。
また、心理的にもプロスペクト理論というのがあって、そういうトレードが実に心に優しいので、みんなこの罠に落ちて行くのです。

これがテールリスクを引き受けるという悪魔との契約であるとは気がつかずに、その罠に落ちていきます。

このように、目先の勝負に勝つ、という誤った目標をセットしてしまったために、手法コレクションであれ、損切り放置であれ、あらゆる努力ががその目標に向かって動き出すのです。


  


実は、我々専業レベルの投資家で、このようなテールリスクを引き受けるようなトレードをしている人は、私の知る限りでは、ただの一人もいません。
どこかで破滅するようなトレードをやって長年生き残ることは不可能に決まっているからです。

それとは、逆に、負けている投資家の多くは、このテールリスクを引き受けるトレードを延々と繰り返しています。

この両極端を見るにつけ、プロとアマチュアを分ける線引きがどこにあるのかは、一目瞭然ではないでしょうか。

誰が見ても、わかる構図です。

私が知る限り、テールリスクを引き受けるトレードを続けて、最終的に専業になった、という事例は、ただの一人もいません。
これに早く気がつけるかどうか、これが秘密の小部屋の入り口だろうと私は思います。

みんなが求めているエントリーの手法など、プロでもアマでも同じようなものです。
特殊なインジケーターを使っている人もいるかもしれませんが、少なくともほとんどの専業レベルの人の見ているチャートは、シンプルで、私のようなすっぴんチャートを使っている人も多いです。
そして、プロで使っているのは、ブレイクとか簡単なエントリー手法です。




では、プロや専業は、何を目指しているのか、というと、

一般の投資家が、当てること(勝率を上げること)を目標にトレードしているのに対して、専業は、リスクを如何にコントローするのかを目標にトレードしている

ということになると思います。

つまりは、そもそものトレードの目標が全く違うのです。

トレードにおいて、最も難しいことは、リスクをコントロールした利益を出すことである

ということです。

バカみたいなリスクを取れば、誰だって、お猿だって利益を出すことはできます。

それで、絶対にダメなんです。

リスクを如何にして取らないかの工夫こそが、トレードの技であり、職人の技術なんです。

そのために、エントリーの工夫があり、分割などの技法があり、損切りのテクニックがあるのです。

下手な投資家が求めているように、相場を当てるために、エントリーの手法があるのではありません。


林輝太郎先生の本が難しくて、一般受けが悪いのは、手法やテクニックだけを求めて読む人がほとんどだからです。
如何にして、リスクを軽減するための工夫をしているのか、という目線で読めば、全く違った答えが見つかるはずです。
一発必中でなく、丁寧に丁寧に分割して、リスクを分散する技術やテクニックの数々を繰り返し繰り返し書いておられますが、それを読み取れるレベルの投資家はほとんどいないのが現実です。

ソロスの言う「まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ。」というのは、正にこのことを言っています。
単なるお題目ではありません。




私は、株の投資家ですが、FXもプラスアルファーでやっています。
今週のある日のトレード結果ですが、勝ち自慢ではないので、少し負けた日の結果を出すと、約定数量が4230万通貨となっていました。

2022-02-08_01h14_14.jpg


この日は普段よりは売買が多かったんですが、普段からやっていることなので特別というほどでもありません。
この枚数だと、きちんとリスクをコントロールできなければ、あっという間に死ねます。
逆に言うと、きちんとリスクがコントロールできるが故にこの枚数が取れるのです。
FXの専業の方は、私の何倍もの大きさでトレードをされておられますが、全員が全員ともに如何にリスクをコントロールするかを第一に考えおられます。

このように、如何に当てるかだけを必死で考えてトレードしている負け組と、如何にリスクをコントロールするかを考えてトレードしている専業とは、考えていることそのものが全く違うのです。

こういうことがあるので、ちょっと相場に逆風が吹いたら、多くの投資家はあっという間にボロボロに負ける一方で、専業レベルは、ほとんど無傷で次の相場に備えることができるんです。
上げ相場の時は、みんなでワイワイやっていても、ひとたび逆風が吹けば、アマレベルは吹き飛んで、残るのは、いつも専業レベルだけ、というのは、こういうメカニズムから来ています。


同じトレードをしていても、プロとアマでは、全く異次元の目線でのトレードをしているのだってことに気がつけば、秘密の小部屋の入り口にやっと立てたってことになるのでしょう。



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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

旧ブログ:
あらなみの相場技術研究所

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