儲かる方法が見つかったら・・
2014/05/26 Mon
「検証して、儲かる方法が見つかったらトレードを開始しましょう。」
このフレーズほど、初心者を魅惑する理屈は無い。
あるセミナーでこう言われたA氏だった。
A氏は、早速本を何冊か買ってきて、そこに書いてある方法で色々と検証を繰り返した。
すると、セミナーで言っていたRSIの安いところで買えば儲かることがわかったのだ。
俺はこれで天下を取れる。
そうA氏は感じ、明日が待ち遠しくなった。
これで嫌な仕事ともおさらばできるし、相場で大金を稼ぎ、やりたいことができる、とわくわくしてその晩はよく眠れなかった。
翌日、早速、自分のRSIを使ったシステムで売買をスタートした。
すると、検証では無かった負けがいきなり続く。
たまにはこういうこともあるのが相場なのだ、と変に達観していたA氏だったが、負けがあまりにも続くので、どう考えてもおかしいと運用を停止した。
商材などもお金がかかるが買ってみた。
そして、またせっせと「検証」に励み、ボリンジャーバンドという商材定番指標を使って次のシステムBを開発した。
しかし、そのシステムBにおいても、結果は散々だった。
検証したら儲かるのに、何故か実践すれば損ばかりとなる。
何故だ。
A氏は、頭を抱えた。
次に、商材に書いてあったこれも商材定番指標の平均足なるものを使えば魔法のように当たることがわかった。
しかし、またしても実践では負け続け。それもひどい負けになった。
RSIから、ボリンジャー、そして平均足、という単なる初心者黄金ルートを辿っただけなのであるが、A氏は「自分で考えた」と思っていた。
しかし、「検証して、儲かる方法が見つかったらトレードを開始しましょう。」この考え方に染まっているA氏はその後も、検証をしては負けるを繰り返すのであった。
A氏は、いつしか「やり方を探しては、ちょっとやってみるが、また負けた。またやり方を探す。そしてまた負ける。」ということを繰り返す普通の大衆投資家になっていた。
こうして、気がつけばA氏も10年選手になっていた。
もちろん、やり方を探してばかりしていたので、何も手に技術は身についてはいなかった。
「検証して、儲かる方法が見つかったらトレードを開始しましょう。」
投資セミナーなどでもよく聞かされるフレーズです。
初心者を魅了してやみませんので、このトラップにはまった人も多いと思います。
私の回りでも大勢います。
というより、ほとんど、と言ってもいいぐらいです。
特に、頭のいい人、理屈っぽい人はこの理屈に飛びつくことでしょう。
確かに、「儲かる方法がわからないのにめちゃくちゃにやることはナンセンスだ。」ということでもあるので、一見すると、理屈に合っていて、合理的考え方だ、と思えます。
しかし、ここで疑問点も湧いてきます。
初心者にそんなに簡単に儲かる方法が見つかるものだろうか。
もしそうだったら、何故10年、20年と相場をやっている人が、「いわゆる儲かる方法なるもの」を見つけられずにいるのだろうか。
しかし、「自分だけは特別だ」と思っているので、そんな「大衆」のことなど気にもしないのが初心者です。
実は、検証を繰り返せば、「検証上で儲かる方法」は、初心者でも簡単に見つかります。
ところが、その「大金持ちになれる儲かる方法」を実践でやればすぐに答えが出るのですが、負け続けます。
初心者は、この「検証すれば儲かる方法なのに、何故か実践すると負ける。」という矛盾に苦しむことになります。
この検証における問題は、答えを言ってしまうと、過剰最適化、いわゆるカーブフィッティングの罠、というものなのですが、初心者が検証をやる場合、ほとんどがこれにはまります。
簡単に言うと、過去の検証期間で、レンジが続いていれば、そのレンジにフィットするように、下げたら買い、上がったら売り、という方法を自然と作ります。
一方で、過去の検証期間が、トレンド相場なら、ブレイク、押し戻しのエントリーという方法を自然と考えます。
つまり、過去の値動きに「フィット」させてしまい、オーダーメードしてしまうのです。
ここでは、極端な例を出しましたが、長期でやればよい、とか、レンジもトレンドも含まれている、とか言っても、所詮は「過去の後知恵」ですから、実践では通用しないことはほとんどです。
前に、ある友人が「アップルの株で検証したのですが、ブレイクアウトが有効でした。アップルでも有効なのですね。」と喜び勇んで言ってきたので、「お前はアホか。」と答えたことがあります。
バカみたいにトレンドが続いている時に、ブレイクが有効なのは「アホでも、ハムスターでも」わかることです。
それを「後付けで」「後知恵」で検証して、有効かどうか、と考えること、その発想そのものが無駄なんです。
次がレンジか、トレンドか、どちらになるのかわかれば、検証などしなくても、簡単に勝つことができるのは当たり前です。
そのレンジかトレンドか、次はどちらになるのかわからないから、相場で苦労する、ということなのです。
ところが、過去はもう結果がわかっているものですから、それをどう検証すれば儲かる方法ができるのか、はちょっと検証した人ならすぐにわかります。
私を含めて、テクニカルをある程度わかっていて、過去に最適化するという意味を理解している人なら、チャートを見た瞬間に、何をどう使って、どのように売買すれば、今見えているチャートで利益を出せるのかは、数秒でわかります。
初心者なら、半月、1ヶ月かかって、検証してやっと出る答えが、数秒で出せるのです。
検証ということに何年も取り組んでいればそのぐらい誰でもできるようになります。
しかし、その答えなど、ただのゴミです。単なる後知恵だからです。
そもそも初心者の相場理解力をもって、ほんとにシステム的に儲かるやり方など、見つかる確率は万に一つぐらいでしょう。
無いとは言いません。しかし、初心者のその努力は、砂漠でダイヤの原石を探すようなものです。
テクニカル指標を適当に組み合わせて、相場が儲かるぐらいだったら、相場で損する人などどこにいるのでしょう。
また、「隠れたリスクを抱える」という方法で、検証すれば目先では実践で利益が出る仕組みを作ることは可能です。
株で言えば、乖離率を使って大きく突っ込んだところを買っていくという方法などがそれに該当します。
しかし、普段はそれでコツコツ稼げても、どこかでドカンを食らうリスクを抱えているわけです。
リーマン・ショックで大量の退場者を産みだした伝説の手法です。
人気のトラリピも同様のリスクを持つことになります。
いつかの時点で、夜が開けたら死んでいた、となります。
オプションで言えば、ショートストラングルです。
これも、普段は勝率100%か、と思えるほど稼げるのですが、実際には保険を売るような売買なので、どこかで事故が起こればパーになります。
リーマンショック、そして、311で大量の退場者がこれによって出ました。
これらは全て、検証では見えにくい隠れたリスクを負うことによってリターンを得る仕組みです。
隠れたリスクを抱える、というこれらの方法は、いわゆる「ロシアンルーレット」をやっているようなものです。
何度か撃ってみて「弾丸が入っていなかった」といっても「危険は無い」とはなりません。
そういうやり方をしていれば、いずれどこかで弾に当たるのは必然的なことなのです。
しかしながら、初心者にとって非常にわかりにくいのは、「どういうやり方が隠れたリスクを抱えているのか」ということでしょう。
いいと思っていたやり方、実際に儲けが出ている方法の裏に、隠れたリスクが存在する、ということは、相場の世界ではよくある話です。
実際に、リスクが現実化した時に、茫然自失になる、ということになりますが、普段は「隠れた」ですから、わからないことが多いのです。
こういった「隠れたリスク」を回避できれば、逆張りも、ドカンを喰らわないでいいわけですが、そんな都合のいい話があるのか、といえば、実はあります。
例えば、林先生は、「小豆の市場構造」を利用して、このドカンのリスク回避されておられました。
前にも書きましたが、林先生の本か、レポートで読んだのですが「小豆は市場の構造的にレンジを作る」と言っておられましたし、その構造も明確でした。
また、「商品と株の違いは、商品には自ずと限界があるが、株には無い。」ということを書いておられました。
「モノの値段は決してゼロにはならないが株はゼロになるリスクがある。また、モノの値段の上限には自ずと限界があるが、株には限界がない。」ということも書いておられます。
そういう「構造理解」、そして「大衆ポジションと商社などヘッジャー、仕手のポジション構造の理解、そしてファンダメンタルの理解」を前提にしてナンピンをする、ということですから、これは「隠れたリスクを回避する手段を講じている」と言えるでしょう。
ベテランならではの「徹底した市場構造の理解」という背景があっての技術ということです。
そういったマーケットの構造、ファンダメンタルの理解を抜きにして、ただ「ナンピン」という技術だけを議論することはどうなのだろう、私はそう思います。
これは、個別株の売買においても同じです。
わかる人にはわかるので詳しくは書きませんが、技術の話だけをすることはあまり意味がありません。
色んな前提があっての技術なのです。
話がちょっと脱線しました。
「検証」は投資家を魅了してやまないものですが、これが「後知恵」である、ということを十分理解して使わないと、迷宮に迷い込むことは確実です。
私は「検証」に対して、決してネガティブではありませんが、「使用上の注意」がものすごくあり、また、相当危険なものである、ということを十分に理解した人のみが使えるものだ、そう思っているのです。
そもそも運転をバックミラーだけでやろうという人がいないのと同じで、過去の検証だけで、未来を見通すことは難しいです。
そもそも、未来は未来であって、過去の延長線上にはありません。
それよりも、不確かな未来がどう動けば、自分はどう対処するのか、という出処進退の要領、値動きへの対処方法を実際の相場で経験を積んで腕として身につける方が意味あることだとは思いませんか。
それだったら、経験値が積み上がっていくことなので、時間さえかけて経験を積めば誰だって上手くなる可能性が高いのです。
特に、初心者が「バックミラー運転」に魅了されて、「検証地獄」に陥り、結果として、「手法探しの旅に出る」ということになる、という「初心者フルコース」の蟻地獄にハマる人があまりにも多いことから、オススメはできません。
相場をはじめて最初からこのトラップにハマると、「腕」「目利き」「胆力」「投資心理の理解」そして何より重要な「自己規律、自制心」といった「実際の値動きに対処する技」が磨かれることなく、無為に時間が経過してしまいます。
繰り返しますが、こういう技を磨くには、想像以上に時間がかかるものです。
(そもそも普通はこの時間に耐えられなくてやめていきます。安易に儲ける手段としてこの世界に足を踏み入れるのが普通ですからなおさらでしょう。)
だから、できるだけ早く着手しないといけないのです。
トレードは、職人さんの世界ですから、手法探しトラップにはまると、10年経っても、初心者同様、となる悲劇が待っているだけです。
こういう人がものすごく多いのにはびっくりしますが、本当に多いです。
相場歴10年、20年だというのに、相場について何も知らないし、何もできない、心も弱いまま、というナイナイ尽くしの投資家が如何に多いか、ということに本当に驚きます。
同じやるなら、一步づつでも前進できることをやりたいものです。
インテリほど頭でっかちで、「まずはやり方を理解して」という理屈にこだわる。小理屈を言う。
というより、頭で考えた小理屈の世界から抜け出せない。
そうではなく、「とりあえずやってみろ。そして体で覚えろ。」という一見すると、無謀、無駄で、理屈もへったくれもない、回り道に見える、という現場主義、職人の仕事の覚え方、が前に進める道であったりするのです。
それが遠回りのようでいて、実は近道なのです。
畳の上で1ヶ月間スキー技術について学ぶより、1日スキー場に行って滑ってみろ、ってことですよ。
そこでは、「こけてなんぼ」の世界なんです。
こけることを怖がっていたら、スキーなど上達しません。
それから、最初からモーグルできる人などいませんよ。それを最初から上村愛子しようとして、骨折するんです。
当たり前過ぎて話にもならないことで悩んでいる人が多いですが、常識で考えればいいだけのことです。
相場だけが特別なものではありません。

人気ブログランキングへ
このフレーズほど、初心者を魅惑する理屈は無い。
あるセミナーでこう言われたA氏だった。
A氏は、早速本を何冊か買ってきて、そこに書いてある方法で色々と検証を繰り返した。
すると、セミナーで言っていたRSIの安いところで買えば儲かることがわかったのだ。
俺はこれで天下を取れる。
そうA氏は感じ、明日が待ち遠しくなった。
これで嫌な仕事ともおさらばできるし、相場で大金を稼ぎ、やりたいことができる、とわくわくしてその晩はよく眠れなかった。
翌日、早速、自分のRSIを使ったシステムで売買をスタートした。
すると、検証では無かった負けがいきなり続く。
たまにはこういうこともあるのが相場なのだ、と変に達観していたA氏だったが、負けがあまりにも続くので、どう考えてもおかしいと運用を停止した。
商材などもお金がかかるが買ってみた。
そして、またせっせと「検証」に励み、ボリンジャーバンドという商材定番指標を使って次のシステムBを開発した。
しかし、そのシステムBにおいても、結果は散々だった。
検証したら儲かるのに、何故か実践すれば損ばかりとなる。
何故だ。
A氏は、頭を抱えた。
次に、商材に書いてあったこれも商材定番指標の平均足なるものを使えば魔法のように当たることがわかった。
しかし、またしても実践では負け続け。それもひどい負けになった。
RSIから、ボリンジャー、そして平均足、という単なる初心者黄金ルートを辿っただけなのであるが、A氏は「自分で考えた」と思っていた。
しかし、「検証して、儲かる方法が見つかったらトレードを開始しましょう。」この考え方に染まっているA氏はその後も、検証をしては負けるを繰り返すのであった。
A氏は、いつしか「やり方を探しては、ちょっとやってみるが、また負けた。またやり方を探す。そしてまた負ける。」ということを繰り返す普通の大衆投資家になっていた。
こうして、気がつけばA氏も10年選手になっていた。
もちろん、やり方を探してばかりしていたので、何も手に技術は身についてはいなかった。
「検証して、儲かる方法が見つかったらトレードを開始しましょう。」
投資セミナーなどでもよく聞かされるフレーズです。
初心者を魅了してやみませんので、このトラップにはまった人も多いと思います。
私の回りでも大勢います。
というより、ほとんど、と言ってもいいぐらいです。
特に、頭のいい人、理屈っぽい人はこの理屈に飛びつくことでしょう。
確かに、「儲かる方法がわからないのにめちゃくちゃにやることはナンセンスだ。」ということでもあるので、一見すると、理屈に合っていて、合理的考え方だ、と思えます。
しかし、ここで疑問点も湧いてきます。
初心者にそんなに簡単に儲かる方法が見つかるものだろうか。
もしそうだったら、何故10年、20年と相場をやっている人が、「いわゆる儲かる方法なるもの」を見つけられずにいるのだろうか。
しかし、「自分だけは特別だ」と思っているので、そんな「大衆」のことなど気にもしないのが初心者です。
実は、検証を繰り返せば、「検証上で儲かる方法」は、初心者でも簡単に見つかります。
ところが、その「大金持ちになれる儲かる方法」を実践でやればすぐに答えが出るのですが、負け続けます。
初心者は、この「検証すれば儲かる方法なのに、何故か実践すると負ける。」という矛盾に苦しむことになります。
この検証における問題は、答えを言ってしまうと、過剰最適化、いわゆるカーブフィッティングの罠、というものなのですが、初心者が検証をやる場合、ほとんどがこれにはまります。
簡単に言うと、過去の検証期間で、レンジが続いていれば、そのレンジにフィットするように、下げたら買い、上がったら売り、という方法を自然と作ります。
一方で、過去の検証期間が、トレンド相場なら、ブレイク、押し戻しのエントリーという方法を自然と考えます。
つまり、過去の値動きに「フィット」させてしまい、オーダーメードしてしまうのです。
ここでは、極端な例を出しましたが、長期でやればよい、とか、レンジもトレンドも含まれている、とか言っても、所詮は「過去の後知恵」ですから、実践では通用しないことはほとんどです。
前に、ある友人が「アップルの株で検証したのですが、ブレイクアウトが有効でした。アップルでも有効なのですね。」と喜び勇んで言ってきたので、「お前はアホか。」と答えたことがあります。
バカみたいにトレンドが続いている時に、ブレイクが有効なのは「アホでも、ハムスターでも」わかることです。
それを「後付けで」「後知恵」で検証して、有効かどうか、と考えること、その発想そのものが無駄なんです。
次がレンジか、トレンドか、どちらになるのかわかれば、検証などしなくても、簡単に勝つことができるのは当たり前です。
そのレンジかトレンドか、次はどちらになるのかわからないから、相場で苦労する、ということなのです。
ところが、過去はもう結果がわかっているものですから、それをどう検証すれば儲かる方法ができるのか、はちょっと検証した人ならすぐにわかります。
私を含めて、テクニカルをある程度わかっていて、過去に最適化するという意味を理解している人なら、チャートを見た瞬間に、何をどう使って、どのように売買すれば、今見えているチャートで利益を出せるのかは、数秒でわかります。
初心者なら、半月、1ヶ月かかって、検証してやっと出る答えが、数秒で出せるのです。
検証ということに何年も取り組んでいればそのぐらい誰でもできるようになります。
しかし、その答えなど、ただのゴミです。単なる後知恵だからです。
そもそも初心者の相場理解力をもって、ほんとにシステム的に儲かるやり方など、見つかる確率は万に一つぐらいでしょう。
無いとは言いません。しかし、初心者のその努力は、砂漠でダイヤの原石を探すようなものです。
テクニカル指標を適当に組み合わせて、相場が儲かるぐらいだったら、相場で損する人などどこにいるのでしょう。
また、「隠れたリスクを抱える」という方法で、検証すれば目先では実践で利益が出る仕組みを作ることは可能です。
株で言えば、乖離率を使って大きく突っ込んだところを買っていくという方法などがそれに該当します。
しかし、普段はそれでコツコツ稼げても、どこかでドカンを食らうリスクを抱えているわけです。
リーマン・ショックで大量の退場者を産みだした伝説の手法です。
人気のトラリピも同様のリスクを持つことになります。
いつかの時点で、夜が開けたら死んでいた、となります。
オプションで言えば、ショートストラングルです。
これも、普段は勝率100%か、と思えるほど稼げるのですが、実際には保険を売るような売買なので、どこかで事故が起こればパーになります。
リーマンショック、そして、311で大量の退場者がこれによって出ました。
これらは全て、検証では見えにくい隠れたリスクを負うことによってリターンを得る仕組みです。
隠れたリスクを抱える、というこれらの方法は、いわゆる「ロシアンルーレット」をやっているようなものです。
何度か撃ってみて「弾丸が入っていなかった」といっても「危険は無い」とはなりません。
そういうやり方をしていれば、いずれどこかで弾に当たるのは必然的なことなのです。
しかしながら、初心者にとって非常にわかりにくいのは、「どういうやり方が隠れたリスクを抱えているのか」ということでしょう。
いいと思っていたやり方、実際に儲けが出ている方法の裏に、隠れたリスクが存在する、ということは、相場の世界ではよくある話です。
実際に、リスクが現実化した時に、茫然自失になる、ということになりますが、普段は「隠れた」ですから、わからないことが多いのです。
こういった「隠れたリスク」を回避できれば、逆張りも、ドカンを喰らわないでいいわけですが、そんな都合のいい話があるのか、といえば、実はあります。
例えば、林先生は、「小豆の市場構造」を利用して、このドカンのリスク回避されておられました。
前にも書きましたが、林先生の本か、レポートで読んだのですが「小豆は市場の構造的にレンジを作る」と言っておられましたし、その構造も明確でした。
また、「商品と株の違いは、商品には自ずと限界があるが、株には無い。」ということを書いておられました。
「モノの値段は決してゼロにはならないが株はゼロになるリスクがある。また、モノの値段の上限には自ずと限界があるが、株には限界がない。」ということも書いておられます。
そういう「構造理解」、そして「大衆ポジションと商社などヘッジャー、仕手のポジション構造の理解、そしてファンダメンタルの理解」を前提にしてナンピンをする、ということですから、これは「隠れたリスクを回避する手段を講じている」と言えるでしょう。
ベテランならではの「徹底した市場構造の理解」という背景があっての技術ということです。
そういったマーケットの構造、ファンダメンタルの理解を抜きにして、ただ「ナンピン」という技術だけを議論することはどうなのだろう、私はそう思います。
これは、個別株の売買においても同じです。
わかる人にはわかるので詳しくは書きませんが、技術の話だけをすることはあまり意味がありません。
色んな前提があっての技術なのです。
話がちょっと脱線しました。
「検証」は投資家を魅了してやまないものですが、これが「後知恵」である、ということを十分理解して使わないと、迷宮に迷い込むことは確実です。
私は「検証」に対して、決してネガティブではありませんが、「使用上の注意」がものすごくあり、また、相当危険なものである、ということを十分に理解した人のみが使えるものだ、そう思っているのです。
そもそも運転をバックミラーだけでやろうという人がいないのと同じで、過去の検証だけで、未来を見通すことは難しいです。
そもそも、未来は未来であって、過去の延長線上にはありません。
それよりも、不確かな未来がどう動けば、自分はどう対処するのか、という出処進退の要領、値動きへの対処方法を実際の相場で経験を積んで腕として身につける方が意味あることだとは思いませんか。
それだったら、経験値が積み上がっていくことなので、時間さえかけて経験を積めば誰だって上手くなる可能性が高いのです。
特に、初心者が「バックミラー運転」に魅了されて、「検証地獄」に陥り、結果として、「手法探しの旅に出る」ということになる、という「初心者フルコース」の蟻地獄にハマる人があまりにも多いことから、オススメはできません。
相場をはじめて最初からこのトラップにハマると、「腕」「目利き」「胆力」「投資心理の理解」そして何より重要な「自己規律、自制心」といった「実際の値動きに対処する技」が磨かれることなく、無為に時間が経過してしまいます。
繰り返しますが、こういう技を磨くには、想像以上に時間がかかるものです。
(そもそも普通はこの時間に耐えられなくてやめていきます。安易に儲ける手段としてこの世界に足を踏み入れるのが普通ですからなおさらでしょう。)
だから、できるだけ早く着手しないといけないのです。
トレードは、職人さんの世界ですから、手法探しトラップにはまると、10年経っても、初心者同様、となる悲劇が待っているだけです。
こういう人がものすごく多いのにはびっくりしますが、本当に多いです。
相場歴10年、20年だというのに、相場について何も知らないし、何もできない、心も弱いまま、というナイナイ尽くしの投資家が如何に多いか、ということに本当に驚きます。
同じやるなら、一步づつでも前進できることをやりたいものです。
インテリほど頭でっかちで、「まずはやり方を理解して」という理屈にこだわる。小理屈を言う。
というより、頭で考えた小理屈の世界から抜け出せない。
そうではなく、「とりあえずやってみろ。そして体で覚えろ。」という一見すると、無謀、無駄で、理屈もへったくれもない、回り道に見える、という現場主義、職人の仕事の覚え方、が前に進める道であったりするのです。
それが遠回りのようでいて、実は近道なのです。
畳の上で1ヶ月間スキー技術について学ぶより、1日スキー場に行って滑ってみろ、ってことですよ。
そこでは、「こけてなんぼ」の世界なんです。
こけることを怖がっていたら、スキーなど上達しません。
それから、最初からモーグルできる人などいませんよ。それを最初から上村愛子しようとして、骨折するんです。
当たり前過ぎて話にもならないことで悩んでいる人が多いですが、常識で考えればいいだけのことです。
相場だけが特別なものではありません。

人気ブログランキングへ