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投資における最も重要な概念 その1

2015/07/28 Tue

前回の記事の拍手、異例の55拍手をいただきました。
ありがとうございます。
「小言の滝行」に共感してもらったものだと思います。
55名の「滝行」の修行僧のみなさん、お互いに励まし合って、今日もご一緒に修行を進めていきましょう(笑)



さて、トレードのイメージとして、みなさんはどのようなイメージを持っておられるでしょうか。
私は、次のようなイメージを持っています。

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これは、Ridge climbing つまり、尾根登山という意味ですが、左右が切り立った尾根を登っていく、というイメージです。

ここでは、ちょっとした油断によって、一気に滑落、ということが起こります。

ちょっとした油断、ちょっとした損失、ちょっとした慢心、それが切り口になって、一気に崩壊する、それが滑落。


こういう登山において、一歩を踏み外しただけで、あっという間に滑落するのと同じです。

常に、緊張と集中を必要とする世界。油断は死を招きます。

持っているザイルは、命綱。つまり、損切り。

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ところが、命綱なしで登る無謀な登山者が後を経ちません。

恐らく、登山技術のイロハを何も教わっていないからでしょう。

一歩一歩、緊張感を持って進んでいるうちは特に問題は起こらないのですが、ちょっとした油断、ちょっとした隙があると、道を踏み外して、滑落、という現象が起こります。

滑落、というのは、ちょっと勝ちが続いた後、もしくは、少し大きめの損失を出した後、に起こりやすい、ということがわかっています。



そもそも、多くの投資家は、こういうギリギリのところを登っている、というイメージをまるで持っていません。


危険性を認識してはいないのです。

あたかも平地を歩いている、という感じでしょう。

そして、自分だけは大丈夫だ、という根拠なき自信を持っています。

元々、こういうところを歩いているんだ、という緊張感を持って、ザイルを持って、慎重に慎重に一歩一歩歩んでさえいれば、そんなに大怪我につながる確率は低くなります。

ところが、そういう緊張感なしに歩いているものだから、ふとしたキッカケで滑落する人が絶えないわけです。

現実の登山における滑落事故よりも、遥かに高い確率で、相場の滑落が起きているのはこのせいでしょう。

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特に危ないのは、登山歴2年目とか、ちょっと慣れたころ。
最初は、慎重に慎重に恐る恐る登っているから、逆に大事故は起こさないもの。
しかし、2年目ともなって、ちょっと儲かってくると、心に油断が起きてくる。
これが危ない。
ちょっとした慢心と油断が滑落を招く。

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トレードって、勝ったり負けたり、で、やり方を知れば勝てるようになる、というイメージかもしれませんが、それは違います。

トレードは、勝ったり負けたりを日頃しているのだけれど、どこかで滑落する、というのが真実の姿なんです。

ちょこちょこ勝ったり負けたりで破綻する人などいません。
相場で破綻するのは、ちょっと勝ったことで調子に乗るからなんです。
つまり、儲かったことが原因で、滑落するのです。

みんな、自分だけは違うと思っていますが、ちょっと親戚をたどれば、相場で大損した、という人の一人や二人いると思います。
それほど、相場でやられている人は多いってことです。

相場をやっている = 大損

というのが世間のイメージですし、それは、事実としてほぼ当たっています。

じゃあ、そういう人は、ちょこちょこ負けて、家屋敷を飛ばしたのか、というと、全く違います。
日々のちょこちょこした売買の延長線上にそういう破滅が待っているのか、と言えば、そんな人は一人もいません。

滑落したのです。滑落して、家屋敷を飛ばしたのです。


1万円とか、2万円とか、勝った負けた、と言っていた人が、いきなり100万円単位の損失を出す。

そして資金の大半を溶かす。

これが滑落です。

本当に多いです。

相場とは、正に切り立った尾根を登っているというイメージが正にぴったりです。

慎重に慎重に登っていくのだけれど、どこかで、ふとしたきっかけで滑落してしまい、資金の大部分を消滅させてしまう。

これがトレードの一番恐ろしいところなんです。



これは、何も1トレードで、っていう話でもありませんし、突然何かが起こって暴落に巻き込まれた、ということもありますが、多くはそういう話ではありません。

リーマン・ショック時に、滑落者が続出しましたが、リーマン・ショックとて、1日で下げたわけではなく、2週間もかけて下げたのです。
そもそも2週間もあれば、投げようと思えば、いつでも投げれたのに、それをしなかったから、つまり、自分の意思で持ちこたえたからこそ滑落したわけであって、いきなりのショックでどうしようもなかった、ということでは決してありません。
いつでも対処できたのに、しなかったのです。
自分の意思で持ちこたえようとしたから滑落したのです。
なおのこと、下げに向かってオーバーシュートの買いを断行した勇者の人たちが、枕を並べて討ち死にしましたが、敢えて向かってきたからこそ、滑落したわけです。



多くの滑落は、何ヶ月もかけて起こります。

単なる瞬間的な出来事ではありません。

自分では、普通にやっているつもりが、何ヶ月もかけて、資金の大半を溶かしてしまった、ということが現実には頻発している、ということを知っておくべきでしょう。

恐ろしいのは、「自分では普通にやっている」と思っていること。

つまり、滑落中だということに、無自覚だ、ってことです。

ここ、非常に重要です。無自覚にやってしまうから恐ろしいのです。

相場に魔物が住んでいる、というのは、こういうことを言うのだろうと思いますね。


そして、気がついたら、資金の大半が消えている、という現実の結果が待っているのです。でも、もうその時には遅い、ということです。

デイトレは、基本ポジションを持ち越ししません。
だから安全なわけですが、持ち越ししないでも、滑落は起こります。
ましてや、デイトレーダーが負けのポジションを持ち越すようになったら、滑落確定のようなものです。

この点で、組織に所属しているディラーやプロップのトレーダーの有利なところは、きちんとリスク管理してもらえる環境でトレードできる、ということでしょう。これが大きいです。
管理下でトレードするため、破綻まで行く前に止めてもらえる仕組みが構築されています。

でも、個人は違います。
個人は、これを自分でやらねばなりませんが、そもそもそういう自覚も無いし、管理もできていないから、どこかで落とし穴にハマって、気がついたら、自分が滑落していた、ってことがわかるわけです。

正に、映画シックス・センスのラストのブルース・ウィルス状態です(笑)



とにかく、相場で何を一番避けないといけないのか、というと、この滑落こそ、一番避けるべきことです。

ほんとに大勢がこれで消えていっているのです。

相場を知ったことで、地獄を味わうことになるのです。

相場さえ知らなければ、よかったのに、相場に関わったために、悲惨なことになる、こういう人を大勢見てきています。
多くは、社会的に成功した人。
しかし、皮肉にも自分は特別だ、という思いがあるからこそ、失敗するのです。

日常の勝ったり負けたりなど、これに比べればどうでもいい話。

何年にも渡って安定した利益を出している人でさえ、ちょっとしたキッカケで、滑落し、絶命するのがこの世界です。

こういうことを意識していない、経験していないノービスなら、イチコロでしょう。

みんな目先の技術にばかり目をやっていますが、この滑落の危険ほど重要なことはありません。

滑落さえしなければ、どこかで登れるチャンスはあるんです。

命綱というのは、普段は重いだけです。しかし、滑落した時には、ザイル1本で生き残れるのです。

損切りとて同じ。

普段は、損切りなどしなければよかった、戻ったのに、ということばかりかもしれません。
しかし、ここぞという滑落時に、無傷で登山を続けるには、ザイルは必要なんです。

これを意識せずに、投資などするべきではない、と私は思いますよ。

特に危ないのは、最初から儲かった人、もしくは、投資歴2~3年目の儲かりはじめてしばらくたった人、です。



長年、この世界でやってきている投資家なら、この滑落の危険性については、嫌というほど意識しているはずです。

私が何故、今こうやって生き残っているのか。

投資を始めたころから考えると、大勢の投資家仲間がいました。

しかし、みんなどこかで滑落して、投資家生命を絶たれました。

本当に、死を選択した人もいました。

次々に、滑落して、消えていきました。

多いんです。というより、投資家の末路は、すべからく、最後は滑落死にあり、と思えるほどに、多いです。

伊達や酔狂で書いていません。長年の私の経験上からわかっているから書いています。

だから、言うんです。

一時的に勝つ人は大勢いますし、それこそ億単位で稼いだ人も大勢いました。

でも、最後は、滑落死して、ほとんどが消えてしまいました。

私は、何度か滑落しましたが、ギリギリのところで一命をとりとめ、また、命綱で助かり、そこから這い上がってこれただけなんです。

こうして、滑落の怖さを知って、常に滑落しないことを意識しながら相場に取り組んでいるからこそ、何とかここまでは生き残れているのです。

ただし、明日にはもう、消えているかもしれませんが(汗)



この「最後は滑落死で終わる」という大勢の仲間を看取ってきた経験から言えることは、

相場などやるもんじゃない


ってことでしょうかね。



投資において、一番意識しておかねばいけないことは、何よりも、

如何に滑落しないか

ということなんです。

こんなこと、誰も言いませんし、どこにも書いていませんが、他の何よりも重要なことです。

これに比べれば、他のことは、取るに足りないことばかりです。

取れなくてもいいです。儲からなくてもいいです。滑落さえしなければ。

生きてさえいれば、何とかなります。
ジリ貧でも結構です。
でも投資家生命を絶たれるような負けを喫すれば、もうそこで終わってしまいます。



相場で儲かったと言っている投資家に対する世間のイメージとして「ちょっと儲かったからって有頂天になっているけど、すぐに損するさ!」というものがあります。

妬みや僻みということがありますが、このイメージは、概ね

正しい!!

です(笑)

ほぼ的中します。

何故なら、ほとんどの人は、その後に、滑落するからです。

滑落を逃れて生き残れる投資家は少ないです。

そして、儲かりだした頃が一番危ない、です。

最初から負けて負けてという人は、滑落もしません。

何故なら、無茶しないからです。というか、できないからです。

下手に勝つから、危ないんです。

このこと、すっと入った人は、それなりの経験者でしょう。



確かに、登山技術というのは必要です。

しかし、その技術さえ知れば、登山は可能なのだ、と思っている投資家が実に多いです。

本で登山技術を読んで、登山家のセミナーで教えてもらって、それで、一人前のアルピニストになれるのか、ということですが、大勢がそれでなれる、と思っています。

そもそも登山技術を知ることと、技術をマスターしていることは、まるで違います。

さらには、

滑落しないためには、技術だけでいいのか。

経験は必要ないのか。

精神力は問われないのか。





普通の人が、いきなりマッキンリーに行けるのか、ってことを考えてみてください。

そもそも、初心者と上級者、プロのアルピニストとの差は何なのか。

読んだ本の量か。登山技術の知識の差か。

プロのアルピニストのアルピニストたる所以とは何か。




登山で飯を食うこと、つまりプロの登山家になるということ。

初心者が、本を一冊読んで、いきなりプロの登山家になれるのか(笑)


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私は不思議に思います。

何故、最初からマッターホルンに登れると思っているのか(笑)


初心者と上級者との違いが、登山技術の知識にある、と思っている人は多いですが、長年この世界で生き残っている人は、間違いなく、滑落に対する対応力を持っている人です。

みんな消えていっていますよ。

消えた人は、運とか、相場の責任にするんですが、それは違います。

相場が悪かったからとか、運が悪かったとか、小手先の技術が無いからではなく、滑落への理解と備えが無いから、消えていってしまうのです。

たまたま今回生き残れたとしても、滑落への備えが無ければ、次回に消えるだけです。違いは、早いか遅いか、だけです。




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投資における最も重要な概念 その2

2015/08/01 Sat

一昨日は、京都で鱧料理を堪能。
夏とともに鱧ですね。

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ところが・・・
締めは、鱧しゃぶでしたが、満腹のため食べきれず。
量が多かったこともありますが、ビールの飲み過ぎが原因。
今日は、鱧がたくさん出てくるから、飲む量に注意して、食前酒ぐらいにしておかないと。。。
ビールは、お腹が膨れるから注意しないと。。。
わかっていて、注意していたのに、やってしまって、この始末です。
事前に、飲むのは抑えておこうと思っていて・・・

わかっちゃいるけどやめられない

このわかっていたのに、やってしまう、というのが人だからなんだと、自分でやってみて思います。

こういう時って、ともすれば人にせいにしたくなります。
目の前で、ガブガブ飲むから、自分もつい飲んでしまった。
悪いのは自分じゃない。目の前で飲むから悪いのだ(笑)

いやいや、悪いのは、全て自分ですよ。
事前に考えていたことを守れなかった自分が全て悪いのです。当たり前です。



恐らく、滑落、というのも、ある程度はわかっているのだと思います。
でも、つい気がついたら、やってしまっている。
苦っ、くるしい、もう食べられない。。
そういうことだろう、と鱧を残しながら、やってしまった自分に反省しつつ、思っていました(笑)



損したのは、相場が下げたせいでも、安倍さんのせいでも、ギリシャや中国のせいでもなく、強気を書いていたアナリストやブログのせいでもありません。
全部、自分が悪いのです。

大損したのは、自分が放置プレイしたからに過ぎません。誰のせいでもありません。全て自分の責任です。

予想が外れたから大損したわけじゃない。放置プレイしたから大損しただけなです。

みんな放置プレイが大好きですねえ。

投資家は、すべからく放置プレイ好きである理論

私は、かまってもらいたいタイプですが、何か(笑)

投資家は、損を放置プレイして、じっくりと育てていく一方で、利益を新芽のうちに摘み取ることが大好きなんです。

損をじっくり育てて、利益の芽を早々に摘み取る、恐るべし、コツコツドカン砲攻撃理論。






さて、滑落について、多くのコメント、また、拍手いただきました。ありがとうございます。
反響をもらった方は、滑落経験がおありなんだと思います。

画像をいくつか出しましたが、動画の紹介をいただきました。

Matterhorn climbing video - Walking on the razor's edge


長いバージョンではこういうのもありました。

Matterhorn - August 2013 - Traverse From Lion to Hornli Ridge - 4478m


ド迫力ですねえ。

マッターホルン登山、恐るべし。


投資家は、すべからくこういうところを歩んでいるわけですが、どこかで滑落する可能性を常に持ちながらトレードしている、ってことです。


相場を教えたりすることもありますが、いつも懸念するのは、この滑落。
下手に相場を教えたことで、その人を不幸にするのではないか、といつも思います。

しつこいようですが、本当に次々に滑落して、大勢の友人、知人が消えていきました。



もうここまで来たら、持つしかない。どうにでもしてくれ。

これだけ損したら、もう切れない。粘るしかない。


これだけは別。

何が、「別」なんじゃ(笑)

でも、みんな、これだけは別を持っている(笑)




投資というのは、サバイバルレース。

尾根にしがみつけているだけで、勝ち組なんです。

儲かっていない、勝てていない、なかなか勝てない、というのであれば、それだけで、百人に一人の成功者。

回りは、勝手に落ちていくのですから、単にしがみついているだけでも、勝ったも同然です。

「これだけは別」と言わないだけで、偉い。凄いトレーダー。



実は、目の前のトレードというのは、

損するとか、しないとか目先のことではなく、規律が守れるかどうか、それを相場から問われているのです。

その人が、これから先も同じことを繰り返すかどうかを、相場が見定めているのです。

今の目の前のトレードというのは、この先やる1000回のトレードのたった一回目なんです。
その目の前のトレードで、規律を守れないということは、これからやる1000回も守れないということと同じです。
つまり、一生涯、規律を守らずトレードする、という宣言と同じです。

ここが

Discipline Trader

であるのかどうか、ってことの分水嶺なんです。

今、目の前のことで規律が守れない人は、この先も絶対に守れません。

これからも同じことをやるに決まってます。

そして、

今、目の前のトレードで仮に我慢して上手く行ったとしても・・・いや、この先運よく100回切り抜けられたとしても、その先のたった一回で、滑落することが、今回守らなかったことで約束されるのですから、今回、勝っても負けても、もう同じことです。

目先のトレードの勝ち負けにこだわって、もっと大事なことが見えていないのです。


規律を守らない、ということは、ロシアンルーレットをやり続ける、という宣言と同じです。
今、弾に当たらなかったとしても、この先やり続ければ必ず弾に当たります。

どうせ、今、できない人は、早いか遅いかだけの違いで、滑落して相場から消えていく人、ってことなんです。

今、規律を守れない人は、今、死ななくても、いずれ死にます。というか、早晩、必ず死にます。


忠臣蔵の最後に、次々に切腹に向かうシーンで「お先に失礼」というセリフが印象的でしたが、正に「お先に失礼」というだけで、遅かれ早かれ、今回の我慢というのは、奈落行きへの切符を手にしたようなものです。

今、生き残れたのは、たまたま相場が戻ってくれただけで、単なるラッキーなんです。
この単なるラッキーを永遠に期待するようなトレードのやり方が続くはずがありません。

しかし、多くの投資家は、このロシアンルーレットを回し続けるわけです。

そして、当然の帰結として、いつか弾が当って、奈落に落ちる。滑落する、という終末を迎えます。

これは、当然の帰結、必然です。



窃盗など、犯罪で捕まる、というのは、それが最初の犯行ということはほとんどありません。
何度も何度も繰り返して、そして、結果として逮捕されるわけです。


滑落、というのは、たまたまそのトレードが失敗したとかそういうことではありません。

そのずっとまえから、規律を守らずにトレードしていたから、当然の帰結として滑落しただけなのです。

こんなもの、運が悪かったとかではありません。当然の帰結なんです。

それまで滑落しなかったのは、たまたま運がよかっただけの話です。



結局のところ、

相場で、一時的に勝ったとしても、それは、あくまでも一時的なもの。

ほとんどの投資家は規律を守れないのだから、結局、投資家の行き着く先は、奈落の底。

最終的には、滑落して投資家生命を絶たれる、というのがほとんどの投資家の行きつく先です。

「ちょっと儲かっても、すぐに大損するさ」という世間の評価は間違いなく正しいのです。




本などで、こういうことを説いてくれているものはほとんど見かけませんが、いくつかありますので、それを引用しておきます。


限界点を超えるとどうなるか。もうまともな思考力は失われている。今後の身の振り方、上司の顔、家族の顔、つまらないことばかりが頭の中をかけめぐる。涙をこらえる気持ちである。一種の堕落感である。もう彼はディーラーではない。ただの阿呆である。
(矢口新)





以下は、いずれも「中村佐熊著-投資人生」よりの引用です。


幸運の経験が次の悪手を作る

損切りをせずにがんばりとおして、回復した例もまれにはある。しかしその経験は、その後の戦いに必ず悪い影響を及ぼす。

昭和30年4月底当時、来客筋で小豆を売っていた方があった。ところがあの5 月2日、新甫底打ち、反転大爆発となった。
今までが漸落相場だっただけに、油断して、あの急騰を踏むに踏まれぬありさまとなり、取引店から強い追証の請求が来て、資産はあってもすぐ間に合う代用がなかった。
そこで是非なく、知人より証券を借りてがんばったのである。幸い大阪相場は反転暴落となり、損を取り戻して、手仕舞えた。

彼氏は当時鼻高々で、やはり辛抱が大事だといわれたので私はこう注意した。
「今回は運良くそれが良い結果を生んだが、今後に必ず悪い結果をおよぼしますよ」と。

その後6月初めの保合いに強気方針で買玉を建て、暴落に引っ掛かり、辛抱し、 前の儲けをそっくり失ったうえ、大損害を被ったのである。

これは誤った相場感と経験を資金の盾でかばい、深手を負った一番気の毒な見本である。



相場界の姿とその実際

頂上には成功して黄金の宝を持った巨人の姿も見える。これは新聞や世間話で知らされる。

登山口には投資家という資産家や実業人、サラリーマン、それに学者、定年退職者などいわゆる大衆投資家が、資金という人間社会での優位な武器を持って、なお一段高を望み、先を争ってヒシメキ合っておる。

登山口には別のグループもいる。それは黄金の山へ登ろうとする投資家の道案内人である証券や商品の取引員であり、いまひとつは新聞や雑誌等の投資研究機関である。

そして下山口には黄金の玉をなお持ち続けて出てくる人もあるが、数は少ない。多くは全身キズだらけ、手足を引きちぎられ、息もたえだえで放り出された哀れな姿の人たちばかりなのである。



問題は、相場の本質を知る前に、不思議な魔力に魅せられて、大切な資金を失ってしまう、その敗退の様相は素人も玄人も同じである。
即ち、初心者は自己の資金を頼りにして失くなるまで戦い頑張るし、経験者は技術と自己の過信とその名誉心に負けて敗退する。



「不手合の人が切るか煎れるかしなければ相場は止まらない。」
これは、経験すればするほどいやというほど知らされる。
百戦しても、一敗すれば元も子もすっ飛ぶ基本がここにある。


自己の資金や経験研究をあてにしても、相場に追われる時は、自分が損切りして敗退するまで相場は、毒蛇のごとく鎌首を持ち上げて、どこまでも追ってくる。
銀行預金の陰に隠れると、それをパクリと食べてしまうし、あわてて逃げ、倉に隠れると、その倉もまたパクリと呑み込んでしまう。これは大変と裏山に逃げれば、何をこしゃくなとその大きな山さえも、腹の中へ入れてしまうのである。
工場も、金山も、家屋敷も、相場に追われた場合の盾には決してならないのである。


一歩の後退は、百歩の後退の始まりなり、と私はいつも言う。
すなわち、一歩後退したくなるのは誰しも同じ心理状態であるが、これをやったら百歩の後退となり、トコトンまで相場に追われる結果になる。
家も山も田畑も飛ぶのはこの時である。
私は言う「素天井承知で売玉を踏み、ドン底承知で投げよ」と。


万人に一人も成功せず、相場界に顔を出したものは皆、その財産を失くして姿を消す実際を、いやというほど見てきているからそう説くのである。




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投資における最も重要な概念 その3

2015/08/27 Thu

また、サボり病で、ブログ更新していませんでした。

Twitterでは、時々つぶやいていますが・・・まだの人は、こちらの記事を参考に、一度やってみてください。便利ですよ。



さて、今回は、まずは、こんな大変なときに、なにのんびりしたニュースの話題をと(笑)


■動画革命前夜


ついにこういう時代が来たのか、というニュースが入っています。

ネット動画配信業者大手のNetflixが9月から日本での営業を開始するとのことです。
スタンダードだと、月額950円。
Netflixは、ケーブルテレビ大手を食って成長しているようで、既に全米世帯の4分の1が加入している超大物配信業者で、会員数は、全世界で既に6500万人以上とか。

同じく、9月から、アマゾンがプライム会員向けに動画見放題サービスを開始するということです。
料金は、プライム会員の会費の月額325円。
私はプライム会員なので、従来のサービスに上乗せというのだから、とてもありがたいです。

これだけ安く配信できるのは、インターネットインフラにタダ乗りしているからです。
ケーブルテレビなら、ケーブルを施設せねばなりませんし、衛星放送なら衛星を借りないといけませんが、ネット配信なら、このインフラ代が無料になるわけです。

この安さも相まって、アメリカでは、動画配信は、既にカルチャーとして定着している感があります。

両社がどの程度の新しい映画をやるのかは見てみないとわかりませんが、ネット配信が定着するようだと、WOWOWやスカパーの経営に大きな影響を及ぼすのは必至でしょう。
私は、WOWOWとスカパー合わせて6000円を払っていますが、実はそんなに見てないんです。
だから、Netflixの様子によっては、両方解約ということもありますね。

また、レンタルビデオも存亡の危機に陥る可能性があります。

さらに、地上波のテレビ各局も、テレビ離れが言われて久しいですが、さらにこの傾向が加速する恐れがありますね。

数年後には、映画やドラマは、ネット配信で見るのが当たり前、の時代がすぐそこまで来ている、という予感です。

テレビもNetflix対応ボタンがリモコンに付いているものが発売されだしていますが、今後は、当然のボタンになってくるでしょう。
というより、通常の放送よりも、ネット配信を見るためのテレビ、という時代が来るかもしれません。

また、レコーダーで録画、というカルチャーも、見たい時にいつでも見れる、ということになると、映画とかドラマとかを録画する必要性が無くなるわけですから、そういう録画カルチャーそのものがひっくり返るということにもなります。

スマホが生活を変えた、というほどではないかもしれませんが、かなり大きな革命になる予感がしています。




■むらやんさんのセミナー

先週末、むらやんさんのセミナーに行ってきました。
損益のボラが高くてやんちゃな方という私の勝手な印象だったので、やんちゃなトレード話が聞けるのか、と思っていたら、すごくオーソドックスなものでした。
トレードをはじめてから、10年以上経つとのことですから、やはり長年月この投資の世界で生き残ってきた、ということは、そういうことなのか、と改めて感じました。

やんちゃ、どころか、実に紳士的で、基本に忠実、オーソドックス。
まあ、そうでないと、消えていることでしょう(笑)

何度も強調されていたのは、やはりこのフレーズ・・・

損切り

結局、この相場というサバイバルレースを生き残る、ということはそういうことなんだろうな、ということを思いました。

10年の期間、相場で生き残っているというだけで、レジェンドなのかもしれません。





■相場の見通し


今は、ボラが高い中で、明日どうなるのか、普段以上に一層懸命に考えている人が多いんじゃないでしょうか。

この

相場の見通し

というものですが、既に株を持っている場合、見通しても、見通さないでも、本当はあまり違いがありません。

どういうことか、というと、既に買いで持っている場合、見通そうが、見通ししまいが、上げてくれないとダメなわけですから、もうどうでもよいことなのです。

これは、

買ってしまった馬券の馬を応援している行為


と同じです。

もう、後は結果を見るだけなので、合理的に考えれば、馬券を買った後は、翌日の新聞を見れば済むことです。

テレビを見て、一生懸命に馬の走るところをいくら応援して絶叫しても、結果には何も変化をもたらしません。

競馬で考えるべきことは、全て馬券を買う前に終わっていることですから、馬券を買った後は何をやっても無駄です。

株を持っている状態で、上がった、下がったと一喜一憂する行為は、馬券を握りしめて馬を応援していることと同じですから、本来何らの生産性もありません。
それなのに、一生懸命相場を考えている、と思っていること事体が、ナンセンスです。

いや、どうなるかの見通しによって、売り買いするのだから、重要なはずだ!!

と思っているかもしれませんが、既に買っているという時点で、上げるという判断だったのだから、もう買った後で色々考えても無駄なんです。

何にしても上げてくれないといけないのだから、お祈りすることぐらいしかできません。

買ったのに下がった、しかし、上げるかどうかその時点で考えて、上げそうなら粘るのだ!!

そういう考えの元に考えている人も多いことでしょう。

今現在そういう人が多いと思います。

でも、当初考えていた「買ってすぐに上がる」という目論見は、既に脆くも崩れ去ったのです。
つまり、間違った、ってこと。

結果はもう出ているのです。


間違った後で、さらに見通しを考えても、それはもう仕方がないことです。
結果が出たなら、やるべきことをやる、ただそれだけのことです。


もう終わったことなのです。





■上手い下手の差がつくとき


相場巧者と呼ばれる人と、初心者。
相場環境がいい時には、差を見つけるのが難しいです。
下手な人が、「こんなに儲かったよ」と自慢するのがこの時期。
いや、むしろ、知らぬが仏、無邪気に買い進めるだけに、経験の浅い人の方がベテランよりも儲かる、ということかもしれません。

しかし、一旦逆境に入った瞬間、相場巧者と初心者とは、圧倒的な差が現れます。

初心者はとにかく脆い。脆すぎるほと脆くも崩れてしまう。

一方で、相場巧者は、しっかりと耐える。環境がよかった時の利益を温存できる。


つまり、環境がいい時には、同じように稼いでいるので差は見えにくいのだけれど、脆い初心者は、あっという間に利益を吐き出して、損失に回す一方で、相場巧者は、吐き出さないか、吐き出しが極めて少ないのが特徴です。

トレードの利益を残す、ということは、吐き出さない、ということです。

相場で利益を残すということは、如何に儲けるか、ではなく、如何に吐き出さないか、にかかっているのです。

下手な人は、儲けても吐き出すんです。

つまり、上手下手の違いは、「吐き出すか吐き出さないか」にあります。

それがわかっているのが相場巧者、ってことです。


せっかくの利益を毎回の下げ相場でゲロっと全部吐き出すのなら、それは、鵜飼の鵜と同じですよ。

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鵜飼の鵜、どこかで卒業しないと(笑)



名言です。

米国のウォール街をリードする10大投資顧問会社。
その投資のプロたちは、いかにして激動の株式相場を勝ち抜いてきたのか。
各投資顧問会社のマネーマネージャー は一貫して言う。

「株式投資において重要なことは、株価上昇時ではなく、下落時に どう対処するかである。」



そもそも間違った取引をして損をしたら、その時点で間違いを正すべきなんだ。 ビクターはそれをしなかった。だから損が膨らんだんだ。(投資家)






■ボラが高い時の判断

デイトレだと寄り付きからが常に勝負。
今のようにボラが高いと、リターンも見込める反面、リスクも拡大します。

今、どうすべきか、迷う人も多いことでしょう。

勝負すべきか、それとも自重すべきか。

火中の栗を拾うべきか、それとも・・・


私は、自分に見える局面があれば、と思っていますが、今回は、なかなか難しいと感じています。

見通しが悪い時にはどうするのか。

逃げておく(笑)

だから凄く暇です(笑)

遅れてきたお盆休み、っていう日々です。

ここだ、という局面が来ればやってもいいので、ボラが高いからチャンスもあるだろう、と見ていますが、今回はどうもここだというものが自分には見えません。
まだ未熟者なんでしょう。

逆に、全銘柄が同じような動きをするので、個別株独自の動きを見つけるのが凄く難しいです。

要は、先物次第、インデックス次第、上海次第、NY次第、という相場展開です。

それだったら、先物やETFでもいいんじゃね?


ということになりますね。

今の相場では、個々の銘柄のエッジを見つけるのが凄く難しい。

マクロ環境で、明日どうなるか、などわかるはずもありません。
NY2000ドル安が無いとどうして言えるのでしょう。
リーマン・ショック時には、2週間下げが続きましたが、それが無いと何故言えるのでしょう。

ということで、普段の動きで、利益を出すことができれば、今回、敢えて火中の栗を拾うこともないか、と思い、ちょっと高みの見物という感じです。





■再び、投資における最も重要な概念

ただし、何があってもこれだけは譲れないということ。

それは、

何があっても、死なないように!!

です。

勝負すればリターンも大きいかもしれません。
しかし、その裏には死亡リスクが控えています。

何があっても、壊滅的打撃を受けないように投資すること

これだけは譲ってはいけないでしょう。

そんな小心者だったら大成できない、となるかもしれませんが、ほとんどが途中下車する相場の世界なのですから、最後まで乗れているだけでも、レジェンドなんです。

そのリターンの裏にはどれだけのリスクを取っているのか。

理解しておかねばなりません。

というのは、投資という行為は、

今回が、これからやる1000回の売買のただの第一回目に過ぎない

からです。


今回、仮に大きなリスクを取って、幸運にも勝てたとしても、それは、次回に繰り越しただけに過ぎません。

何度もそれを繰り返した時、いずれ地獄に落ちる、ようなトレードは絶対にやってはいけないのです。

今回、我慢して、「やっぱり粘ってよかった」と思っている人も多いかもしれませんが、それは、次回の「地獄への切符」を手にしたに過ぎません。

こういう場面で、粘るというこことは、次回も同じことをするということ。

ここで粘って、永遠に助かる、ということはありませんから、いつか地獄に落ちる切符を今回粘ったことで手に入れただけなのです。

投資家は、いずれ大損をして終わる、とは、こういうことを言うのでしょう。



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勝ち易きに勝つ

2015/09/21 Mon

ツイッターやブログを見ていると、今回の相場で、投資資金の多くを失った人とか、負債を抱えた人とか、結構おられるようです。

そうでなくても、かなりの手負いの傷を負った方も多く見かけます。

こういう動きになると、毎回のように見られる光景なわけですが、今の相場は、誰が見ても、難しいわけですよ。

私のように長く相場に関わっていると、毎度毎度繰り返される光景だから、慣れっこになっているとは言え、本当に、

投資家とは反省を忘れた人たちである


と思います。

昔から、相場仲間が大勢いましたが、ほとんどが儚いご縁でした。
というのは、みんな消えていくからです。

トム・クルーズ主演「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」という映画を見たことがありますか。
あの映画で、ヴァンパイアは、不死なので、大勢の人間が現れては消えて、現れては消えてを繰り返しているわけですが、私もずっと同じで、時代時代で、目の前に仲間が出来て、消えて、また、出来て消えて、を延々と繰り返しています。
この人はすごい人だ、と思っても、結局は消える。この人だけは違うと思っても消える(笑)
つくづく相場ってサバイバルだと思わざるを得ません。
ブログとて同じで、勢いがある相場ブログのほとんどは数年経てば消えていく(笑)
ほとんどが一過性のあだ花で終わります。

だからこそ、

トレーダーの目的は、まずは生き残ること。何としても生き残ること。何が何でも、石にかじりついてでも生き残ること。

まずはこれだと思います。滑落の記事もそういう思いで書きました。

世間的にも、

相場をやっている = そのうち大損する

というのが評価ですし、実際にそうなっているから、それは事実なんです。

投資家のほとんどは、欲ボケで目がくらんでいるから、こういう現実がまるで見えていないんです。




今は、100人中100人が難しいとわかる相場だと思います。

みんなわかっているんです。

なのに、何故、難しいところにわざわざ手を出して、そして、致命的な負けを喫するまで、完膚なきまでに叩き潰されにわざわざ出向くのか。

先日、1000円以上の急騰を見せた日がありましたが、急落したらそういう場面も当然出てくるでしょう。
そして、あそこで買っておけばと思う。
そういう人が自慢たらしくブログを書いていたら、自分だってと思う。

だから、突っ込んだところを買いたくなる。
値ごろに誘われて、ついつい買ってしまう、ということをやるのだと思います。

しかし、誰が見ても難しい局面では、

やらない

という最強の武器を使えばいいだけの話なんです。

難しい時には、やらなければいいだけ、ですよ。

こんなに簡単なことが何故できないのか。

自分だけは特別、他の人は損していても、自分だけは、最安値で買える、そういう奢りが悲劇を生む要因だと思います。

人が負けている時は、危ないから近づかない。

同じお金を使うのなら、美味しいものでも食べて、旅行にでも行って、遊んでお金を使った方がどれほどマシかわかりませんよ。


こういう下げになると、既に持っている人は、そのまま付き合って、塩漬けになるわけですが、そればかりではなく、持っていなくて幸運だった人も、値ごろという誘蛾灯に誘われて、わざわざ

飛んで火に入る夏の虫

をやるわけです。

みんな、次々に飛び込んでいって、そのまま死亡する・・・

前にも書いたように、そもそも、値ごろ持つんだったら、月足ぐらいで持ってください。

そうすれば、今が、高値から下げかけた局面だってわかると思います。



こういう局面では、どれほど繰り返されたことかわかりません。

リーマン・ショック時も同じですよ。

やめときゃいいのに、自ら志願して特攻するからやられる。


やらなければいいだけなのに、何でわざわざ自ら志願して、夏の虫を選択するのか。

特攻をかけるのか。

こんな難しいところでやって、ヒーローになる必要なんて、どこにもないんです。





これが相場ってものの魔力なんでしょうが、

結局、

多くの人が、トータルでは相場で勝てないメカニズム

とは、こういうことだと思うんです。

小手先の手法だとか、やり方ではない、こういう出処進退の妙というところにこそ、相場のコツは宿っている、と思うんです。

簡単なところだけ、こそっとやっておけば、そんなに負けるってことはありませんよ。

でも、

ほとんどの人が、結局は相場で負ける。しかも、多くの人は、全財産を失うまでの致命傷を受ける。


これが相場に関わった人の現実の姿です。

そこには、相場の手法とか、読みとか、予想とか、目利きとか、そんなの何の関係もありませんよ。

出処進退のポイントを間違っているんです。

やらないといけない時にやらずに、やってはいけないところでやるから負けるだけなんです。

目先の動きや小手先の手法ばかりにこだわっているから、こういう要諦が見えなくなっているんです。

特に、ダメなのは、日足ベースの値ごろでしょう。

これがどれほど投資家を死に追いやっているかわからないぐらです。

林先生もこの点は何度も言っておられました。



みんなが勝てる時に、ちょこっとだけやって、遠慮がちにちょっとだけ勝てばいいんです。

子供にでも勝てる時に勝てばいいんです。

相場にはそういう局面が必ずありますよ。

そして、みんなが苦しんでいる時には、さっさと逃げておく。

とにかく逃げる。

そして、また、みんなが勝てる時に、ちょっとだけ勝つ。

これを繰り返していれば、そんなに負けることは無いはずなんです。




相場とは、勝負事、であり、現代の戦争です。

そこには、厳然とした

勝負の要諦

というものがあるんですよ。

これは、相場とて完全に含まれるものです。

勝負事のセオリーというもので、これを守るか守らないかで、所詮負け組になるか、勝ち組になるか、小手先の手法などとは別次元の勝負のセオリーというものが存在するんです。

手法とか、やり方とか、そういう小手先の前に、勝負事のセオリーがあるんです。

そういうことを書いているものが孫子なんです。
しょうもない相場本読むぐらいだったら、孫子を読んだほうがどれだけマシかわかりません。



本当の戦上手とはどういうものか、それに、孫子は、次のように答えています。


勝を見ること衆人の知る所に過ぎざるは、善の善なる者に非ざるなり。

戦い勝ちて天下善なりと曰うは、善の善なる者に非ざるなり。

故に秋毫を挙ぐるも多力となさず。日月を見るも明目となさず。雷霆を聞くも聡耳となさず。

古の所謂 善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。

故に善く戦う者の勝つや、智名なく、勇功なし。




誰にでもそれとわかるような勝ちかたは、最善の勝利ではない。

また、世間に もてはやされるような勝ち方も、最善の勝利とはいいがたい。

例えば、毛を一本 持ち上げたからといって、誰も力持ちとはいわない。

太陽や月が見えるからといっ て、誰も目がきくとはいわない。

雷鳴が聞こえたからといって、誰も耳がさとい とはいわない。

そういうことは、普通の人なら、無理なく自然にできるからである。

それと同じように、むかしの戦上手は、無理なく自然に勝った。

だから、勝っても、その知謀は人目につかず、その勇敢さは、人から賞賛されることがない。



言っているのは、要するに、難しいところではやらず、簡単なところだけをやる、という実に簡単なことでです。



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