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上手い下手の違い 1

2016/08/20 Sat

何事においても、上手い下手というものがあって、

絵の上手い下手

料理の上手い下手

歌の上手い下手

将棋の上手い下手

野球の上手い下手

外科医の上手い下手

大工の上手い下手


などなど、色んな上手い下手、というものがあります。



では、この上手い下手の違いがどうしてできるのでしょう。

野球に関して言えば、野球が上手いのは、練習の賜物。
当然、才能も知識も必要ですが、最も重要なファクターは練習ですね。
野球の知識が豊富だからといって、野球が上手いわけではありません。

スポーツは、全般そうです。
では、身体を使うスポーツだからそうなのか、というとそうではありません。

絵が上手い下手を考えてみると、まずは才能。
しかし、才能だけあっても、練習しないと上手くはなりません。
絵に関する知識も必要です。

ここで絶対に欠かせない要素は、練習なんですね。
絵に関する知識がものすごく豊富な人は、評論家です。
評論家は、絵が上手ではありません。

他の歌にせよ、外科医、大工にせよ、全ては

日々の訓練を続けて上手くなる

という道を辿ります。

ここに例外はほとんどありません。



では、振り返って、何故、相場だけは、知識だけで勝てると思ってしまうのか、ということです。

その理由としてハッキリしていのは、

相場は当てて取るものだ

という理解に行き着きます。

当てて取るのだから、当てる方法がわかればよい

という理屈です。

つまり、それは、

知識

です。

その結果、

どうやったら当てることができるのか、という知識を探すことに大半の時間を費やすこととなります。

他の世界では、こういう知識を豊富に身につけた人を評論家、好事家と言います。

野球評論家、美術評論家など、知識は豊富ですが、美術評論家は絵は上手くはありません。

この知識を求めるということの悪い点は、いくら時間を使っても、上手くはならないということなんですね。

何年も何年もやったところで、一向に上達することはありません。

美術評論家が、美術の知識をいくら蓄えても、絵が上手くならないのは明らかです。
絵の知識が豊富だから、画家になった、など、聞いたこともありませんよね。

それなら、絵の一枚でも書けば少しは上達するものを、知識を求めてばかりでは、上達することは一切無いのです。



長年相場をやっていて、相場経験は豊富なのに、とにかく下手という人は、残念ながら大勢おられます。

こういう人は、その豊富な経験の多くを当て方探しに集中してこられた方が大半だと思います。

上手くならないことに時間を費やしているから、一向に前に進まない。


じゃあ、何故そうなるのか、というと、とにかく目の前の一勝が欲しいからなんですね。

とにかく、目先目先を当てたい、勝ちたい、というそればかりが先行して、当てよう、当てようと必死なんですが、そういう時間の使い方は、積み上がることがありません。

一方で、実戦はまだ早い、お金を賭けるのが怖いからといって、「勝てる方法が見つかるまでは研究中心でやっていこう」という方も結構おられます。
こういう方も、結局、知識を求めて時間を使っておられるわけです。

相場って目の前にお金が絡むものですから、この辺りがすごく難しいわけです。



さらに質が悪いのが、

短期的な勝ち負けのほとんどは偶然


ということです。

この偶然を必然だと勘違いして、爆死する。

これを大勢の投資家が繰り返していることも事実としてあります。

ちょっと勝つと、上手くなった、相場で勝てるようになった、という勘違いしてしまって、悲劇のスタートラインとなるわけです。

相場を初めて数年以内の勝利など、ほとんど偶然なのに、自分は勝てるようになった、と思ってしまうわけなんですね。



こういう、

当て方さえ見つかればという思い

偶然


などが複雑に絡み合うものだから、それが相場の上達を阻む大きな要因になっているのだ、と思います。

こういう誤った考え方を持っていることに加えて、偶然でも大きく勝てたりするものですから、

最初は、地道にコツコツ練習を続けていく

など、なかなかできるものではないんですね。



一方で、カリスマブログを読むと、100万円勝った、300万円勝った、と大本営発表がこれでもかこれでもかと続くわけです。

じゃあ、自分も、このカリスマと同じことをすれば、すぐにでも同じように勝てるんじゃないか、そう思わせる魔力があります。

そういう人たちは、2000万人いる投資家の頂点であって、彼らが、レスリングの伊調馨選手や吉田沙保里選手以上の競争率を勝ち抜いている勇士だとは全然思っていないわけです。

彼らが、とてつもないトレードスキルとトレードマインドを持っていることなど、完全に無視して、「やり方さえ同じならば」とやってしまって、爆死する、そういうことを繰り返すわけです。



相場を始めるにあたって、まず誰でも考えることは、

どうやったらいいんだろう。

どういう方法をすればいいんだろう。

そうだ、勝っている人の方法を真似すればいいんだ。

しかも、すごく勝っている人の真似をすれば、同じようにすごく勝てるようになる。


ということでしょう。

しかし、そこ隠れている落とし穴は、

吉田沙保里選手だからこそできる技

ということなんですね。

イチロー選手だからこそできる打撃

フォームを真似たからといって、イチローになれるわけでは決してありません。

そこにあるスキルやマインドといったものの違いが見えてはいないわけです。

つまりは、やり方が全て、という相場への理解です。



もうひとつポイントとしてあることが、

勝っている人は、やり方はそれぞれ違っても、トレードマインドやトレードスキルには、一般の投資家とは全く違う共通の特徴がある


ということなんです。

つまり、一般の理解では、やり方にこそ答えがある、ということなのですが、やり方は千差万別なので、そこには答えがない、ってことなんです。

もし、やり方に答えがあるのなら、勝っている人は、一律に正解を実践していてもおかしくないわけです。

一方で、マインドやスキルは、やり方が全く違っても、強い共通点を持っています。

つまり、学ぶべきはこちらなんですね。

ところがこちらは、一朝一夕に学ぶとか覚える、知る、ということではないわけです。

そこがトレードを難しくさせているところだと思います。




では、そういったトレードスキルやトレードマインドは、どうやったら身に付けることができるのでしょう。

結局、訓練、練習、繰り返し、の中で、身につけていく腕とか、目利き、技、といったものに行き着く、ということなんですね。


それには、残念ながら時間がかかっていまいます。

もちろんカリスマの領域までは無理であっても、

時間をかけて練習すれば身に付くものをコツコツ積み上げていく


こういう意識が必要じゃないかと思うのです。



当て方さえわかれば

ということは、誰しも思うことです。

しかし、この「当て方さえ」を追い求めて、10年、20年、30年と、成果が出ないままで、

当て方探しの投資家ゾンビ

と化した亡霊のような大勢の投資家の姿を見るにつけ、つくづく私も思うところはあるんですね。

このゾンビさんたちの特徴ははっきりしていて、

ほんとうに知識は豊富なんですが、やらせたら下手


なんですね。

相場歴何十年なのに、未だに損切り一つ満足にできないし、飛びつき買いばかりで、利食いもちびちびで、ドカンを食らっては転落、を繰り返す、というゾンビ生活をされておられます。

損切りできずに爆死など、初心者レベルのことをベテラン投資家が繰り返しているのが現実なんです。

ベテランなのに、ヘタッピーなんです。

厳しい言い方ですが、相場巧者が損切りできずにオロオロしているなど、あり得ないことですからね。



時折、アベノミクスのような上げ相場に乗れてちょっとは利益を出せても、調子に乗ってすぐに吐き出す始末で、また、地下の棺桶生活を続ける、というゾンビ生活を繰り返しているわけです。

そして数年間、棺桶でおとなしくしていて、再び相場が動き出したら、

上げ相場のラストあたりで棺桶から出てきてちょっと儲かったらまた調子に乗って滑落し、棺桶に逆戻りする

棺桶には、新たに作った塩漬けを一緒に持って入る(笑)


そういう暮らしを何十年と続けている投資家ゾンビさんたちがものすごく大勢いるわけです。

余談ですが、ゾンビさんが、棺桶に戻る際の言い訳が妙に共通しているのですが、それは、

仕事が忙しくなったから!!


という、本業逃避拳炸裂(笑)



ここでは、エッジのある戦略など見つからないのだ、というつもりはありません。

実は、

仮にエッジのあるいい戦略が見つかったとしても、下手でスキルもマインドもダメなら、儲けることなどできない、ということなんですね。

これは、意外と盲点で、やり方にしか興味がないから、こういうことが見えてはいないのです。

とてつもないエッジのある戦略が見つかればいいですが、その可能性は限りなくゼロでしょう。

100%勝てる方法など存在しないのですから、下手ではやはりダメなのです。



前にも書いたとおり、エッジのある戦略というのは、金棒なんです。

いくらいい金棒であっても、鬼の体力がなければ、振り回すことができない、ということなんですね。

これは、ゴルフクラブにばかり金をかけて、練習を大してしないゴルファーと同じです。

問題は、練習不足でスキルが低いことなのに、ゴルフクラブが悪いからだと本気で思っているわけです。


錦織圭選手と同じラケットを使えばエアケイが打てるのか。タイガー・ウッズ選手と同じクラブを使えばタイガーになれるのか。

道具は所詮道具であって、それを使いこなせるだけの力がどうしても必要なんです。


やり方にこだわることは仕方がありませんが、それだけではダメだ、ということを理解すべきなんですね。



ここで、すごく朗報があるわけですが、

どうなったらいつま経っても相場で勝つことができないのか、年月を経てもダメなままなのかは、先輩ゾンビが全て教えてくれているのだ!!


という驚愕の事実です。

どういう考え方をすれば、ゾンビと化すのか、それが明確だということはすごいことだと思います。

やり方は、下手な人、上手い人、千差万別で共通点は見つけられない。

しかし、

下手な人には下手な人共通の考え方を持っており、上手い人には上手い人共通の考え方がある。

そして、この二つは相容れない。


これは凄いことなんです。

私は相場歴が長いですから、大勢の両方を投資家さんたちを見てきています。

帰納的に類推できる事例を豊富に持っているので、こうやってわかっているのです。

投資家の方とちょっと話をすれば、その人がどの程度のレベルか概ねわかる、というのも、こういう判別理由があるからなんですね。

上手い下手を、やり方などでは判別できません。

上手い下手を分けているのは、相場に対する考え方なんです。

どうしたら儲かるのか、ということばかり考えていると思いますが、

どうしたら負けるのか、負け続けている人はどういう考え方をしているのか、を理解する方がずっと簡単なんですね。




さて、投資家ゾンビさんに共通することは、テクニカルに執着されておられる方が多い、ということです。

なので、ちょっとしたファンダメンタルの知識すら持っておられず、相場の勘所やここぞというポイントがほとんど見えておられないんです。

チャートだけなので、メリハリが見えないわけです。

一方で、テクニカルの知識は異常なぐらい豊富で、あらゆるチャートを駆使できる勉強をされておられる。

いわゆる

罫線屋、罫線引き引き足をだし

という相場格言の通りで、

昔、兜町あたりの路地裏で「この罫線を買えば勝率95%」という罫線を、うらぶれたボロボロの服を着て売っていた人たち、と同じなんですね。



チャートで必勝法探し

これは、投資家誰でもが一度は陥る夢であり、落とし穴なんですが、ここから早く抜けだして、

上手くなる道

に入ることができれば、前に進めるものをと思います。

30年間勝ち方探しを続けていて成果がなくても、考え方さえ変えれば1年でみるみるうちに上達できるんです。

そこに必要なのは、考え方を変えることだけなのですね。



こう書いている私も、実は、元ゾンビでした!!

しかも、筋金入りのゾンビでした。

衝撃の事実がここに(笑)

なので、元OBゾンビとして、ゾンビさんたちの気持ちは痛いほどわかります。

明けても暮れても、勝てる方法がないのか、ずっとそれを追い求めて、探して探して探して・・・正に人間を求めてさまようゾンビと同じでした。

毎日毎日、明けても暮れても、勝てる方法・当て方探しの旅を延々と続けていました。

そうなると、探す方法やテクニカルの知識はどんどん増えるのですが、相変わらず相場は下手のままなんです。

私は結局10年間ゾンビの地下生活を続けたわけですが、その驚くほどの努力の成果は、毎年負けという結果でした(笑)

正直に告白しますと、

今の何倍も努力してました!!


相場に関する知識は尋常じゃないぐらいに吸収し、古今東西の必勝法の類は見えるもの全て手に入れようと努力しました。

ただ、

その知識と反比例するように結果はマイナス続きだったのですね。

知識が増えれば増えるほど、負けが増えていく・・・この驚愕の事実に、涙を拭ったことは一度二度ではありません。


今、昔の自分に言ってやりたいことは山程ありますが、たった一言では、

努力の方向が完全に間違ってるよ!!

私の10年間は、失われた10年間だとつくづく思います。

自分の20代という青春の時期の全てを相場研究に費やしたのですが、全てはムダだったのです。

この後、私は、ある人物と出会い、私の誤った考え方を強制削除されたわけですが、この話は前に書いているとおりです。

ここで言えることは、

勝っている人の方法ではなく、考え方を学ぶべきである

ということなんですね。

みんなこの逆をやりたがります。



さて、こういうことも、一度通って、失敗しないとわからないことだと思います。

ただし、一度、

相場で勝っている人とは、知識が豊富な人ではなく、上手い人だ、という意味を考えてみてもいいんじゃないでしょうか。

相場巧者、相場上手、という人が、しょぼ利食いしかできずに、損切りが下手、ということはあり得ないわけなんですね。

そういうことを考えてみてはどうか、と思うんです。



長年成果が出ないのであれば、やり方が間違っているという小手先のことではなく、目標が間違っているから上手く行かない、前に進まない、のじゃないか、と一度は疑ってみる必要があると思いますよ。


我々は、評論家や好事家を目指しているのではないのだから、物知りではなく、相場巧者、上手い人、を目指すべきなんです。




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上手い下手の違い 2

2016/08/21 Sun

いつも有意義なコメントをいただく虚無僧さんから、今回もコメント頂きました。

これに対して、私も大いに考えることがあり、記事で紹介したいと思います。



あらなみさん、こんばんは。
いつもながら、勉強になるお話しをありがとうございます。

お話の内容、ほんとうによくわかるし、全面的に同意なのですけど、
ここがねえ・・・・、どうしてもわからないというひとが
多いのではないでしょうか。

相場上手といえば、
それはどうしても「先行きの見通しが上手」なひとということになって、
つまりは「当て方の上手なひと」ってことになりやすい。


価格の行く末がわからないで、どうやって儲けるのだ、というのは
すごく当たり前の疑問ですから、
上手な人は、動きの先行きが見えるひと・・・ということが、
とても理解しやすいのだと思います。


それに、お話のように相場は偶然が支配することが多いわけで
そうなると、もう何がなんだか・・・ってことになりますね。

それでも、結局相場対応ってのは上手下手の世界であって、
技術職的であり、職人技的なのだ、ということしか
いいようがないと思います。


救いなのは、上手下手の世界なのだから
練習を繰り返せば上手になる可能性が高い、ということでしょう。
それが、単に才能のあるなしの問題となると
救いようがないですから。

もちろん才能も必要だとは思うけど、
わたしは、間違わない練習方法を繰り返せば
たいがいのひとは一定の水準になれると思っています。


それに至るまで、どうしても時間はかかりますし
これまた、だいたいのひとがゾンビ体験を持つのではないでしょうか。
わたしも昔の一時はゾンビしてましたよ、当たり前ですけど。

相場は体験の積によって上手になるとは思いますけど、
間違った方向での体験なら、何年、何十年やってもだめでしょうね。


わたしの知人でも、わたしと同じくらいの体験年数
それこそ30年とか40年をやっているひとで
相も変わらず「天底あてごっこ」をやって
いまだに儲からないと嘆いている人もいます。

「考え方の転換」だけなんですけどねえ。
お話の通りでしょう。
「考え方の転換」だけで、まったく違う世界になるわけで
1年程度でも、一定のことがわかったりすると思います。

このことは林先生の本にも、繰り返し書いてありますけれど
その本質的内容を、きちんと理解して読んでいるかどうかは、
まあ、ひとそれぞれでしょうね。
本の中でも、考え方の転換だけで、まったく新しい世界になると
書いてありますけれど。

ピアノの楽譜を何百冊もっていようと
ピアノは弾けません。
しかし、鍵盤を押してみれば、ちゃんと音は出るし
簡単な曲を弾くくらいは、たいした時間がかからないで
できるでしょう。

相場は上手下手の世界であって、
それは当て方の上手下手ではない、ということ。

とっても大事なんだけど、わかりにくいことも確かだと思います。

シンプル化とは整理の技術であり、本質化と同じだと思うけれど
余計な知識とか、迷いとかが上達を妨げるのかもしれません。

捨てるのは勇気がいります。
また、シンプル化ということを、「何もしないでいいのだ」と
サボり・不勉強の許容と誤解することもありますが、
そうではなく、「勉強し、いろいろ身に着けたうえで捨てる」というか
本質を抽出する、というようなことが大事ではないでしょうか。


結局、相場は売って買って、差額を得る行為。
わたしの場合なら、「サヤをいただく行為」であり、
考えようでは、とても単純で、それだけのことだと思うのですが・・・・。






虚無僧さん、おはようございます。

こちらこそ、いつも参考になるコメントありがとうございます。

この虚無僧さんのコメントこそが、私の記事の証明にもなっているわけなんですね。


私と虚無僧さんとは、具体的にやっていることは、真逆とも言えるほど違うわけです。

まず時間軸。短期のデイとスイング。

主に順張りと完全逆張り。

などなど、「具体的やり方」は、ほぼ真逆に近いわけですね。

やり方の議論したら、殴り合いの喧嘩になりそうなものなんです。

実際、虚無僧さんと同じ時間軸の方の中には、デイを毛嫌いされておられる方も大勢おられます。



しかし・・・

相場に取り組む姿勢や考え方は、私と虚無僧さんとでほぼ100%一致している

ポイントはここなんですね。

99%ではなく、100%。

つまり、相場が見えている人にとって、やり方は違っても、考え方は同じだ、ってことです。

これは凄いことだと思います。

しかも、そうじゃない人とは、全然違う。

じゃあ、目指すべきは何なのか

自ずとはっきりしていると思うのですね。

私は、虚無僧さんんが書いておられることで、違和感を感じることがほとんどといってありません。

今回もそうですが、いつも、上手な言葉使いをされておられて、私が書いた記事よりも説得力あるよなあ、と感心してるんです。

記事と同じ内容を書いていると感じている方もおられるかもしれませんが、虚無僧さんが書いておられることは、虚無僧さんなりの視点が入っていて、全部自分の言葉で書いておられることは、記事を書いている私が一番よくわかっています。

私に足りなかった表現とかが入っていて、とてもわかりやすいんです。





さて、ここから、虚無僧さんと私の二人が思うところの、みんなに納得してもらえないこと、にメスを入れてみる、という試みです。


>相場は上手下手の世界であって、
>それは当て方の上手下手ではない


今回の記事の一番のポイントで、前回私が書ききれなかった部分です。

また、なかなか納得してもらえないところでもある部分なんです。

しかし、

当て方なんて、いくら頑張っても上手くはなりません。

上手くならないことを頑張っても仕方ない。

ほんと時間の無駄でしかありません。

それよりも、練習して上手くなることに力を注げばいいんです。


ここが最も重要なポイントだと私は思うのです。



他のどんな仕事でも同じですが、

スキルアップできないことではなく、スキルアップできることに力を注ぐことが、物事の上達のコツ中のコツ

だと思いませんか。

上達しないことではなく、上達することに時間とパワーを使えばいいだけのこと


なんですね。



ただ、ここで問題になることが、

①目先の損益ばかりがどうしても気になる

②上達には時間がかって、目に見えにくい


ってことだと思います。

結局、当たった外れた、儲かった、損した、ばかりになってしまい、気がつけば、10年、20年が経っていた、というのが多くのベテラン投資家の姿なんです。

ここで、3年、5年と時間が経過すれば、どういう心がけで相場に取り組んでいたかの違いは、差がつく一方になるんですね。

目先の当たり外れ、つまり、拝金主義で相場をやっていた人と、スキルアップを目指していた人では、年数が経れば、取り返しがつかない差がそこでできているわけです。



長い私の相場経験から申し上げますが、

当て方なんていくら頑張っても上手くはなりません

間違いないです。

10年やったら、勝率50%が60%になった、ってことには絶対なりません。

つまり、当て方など、ベテランでも、アナリストでも、相場をちょっとかじっただけの人でも、ほとんど同じなわけです。

みんなそういう上達しないことに時間とパワーを注ぎ込んでいるわけです。

だから、いつまで経っても、上手くならないんです。





事実はそうだとしても、じゃあ、

何故、予想は当たらないのか、株価予想は上達しないのか

その理屈を探ってみたいと思います。


brexitの件でわかったと思いますが、アナリスト全員が外しています。
当てるという意味では、彼らの右に出ることは無理です。
アナリストというのは、当て方のプロ中のプロなんです。

もちろん腕利き投資家もほとんど外したと思います。

私とて、まさか離脱するなど思ってもいませんでした。


しかし、一方で、

上手な人は、外したとて少なくとも大して負けていないか逆に勝っている

対して、下手な人は、外して大損害を被る


わけです。

つまり、上手な人というのは、当たり外れの外にいるわけなんです。

というより、

そもそも、そういう予測・予想に頼らないトレードをやっている

からなんです。



ここで納得できない人には、次の疑問を考えてもらいたいです。

下手な人は、いつもいつも最終的には相場に負ける。

一方で、上手な人は、なんだかんだとやっても、最終的には利益を残す。


ここのところは、冷酷なほど最後はこうなるものです。

では、

この差は、相場の見通しや当て方の違いだけなのだろうか。

そもそも、

相場で負け続ける、ということは、上か下かの50%の確率の相場を外し続ける天才なのか!!

当てることが難しいのと同じで、外し続けることも難しいのではないか。

では、どうやったら毎年毎年自分のように確実に負けることができるのだろうか(笑)

そういう疑問はありませんか。

そして、相場の上手い下手は、果たして当たり外れの違いなのだろうか。





じゃあ、そもそも相場の行く末はわかるものなのか

この点を理解を進めるために、さらに掘り下げてみたいと思います。



まずは、次のポイントとなる相場の値動きの本質を考えてみてください。

相場の値動きとは、最終的には、ファンダメンタルに従うものである


これは間違なく事実です。

これをわかりやすいように具体的事例を書くと、

①会社が倒産したら、株価はゼロになる

②業績が大きく伸び続ける会社の株は必ず上昇する


この2点に対して、「いや、それは違う」と言う人はいますか。

会社が倒産したのに、大口が買うから上がることもある、という方、手をあげてください(笑)

アップルの業績がうなぎのぼりになっている時、大口が売るからアップルは下がる、ということが起こりますか。


初心に帰って、そもそも論。

株価というのは、最終的に企業の本源的価値を写す鏡である

これは絶対的真実です。

そして、

その企業の本質的価値をミクロ&マクロの日々の変化から探る作業が株価の変動である

ということになるわけです。

ここで何を言いたいのか、というと、

株価が予測できるということは、そういう企業の本源的価値を読めるということに等しい

ってことなんです。

どんなチャートであっても、倒産したら暴落します。

「いや、チャートは上昇トレンドなのだから、倒産しても、株価は下げない」

という方、おられますか(笑)

ここのところを超絶勘違いしている人が結構多いんです。

一方で、マクロ面においては、

brexitなどを当てること = 株価を予測すること

となります。

さらに、

日銀の強烈な緩和策を予想すること = 株価を予測すること

震災・テロを予想すること = 株価を予測すること



つまり、ここで言いたいこととは、

相場がミクロ&マクロのファンダメンタルを反映して動くものだという前提に立てば、それはすなわち、

こういった

ミクロ&マクロを次々に当てていくこと = 株価を予測すること

になる


という理屈にならざるを得ないわけです。


こういう理屈があるのに、

テクニカルの法則によって、株価が読める

と考えていること事態、どういう勘違いなんでしょう。





もし、相場の当たり外れが上手い下手という基準なら、毎日外しまくっている私は間違いなく下手ですし、何度退場しているか気が遠くなるぐらいです。

そもそもそういう実績があるので、私は、自分の予想ほど当てにならないものはない、といつも考えています(笑)

ここで、じゃあ、

>価格の行く末がわからないで、どうやって儲けるのだ

というそもそもの疑問になるのでしょう。

その裏には、こういう疑問もでますよね。

価格の行く末がわからないで、どうやってそんなに損できるのだ!!

逆ギレです(笑)

これ実は、裏表なんです。


実際、ほとんどの方が、ご自分で実際にやっておられること(失礼)なのだから、わかっていてもいいはずなのに、何故負けるのかと聞かれれば答えられない、よくわならない、とはなりませんか。

たまたま外れた、が連続しただけですか。


この裏返しに、上手な人に、「何故勝てるんですか」と聞いても、なかなか具体的な返事がない、ということと実は同じなんですよ。

当たり外れだけで考えれば、簡単なことですが、相場は上か下か、確率50%の勝負です。

半分は当たり、半分は外れる、丁か半か、裏か表か、確率は50%なんです。



腕とか、目利きとか、経験とか言われても、そんなのじゃわからない、もっと具体的に教えてほしい、ということは本当によくわかるんです。

そんな漠然としたことではなく、もっと具体的に示してくれ、もっと理屈を教えてくれ、という切実なニーズは痛いほどわかります。

でも、逆ギレですが、「じゃあ、あなたはどうして稼げないんですか。どうやればそうやって損ができるんですか。」という答えを具体的に述べることができますか。

勝つ方法を知らないからいつもトントンで終わるのだ、というのならわかります。

しかし、勝つ方法を知らないことは、負ける原因にはなりません。

この理屈はじっくりと考えてみる必要があると思いますよ。

もし、正確に負けの原因を把握できているのであれば、その人はもう上手の域の人だと私は思います。


負けている原因を、単に「相場を外したからだ」としているから、ダメなんです。

相場の勝ち負けの原因を、目先の当たり外れだけで、つまりは相場を当てものとして見ているから前に進まないんです。


結局、相場を当てものと考えて、当てる方法を探しているから、永遠にコレクターになってしまうのです。



繰り返しますが、相場の先行きが当てられたから儲かるのだ、という理屈の裏は、相場の先行きがわからないから、トントン、ということになるんです。

それが、どうしたら、ドカンを何度も食らって退場なんてことになってしまうのでしょう。

勝てる方法を知らないから勝てないのだ、という理屈の裏には、負ける方法を知っているから負けるのだ、ということもあるわけです。

その負ける方法を知っているのなら、何故、負ける方法を続けるのでしょう。



トレードシステムには、次のような理屈があります。

(コストとスリッページを除けば)負けるシステムは存在しない。何故なら、負けるシステムの裏は勝てるシステムだからである

という理屈です。

もし、負け続けるシステムがあるのなら、それは凄い発見なんです!!

システムのアイデアの殆どは、勝ちも負けもしない、コスト倒れになる、というのが基本です。

もし、自分がコスト以上に負けているのなら、そこに重大なヒントが実は隠れているんですよ。



この重大なヒントについて、ソロスは次のように述べています。


最も重要なことは、マーケットの見通しについて正しいか間違っているかということではなく、正しければいくら稼げ、間違っていればいくら損をするのか、ということなのである。

私の金銭面の成功は、私の将来の出来事を予想する能力とは際立って対照的だ。

George Soros



このソロスの言葉こそが、トレードの本質でもあるのです。

当てて稼ぐことはできないとしても・・・予想を外しまくらないでも、ボロ負けして、塩漬けの山を築くことは簡単じゃないですか!!


毎年負け続けること = ずっと相場を外し続けていること


にはならないのです。

確率50%の相場で、そんなに

確実に相場を外す

ことなど、困難を極めますよ!!


相場が当たり外れだけなら、投資家半分は勝って、半分は負けて、で終わるはずなんです。おかしいじゃないか。

上げ続けているNY株なら、全員が勝っていてもおかしくないのに、そうはなっていない。おかしいじゃないか。

これがソロスの言っていることなんです。





ここまで長々と、相場の上手下手は当たり外れで決まらない、というお話をしてきました。

今回は、特に、そもそも予測を当てることは可能なのか、上達できることか、ということについて書きました。

すごい難しいテーマでしたが、何か、考え方のヒントになるところはあったでしょうか。

それとも、まだ腑に落ちない、ということでしょうか。

難しいテーマなのでそうであっても、仕方がないと思います。

ということで、総括しておきましょう。



相場の予測は、ベテランであっても難しい。何故なら、価格はファンダを写す鏡であるからで、予測精度の違いが、上手下手の違いには決してならない


相場を当てようとする努力は、上達しない努力である

それならば、上達することに努力の方向を向けたほうがよい


ここに、目先の損益だけでない、相場の取り組みのヒントがあると、私は思いますよ。

この心がけ、考え方の違いは、最初の1年、2年ではほとんど同じですが、5年、10年で取り返しのつかない差になっている

そういうことなのです。



そして、

相場を当てものだと捉えてやっている限り、10年、20年と本来ベテランの領域に入っても、

永遠の初心者である目先のことしかしてこなかったキリギリス投資家

となってしまいます。

キャリアを何十年と積んでも、、腕も未熟で損切りすら満足にできない。
ファンダメンタルもよくわからない。
ちょっと勝っても簡単に吐き出し元の黙阿弥を何度も繰り返す。
ドカンを未だに繰り返し、塩漬け株の山を築くことを生業としている。


全部、目先であり、拝金であり、小手先なんです。

棺桶と地上を行ったり来たりしているゾンビ投資家でもあり、目先の利益しか考えてこなかった拝金主義のキリギリス投資家の末路でもあります。


年月を経て、こうなってしまった投資家が如何に多いことか・・・これは紛れも無い事実なんです。
というより、世間一般的に言われる「相場なんかやっても、一時的に儲かってもすぐにドボンするに決まっている」というヤッカミ半分はほぼ正解なんですね。
私のように長年相場に関わっていると、回りにいた大勢の投資家はみんな自然消滅しています。
ブログを始めた10年前から見ても、気がつけばほぼ誰もいない(笑)
生き残った者は、ほとんどいません。
当時のカリスマは、アイドルと同じで、短命に消えてしまいました。
そして、また今のアイドルたちが出現して、もてはやされて、そして消える。
それが普通、基本形、ノーマル、正常な投資家の末路、なんですね。
これが事実なんです。
じゃあ、何故そんなことがいつもいつも起きるのか。
それは予測だけ、当て方の問題だけなのか。

我々が目指すべきは、こういうキリギリス投資家ではなく、派手さはなくてもアリ投資家なんじゃないでしょうか。




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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

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