ブラック・スワン
2012/12/01 Sat

このチャートは何のチャートでしょう。
引用した本の解説を転記します。
感謝祭前の七面鳥。1000日にわたる過程の積み重ねも、次の1日についてまったく何も教えてはくれない。こういう過去を延長しただけの安易な予測は、どこにでも現れる。
七面鳥がいて、毎日エサをもらっている。エサをもらうたび、七面鳥は、人類の中でも親切な人たちがエサをくれるのだ、それが一般的に成り立つ日々の法則なのだと信じ込んでいく。政治家の連中がよく使う言葉を借りるなら「一番の利益を考えて」くれている、というわけだ。感謝祭の前の水曜日の午後、思いもしなかったことが七面鳥に降りかかる。七面鳥の信念は覆されるだろう。
七面鳥は、昨日の出来事から、明日何が待っているか推し量れるだろうか。たぶんいろいろわかることはあるだろう。でも、七面鳥が思っているよりも、わかることはちょっと少ない。そして、その「ちょっと」で話はまったく変わってくるかもしれないのだ。
私の経験してきたことをすべて振り返っても、私は一度もとりたてて言うほどの事故には遭わなかった。海で過ごした歳月で、遭難した船を見かけたのは一度きりだ。難破船を見かけたことは一度もないし、自分が難破したこともない。災害になりそうな窮地に追い込まれたことすら一度もない。
(1907年、E・J・スミス、RMSタイタニック号船長)
これは、
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
からの引用です。
2009年の出版時には多少話題にもなったので、ご存知の方も多いかと思います。
今では、ブラック・スワンと言えば、何を指すのか、投資家同士であれば一般用語として使われるようにもなってきています。
(映画のブラック・スワンとは関係がありません(笑))
さて、
本当のリスクとは何でしょう。
果たして、本当のリスクということを自分は理解できているのでしょうか。
こういう疑問に、答えてくれている本だと私は思います。
アマゾンの批評を読むと、翻訳がダメとか、回りくどいとか、結構ボロカス状態ですが、私は、リスクの本質、ということを考える意味で、トレーダー必読書だと考えています。
他に類書は見当たりません。
この本では、過去の大事件、大惨事などを紐解き、如何にそのほとんどが、予見されていない状態で起こったのか、ということが解説されています。
よく考えれば、今わかっていることの延長線上に起こることなど、たかが知れています。
リスクとは、そうでないから恐ろしいのです。
特に、金融に携わっている投資家であれば、なおさらに一般の方よりも、このリスクの本質、ということがわかっていないと、
自分が七面鳥にされる
可能性が高いのです。
過去のパフォーマンスだけでなく、自分のやっていることの潜在的リスクはどこにあるのだろうか。
などなど、考えておかないと、何かがあったときにはもう間に合わないという事態が想定されます。
1997年に発生したアジア通貨危機から、1998年に起こったロシア財政危機により、LTCMは破綻しました。
ノーベル賞学者が金融工学を駆使して計算したところでは、こんなことは100万年に3回しか起こらないような確率だ、ということであったにも関わらず、です。
そしてその10年後、2008年のリーマンショック、誰もが考えもしないことが再び起こりました。
いずれのショックでも、多くの投資家がマーケットから強制退場させられました。
特に、リーマンショック時には、あの人までもか、という人までもがショックに巻き込まれ、投資家生命を絶たれた記憶はまだ生々しく残っています。
では、こんな大変なことは、もう起こらないだろう、でいいのでしょうか。
リーマンショックほどの酷いことは、最悪であって、あれ以上のことはもうないだろう、でいいのでしょうか。

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