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ファンダメンタルかテクニカルか 3

2013/07/10 Wed

今からもう30年近くも前のことですが、私は、東京へ行くと、何度か人形町にあった林輝太郎投資研究所の事務所に立ち寄って、林先生にお話を伺っていました。
 
事務所に行って、バラコピーを買ったりもしたのですが、やはり当時、林先生から直接お話を伺える、というのがとても楽しみでした。
 
林先生は、とても気さくな方で、アポなしで唐突に事務所を訪問した私にも、結構時間を取ってお話をしてくれました。
 
繰り返し言われたのは、当時からPCを使っていた(当時としては非常に珍しかったですが)私に対して「複雑なものはダメですよ。」ということだったのを思い出します。
 
ある日、事務所に顔を出すと、商品先物の業界紙の記者らしい人が先客でおられたので、聞くともなしにお二人のお話を聞いていました。
 
別に聞き耳を立てていたということでもなかったのですが、聞くともなしに聞こえてきたのは、林先生が業界紙の記者に結構しつこく質問していたことです。
 
「何か情報ないの?」
 
「何かいい情報あるでしょ?」
 
それを聞いて、私は最初、冗談でも言っているのかと思っていたのですが、そうでもなさそうでした。
そこで、業界紙の記者は、それに答えて、話をしていたように思います。

横で聞いていた私は、当時、生粋の「相場技術論派」だったので、そのやり取りに「衝撃を」受けてしまいました。
 
ほぼ「放心状態」でした。
 
こっ、これは、これは、聞いてはいけないものを聞いてしまった!!
 
夢じゃ、これは夢でござる、夢でこざるぅぅぅぅーーー!!
 
と夢遊病者のようになって、そこで記憶が途切れてしまいました。
 
何で、相場技術論の総帥たる林先生ご自身が、業界紙記者ふぜいに「情報ないの?」とねだっているのか!!
 
その衝撃もあって、その記者の後に、私が先生とやり取りした内容はまるで思い出せません(笑)
 
 
私自身は、当時、相場技術論で突出していた「青年将校」でした。
 
ですから、相場技術以外は、外道だ!!
 
それ以外は、見てはいけないものだ。相場は技術でのみやるものであって、他に目をくれる奴は、「ちぇすとぉぉぉぉーーー!!」みたいな乗りでしたので、その衝撃は、計り知れないものとなりました。

しかし、
 
何と、総帥が裏切ったのです!

その後、数日間は、放心状態だったように思います。

林先生は、実は、当て屋だったのか?
 
しかしながら、当時はそれでも、頼るべきは、林先生しか当時見当たらなかったので、やはり技術論を黙々と勉強していました。
 
先客として、立花義正さんでもおられたら、また私の運命は変わっていたのかもしれません。
一度でいいから実際にお会いしたかった方でした。
 
結局、当時、何故林先生が「情報をねだっていたのか」ということについては、自分の中で消化不良のままで時間だけが経過していました。
 
ただ、その後、林先生が出されていた「林レポート」を2年間ほど購読したのですが、それは、「商品先物の相場予測レポート」であり、その内容は、ファンダメンタルと需給動向、内部要因(要するに仕手情報など)、そして、テクニカル、というものでした。
 
この「林レポート」に対しても、相場技術論の青年将校である私は、「全くといって納得できない状態」で、2年間購読して、結局、2年で購読をやめました。
 
(研究部会報は、10年以上購読していましたが・・・)

林先生が、本で書いておられること(要するに技術論、分割論)と、実際に事務所で会った時に話をしておられる内容(業界情報など)や、林レポートで書いておられる内容(ファンダなど)が、考え方において、大きくかい離していることについて、結局、私は理解できないままで、悶々とする日々を送ることになりました。
 
まだ私は当時、純粋な技術論王国の国粋主義者の青年であったのです。

 


それから年月は経ち、十数年後、私は野川ブートキャンプに入門しました。
 
実は、前にブログでブートキャンプのことを書いた時には、書けなかったことがあります。
それは、ブートキャンプ当初、実践訓練をやっていたトレードの大半は、「ファンダメンタル重視」だったのです。
そもそも、需給動向や内部要因に起因するようなトレードがほとんどでした。
 
当時は、
 
「テクニカル分析の大家である野川軍曹が、何故そのような下世話な情報をベースに銘柄選択をしているのか」
 
私は、そんなことを学ぶために入門したのではない。
 
私は、テクニカルをベースに、どうトレードしたらいいのかを学ぶためにのみ、キャンプに入ったのだ。
 
青年将校であった私のそういう思いがあったので、当初ものすごい違和感とともに、とにかく「わからない」というものでした。
 
ファンダメンタルをベースにトレードを仕掛けるので、バリバリのチャート派の私にとっては、「全然わからない」のです。
 
しかも、なじみの株ではなく、異分野である「商品先物のファンダメンタル」なので、私にとっては、チンプンカンプンでした。
 
しかし、とにかく「ぶら下がろう」ということで、くっついていきました。

しかし、「チャートだけじゃなく、理解が難しいトレード」で、しかも、運の悪いことに、トレンドに乗ろうとして、乗れない、損切りになる、ということが続いたため、一部の練習生は、反発しだしました。
 
言われていることがわからない上に、負けるものですから、暴徒化したのです。
 
キャンプ開始から半年、ここで、キャンプは大きな転換を迎えます。
そういう「ファンダメンタル」などを置いておいて、もっと基礎的な、みんながわかるような、テクニカルをベースにコツコツとやるようなやり方、に方針転換するのです。
 
私が、前のブログでキャンプの記事を書いた時に、何故このように書けなかったのか、というと、そもそもそういう「何故ファンダメンタル重視なのか」ということが理解できてはいなかったから、でした。
私自身が理解できないことは、書けません。
 

 
さて、月日はさらに大きく流れて、これは最近のことです。
野川氏と食事をご一緒した時に、私は次のように尋ねました。
 
「トレードで勝つには、何が大切なんでしょう?」
 
とてもシンプルな質問ですが、答えるのがものすごく難しい質問でしょう。
 
野川氏は、日本酒をぐびっと飲んでから、即座に次のように答えました。
 
「総合力、、、、でしょうね。」
 
私は、これを聞いて、「ああ、なるほど、素晴らしい表現をする」と思いました。
 
私は、野川氏の言いたいことがすぐに理解できたので、その後はこれについて会話することはありませんでした。
 
昔は、これを言われても、まったく理解不能だったと思いますが、今でははっきりとわかります。
私自身もここ数年でそれなりに進化できている、ということだったのでしょう。
 
野川氏の言いたかったことは、
 
テクニカルも大事、エントリーエクジットの手法も大事、しかし、リスク管理やマインドの問題、その前にある環境認識やファンダメンタルも大事、そういう各ファクターを総合できる力を持っている、ということが大事なのだ
 
ということなんです。
 
今だからわかるということになりますが・・・
 
当時のブートキャンプを振り返って、当初、野川軍曹がやりたかったことは、環境認識や銘柄選別については、テクニカルも使うが、ファンダメンタルも用いる。そして、エントリーエクジットのきっかけ、つまり「トリガー」には、テクニカルを使う、というものだったのです。
 
そして、さらに30年前を振り返って、
 
林先生が何をされていたのか、というと、結局、環境認識と銘柄選別について、テクニカルとファンダメンタルの両方を用いていた、ということだったのです。
 
実は、同じだったのです。

 
こういうことに、私自身は、30年前には、どうしても理解できなかったのですが、最近になって、ようやくわかるようになった、というお粗末様なことでした。
 
私が、これをわかるようになるまでには、林事務所を訪問してから、20年以上の年月を費やすことになったのです。
 
今思えば、林先生がやっておられたことは、「当然のことだ」とはっきりとわかります。
逆にチャートだけで全てを理解することなど、難しい、ということがわかります。
 
商品先物は、特に、内部要因と呼ばれる需給動向分析が欠かせません。
そういう情報を記者から仕入れておられたのでしょう。
野川氏も、内部要因重視の師匠ゆずりでしたので、内部要因を重視されておられました。
 
せっかくの分析情報があるのに、それに目をふさいで、敢えてチャートだけでやる必要などどこにもありません。
 
私もやっと「青年将校」を卒業して、酸いも甘いも感じられる経験を積んだ、ということかもしれない、そう思います。
 
 
 

今回、何故こんなことを書こうと思い立ったのか、というと、最近、私が、ファンダメンタルのこととか、西原メールのことを書くものだから、「それは手法探しじゃないのか」「これまで書いてきたことはなんだったのだ」というご意見が入ったからです。
 
もしかしたら、そう感じておられる方が、もう2~3人ぐらい(そもそも訪問者が少数なので(汗))おられるかも、ということと共に、「がっかりされた」この書き込みを読んで、自分が「青年将校」だったころを懐かしく思い出したからでした。
 
特に、「分割派」の方たちは、「突出した青年将校」の方が大勢おられることは知っています。
特に、その分割派の中でも、「立花会」の人たちの突出ぶりはすごいものがあることも承知しているつもりです。
 
私は、立花さんと直接の面識はありませんので、ご本人が青年将校のみなさんが考えておられるほど、分割屋オンリーなのかは承知していませんが、林先生なら、何度もお会いしていますから、先ほど書いたようなこともわかります。
 
本を書くという場合、林先生などは、「読者の間違った考え方を正したい」という視点で本を書くので、どうしても、多くの人の考え方に対するアンチテーゼとして、技術の部分を強調する、という書き方になることは否めないと思うのです。
 
では、読者が書面どおり受け取って、「すべては分割オンリー、技術オンリー」なのか、というと、実際にお会いしてお話すれば、意外とそうではない、ということもあって当然だと思います。
 
これは、実際に私が体験したことです。
 
 
コメントに書いたことですが、
 
私にとって、手法とは、「たかが手法、されど手法」なんですね。
これも、「all or nothing」という観点から見ると、「どちらかに所属せよ」ということになるのかもしれませんが、トレードの一部を構成していることについては間違いありません。
 
ただ「手法さえマスターすれば勝てるのだ」という意見には組しません。
 
この多くの人の考え方に対するアンチテーゼで、「手法万能論」を否定しているわけなんであって、手法そのものは否定しません、というか、できません。
 
これは、「投資心理が全てだ」とか、「チャートだけ見れば勝てる」「分割が全てだ」ということを否定するのと同じく、「単品勝負」では勝つことは難しい(できないわけではないでしょうが)、と考えているからです。
 
料理に例えれば、「たかがレシピ、されどレシピ」って感じでしょうかね。
 
 
結局、私も「アンチテーゼ」の部分が結構あって、レシピ無用論には組しません。
 
レシピも必用、しかし、レシピだけではおいしい料理はできない派、なんですね。
 
結局、私は、今では、野川氏の言う「総合力派」ということになりました。
 

野川氏とて、林先生とて、そして、西原氏とて、テクニカルの細かい使い方こそ違いますが、総合力を使った似た考え方がそこには存在していたのです。

そうなると、そこには、何か帰納的に「相場の本質的なもの」を私は感じてしまうのです。

そして、今では、私もこの 総合力派 に属します。

 
グレーはいやだ!!
 
白か黒かはっきりしろよ!!

 
と言われても、実に困った、困った、って感じです。
 
相場って、そう単純なものでもないんです。

分割だけ、チャートだけ、板だけ、・・・それでいいのか。

どうしても、単純に見たい、パターン化したい、モノカルチャーで行きたい、という思いがあると思いますが、なかなかどうして、複合的要因をひも解かないと、全体像は見えてこないものだと私は思います。
 

今回、これを書くかどうか迷いました。
今回の記事は、立花会など、青年将校の方から、「ちぇすとぉぉぉーー!!」とされると面倒だな、と思ったからです。
あえて、こんな危ないことをわざわざ書く必用があるのか、とも思いました。
しかし、これが自分が経験したことですし、今の考え方(数年前は違いました。)ですから、それを正直に書いてみた、ということで、またご批判があろうと思いますが、それはそれで仕方がありません。
 
それにしても、とてもいいご意見いただいて感謝します。
このご意見がなければ、こうやっていろんなことを振り返ることもできませんでしたので、とても苦い思い出を懐かしむことができました。
 

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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

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