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空売り規制の緩和

2013/11/01 Fri

いよいよ週明けの5日から空売り規制が緩和されます。

デイトレーダー以外の方はあまり関係がない話題ですから、さらりと書きますが、これによって発注環境が大きく変化します。

概要は以下で読んでください。

空売り規制の緩和

私の場合、よほど注意していても、年に数回は「空売り規制違反」で警告を受けて、口座閉鎖寸前まで何度か行っていますので、これがフリーになることは大変助かります。

これは、一回の注文でいきなり50単位以上の空売り注文は発注システムではじかれるのですが、よくやる失敗は、繰り返し発注しているうちにトータルで50単位を超えてしまった、ということで起こるものでした。
 先月は、1000株単位の銘柄がいつのまにか100株単位になっていて、それを見落としていて引っかかりました。

安心して空売りできる銘柄は、ユニクロや三井不動産など一部の銘柄に限られていました。
毎日この空売り規制には、気を使って発注していたので、発注環境は、大きく改善するものだと思います。



ただ、一方で、市場の特性の変化が起こる可能性が高いです。

これまでは、機関投資家、ヘッジファンドなど、個人投資家以外は、ダウンティックで空売りができなかったのが、これからはできるわけですから、値動き特性に変化が出る可能性が高いのです。

ダウンティックの空売りは、これまで個人だけができたことが、全投資家に解禁されるのですから、間違いなく個人にとっては不利に働きます。

ある程度の値動き環境の変化は、想像できるのですが、実際には現場に立って経験しないとわかりません。
これは想像の範囲内なのか、想定を超えて大きく変化するのか、数週間前から緊張してきています。

デイトレーダーにとっては、かなりの影響度がある話になる可能性があります。
特に、熟練度が高いトレーダーにとっては、一般の人が見ても何もわからない世界で戦っているので、ものすごい変化になる可能性があるのです。

5日以降のトレードにおいては、まず値動き特性が変化する、という前提で値動きを追いかけないと、これまでと同じように考えていては失敗する可能性が大きいと想定しています。

想像以上に値動き特性に影響が出ることがありますので、5日はかなり恐る恐るの売買になるでしょう。

どちらにしても、このようなティックの特性の変化は、それなりに熟練したデイトレーダー以外はほとんどわからないし、関係のない世界ではあるでしょう。

これは、旋盤工が、コンピュータでも見分けがつかないミクロン単位の凹凸を手で触っただけで見つけ出すようなものです。
普通の人が見ても、全く見分けがつかないものです。



なお、証券会社に問い合わせして確認しましたが、個人が50単元以下の空売りをする場合は、これまで通り成り行き売りができるとのことでした。
(50単元以上は成行売りはできません。)
ここは、若干不明確でしたので、確認しておきました。

何にしても、今年1月から始まった「信用取引担保規制の緩和」に続いて、「空売り規制の緩和」は、非常に大きなインパクトがトレード環境に出ることが想定されます。

しかし、こういう変化をいち早く察知して対応することが自分を有利に置くことにつながるので、早く緩和後の環境に慣れるべく、週明け以降の相場に臨もうと思います。



強い者が生き残ったのではない。賢い者が生き残ったのではない。変化する環境に適合できた者が生き残ったのだ。 (ダーウィン)


相場を型にはめよう、パターン化しよう、と必死で頑張っている人が見えていないのは、こういうことだと思うのです。


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相場で勝つということ・・・1

2013/11/04 Mon

コメントに、「検証」ということを書いていただいています。
私は、「検証」という言葉を聞くと、ピクンと反応してしまいます。
実は、とても苦い思い出があるのですが、それに触れたいと思います。



相場を始めたきっかけというのは人それぞれですが、知人の紹介や本を読んでなど、とにかく何らかのきっかけで相場を始めたのでしょう。

私の場合、もうはるか昔のことで、今思い出しても何故始めたのか、よくわかりません。
親がやっていたので、その影響だったか、とにかく二十歳過ぎのころです。

あのころ、どういう気持ちだったのか、何がきっかけだったのか。

とにかく、ちょっと相場をかじってみた。

何も知識もなくて、経験もない、始めるということは、誰しもはそういうことだと思います。
誰にでも最初はあるのです。

ちょうど昭和のバブル相場に向かっていくところだったので、ちょこちょこ利益になったりしました。

すると、こう考えたのです。

「こんなに知識もなく、経験もないのに、これだけ儲かったのだから、もっと勉強して知識を増やしていけば、どんどん儲かるはずだ。」

少なくとも、私はそう考えました。

親は、相場が本当に下手でした。
単に博打を楽しんでいる、というだけだったので、何の教えを受けるということもありませんでした。
ですから、当時は、もっぱら本をせっせと読んで、懸命に勉強を始めました。

当時は学生でしたが、一生懸命相場の勉強にいそしむ変な学生でした。
経済学部でしたが、学校の勉強などほとんどせずに、どんどん相場の勉強にはまっていきました。

そうこう勉強していくうちに、1982年暮れのころ、いつものように梅田の旭屋書店の相場本コーナーをあさりに行っていたとき、衝撃的本に出会いました。
林輝太郎先生の書いた脱アマ相場必勝法という本です。
読んだ瞬間に、目からうろこという状態になって、それから毎日毎日その本を読む日々が続きました。
そして、もっと古くから出ている林先生の著作を研究所に直接注文し、5万円の中源線の本やバラコピーまで全てを買いました。
全部で10万円以上だったと思います。
今考えても、旺盛な知識欲だった、と思います。
林事務所の研究部会報の会員にもなって、商品相場レポートも購読しました。

翌1983年、伝説の立花本が出版されます。
(リンクのトレーダーズショップでは1987年4月出版となっていますが、これも再販時のものです。私の手元にあるのは1983年の初版本です。)
もうむさぼるように読みました。
今も手元にこの本がありますが、本の真ん中部分が手垢で薄黒くなっています。
もちろん本はボロボロでバラバラになりそうなほどですから、再販されたものをもう一冊持っています。
子供の頃、百科事典の科学のところを背表紙が千切れるぐらい毎日毎日読んでいたので、結局同じパターンが相場に移ったということだったのかもしれません。
知識欲だけはとにかく旺盛でした。

小学生のころ、家に、友人を呼んで実験を繰り返して、二酸化マンガンに希塩酸をかけて、塩素ガスを発生させてしまい、それを吸って病院に担ぎ込まれたという武勇伝もあるぐらいです(笑)

興味があることについては、何でも知らないと気がすまないという性質を持っているのですが、これは今も変わりません(笑)

さて、これだけ勉強したのですが、当初目論みであった「勉強すればするほど儲かるだろう」ということにはなっていませんでした。

相場を始めた当初は、素直に相場に接していたのですが、知識が増えるに従って、迷いが増えてきて、どうしていいのか、わからなくなったのです。

知識が増えたことで、迷いが深まったのです。

普通の勉強だと、知識が増えれば増えるほど、理解度が増して、正解にたどり着くことが多くなります。
また、学習が進めば進むほど、学力がアップし、入試にしても、大学の専門課程においても、上のランクに上がれるのですが、相場の勉強もこれと同じと考えていた私はどんどん迷宮にはまりはじめました。  

相場の勉強の難しいところはここにあるのですが、当時の私が知る由もありませんでした。



さらに混迷度を深める事件が起こります。

それは、当時珍しかったパソコンを使ったテクニカル分析にはまったことです。
前に書いたので詳しいことはここでは書きませんが、とにかくはまってしまいました。
中学のころからパソコンが好きでプログラムとか書いていたこともあって、すっかりはまってしまいました。

林先生の本にも興味を持ったのですが、私は、同時期に出会ったこのテクニカル分析に完全にはまってしまったのです。
手書きチャートを旨とする林流をダサい、夢がない、と感じたのでした。

それよりも、

コンピューターを駆使して、相場を制覇するのが時代の最先端だろうが!!

と完全に思い込んでしまいました。

ということで、私は、せっかく出会った林先生を捨てて、チャート分析に没頭することとなりました。

それ以来、休みの日は、朝起きてから、夜眠るまで、検証、検証、そして、検証、の毎日でした。
平日も深夜まで検証。
自分の持てる時間は全て検証にかけていました。
命がけ、と言えば大げさですが、そんな感じでした。
全ての時間を検証に賭けたのです。
夜間は、時間のかかるプログラムを回して寝る。朝起きたら検証結果が出ている、という状況でした。
(今ではちょっとしたテクニカルの検証など数秒~数分ですが、昔は、簡単な検証でもものすごく時間がかかったのです。)

とにかく、100を超えるチャート分析手法が組み込まれているチャートシステムを使って、あらゆる組み合わせ、あらゆるテクニカル指標を用いて、当たるサインを探し出す、という

検証の鬼

になりました。

同じソフトを使う仲間もできて、そういう人たちも「鬼のように検証」を続けていました。
私など学生の端くれでしたから、仲間といっても私だけ断トツのペーペーでした。
というのは、1985年当時ですから、PCといっても当時50万円ほどしましたし、チャートソフトは一式で150万円とか、そんじょそこらの投資家にはとても手が出るようなものではありませんでした。
私は、学生でしたが、何とか相場で儲けた金をつぎ込んで買ったのですが、他のユーザーさんはレベルが違いました。

仲間には、資金何十億という仕手筋の方もおられましたし、専用のトレーディングルームを持って事務員を何名か雇ってチャートを書いておられる方もおられました。
仕手筋の作戦本部である事務所におじゃまさせてもらった時は、圧倒されました。
いつか自分だってこうなりたい、そう憧れを持ったものです。

また、数台のPCを24時間フル稼働させて、過去データから、勝てるチャートパターンを見つけようとされている仲間もおられました。
その方も、トレード専用ルームを作っておられました。 

年齢はみなさん私よりも10~20は上の方ばかりで、資金量も億を超える方が大勢おられました。
やっとPCとソフトを買った私とはレベルが一桁、二桁ほど違いました。

しかし、思考パターンは同じで、

みんな、テクニカル分析一辺倒でした。

みんな、勝てるパターンを見つけよう、型を探そう、手法を見つけ出そう、と必死でした。

私はダントツの若手で、ペーペーだったこともあって、そういう人たちにかわいがられて、とても楽しく頑張ることができました。

月に一回ほどある交流会で、お互いに成果を発表しあうのが何よりも楽しみでした。

そんな日々が数年続いたのですが、それほど寝食を惜しんで頑張っているにも関わらず、成果はイマイチだったのです。
 
バブル期に向かう昭和の相場ですから、数か月下がったところを買って持ってさえいれば、儲かる相場だったのに、今から考えれば、何をやってたのだ、と歯がゆくなるぐらいです。

相場は3か月下がれば必ずその後に新高値を付ける、ということを繰り返していました。
高度経済成長を続けていた日本ですから、ファンダメンタル的背景が違い過ぎたのです。
今考えれば当たり前のことですが、当時はまるでわかっていませんでした。
こういう当然理解しておかねばならないファンダメンタル的背景をなんら理解しようともせず、ただチャートしか見ようとはしていなかったのです。

FAIの人たちが次々に億を作っていた時代背景でした。


検証上では、上手く機能するはずのものが、何故か実践においてはまるで機能しない、ということが延々と繰り返されたのですが、当時、そういうことを理解できるような知識もなく、何故そうなるのか、ということがまるでわからないままに、

努力が足りないのだ、もっともっと努力すれば、勝てる方法が見つかるはずだ

とさらに朝から晩まで検証する、という日々が続いていました。

また、あれほど努力を続けているPC仲間の皆さんも実は、私と50歩100歩だったのです。
一時的に儲かることはあっても、継続して利益を出す、ということがなかなかできずに四苦八苦されていました。

しかし、みんな何故なのか、わからずにもがいていたのです。



妙な若者でしたね。今考えれば。
当時バルブ景気真っ最中ですから、ディスコだ、酒だ、と世の中浮かれていた時です。
周りの同世代の若者が、車だ、女だ、と遊んでいる時に、せっせと検証ばかりしていたのですから(笑)
職場の同僚は、仕事が終わったら、毎日スナックだ、ラウンジだと酒と女三昧です。
その中で、一人、仕事が終わったら、一目散に家に帰って、検証なんです(笑)

しかも、付き合っているのは、10も20も上のおっさんばかり(笑)

今から思えば、もう30年近くも昔昔の話。
しかし、こんな昔から、こんなことをしていた集団があった、ということも驚き桃の木、でしょう。
年をとると、昔話が好きになる。
もう少しお付き合いください。次回。


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物事の上達

2013/11/06 Wed

西野流呼吸法に通って、もう23年になります。
ところが、呼吸法の実力は、というと、これがイマイチぱっとしません。
理由があります。
年数が長いだけで、その期間の3分の1はサボりですし、週に1回しか稽古には通っていません。
家での練習はほとんどしません。
よく同じ塾生からも23年というとかなりびっくりされるのですが、実力は至って普通です。
実力というのは、呼吸法を知らない人には何のことかわからないと思いますが、はっきりとわかる実力があるのです。
合気道と同じように勝ち負けが存在し、特に呼吸法の場合、強い人は常に勝つし、弱い人は常に負けるのです。

同期の人は、指導員とかになっているので、ちょっとふがいないことを感じることもあります。
同じ塾生でも、私の半分ぐらいのキャリアで指導員クラスの実力を持っておられる方も結構いますので、情けないといえば情けない話です。

実は、私は、西野流の稽古を楽しい、わくわくする、時間を忘れて没頭する、と思ったことはほとんどありません。
最初の1時間の基礎練習も、退屈、しんどい、だるい、と思ったことはあっても、楽しい、うれしい、と思ったことはないのです。

実際、稽古の時間中にチャートが頭に出てきて、ここで買ってここで売って、とか考えている自分に気がついて、いやいや今は呼吸法に専念しないと、とそのチャートの妄想を消そうと必死なのですが、そうもがけばもがくほど、相場が頭から離れなくなったりします(笑)

じゃあ、何で呼吸法が続いているのだ、というと、それは簡単です。
「効くから」です。

私は、元々体があまり強くなく、風邪をしょっちゅうひいては寝込むタイプでした。
学校や会社も年に何度も病気で休んでいました。
花粉症で春はボロボロだし、気分が悪くなって会社を休むこともしばしばでした。

西野流に通いだしてそういう自分とおさらばできたのです。
検査して、花粉症アレルギーも消えました。
稽古に熱心に通っている人にはそういう人が多いようです。
不治の病からの生還という人もいますが、もうそうなると必死で稽古に来ておられます。
(誤解のないように、呼吸法は治療行為ではありません。あくまで健康法です。)

ここは呼吸法の話をしたくて書いているのではないので簡単に書くと、生物がそもそも持っている自己免疫力を、本来持っている強さに回復させてくれるのが呼吸法だ、ということです。
本来、生き物は、病気と戦う仕組みが備わっているのですが、それが弱ってしまって病気になる。
だから、その免疫力を「人が本来持っている正常な状態」に戻してくれる、のが呼吸法だ、といことのようです。
ですので、特別なことではありません。ごく当たり前のことだ、ってことです。
まあ、受け売りです(笑)

また、そんなに好きではないので、数年とかの単位でサボると、血液検査の値は悪くなるし、腎臓結石で苦しむし、となって、また仕方なく西野塾へ復帰・・・という繰り返しです。
サボっている間に致命的な病気にならなくてよかった、と思ったりすることもあります。

つまり、私にとっては、好きで通っている、というより、週に1回通院している、といってもいいんじゃないかと思います。
病院に通っている人は、好きで通っているのではなく、行かなくては仕方がないから行っているのですよね。
それと似ています。
西野塾に出会っていなかったら、今頃死んでたんじゃないか、と時々思うぐらいですので(笑)

さて、私にとっては、好きで行っているものではないので、当然ながら、稽古にも熱が入りません。
普段も練習していません。

面倒だし、だるいし、正直あまりやりたくないのです。
結果として、上達しません。
ただ、健康である、ということに留まっています。
23年も稽古に通ってて、それはないだろう、と時々思いますが、事実なんです。

私が、呼吸法の実力がイマイチなのは、もちろん本来持っている才能がない、ということもあると思っています。
しかし、好きじゃないから、努力できない、ということも大きく響いているのです。

ちなみに、呼吸法実力者の話を聞くと「稽古が楽しい、楽しくて仕方がないから週に5日通っている」と言っておられましたね。
私は、その話を聞いて、とてもうらやましかったです。
呼吸法の実力者の方や、指導員も含め、みんな呼吸法が好きで好きで、という人たちばかりです。
やはり、というか当然というか・・・


西野先生の話を聞くと、才能を持っておられたのはもちろんなのですが、やはり超人的な努力をされてここまで辿りつかれたことがわかります。
あらゆる呼吸に関する稽古をされて、人生をかけて呼吸の本質をつかもうと努力されておられたことがわかります。
(ちなみに西野先生は、合気道師範ですが、合気道出身ではありません。そういう努力の一環として合気道をやられておられました。)


松井秀喜さんだったと思うのですが、こういう金言を述べておられました。

努力できることが才能だ


でも、努力するには、まず好きでなかったら、無理なんです。
松井さんも野球が好きだから、あれだけ努力できたんだ、と思います。
イチローもそうですし、一流と言われる方はみんなそうですよね。

私の西野塾の歴史を思い返す時、いつもこのフレーズが頭をよぎります。
残念ながら、好きでもない呼吸法を努力することができなくて、今日に至るってありさまなのです。
私としては、これだけ稽古に通っていて、本当に不本意極まりない、と思っているところですが。



さて、ということでやっと本題に(笑)

もう何を言おうとしているかおわかりですので、終わってもいいぐらいですが、私の場合、呼吸法の努力はできませんでしたが、相場の努力は、人に誇れるほどしています。
しかし、その努力というのは、「好きでやっているので、本人は努力しているとはあまり思っていない」ところに、大きな特徴があります。
当然、辛くもありません。

本もアホみたいに読んでいますし、連載にも書いているとおり、検証もまわりが呆れるほど必死でやっていました。
しかし、自分では、「好きなことを楽しんでやっているだけ」なのですよね。

みんなと一緒にスナックに行って、上手くもないカラオケを金を払って聞かされるぐらいなら、家で検証している方がずっと楽しい、ってタイプなんです。

居酒屋で酒を飲んで、上司の悪口を言い合うよりも、家でチャートを見ている方がずっと楽しいんです。
無理矢理飲みに連れて行かれた時は、早く帰ってチャートを見たくて見たくて、検証しないといけないのに、相場本も読みたい、とずっと思っていました。

一生懸命パソコンでプログラムいじっていたら気がついたら朝なんです。
徹夜してしまうと、体調がおかしくなるので、できるだけやりたくないと思っているのですが、無意識なのでつい。

そういう姿を周りから見たら、おそらく・・鬼であり、努力家、となるのかもしれませんが、趣味に没頭している、という点では、鉄道オタクの時刻表、AKBオタクのCD集め、と同じなんです。

鉄道オタクが、一日中時刻表を見て、妄想しているのと同じです。
楽しくて仕方がないのです。
逆に普通の人が時刻表を一日中見ろと言われたら、苦痛で仕方がないですよね。

物事の上達のためには、どれだけ時間を費やしたか、という飛行時間の法則、が厳然として存在するようです。

相場とて同じでしょう。

相場を当てものであるとか、当たるやり方が見つかれば勝てるようになる、と思っている手法コレクターさんにとってはスルーされる話ですが、相場で勝つには、飛行時間が必要だと私は思っています。

(まあ、手法コレクターさんにとっては、手法探訪が好きで好きで、ってことですから、まあ、これも趣味の範囲としてはいい、ということなんですがね。ただ、蛇の道なので先がありません。)



逆に言うと、「お金が儲かるから相場をやる」というだけでは、なかなかそこまで努力できないんじゃないか、と思います。

私の呼吸法と同じで、健康でいたいから、仕方なしに通っている、というのでは、呼吸法の上達は見込めない、のと同じだと思うのです。

単にお金儲けのために、というだけでは、なかなかうまく行かないのはそういう理由からかもしれません。

ふと、「呼吸法・・いつまでたっても上達しないよなあ、もう20年超えだぜ!!」と思いつつ、こんなことを考えていました。


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物事の上達 2

2013/11/08 Fri

■ 空売り規制緩和

緩和されてから1週間が終わりました。
影響については、想定していたMAXでした。
これだけの環境変化は、私にとっては、リーマンショック前後の変化以上にインパクトがあることとなりました。
これは、売りの得意なデイトレーダーなら多くが同じ状況だと思います。

初日は、まだこの変化を認めたくない自分がいて「夢じゃ、夢じゃ、これは夢でござる」と思っていたのですが、さすがに4日目ともなると、もう観念するしかありません。

これからは、この環境で戦わなくてはいけないので、少なくとも今月いっぱいはお試し期間として見ておく必要がありそうです。
まだ、前の癖が残っているので簡単には感覚を変えることが難しいです。
かなり厳しい環境変化となりましたが、これも受け入れるしかありません。
 
この話は、ほぼ99%の投資家にとって、何の影響もない話ですが、一部のトレーダーにとっては劇的環境変化となりました。


ちょど、今やっている朝の連続ドラマ「ごちそうさん」で、主人公が結婚して、上げ膳据え膳の東京の実家から、大阪の旦那の実家に引っ越しました。
そこでは、いきなり小姑から徹底的にいびられる境遇となり、また、大阪の味に慣れないことから、かなり悲惨な思いをすることになる、という話です。
まさに、泣きたくなるような環境の変化です。
それを見ていて、環境変化ということの厳しさ、ということをドラマからつくづく感じました。
しかし、主人公は、その環境変化にめげずに踏ん張って努力します。

主人公が懸命に努力している姿を見て、旦那が次のように言いました。

「あなたはすごいですね。そうやってどんどん変わっていって。はじめは料理も勉強も何もでけへんかったのに。変わらんといけませんね。僕も。ままならん仲でもやっていけるように。」

何がすごいのか・・・変われること、それがすごいのだ、という話です。

変われることがすごい、と言っているのが、とても印象的でした。

変われること、変化に対応できること、それがすごいのです。


そういえば、「ごちそうさん」ついでに、別の名言を。
包丁を磨ぎながら、主人公の学校の先生が言った言葉です。

「ただの鉄の板を、研いで、使って、研いで、使って。そんなことを繰り返すうちに、やっと自分の望む刃の角度が見えてくるんです。それは自分の手を動かして、何度も何度も砥石で研がなければ、永遠にわからないものです。」

この記事のタイトルにある「物事の上達」とはそうやってわかっていくものだ、と思います。



■ 好きだけじゃダメ

好きだけじゃダメだというコメントをいただきました。
おっしゃるとおりだと思います。

私も、好きということに関して言えば、必要条件だろうと思っていますが、十分条件ではもちろんない、と考えています。
好きならだれでも儲かるのなら、ギャンブル中毒的売買してれば儲かる、ってことになってしまいます。


私の場合、競馬の統計にのめりこんだ時期があって、過去5年間の全レースの統計を毎日取っていた時期がありました。
(そもそも統計を取るのが好きなんです。)
その結果、全レース統計で、期待値が100に近い買い目を見つけることができました。
そのままでは儲けることはできないわけですが、その買い目に対して、レースの属性、出走頭数のフィルターをかけると、期待値が100を超えるものが出てきたのです。
早速それで実践し、当時としてはそこそこの利益を得ましたが、相場にのめりこんでいく過程で競馬は終わりました。
そもそも、競馬そのものは大して面白くもなかったから、ということもありました。
週末になったら、土日の朝の1レースのアラブ戦からから道頓堀場外馬券売り場で特券10枚という若造には不釣り合いな馬券を買うのです。
(そもそも道頓堀売り場は特券しか売っていないという「競馬貴族」の出入りするところでした)
払い戻しで10万円以上の配当を受け取ると、周りのおっさんたちが目を丸くして見ていたのが快感でした。
そして、昼からは条件に合わないので午前中で終わります。

当時、似たようなシステムを使っているグループがいるのを知っていましたが、その人たちは若干「追い上げシステム」を使っていたので、それではダメだ、と私は思っていました。
買い目を工夫して勝つようじゃどこかでダメになります。
システムは、あくまでも期待値で勝負しないといけないのです。

他にも、アマの人ですが、競馬で毎年何百万稼いでいる人から、勝てる方法を教えてもらって、競馬場に行ってパドックを見て(競馬場に行かないとできない)実践したりもしましたが・・・競馬場に行くのが面倒、つまり好きではない、ということでしたね。
競馬場でよくその人にくっついていて、教えてもらっていました。
今のようにネットで馬券は買えなかった時代です。
それほど熱心にもできず、負けはしませんが、そんなに勝てない、といった感じでした。
これは、システムではないので、目利きが必要になるため、経験値が必要になるものでした。
自信がないので、そう大きく勝負することもできませんでしたが、数年とか、それなりの期間で修行すれば相当勝てるようになったのかもしれません。
こんな感じでしたので、競馬が本当に好きだったら、馬券師になっていたのかもしれません。
システム&裁量の両方使いでしたね。
ただ、いつも阪神の第4コーナーの横で見ていたのですが、馬が走ってくるのは結構感動しますね。
あの地響きと、リアル感は、実際に見た人でないとわからないでしょう。



書いていただいたコメントを読んで思うことは、自分にも言えることですので、ちょっと自慢じみていますが、厳しい控除率を跳ね返して勝てるセンスがある、というのは、そもそもすごいことだと思うのです。
そういう感性を持っていること、というのは、基本的に相場で勝つセンスにもつながるのは間違いありません。

ただ、それが、どういうものなのか、と言われるとちょっと言葉で言えないので、また考えてみますが、一つはっきりと言えることがあります。

少なくとも、博打にのめりこんだら確実に負けます。
博打の誘惑に勝てる強い精神力は最低限度の必用条件でしょう。
博打が好きだ、という人は、厳しいのかもしれません。
私は博打はあまり好きではありません。
勝つために研究するのが好きなのです。

また、切れやすかったり、すぐに怒り出すとか、自分の感情をコントロールできない人は、この世界で勝つことは無理だと思います。

さらには、心の持ち方として、ポジティブでないと、アップダウンに耐えられないでしょう。

人として、普通じゃない部分がないと、公営ギャンブルで勝つことは絶対に無理です。
控除率25%という過酷な環境で、本当に99.9%の人が負けるという相場以上に厳しい世界ですので。

普通の人が、普通に頑張る程度では100%負けます。

そういう意味で、相場を始めた当初は、競馬でも勝てたのだから、上か下かを当てるだけの相場など簡単だ、と高をくくっていたところが私にはあったように思います。

それで、結局めちゃくちゃ苦労することになるのですが・・・


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相場で勝つということ・・・2

2013/11/17 Sun

前回の続きです。

検証の鬼になっていた、ということでしたが、私や私の仲間がどういう目標を持って検証をしていたのかというと次のようなものでした。

週足をベースにして、できるだけ安くていいポイントで買って、その後に10%以上上がる確率を高めたい

いわゆる、週足ベースの逆張り、です。
当時は、手数料も高く、短期売買は不可能でしたから、日足ベースですらしんどかったのです。
2~5%程度の利益では往復で2%強かかる手数料に食われてしまってほとんど利益にはなりません。

ここでやっていた検証というのは、数多くのオシレーターを色んなパターンで組み合わせて、必勝法を探す、というものでした。
こうやって過去検証を繰り返すと、何と勝率98%以上なるモンスター手法が次々に誕生するのです。
こういうものが見つかった時は、もう天下を取った、と感じ、大きな満足感を味わったものです。

もう98%の確率で、買った後に10%以上上がるのですから、間違いなく儲かるはずではありませんか。


さて、ここまで書くと、少なくともシステムをちょっとでもかじったことのある人なら、「あぁ、あの話か」となると思います。

今の時代であれば、もうシステムをかじった人なら常識であることでも、今から30年近くも前となると、誰もそのことについては知識がありませんでした。



あの話とは、何の話なのか、ということですが、我々は、懸命に検証を続ける中で致命的間違いを放置したまま作業を続けていたのです。

まず、この検証を開始するにあたって、最も論拠としていたことが、テクニカル分析の3大原則の1つである「歴史は繰り返す」でした。
しかし、この「歴史は繰り返す」が結構な曲者なのです。

歴史は繰り返す、ということは、どこまでの範囲なのか。

歴史は、100%、寸分たがわずに繰り返されるのか。

ここを深く考えずに、検証をやると、酷い目にあうことになります。

あまり引っ張ってもしかたがありませんから、何が間違っていたのか、というと、

過剰最適化、別名「カーブフィッティング」

ということです。

歴史は繰り返す、というのは、テクニカル分析が機能する論拠であり、これを前提にしなければ、テクニカル分析など何の意味もありません。

しかし、歴史は確かに繰り返すのですが、それは100%繰り返す、ということを意味しているものではありません。

しかし、当時、我々は、「歴史は100%繰り返す」ということを「無意識の前提」に置いていました。
この「無意識である」ということは、多くの場合、大問題を引き起こす原因となるので、相場に限らず非常に注意が必要です。
わかっていてやっているなら修正も効くのですが、無意識であるが故に、修正が効かないのです。
前提が間違っている恐ろしさというのは、その前提によってやっていること全てが無駄になる、ということです。

その「無意識の前提」のために、厳密に過去の値動きに「完全フィット」させるようにオシレーターを使って売買を絞り込んだのです。

どのように作業したか、というと、逆張りですから、過去の突っ込んだところを探して、そこでサインが出るように、たとえばRSIなら30%以下とか、かい離率なら―15%以下とか、設定していきます。
すると、勝率70%とかになります。
勝率を上げるために、さらに別のRCIとかを組み合わせて絞り込んでいくのです。

そして、最終兵器を使います。
それは、勝率を上げるためにかい離率などを操作して、

-15%以下 & -18%以上

という究極のポイントを仕留めに行ったことです。
これは、はっきり言って「禁じ手」でした。
これを使うと、過去検証上では勝率は飛躍的に上がりますが、再現性をスポイルする最悪の禁じ手でした。
ロジックを考えれば簡単に「禁じ手」であることがわかるのですが、当時はそのロジックすら持っていませんでした。
何故それで絞るのか、という意味もわからず使っていたのです。
ただ「指標ありき」だったのです。

こうして完成した「勝率98%のシステム」なるものは、過去検証においては驚異的な必勝法でしたが、いざ実践となると、全くと言って機能しないものとなりました。

過去データに完全フィットさせているので、寸分たがわずに過去が再現しなければ、サインが出ないシステムだったのです。

先ほどの「-15%以下 & -18%以上」という絞り込みが何故「禁じ手」なのか、というと、過去の1点だけにフィットさせていることがこれほどあからさまなやり方は他にない、ということだからです。
かい離率がどこで止まるかは、概ねということはあっても、ピンポイントで仕留めることなど相場のロジックから考えてあり得ません。
相場が下落して止まるところというのは、その時々で違うのが当然です。
概ねということはあっても、ピンポイントで15%下げたら止まる、などあり得ないのは理屈上当然でしょう。

相場で、全く同じことが再現する、ということはありません。毎回毎回が最初で最後なんです。

このことから、絞り込みには、常に「何故それで絞り込むか」がという理屈が必用なのです。

この勝率98%マジックには、もう1つ欠点がありました。
検証すると、1000銘柄に出て、980銘柄で利益になった、ということで、一見すると「これだけ多くの銘柄で出ているのだから、確かだろう」と思ってしまいます。
実際に、そう思っていました。

しかし、よくよくチェックすると、1000銘柄に出ているサインの日が

全部同じ日

なんです。

つまり、相場全体がそういう動きをしている、相場全体が急落した日に大量サインが出た、ってことに過ぎなかったのです。
結局、全体が突っ込んだところを後知恵で「あそこで買っていれば」にサインを出した、ということに過ぎませんでした。

そして、そもそも「資金管理」がまるでロジックに入っていません。
ですから、1年間で、1回だけ1000銘柄にサインが出る、という結果だったので、実際仮にサインが出たとしても、同時に買えるのは自分の資金の範囲だけ、その他の日は1年中やることなし、という結果になってしまいます。
しかも、そんな急落時にいきなり全軍投入など実際にはリスク管理上できないものです。
従って検証結果というのは、机上の空論でした。


この種の逆張りシステムというのは、最も思いつきやすく、また、勝率を上げやすいので、今でも日足ベースで、移動平均かい離率を使って作るものとして、初心者でもとっつきやすいものであることから、システム初心者から上級者まで、けっこう幅広く使われているものだと思います。
株のシステムトレードの基本中の基本ロジックと言えるでしょう。

ここで最も注意しないといけないのは、再現性&資金管理、です。

特に再現性については、昔我々がやったように極端でなくても、よほど注意していても、陥る罠です。
とにかく、過去検証でいい結果が出ても、まずは再現性を疑う必要があります。

再現性は、システム検証にとって「悪魔の落とし穴」ですから、必ず検証したデータ以外での「処女テスト」をやることが絶対条件です。
フォワードテストをやるために、直近の1年を残して過去5年間で検証し、それで優秀だったシステムを検証期間に入っていない直近1年間で再度テストするなど、徹底して再現性を求めてください。
検証期間は、長ければよい、というものでもありませんが、日足ならやはり5年は欲しいところでしょう。

繰り返し弁護になりますが、今だからこういうことがわかるのであって、30年前のことなのでどうか「バカにしないで」やってください(笑)



もう一点、この系統のロジックで注意しなくてはいけないのが「ブラックスワン・リスク」です。
詳しい説明は省きますが、リーマンショックで大量退場を生んだのもこの種の逆張りロジックだった、ので、ブラックスワンにはご注意ください。
どこかで「絶対的リミット」を発動しないと大変なことになります。
5年間安定して稼ぎ続けていたシステムトレーダーが1ヶ月で退場した、ということがリーマンショック時には、多発しました。
無念のブログ閉鎖が大量発生したのを私は目の当りにしています。
統計上1000年に1度、1万年に一度の確率で起こる、ということが、相場では10年に一度という頻度で頻繁に起こっています。
過去、LTCMが破たんしたのもこれが原因ですし、リーマンショックもそうでした。
統計を信じすぎてはいけません。
過去統計に表れないブラックスワンに注意が必要なのです。


ここでは、システムの話をするためのものではないので、過去の過ちの具体的懺悔は、このぐらいで許してもらいましょう(笑)
株システムには、このようにFXにはないちょとしたポイントがいくつかありますが、これはまたの機会ということで。

システムの話に脱線してしまいました。
システムの話はまた別のところでやることにします。




話を本筋に戻します。

株ブログを読んでいるほぼ全部の読者が考えていることは、

何でもいいから、とにかく勝てるようになりたい

どうしたら勝てるようになれるか、それが知りたいのだ

という切実な思いを持っている人たちが大半でしょう。

こうした切実な思いのなかで、知らず知らずの「暗黙の前提」となっているのが、

どうしたら勝てるようになるのか = 勝てる方法を知ることがその答えだ

という方程式でしょう。

特に意識することなく、ほとんどの人はそう考えていることだと思います。

私もそうでしたし、実は、今でもそう思っています。



ここをそうじゃない、とこれまで書いてきたこともあって、

また手法じゃない、ってことなんだろ!!

と心のなかで思われたなら、私のブログの読者の中でも中級者以上でしょう(笑)


しかし、そういう読者の期待を裏切ることに快感を覚えている私としては、今回真逆のお話をしようと思っています。

相場手法で勝つことは可能である

ごちゃごちゃ言わないでも、勝てるやり方がわかれば勝てるようになる

というお話です。

もっと言えば、

圧倒的優位性を持った手法(システム、ロジック、やり方)さえわかれば、多少甘い資金管理であっても、多少マインドが弱くても、相場で勝つことは可能だ

という衝撃的な話です。

また、そういう人たちも実際に大勢います。

ということですが、長くなりますので、これはまた次回ということで。


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相場で勝つということ・・・3

2013/11/26 Tue

何でもいいから、とにかく勝てるようになりたい

これが多くの投資家の求めていることで、そのために、勝てる方法を知りたい、ということが目標になる、と書きました。

そして、

圧倒的優位性を持った手法(システム、ロジック、やり方)さえわかれば、多少甘い資金管理であっても、多少マインドが弱くても、相場で勝つことは可能だ

という話をする、ということで前回終わっています。

では、早速その話です。



ルネサンス・テクノロジーズというヘッジファンドは、ソロスファンドなどと比べると知る人ぞ知るというヘッジ・ファンドですので、知っている人は少ないと思います。
1988年にスタートしたファンドは、その後10年間で2487%の収益率をただきだし、その後もその勢いは止まっていません。
LTCMショック、リーマンショック、をプラスで乗り切りました。
驚くべきことに、リーマンショック時の2008年には80%という驚異的リターンをあげています。

この通算成績は、有名なソロスファンドやタイガーファンドを大きく上わまわる成績です。

ルネサンスを率いるのは、ジェームズ・シモンズ。
彼は、物理学者です。
ルネサンスの従業員は、200名ほど。
その3分の1が物理学や数学の博士号を持っています。
金融の専門家ではない、というところがポイントです。

現在、シモンズの個人資産だけで1兆円に膨れ上がっていますので、名実共に世界のトップパフォーマーです。

では、何をやってこれだけのパフォーマンスを上げているのか、というと、「数学、物理学を駆使したシステム、手法を完成し、それをシステマチックに運用している」ということがわかっています。

いわゆる、儲かるやり方、手法を見つけ出し、それをシステムとして機械的に運用しているのがルネサンスだ、ということです。

要するに、

圧倒的優位性を持った手法で勝っているファンドである

ということになります。

初心者が考えている理想の姿がこのルネサンスなのでしょう。

ほら見ろ、やっぱりやり方さえわかれば勝てるんだ

ということになりまね。

では、どんなやり方で勝っているのか、となりますが、これは、世界中のあらゆるヘッジファンドや投資銀行などが真似しようと狙っていますが、その具体的手法は謎のままです。
当然の事とは言え、その手法は厳密に極秘事項とされています。

はっきりとわかっていることは、

①短期売買である
②裁量ではなくシステム売買である
③LTCMショックやリーマンショックを乗り越えていることから、裁定取引やサブプライムといった派生商品を駆使しているわけではない

ということだけです。

一説には、「HFTアルゴリズム」の先駆けという話もありますが、それも定かではありません。


さて、前回お話したように、ルネサンスは「圧倒的優位性を持った手法を駆使して勝ち続けている」代表的な事例です。

勝てるやり方さえわかれば勝てる、という代表格であり、それを駆使して、シモンズは、1兆円という個人資産を築きました。


そんなとんでもないファンドの話など、自分たちとは関係ない


と言われるかもしれません。

しかし、このファンドの事例からわかることは、

勝てるやり方さえわかれば相場で勝てるようになる

(もちろんリスク管理とかあるにせよ)

ということを証明しているのです。

これは、間違いのない事実です。

ですから、初心者の方が、「勝てるやり方を探そう、見つけ出そう」としている試みはあながち間違いではありません。

探せば、どこかに間違いなく「勝てるやり方」はこの世に現存しているのですから!!

少なくとも、ルネサンスと同じロジックがわかれば、勝てるのかもしれません。


この他にも、個人トレーダーレベルでも、独自のロジックによって、圧倒的パフォーマンスを出しているシステムトレーダーがいることは事実として私も知っています。
この人たちも、強力な優位性を持った手法を駆使して勝ち続けている人たちです。
規模はルネサンスに遠く及ばないでも、毎年堅実に利益を出しつつけているシステムトレーダーは大勢事実として存在します。




さて、ここからがちょっと問題になる部分ですが、じゃあ、俺も、私も、となる前にちょっとだけ注意点が必要なことがあります。

ちょっと話をわかりやすくするために、野球の話をします。

野球のピッチャーとして成功するためには、どのような努力をすればいいのでしょう。

2つ方法論があります。

①ストレート、カーブ、シュートなど従来からある投球術を地道な練習からマスターする

②魔球を開発する

通常野球少年が野球を始める時には、ほぼすべての少年が①の道筋を辿ります。
②を目指す少年もいるかもしれませんが、それは「巨人の星」の世界であって、簡単なことではないでしょう。

では、「魔球」というのは、絶対に不可能なことなのか。
と言えば、そうではなく、昔はカーブ、シュートしかなかった変化球に、フォークボールを誰かが開発し、そして、ナックルボールなど「魔球」でのし上がった大リーガーがいたわけです。

魔球開発は不可能ではない、ということです。

しかし、その場合、注意が必要なのは、

魔球を開発したのは、大リーガーなど、経験と実績、熟練があったからこそであった、ということ

魔球開発を知識も経験も技量もない初心者が考えても、100%に近く無駄な努力に終わる

ということでしょう。

圧倒的知識と経験、能力がある大リーガーが苦労に苦労を重ねて、開発できるかもしれないのが、魔球というものです。

じゃあ、自分で開発できないから、といって、「魔球の投げ方、使い方」が数万円で手ほどきしてもらえる、というほど世の中甘くはありません。
ネット上を探せば「この魔球をマスターすればあなたも大リーガーになれる方法が3万円で売っている」という可能性は皆無です。

そもそも「みんなが投げたらもうそれは魔球」ではありません。
ただの新種の変化球です。
オンリーワンの使い手であるが故に、魔球として意味があるのです。
もし、それが仮に本当に魔球であったとしても、ネット上で3万円で売られた時点で、魔球の効力は消え失せてしまうのです。



さて、トレードの世界に戻って考えてみた時、我々は、不思議な光景を目にすることになります。

初心者のほとんどが、魔球を手に入れようと努力している

という光景です。

そして、

1000円の本に「魔球の手ほどき」が書いている、と思っている

その本を読めば、練習しなくても、魔球の効力ですぐにでも勝てるようになる、と思っている。

確かに魔球は存在するし、それを使ってぼろ儲けしている人も確かに存在する。

しかし、しかし、しかし・・・それは初心者がちょっと考えたぐらいでわかるものだろうか。

あんたは、ジェームズ・シモンズばりの能力、組織、経験、知識があるんか?

部下に物理学の博士号を持った者が50名いるのか?

ジェームズ・シモンズさんがとてもやさしい人で、自分のやっていることを商材としてみんなに3万円で提供を始めた、なんてことはエイプリルフールの冗談か何かでしかありません。
また、もし3万円で提供されだしたのなら、その瞬間にそれは3万円の価値もないものに消え失せるでしょう。



私自身、昔、勝てるやり方探しを懸命にやりました。
しかし、その方法論たるや、誰でもが知っているような指数をちょこちょこいじくって、ここで買ってここで売って、というようなお粗末なものでした。
ボリンジャーを工夫して、ここで買ってここで売って、とか、そんなもので儲かるぐらいだったら、世の中に負ける人などいません。

(何故か情報商材の多くが判で押したようにボリンジャーが大好きなのは、一見すると儲かるように加工されているからでしょう。)

ジェームズ・シモンズのような力量がなかったが故に、普通の人が普通に考える程度の範囲にとどまっていた、ということでした。

勝てるやり方探し、というアプローチ、すなわち「魔球探し」という方法。

果たして、それは近道になるのでしょうか。

私は、残念ながら特別な才能はありませんでした。
必死で探した「魔球」でしたが、見つけることはできませんでした。

そこで「仕方がなく」私は、結局、従来からある、ストレートやカーブ、シュートを繰り返し練習する、という当たり前の方法で、やっと前に進むことができたのです。

魔球を探す暇あったら、たまには練習しろよな、その方が結局早いって

という理屈もあるのだよ、って話でした。

私が後悔しているのは、魔球探しに懸命に努力し、心血を注いで、時間を使ったのですが、同じその時間を、地味な練習売買に費やしていたら、結局、もっと早く、結果的に楽に、儲けられるようになったのではないか。

という思いが今でもすごくしているのです。

何年も何年も魔球探しに費やしたわけですが、そのほとんどが無駄な回り道でした。

ですから、まずは、地味であっても、従来からある相場の見方などをマスターし、実践経験を積んだほうが近道であった、ということも十分にあり得るのだ、と魔球探しをしている人にはお伝えしたいと思っています。




私が目が覚めたのは、野川ブートキャンプに入ってからでした。

そこで、行われたことは、

従来からある古びたやり方を繰り返し繰り返し練習させられたことです。

やってもやっても儲からない。

それでも、繰り返し繰り返し練習をする。

その繰り返しの中から、次第にわかってきたことは、

相場で取るというのは実はこういうことだったのか。

ということだった、というのは前にも書いたとおりです。

魔球を見つけることが相場で取ることではなかったのか、と理解した瞬間でした。


これは、とっても面白いことがあります。

やってみないとわからない

のです。

職人のおやっさんが、何故最初に単純作業を新人にさせるのか、というのと同じです。

まずは、実際に売買して、体で値動きを覚えないと、何も始まらないのですね。

頭のいい人は、理屈で考えて、すぐに小理屈で「そんなの意味ねえよ」って話にしてしまいますが、自分でやってみて、初めて「そういうことだったのか」ということが世にはいっぱい存在するのです。

ここで読んで「ふーん」と頭でわかったつもりでも、全然それはわかってはいません。

これは、ハワイを紹介しているテレビ番組を見て、ハワイをわかったつもりになっている人と同じです。



そして、そうやって時間をかけて、経験を積んでから、目利きができてから、魔球を探す、ということを考えても遅くない、のではないか、そう思うのです。

勝てる手法を見つける、ということは、投資家の究極の目標かもしれません。
この道何十年という強者がみんなこぞって探し回ってもなかなか見つからないものです。
それを、右も左もわからない初心者が最初からいきなり見つけられるものだろうか、という話でした。

私の経験から申し上げて、絶対に無理でしょう。

砂浜で、ダイヤの原石を見つけるようなものです。

ダイヤの原石は確かに存在する。
しかし、砂浜の中に埋もれている。
しかも、目利きすらない。


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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

旧ブログ:
あらなみの相場技術研究所

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