茨の道
2014/03/02 Sun
ザクさん、スーさん、よしこさん、励ましのコメントありがとうございます。
とても嬉しく読ませていただききました。
何が嬉しかったかというと、私が意図していることを3名ともがしっかりと読み取ってもらえていたからです。
なかなか伝えることが難しいし、精神論か、と言われてしまうようなことですが、相場を志すにあたってとても大切なことだと私は考えていますので、それが伝わっていたということは、拙い文章でも何かを伝えられた、ということだとわかりとても嬉しく思っています。
バァーっと突撃してあっという間に消滅するブログが多い投資系ブログの中で、前のYahooブログは2005年7月開設ですから、もうすぐ9年目となります。
ブログの更新回数はできれば週に1回程度はと思っているのですが、細く長くというスタンスで今後もやっていきたいと思っています。
前のブログの連載などを振り返って、今、改めて思うことを書いてみます。
前のブログで「茨の道」という連載を書いていました。
皆さん、どういう動機で相場の世界に足を踏み入れられたのかはわかりませんが、間違いなく、最初に、本なり、成功者の書いたブログなりを読んで参考にされたことだろうと思います。
簡単に儲けられるようになるようなことが多くの本には書いてあり、日々利益の報告をしているトレーダーのブログが溢れかえっています。
中には、この本を読めば、1億円も簡単に手に入る、というような本もたくさんあふれています。
それだったら、自分もその仲間入りに、と考えてもおかしくありません。
何冊か本を読んで、ブログを読んで、そして、そのとおりに相場を始められたことでしょう。
しかし、相場を実際に初めて、すぐに大きな違和感を感じられたことでしょう。
「本やブログに書いてあるほど相場は簡単じゃない。」
ということに気がつくのです。
最初は、上手くいかない理由として、
「まだ、勉強が足りないからだろう」
「知識をもっと身につけなくてはいけない」
と感じて、熱心な人は更に勉強に拍車がかかったことだと思います。
こうして、半年、1年、3年と相場を続けてきて、一向に利益が残らない自分を振り返って、次第に思ったのではないでしょうか。
「何かが違う。」
「自分がこうすれば相場で儲けられると思っていることとは違うのではないか。」
相場を始めたころは、「勉強不足」「知識不足」を儲からない理由にできていたが、さすがに何年も相場の勉強を続けていると、そうも行かなくなってくる(汗)
「本に書いてあることをしっかり勉強して、知識もしっかり身につけた。テクニカル分析もひと通り勉強したし、相場心理が大切だということをわかっている、しかし、結果として利益につながらない。」
さらに悪いことに、
「勉強すればするほど、相場が下手になっているように感じる。」
という人もおられるのではないでしょうか。
知識に反比例して相場で儲からなくなる、という驚愕の事実に直面した方もいたでしょう。
この事実は、これまでの受験勉強や資格の勉強と言った経験則、成功体験からすると、理解不能の出来事でしょう。
「おかしい、何かが違う、しかし、その何かがわからない。」
別の人は、
「これまで勉強したことで、トータルとしてトントン程度までは確保できるのだが、利益を出していくというところまでは行かない。」
「利益が出て、相場が見えたと思ったら、すぐに損を出してしまうということが続き、結局年間を通じたら負けてしまう。」
「一時的に勝つことができても、どこまで行っても、トータルでは負ける。」
このような状態がしばらく続くと、
「これはやり方が悪いのではないか」
「もっと勝てる方法を探さないといけない」
と考えて、高額のセミナーを受講したり、情報商材を買ってみたりと、手を尽くすこともあったでしょう。
しかし、その結果はどうでしょう。
「何も変わらない」
ではなかったでしょうか。
自分がこうして、暗中模索している中で、相変わらず、勝っている人のブログとかを読むと、今日も勝った、明日も勝った、と威勢がよい。
「こんなに努力しても、自分だけがダメなのか、自分は相場に向いていないのではないか。」
そう感じられた方も多いのではと思います。
「俺のことが何故わかるのだ」
と思った方も大勢おられると思います。
何故なら、私もその1人だったからです。
なので、そういう人の気持ちはとてもよくわかります。
私が辿ってきた道だからです。
年数を重ねた人ほど、それなりに努力してきたという自負もありますので、はっきりと人に言える人はとても少ないのですが、
「何年も努力を続けてきたが、結局相場で儲けることができないでいる。」
という状態に陥っている人は実は大半だ、というのが相場界の実態であることは、過去からずっと変わらない事実です。
しかし、一方で、本を読むと、相場を初めて、半年、1年は苦労したが、それからは右肩上がりで、数年後には1億円になった、という人が大勢いるように思えます。
だから自分だって、と思ってしまうのですが、そういう短期間で成功した人は、実は相当稀で、天性のものがある人に限られている、と私は考えています。
1000人中1人いるかいないかの才能の持ち主だと思っています。
私を含めて、他の999人の凡才が、その天性の人の真似をしようとしても所詮は無理なのです。
では、そういう特殊な才能の無い凡人は、相場をやる資格が無いのだろうか。
いくら努力しても無駄なのか。
この答えを私の実体験からこうやってブログに書いています。
先ほどから、「相場で勝とうとして努力している」というフレーズが何度も出てきています。
この「努力」ですが、ほとんどの人の「努力」が、その「努力の方向が間違っている」ということに私は気がつきました。
どう間違っているのか、というと「勝てる方法を探そうと努力している」というのがほぼ全ての人の努力の方向だからです。
しかし、相場で勝てないでいる人の目利き程度で、「世界中の熟練トレーダーが追い求めている強いエッジを持った道具」が見つかる確率は極めて低い、と言わざるを得ないことはこの前書いたとおりです。
目利きの無い人が、広大な砂浜で、ダイヤの原石を探しているようなものです。
そもそも、テクニカル分析をチョコチョコといじったようなことで、簡単に相場が儲かるのなら、世界中の投資家で損する人はいません。
また、「強いエッジを持った道具」が1000円の本に書いてある、3万円の商材に書いてある、ということも理屈上あり得ない、ということもこの前書きました。
そもそも、情報商材の体験談が全て事実なら、何で未だに相場で損する人が大半なのでしょう。
さらには、やっと見つかったとしても、そういう「それがわかれば儲かるようなエッジ」の寿命は短い、ということも書きました。
じゃあ、そういうエッジ、勝てるやり方、を見つけられなければ、相場で勝つことは不可能なのか。
ここで、もうひとつの道がある、ということを書きました。
従来からある無骨な道具であっても、その使い方を繰り返し練習し、熟練すれば、勝てるチャンスはある
というアプローチです。
無骨な道具とは、既に知られているテクニカルアプローチであり、分割などのテクニックでも構いません。
「ナンピン」のことを書くと、すぐに否定したがる人がいますが、そういう人こそ「やり方」にこだわっているのです。
やり方が答えじゃないということを何もわかっていないと自分で言っているようなものです。
そういう道具を使いこなせるだけの腕と目利きを身に付ければ、時間はかかっても、一歩一歩前進していける、ということをこれまで書きました。
一方で、勝てる方法探しを続けていては、何年努力しても、前に進むことができません。
腕と目利きは、初心者のままです。
こういう「相場歴10年目の初心者」という人は非常に大勢います。
話をしても、驚くほど相場のことを知りません。
何もわかっていない、と言ってもいいぐらいに相場のことを知りません。
何年努力しても、まるで進歩が無いのです。
何故か、というと、努力の方向が全て「やり方探し」に向いていたからです。
「勝てるやり方がわかったら実践を始める」
というアプローチを取る人がかなりいますが、中には、相場歴10年、実戦経験数回、という強者までいます(笑)
私は「飛行時間」という概念を大切にしています。
パイロットにおいては、チーフになるためには、絶対的な「飛行時間」が必要なのです。
つまり、経験値です。
繰り返しによって、培われてくる飛行時間こそ、力の源泉だ、ということは、パイロットでなくとも、トレーダーであっても、同じだと私は考えています。
同じ時間を使うのなら、繰り返せば上達することに時間を使うべきだ
というのが私の考え方です。
今、自分でやっていることは、上達することでしょうか。
何年も勉強されてこられた方であれば、もう知識は十分だと思います。
成功の経験、失敗の経験、その両方共が大切ですが、特に重要なのは、失敗の経験です。
ここも多くの誤解があって、失敗トレードは、やっても単なる無駄だ、と考えている人がとても多いことです。
しかし、自転車の練習にしても、スキーの練習にしても、「どれだけコケたか」ということが上達の道であるように、トレーダーにとっても、どれだけ失敗したか、という経験は得難い実戦経験となることは間違いありません。
私自身は、デイトレーダーですから、今でも誰よりも多くの損失、失敗トレードを日々積み重ねています。
1日10回失敗した人と、1ヶ月、相場を見ていただけの人、どちがら成長できると思いますか。
コケるのが怖いからといって、家で本を読んでいて、スキーが上達するでしょうか。
誰よりも、トリプルアクセルでコケたのは、浅田選手ではないでしょうか。
しかし、相場のアプローチにおいては、
「家で本を読んでスキーの上達を図る」
「正しい滑り方を理解してからゲレンデに行く」
ような人が実に多いのには驚きます。
ちょっと前にも、「半年ぶりに実践してみたが、2日負けたのでまたシミュレーションに戻る。」という人がいました。
典型的な方です。
勝てる方法が見つかるまで、永遠にシミュレーションを続けてください(笑)
ものごとには、失敗や試行錯誤がつきもの。そういう時期、期間が必ずある。
それなのに、株式投資をする人は、必ず「はじめから、そして一回の売買ごとに利益をあげなければいけない」と思っているのは、たいへん間違った考え方である。
これは、林輝太郎先生の
「株式上達セミナー」
の本の冒頭に書かれているものです。
この本を読んだ方も大勢おられると思いますが、こういう「本当に重要なところ」を飛ばしてい、やり方のみを読んでいるという人が多いと思います。
林先生というと、「ナンピン(しかも引かされナンピンと理解)」と「FAI(これは時代に最適化)」しかその著作から読み取っていない人が大半ですが、林先生は、繰り返し、「練習しろ、練習しろ」と本で書いておられます。
練習売買について、これだけ言及され、相場の厳しさを愛情を持って説かれているこういう著作を頭ごなしに批判する人も多いのですが、そういう人は、そこから「やり方のみしか読んでいない」のではないか、と思います。
「具体的なやり方」というのは、時代時代で変化することが相場の常です。
これは、林先生の本で紹介されていることとて例外ではありません。
こんなこと、相場をやる上においては、当たり前以上に「当たり前だのクラッカー」なことです(笑)
批判する人こそ、相場のことをわかっていない、となります。
それを批判されては、具体的なことなど書くことはできません。
10年後、100年後も通用しなくてはいけない、というルールなのなら、1日後とて変化する相場なのですから、具体的なことなど一切書けません。
しかし、一方で、林先生の考え方、相場の上達についてのアプローチは、時代を超えて残っていくものだと私は思っています。
相場が安易だと書いている本ばかりが溢れる中では、今でも異色の存在だと思います。
私が、このブログで書いていることは、この林先生の延長線上にあるものかもしれない、この本を開いて、そう改めて思いました。
最後に先ほどの本からもう一節。
株式売買の勉強は、生き字引のように、いろいろなことを「知る」ことではない。
もしそうなら、本を読む数に比例して上手になっていくはずである。
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