無自覚の怖さ
2015/02/04 Wed
コメントありがとうございます。
例によって、私のレスが遅くなってすみません。
参考になるコメントがありました。私のレスが長くなりますので、記事で書いておこうと思います。
悠々さんからのコメントです。
あらなみさん、はじめまして。3年近く前にFXを始めたものの、今なお勉強中の者です。当時ネット上の情報の怪しさに辟易しながら、あらなみさんの書評ブログに辿り着きました(立花さんの本、とても良いものでした)。
以来ずっとステルスで講義を受けていたのですが、この記事のパンさんへの返信に感銘を受け、思わず書き込んでしまいました。少し前の記事へのコメントですみません。
>「全部自分の都合」
まさしくはっとしました。自分も似たような事で悩んでいて、「期待通り含み益が出たのは良いけどどう見ても上値ブロックされてる、切りたいああ切りたい、でも利確はできるだけ遅らせろっていうし待つしかないのか……あーやっぱりナイアガラ来ちゃった」みたいな事の連続で、こういう場合にどうすれば良いのか分かりませんでした。
ですが恐らく(違ったらすみません)、こんなジレンマも結局は『自己都合』なわけですよね。自ら相場を動かす事ができない以上は相場に合わせて動くしか無い。……当たり前にも程があり、今まであらなみさんがそう言われる度にうなずいてきたというのに! 今回ようやく一歩先の意味に気がつけたように思います。初心者と上級者の差は、言葉の含意を受け取る能力にもあるのでしょう。
たぶん、決断そのものは自由なのだろうと思います。「どうにも上値重いし切ってドテン」「サポートが信頼できそうだから押し目買い」はどちらも相場に合わせようとした選択。しかし「損失出したくないから利確」「利益を引っ張る練習のために待ち」だと自己都合。相場判断そのものより自己都合で売買する事が、そして何よりそれに気づけていない事こそが大きな問題。とても大切な事を聞かせて――否、少しだけ解らせて頂きました。ありがとうございます。
(だってあらなみさんいつも言ってたじゃん! 俺自身いつも自分に言い聞かせてるじゃん! なのにまるで解ってないような事が、相場にはきっと沢山あるんだよ、俺たちゃ評論家じゃないんだ!)
……失礼しました。素人丸出しで大恥掻きそうで震えてます。毎年きれいにスプレッド分ずつ授業料払ってるような未熟者ですが、あらなみさんのおかげもあり取引内容自体は幾分ましになってきていると感じます。今後もご指導いただけたら幸いです。長文失礼しました。
悠々さん、ご自分で気がつかれたのですね。
「全部自分の都合」
これはなかなかできることではありません。
基本無自覚にやっているので、自分で気がつくことは稀です。
この件も含めなのですが、まさしく悠々さんが書いておられるように、人というのは、
やってはいけないと知っているのに、無自覚でやっていること
ということが、実に多いのです。
他人のことなら気がついても、自分のこととなると、まるでわかっていない、ということは実は非常に多いんです。
例えば、
待たされると、イライラする癖に、平気で人を待たせる
あの人は人の話を聞かない、といいながら、自分は全然人の話しなど聞いていない
人の話を全く聞かずに、自分のことしかしゃべらないから、会話が成立しない
なんだあいつ偉そうに、というあなたがもっと偉そうなんですけど
人が困っている時にまるで助けようとしない癖に、自分が困っている時、誰も助けてくれない、と怒る
政治家は自分の事しか考えていない、と文句を言うが、それを言っている本人こそ自己中で、自分勝手
あの人は本当に迷惑な人だ、と言っているあなたが今やっていることこそ本当に迷惑なんですけど
人から無視されたと怒るのだけど、自分こそ全く他人に配慮しない
高校生が電車の車内でうるさい、と言っているおばさまたちの方がよほどうるさい
ニュースを見て、ひどい奴がいるものだ、というあなたのやっていることの方がよほどひどいですから
メールの返事よこさない、と言っているあなたからきちんと返事もらったこと無いんですけど
世話をしたのに感謝もない、と文句言っているあなた、自分が世話をされても、一言もありませんよね
とまあ、いくら書いても書ききれないほど、自分のこととなると、見えてはいないのです。
これは、基本的に、人は自己中心的であり、結局は、自分の事にしか興味が無い、ということから来ています。
その傾向が強いか弱いかはあっても、大なり小なりこの思考の癖はある、ということです。
本人には、悪気は無く、気がつかないだけで、特に「天然系」の傾向がある人はこういうことを本当に平気でやってしまいます。
見ていて、見事過ぎて、笑ってしまうことすらあります。
トレードでもこの傾向は同じです。
自分はきちんとやっている。
ルールに基いてちゃんと相場を張っている。
そういいながらも、やっている内容を見ればメチャメチャ。
感情の赴くまま、自分の都合のまま、守銭奴むき出しで、それを隠そうともしない、という感じです。
そもそも自覚が無いから、隠すこともできないのですが。
相場は相場に対して正しくあるべきであって、拝金主義になって、守銭奴になったら、相場では確実に負けます。
相場は相場の都合で動いているのであって、その人が勝とうが負けようが、そんなことは全く関係ありません。
しかし、本人は、守銭奴になっている自分自身に対する自覚が全くといって無いことが多いのです。
守銭奴になれば、結果的に、相場に追い込まれて、最悪のところで売買してしまう結果となることは、目に見えているわけです。
相場がそのように動くからです。
というより、むしろ、大勢が守銭奴となって自爆することで、そういう値動きを自らが演出するという結果になるわけです。
回りから見れば、「何熱くなってんだ」そんなことしてたら負ける、ということがわかっていても、本人にはその自覚が無いのです。
tenさんが同じことで、次のように書かれています。
株をやりはじめた頃はわかっている様でわかってない事や頭ではわかったつもりになっていてもいざ戦場に出ると自分の行動と考えのチグハグを正していく事からはじまり・・・
このとおりですね。
わかっているつもりで、戦場に出れば、全部すっ飛んでしまって、まるで行動が伴わない、という事体に陥るわけです。
理屈で知っていることと、実際にできることとはまるで違います。
知行合一、といいますが、まさにこのことです。
こうやって今私の書いたことを読んでいても、「誰か他の人のことでしょ。」という感じで、実際に守銭奴やっている人が読んでいることを私はよく知っています(笑)
自分のことだとはつゆほども思っていないのです。
この
無自覚
ということが実に恐ろしくて、先ほどの「天然ボケで平気で人に迷惑をかける」のと同じ状態になっています。
悠々さんが図らずも書いておられるように、わかっているはずで、そうしてはいけないと自覚しているはずなのに、やっていることは、全然違う、普通にやってしまっている、ということが頻繁に起きるわけです。
上級者に指導される機会がある幸運な人を除けば、そういう自分を修正してもらえる機会は殆どの人が持っていません。
というより、そういう千載一遇とも言える幸運でさえ、自分勝手な目先の欲望で、反故にしてしまう、自分の思いを優先してしまう、という事態が起きるということを知っています。
それほどに、自己都合取引というのは、深刻で抜けることが難しいと言えるでしょう。
逆に言えば、そういうほとんどの人が克服できないままの困難さを克服できたからこそ、少数の勝ち組へ脱皮できたのだ、とも言えるのだと思います。
簡単に克服できることなら、みんなとっくにやっています。
結果として、無手勝流で、自分勝手なトレードを延々と続けることになってしまうのです。
そして、自分では、
きちんとやっているつもりになっているから、何故上手く行かないのだろう
と頭を抱えることになるわけですが、
実は、全然きちんと出来てなどいないことがそもそもの原因なんです。
これは、自己中で自分勝手な自分都合取引だけではありません。
他にもいくらでもそのようなことは起こっています。
ただ、無自覚なだけなんです。
全部、やってはいけない、とわかっているけど、無自覚でやっている、というところに問題があることです。
では、どうしてその悪の状態から脱出するのか、ですが、先ほど書いたように、上級者が見れば、簡単に見抜きます。
何故なら、そういう状態を克服できた人が上級者だからです。
しかし、そういう機会が無い人はどうすればいいのか、というと、一つあるのは、自分のトレードを客観視するために、トレード記録を詳細につける、ということがあります。
何故エントリーしたのか、何故エクジットしたのか
これを詳細に記録するのです。
こうすると、「そこで書いた何故」という部分に問題が出てくることが多々あることに気がつくでしょう。
こういう記録を取っていないと、どうしても、客観的に自分のトレードが見れないことから、無自覚におかしなことをやっていることが、記録を取ることで炙り出されてくるわけです。
そこで書いたことが、相場の都合であったのか、それとも自分の都合であるのか、はっきりと見えてきます。
それだけではなく、トレードを客観視することによって、自分は何をしていたのか、が改めて気がつくことにもなってきます。
自分でやっている売買は、ご自分が思っているほどわかってはいません。
自分で何をやっているのか、はっきりと自覚できている人は多くない、と思います。
その場、その場では、取ろう、取ろう、勝ちたい、勝ちたい、当てたい、当てたい、ということが必死で、気がつけば、守銭奴となっている、ということに陥ってしまうからです。
実戦とシミュレーションが何故これほど違うのか、と気がつかれた方もおられるかと思いますが、金がかかると人は変わります。
こういう記録は、面倒なので、やっていない人がほとんどですが、これをやると、かなり違ってくると思います。
1000本ノックで、より効果的に練習する方法は、練習記録をきちんとつける、という地味で面倒なことなんです。

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例によって、私のレスが遅くなってすみません。
参考になるコメントがありました。私のレスが長くなりますので、記事で書いておこうと思います。
悠々さんからのコメントです。
あらなみさん、はじめまして。3年近く前にFXを始めたものの、今なお勉強中の者です。当時ネット上の情報の怪しさに辟易しながら、あらなみさんの書評ブログに辿り着きました(立花さんの本、とても良いものでした)。
以来ずっとステルスで講義を受けていたのですが、この記事のパンさんへの返信に感銘を受け、思わず書き込んでしまいました。少し前の記事へのコメントですみません。
>「全部自分の都合」
まさしくはっとしました。自分も似たような事で悩んでいて、「期待通り含み益が出たのは良いけどどう見ても上値ブロックされてる、切りたいああ切りたい、でも利確はできるだけ遅らせろっていうし待つしかないのか……あーやっぱりナイアガラ来ちゃった」みたいな事の連続で、こういう場合にどうすれば良いのか分かりませんでした。
ですが恐らく(違ったらすみません)、こんなジレンマも結局は『自己都合』なわけですよね。自ら相場を動かす事ができない以上は相場に合わせて動くしか無い。……当たり前にも程があり、今まであらなみさんがそう言われる度にうなずいてきたというのに! 今回ようやく一歩先の意味に気がつけたように思います。初心者と上級者の差は、言葉の含意を受け取る能力にもあるのでしょう。
たぶん、決断そのものは自由なのだろうと思います。「どうにも上値重いし切ってドテン」「サポートが信頼できそうだから押し目買い」はどちらも相場に合わせようとした選択。しかし「損失出したくないから利確」「利益を引っ張る練習のために待ち」だと自己都合。相場判断そのものより自己都合で売買する事が、そして何よりそれに気づけていない事こそが大きな問題。とても大切な事を聞かせて――否、少しだけ解らせて頂きました。ありがとうございます。
(だってあらなみさんいつも言ってたじゃん! 俺自身いつも自分に言い聞かせてるじゃん! なのにまるで解ってないような事が、相場にはきっと沢山あるんだよ、俺たちゃ評論家じゃないんだ!)
……失礼しました。素人丸出しで大恥掻きそうで震えてます。毎年きれいにスプレッド分ずつ授業料払ってるような未熟者ですが、あらなみさんのおかげもあり取引内容自体は幾分ましになってきていると感じます。今後もご指導いただけたら幸いです。長文失礼しました。
悠々さん、ご自分で気がつかれたのですね。
「全部自分の都合」
これはなかなかできることではありません。
基本無自覚にやっているので、自分で気がつくことは稀です。
この件も含めなのですが、まさしく悠々さんが書いておられるように、人というのは、
やってはいけないと知っているのに、無自覚でやっていること
ということが、実に多いのです。
他人のことなら気がついても、自分のこととなると、まるでわかっていない、ということは実は非常に多いんです。
例えば、
待たされると、イライラする癖に、平気で人を待たせる
あの人は人の話を聞かない、といいながら、自分は全然人の話しなど聞いていない
人の話を全く聞かずに、自分のことしかしゃべらないから、会話が成立しない
なんだあいつ偉そうに、というあなたがもっと偉そうなんですけど
人が困っている時にまるで助けようとしない癖に、自分が困っている時、誰も助けてくれない、と怒る
政治家は自分の事しか考えていない、と文句を言うが、それを言っている本人こそ自己中で、自分勝手
あの人は本当に迷惑な人だ、と言っているあなたが今やっていることこそ本当に迷惑なんですけど
人から無視されたと怒るのだけど、自分こそ全く他人に配慮しない
高校生が電車の車内でうるさい、と言っているおばさまたちの方がよほどうるさい
ニュースを見て、ひどい奴がいるものだ、というあなたのやっていることの方がよほどひどいですから
メールの返事よこさない、と言っているあなたからきちんと返事もらったこと無いんですけど
世話をしたのに感謝もない、と文句言っているあなた、自分が世話をされても、一言もありませんよね
とまあ、いくら書いても書ききれないほど、自分のこととなると、見えてはいないのです。
これは、基本的に、人は自己中心的であり、結局は、自分の事にしか興味が無い、ということから来ています。
その傾向が強いか弱いかはあっても、大なり小なりこの思考の癖はある、ということです。
本人には、悪気は無く、気がつかないだけで、特に「天然系」の傾向がある人はこういうことを本当に平気でやってしまいます。
見ていて、見事過ぎて、笑ってしまうことすらあります。
トレードでもこの傾向は同じです。
自分はきちんとやっている。
ルールに基いてちゃんと相場を張っている。
そういいながらも、やっている内容を見ればメチャメチャ。
感情の赴くまま、自分の都合のまま、守銭奴むき出しで、それを隠そうともしない、という感じです。
そもそも自覚が無いから、隠すこともできないのですが。
相場は相場に対して正しくあるべきであって、拝金主義になって、守銭奴になったら、相場では確実に負けます。
相場は相場の都合で動いているのであって、その人が勝とうが負けようが、そんなことは全く関係ありません。
しかし、本人は、守銭奴になっている自分自身に対する自覚が全くといって無いことが多いのです。
守銭奴になれば、結果的に、相場に追い込まれて、最悪のところで売買してしまう結果となることは、目に見えているわけです。
相場がそのように動くからです。
というより、むしろ、大勢が守銭奴となって自爆することで、そういう値動きを自らが演出するという結果になるわけです。
回りから見れば、「何熱くなってんだ」そんなことしてたら負ける、ということがわかっていても、本人にはその自覚が無いのです。
tenさんが同じことで、次のように書かれています。
株をやりはじめた頃はわかっている様でわかってない事や頭ではわかったつもりになっていてもいざ戦場に出ると自分の行動と考えのチグハグを正していく事からはじまり・・・
このとおりですね。
わかっているつもりで、戦場に出れば、全部すっ飛んでしまって、まるで行動が伴わない、という事体に陥るわけです。
理屈で知っていることと、実際にできることとはまるで違います。
知行合一、といいますが、まさにこのことです。
こうやって今私の書いたことを読んでいても、「誰か他の人のことでしょ。」という感じで、実際に守銭奴やっている人が読んでいることを私はよく知っています(笑)
自分のことだとはつゆほども思っていないのです。
この
無自覚
ということが実に恐ろしくて、先ほどの「天然ボケで平気で人に迷惑をかける」のと同じ状態になっています。
悠々さんが図らずも書いておられるように、わかっているはずで、そうしてはいけないと自覚しているはずなのに、やっていることは、全然違う、普通にやってしまっている、ということが頻繁に起きるわけです。
上級者に指導される機会がある幸運な人を除けば、そういう自分を修正してもらえる機会は殆どの人が持っていません。
というより、そういう千載一遇とも言える幸運でさえ、自分勝手な目先の欲望で、反故にしてしまう、自分の思いを優先してしまう、という事態が起きるということを知っています。
それほどに、自己都合取引というのは、深刻で抜けることが難しいと言えるでしょう。
逆に言えば、そういうほとんどの人が克服できないままの困難さを克服できたからこそ、少数の勝ち組へ脱皮できたのだ、とも言えるのだと思います。
簡単に克服できることなら、みんなとっくにやっています。
結果として、無手勝流で、自分勝手なトレードを延々と続けることになってしまうのです。
そして、自分では、
きちんとやっているつもりになっているから、何故上手く行かないのだろう
と頭を抱えることになるわけですが、
実は、全然きちんと出来てなどいないことがそもそもの原因なんです。
これは、自己中で自分勝手な自分都合取引だけではありません。
他にもいくらでもそのようなことは起こっています。
ただ、無自覚なだけなんです。
全部、やってはいけない、とわかっているけど、無自覚でやっている、というところに問題があることです。
では、どうしてその悪の状態から脱出するのか、ですが、先ほど書いたように、上級者が見れば、簡単に見抜きます。
何故なら、そういう状態を克服できた人が上級者だからです。
しかし、そういう機会が無い人はどうすればいいのか、というと、一つあるのは、自分のトレードを客観視するために、トレード記録を詳細につける、ということがあります。
何故エントリーしたのか、何故エクジットしたのか
これを詳細に記録するのです。
こうすると、「そこで書いた何故」という部分に問題が出てくることが多々あることに気がつくでしょう。
こういう記録を取っていないと、どうしても、客観的に自分のトレードが見れないことから、無自覚におかしなことをやっていることが、記録を取ることで炙り出されてくるわけです。
そこで書いたことが、相場の都合であったのか、それとも自分の都合であるのか、はっきりと見えてきます。
それだけではなく、トレードを客観視することによって、自分は何をしていたのか、が改めて気がつくことにもなってきます。
自分でやっている売買は、ご自分が思っているほどわかってはいません。
自分で何をやっているのか、はっきりと自覚できている人は多くない、と思います。
その場、その場では、取ろう、取ろう、勝ちたい、勝ちたい、当てたい、当てたい、ということが必死で、気がつけば、守銭奴となっている、ということに陥ってしまうからです。
実戦とシミュレーションが何故これほど違うのか、と気がつかれた方もおられるかと思いますが、金がかかると人は変わります。
こういう記録は、面倒なので、やっていない人がほとんどですが、これをやると、かなり違ってくると思います。
1000本ノックで、より効果的に練習する方法は、練習記録をきちんとつける、という地味で面倒なことなんです。

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