相場の近道
2016/02/02 Tue
こうやってブログを書いていると、時々、「相場を教えてほしい」という方からのメールやコメントをいただくことがあります。
そのやりとりが判で押したように同じになることが多くて、みんなが求めているものが何かということが非常によくわかるので、私も勉強になるのですが、簡潔にまとめると概ね次のような問答となります。
「相場を教えて下さい。」
(経験は、概ね半年~2年ぐらい)
「相場は現場で叩き上げるものなので、負けてもいいので、とにかく今は時間をかけて経験値を増やしてください。」
「どうすればいいのかわからないので、やり方やコツを教えて下さい。」
「何でもいいのでとにかくやってみてください。機械的なやり方でとりあえず始めるといいでしょう。」
「そんなんじゃ勝てないです。コツはありませんか。具体的な方法が知りたいです。」
・・・・
私は
「どうしても、(勝てる)やり方が知りたければ、他でやり方を教えてくれるところがいっぱいあるから、そこで教えてもらってください。」
と説明します。
そこからは、押し問答が繰り返されて、最後は、連絡が来なくなる。
こういうパターンが典型的に繰り返されます。
ここには、埋められない根本的な考え方の違い が存在しています。
すなわち、
どこかにコツがあって、それさえわかれば勝てるようになる
そう思っている人とは、どうしてもすれ違いを埋めることはできません。
まず、「相場を教えてくれ」という質問には、「勝てる方法を教えてくれ」「勝つコツを教えてくれ」という意味が含まれている、ということは、私も重々承知しています。
具体的なやり方やコツ・・・この言葉には、「勝てるような具体的やり方」「勝てるコツ」を教えてくれ、という意味が含まれています。
それもわかっています。
勝っている人に聞けば、そういうコツや勝てる方法を教えてくれるのではないか、という期待、があることも十分に承知しています。
とにかく、
最初からいきなり勝たねばいけない。勝たないと意味がない。
そう思っている、というより、そもそも勝てると思っているわけです。
そのためには、「勝てる方法を勝っている人なら知っているはずだ。」という思いがあるのでしょう。
でも、少し論理的に考えてみれば、簡単にわかることですが、
短期売買で、相場をやっているほとんどの人は負けている
という事実に目をそらさなければ、初心者がのこのこやってきて、最初から勝てる道理などどこにもありません。
そんな簡単に人に教えられるようなコツをあるのだったら、何故このネット社会で情報開示が進んでいる現代で明らかにされていないのか、不思議に思いませんか。
知っただけで簡単に勝てるコツ、が存在するのだったら、誰かがバラして、今頃ネット上にばらまかれていますよ。
株式市場の難しいところは、4000銘柄という銘柄数にあるんです。
そういう迷宮のような大量の対象物に対して、
何の土地勘も持たない門外漢
セクターとか、銘柄とか、そんなこともほとんどわからない人
がのこのこやってきて、いきなり勝てる、と思っている方がどうかしてるんじゃないか、ってわかっている人なら誰だって思います。
個別株投資家歴10年とかなら、まだペーペーの部類です。
投資歴1年、本を数冊読んで、1~2回無料セミナーに行って、色々理屈を身につけて、それでいきなり勝てるのなら、相場で負ける人などこの世に存在しませんよ。
それぐらいのこと、誰だってやっています。
自分だけじゃないです。
お金がかかっているのだから、誰だってそれなりに必死だし、努力もしています。
それでも、死者累々というのが相場の実態なんです。
そういう「当たり前のこと」がわからないほど、経験がないってことなんです。
「簡単に勝てるようになれるコツ」を聞いてくる時点で、自分が如何に甘い考えでやっているかを晒しているのと同じなんです。
ただ、そう思う気持ちはよくわかります。
でも、残念ながら、そういう
勝てる人に聞いたら、近道がある
という甘い考えはお捨てになったほうが懸命です。
そういう尊師依存症の人が大勢おられることも承知しています。
でも、そういった尊師を探している暇があったらやることが他にあるだろう、って思います。
近道を探していては、結局、遠回りをすることになるんです。
ここで言っている意味、わかる人にはわかると思います。
近道を探さない
これがコツと言えばコツなのかもしれません。
結局、近道探しをしている時間が無駄になるんです。
近道を探している時間があるのだったら、遠回りに見えても、一歩でも前に進んだもの勝ちだ
ってことなんですよ。
そんなに具体的なやり方が知りたければ、林先生の本を数冊読めば、初心者向けの練習方法もしっかりと書いてくださっています。
ただ、読んだだけで勝てるなんていうことは絶対にあり得ません。
本を読んで、年単位の練習を積んで、上手くなれば、勝てる可能性がある、ってことだけです。
初心者が思っているよりも、遥かに時間のかかるものだと思いますよ。
初心者の方は、頭でっかちの方がすごく多くて、いわゆるエロ本中学生の類なんですが、
相場は、知識の多寡を競うものではなく、上手い下手のある技術職なんです。
上手い下手というのは、知っているか知っていないか、ではなく、鍛錬して上達するものなんです。
そこがまるでわかっておられないと思います。
前にプロのピアニストになるためには、どれほどの鍛錬と努力が必要か、ということについて書いたと思いますが、その道で稼ぐってことは、どんな道であっても、そんなに簡単にできることではありません。
これは、株が厳しいと言っているのではなく、どんな道でも簡単じゃない、って言っているんです。
そうでなければ、世の中、全員が投資家になってますよ(笑)
これも簡単な理屈じゃないでしょうか。
いつも書くことなので、私のブログを読んでくれている方には申し訳ないのですが、
ベテラン外科医は経験が長いからベテランなんです。
料理人、ピアニスト、大工、なんでも同じで、経験年数がものを言う世界というのは数多く存在します。
骨董品の鑑定士に簡単になれるコツを教えてくれ、というリクエストに答える術はありません。
みなさんの職場でも、4月に新人が入ってきて、次のように言ったら、どう対応されますか。
「あなたのようなベテランにすぐになれるコツをおしえてください。」
「最初から、ベテランと同じ働きをしたいので、簡単にベテランになれる方法を教えて下さい。」
こういう新人に対して、どのように答えますか。
そして、さらに言うなら、
みなさんの職場は、100人に一人しか給料をもらえないような厳しい世界ですか。
通常のお仕事というのは、普通の力があれば、仕事さえすれば、給料がもらえる仕組みの中でやっています。
それぞれに応じてにせよ、給料をもらっている以上は、その世界のプロとしてやっていけてるわけです。
そんな世界でも、先ほどの新人のようなことがあれば、誰だっておかしいと思うはずなんです。
一方で、こちらの世界は、ほとんどが負けているサバイバルな厳しさがある世界なんです。
その世界において、新人がいきなり勝てるはずだ、コツさえわかれば、と思っていること事体、について、どう答えればいいんでしょう。
繰り返し聞かれることなので、これが普通の考え方であることはわかるわけですが・・・なんだかなあ、って思うのですよ。
今回、書いたことは、初心者と相場で勝っている人との認識ギャップの一番大きな部分だと思います。
(敢えてここで「相場で勝っている人」と書いたのは、ベテランでも、初心者と同じ考え方を持ち続けている人が大勢いるからです。ちなみにその
ベテランさんは負け組です。)
私が、相場を長年やってきて一番後悔していることは何かと聞かれたら、次のように答えます。
勝てる方法を探して、勝っている人を探して、そういう探してきた時間を、実戦経験や練習・鍛錬に費やしてさえいれば、どれほどの無駄な時間を省けたことか
と。。。
この記事を読んだ人で、一人でもこのことに気がついてくれれば、無駄な時間、無駄なお金を使うことが避けれられるのに、と思いつつ・・・

人気ブログランキングへ
そのやりとりが判で押したように同じになることが多くて、みんなが求めているものが何かということが非常によくわかるので、私も勉強になるのですが、簡潔にまとめると概ね次のような問答となります。
「相場を教えて下さい。」
(経験は、概ね半年~2年ぐらい)
「相場は現場で叩き上げるものなので、負けてもいいので、とにかく今は時間をかけて経験値を増やしてください。」
「どうすればいいのかわからないので、やり方やコツを教えて下さい。」
「何でもいいのでとにかくやってみてください。機械的なやり方でとりあえず始めるといいでしょう。」
「そんなんじゃ勝てないです。コツはありませんか。具体的な方法が知りたいです。」
・・・・
私は
「どうしても、(勝てる)やり方が知りたければ、他でやり方を教えてくれるところがいっぱいあるから、そこで教えてもらってください。」
と説明します。
そこからは、押し問答が繰り返されて、最後は、連絡が来なくなる。
こういうパターンが典型的に繰り返されます。
ここには、埋められない根本的な考え方の違い が存在しています。
すなわち、
どこかにコツがあって、それさえわかれば勝てるようになる
そう思っている人とは、どうしてもすれ違いを埋めることはできません。
まず、「相場を教えてくれ」という質問には、「勝てる方法を教えてくれ」「勝つコツを教えてくれ」という意味が含まれている、ということは、私も重々承知しています。
具体的なやり方やコツ・・・この言葉には、「勝てるような具体的やり方」「勝てるコツ」を教えてくれ、という意味が含まれています。
それもわかっています。
勝っている人に聞けば、そういうコツや勝てる方法を教えてくれるのではないか、という期待、があることも十分に承知しています。
とにかく、
最初からいきなり勝たねばいけない。勝たないと意味がない。
そう思っている、というより、そもそも勝てると思っているわけです。
そのためには、「勝てる方法を勝っている人なら知っているはずだ。」という思いがあるのでしょう。
でも、少し論理的に考えてみれば、簡単にわかることですが、
短期売買で、相場をやっているほとんどの人は負けている
という事実に目をそらさなければ、初心者がのこのこやってきて、最初から勝てる道理などどこにもありません。
そんな簡単に人に教えられるようなコツをあるのだったら、何故このネット社会で情報開示が進んでいる現代で明らかにされていないのか、不思議に思いませんか。
知っただけで簡単に勝てるコツ、が存在するのだったら、誰かがバラして、今頃ネット上にばらまかれていますよ。
株式市場の難しいところは、4000銘柄という銘柄数にあるんです。
そういう迷宮のような大量の対象物に対して、
何の土地勘も持たない門外漢
セクターとか、銘柄とか、そんなこともほとんどわからない人
がのこのこやってきて、いきなり勝てる、と思っている方がどうかしてるんじゃないか、ってわかっている人なら誰だって思います。
個別株投資家歴10年とかなら、まだペーペーの部類です。
投資歴1年、本を数冊読んで、1~2回無料セミナーに行って、色々理屈を身につけて、それでいきなり勝てるのなら、相場で負ける人などこの世に存在しませんよ。
それぐらいのこと、誰だってやっています。
自分だけじゃないです。
お金がかかっているのだから、誰だってそれなりに必死だし、努力もしています。
それでも、死者累々というのが相場の実態なんです。
そういう「当たり前のこと」がわからないほど、経験がないってことなんです。
「簡単に勝てるようになれるコツ」を聞いてくる時点で、自分が如何に甘い考えでやっているかを晒しているのと同じなんです。
ただ、そう思う気持ちはよくわかります。
でも、残念ながら、そういう
勝てる人に聞いたら、近道がある
という甘い考えはお捨てになったほうが懸命です。
そういう尊師依存症の人が大勢おられることも承知しています。
でも、そういった尊師を探している暇があったらやることが他にあるだろう、って思います。
近道を探していては、結局、遠回りをすることになるんです。
ここで言っている意味、わかる人にはわかると思います。
近道を探さない
これがコツと言えばコツなのかもしれません。
結局、近道探しをしている時間が無駄になるんです。
近道を探している時間があるのだったら、遠回りに見えても、一歩でも前に進んだもの勝ちだ
ってことなんですよ。
そんなに具体的なやり方が知りたければ、林先生の本を数冊読めば、初心者向けの練習方法もしっかりと書いてくださっています。
ただ、読んだだけで勝てるなんていうことは絶対にあり得ません。
本を読んで、年単位の練習を積んで、上手くなれば、勝てる可能性がある、ってことだけです。
初心者が思っているよりも、遥かに時間のかかるものだと思いますよ。
初心者の方は、頭でっかちの方がすごく多くて、いわゆるエロ本中学生の類なんですが、
相場は、知識の多寡を競うものではなく、上手い下手のある技術職なんです。
上手い下手というのは、知っているか知っていないか、ではなく、鍛錬して上達するものなんです。
そこがまるでわかっておられないと思います。
前にプロのピアニストになるためには、どれほどの鍛錬と努力が必要か、ということについて書いたと思いますが、その道で稼ぐってことは、どんな道であっても、そんなに簡単にできることではありません。
これは、株が厳しいと言っているのではなく、どんな道でも簡単じゃない、って言っているんです。
そうでなければ、世の中、全員が投資家になってますよ(笑)
これも簡単な理屈じゃないでしょうか。
いつも書くことなので、私のブログを読んでくれている方には申し訳ないのですが、
ベテラン外科医は経験が長いからベテランなんです。
料理人、ピアニスト、大工、なんでも同じで、経験年数がものを言う世界というのは数多く存在します。
骨董品の鑑定士に簡単になれるコツを教えてくれ、というリクエストに答える術はありません。
みなさんの職場でも、4月に新人が入ってきて、次のように言ったら、どう対応されますか。
「あなたのようなベテランにすぐになれるコツをおしえてください。」
「最初から、ベテランと同じ働きをしたいので、簡単にベテランになれる方法を教えて下さい。」
こういう新人に対して、どのように答えますか。
そして、さらに言うなら、
みなさんの職場は、100人に一人しか給料をもらえないような厳しい世界ですか。
通常のお仕事というのは、普通の力があれば、仕事さえすれば、給料がもらえる仕組みの中でやっています。
それぞれに応じてにせよ、給料をもらっている以上は、その世界のプロとしてやっていけてるわけです。
そんな世界でも、先ほどの新人のようなことがあれば、誰だっておかしいと思うはずなんです。
一方で、こちらの世界は、ほとんどが負けているサバイバルな厳しさがある世界なんです。
その世界において、新人がいきなり勝てるはずだ、コツさえわかれば、と思っていること事体、について、どう答えればいいんでしょう。
繰り返し聞かれることなので、これが普通の考え方であることはわかるわけですが・・・なんだかなあ、って思うのですよ。
今回、書いたことは、初心者と相場で勝っている人との認識ギャップの一番大きな部分だと思います。
(敢えてここで「相場で勝っている人」と書いたのは、ベテランでも、初心者と同じ考え方を持ち続けている人が大勢いるからです。ちなみにその
ベテランさんは負け組です。)
私が、相場を長年やってきて一番後悔していることは何かと聞かれたら、次のように答えます。
勝てる方法を探して、勝っている人を探して、そういう探してきた時間を、実戦経験や練習・鍛錬に費やしてさえいれば、どれほどの無駄な時間を省けたことか
と。。。
この記事を読んだ人で、一人でもこのことに気がついてくれれば、無駄な時間、無駄なお金を使うことが避けれられるのに、と思いつつ・・・

人気ブログランキングへ