悪しき成功体験
2016/04/06 Wed
損切りについて、利益方向に相場が動けば、損を縮小する方向に損切りを動かしてもよいか、という質問がありました。
当初設定していた損切りを近づけるというのは何も問題がありません。
遠ざけたり、取り消すのがまずいだけです。
ただ、こういう小手先の問題は実は、大した問題ではありません。
問題は、なんといっても滑落死なんですね。
滑落死については、このシリーズで前にも記事にしていますので、読んで頂いた方も多いかと思いますが、非常に重要なことなので、繰り返しも含めて、再度記事を書いておきます。
何故滑落死が起きるのか、というと、「ザイル無し登山の成功体験」がそもそもの原因なんです。
つまり、
①損切りせずに戻ってよかった
②引かされナンピンして助かった
やっぱり我慢が大事だった!!
滑落された方の話を聞くと、ほぼ例外なくこういう成功体験を積んでおられます。
つまり、こういった「死への旅路の成功体験」こそが諸悪の根源なんです。
これを「史上最悪の経験」と言う人もいます。
戻ってよかったね、では絶対にありません。
勝率面から考えれば、損切りを頑張ったり、ナンピンした方が勝率は間違いなく上がりますが、しかし、これこそが落とし穴なんです。
この行為こそ、小さな期待リターンに対する無限大のリスクを背負う地獄行き列車に乗る行為なんです。
目先の勝ちにこだわって、プットオプションを売る行為と同じです。
ここをわかっていない人がほとんどです。
多くの投資家は、目先の勝負で今勝つかどうか、このポジションがどうなるか、にしか気が回っていません。
そこには、
このようなことを繰り返したらこの先何が起きるのか
というマクロ的な視点が無いんです。
トレードとは継続的取引なのだから、今回の勝負で勝つかどうか、よりも、長期的視点のほうが遥かに大事です。
目の前の勝負に勝つか負けるかという確率の視点しか持たずに、長期的な期待値の視点を持つ必要がいるわけです。
勝てないトレーダに共通するのは、短期的な視点でしかトレードを見ておらず、長期的観点が欠けている、ということです。
つまり、
損切り放置やナンピンで成功すれば、次も必ず同じことをする。
そうすれば、いずれ滑落することは明らかなんです。
つまり、滑落の原因を自ら作っているんです。
そうやって救われたことに満足して、つまり、目先のトレードで勝ったか負けたかにしか気持ちが向いていないから、そういう長期的視点でトレードを見れていないんです。
そんなことを繰り返していれば、今日死ななくても、明日は死ぬ。いずれ確実に死ぬ。絶対に死ぬ。
相場に絶対は無いといいますが、規律を欠如したトレーダーの末路は、100%死あるのみです。
それが、自己規律を欠如したトレーダーの末路なんですよ。
例外など0.01%すらありません。
損切りできないトレーダーは、ザイルなしでロッククライミングしているのと同じです。
事故さえ起きなければ、重いザイルなど持たないで登った方が楽に決まっています。
命綱というのは、いざという滑落時のみに役立つわけであって、それ以外の時には邪魔にしかなりません。
損切りも同じです。
普段は、損切りなどしないほうがよかったという場面ばかりが続くんです。
それは、相場の性質を見ればわかりますが、
トレンドなど滅多に出ない
からなんです。
でも、損切りをせずに放置を続けていれば、いずれ絶対にトレンドにぶち当たることになります。
これが滑落死の正体です。
トレンドは滅多に出ないが、どこかでは確実に出る
これがトレンドであり、何故損切りが重要なのかということのバックボーンとなる相場の性質なんです。
損切りせずに、10回に1回、いや仮に100回に1回でもトレンドにぶち当たってしまえば投資家生命を絶たれるほとど打撃を受けるのですから、それを防ぐことは、何より優先するべき事項となります。
こういう背景から、規律を無くした投資家は、目先の勝利に喜んで、100%という恐ろしい死亡率の「死への旅路の切符」を自ら進んで買っているんです。
そういう人は、年間ではボロ負けしていても、たまたま当たった馬券に大喜びしている競馬ファンと同じです。
トレードとは、目先の勝敗を競うゲームではなく、年間でトータルして勝てばよいゲームなんです。
目先の勝敗という目線の延長線上に年間の勝利があると思っている人が多いようですが、それは違います。
目先の勝負はあくまでランダムです。
そんな単発の勝負に勝てたからといって無邪気に喜んで、えへんとなっている人こそ、トレードの本質をまるで理解していないことを晒しているようなものです。
目先の勝負では、やってはいけないことをしても、偶然に勝てることなど当たり前なんです。
そういうやってはいけないことをやって、偶然に勝ったことを成功体験にするから、地獄に落ちるんです。
そうではなく、
単に、損切りせずに助かった&やられた、ナンピンしてよかった&失敗した、という目先の勝敗だけの視点でトレードを捉えるのではなく、継続した取引の中で、何をすべきだったのか、何故自分がそうしてしまったのか、という本当の原因を探らないと、結局また同じことの繰り返しになるだけです。
私の回りを見ても、相場で安定して勝っているトレーダーで、損切りが下手、損切りができない、というトレーダーなど一人もいません。
これは、ただの一人の例外すら無いんです。
つまり、損切りが下手で、放置プレイが得意な人は、この「ただの一人の例外になる覚悟」を持たないといけない、ってことなんですよ(笑)
こう考えると、まず自分は何をすべきなのか、何をやってはいけないのか、絶対に守るべきこととは何か、簡単にわかるはずなんです。
私は、初めて合った人と相場の話をした時に、相手がどの程度の力量かを見るときに、損切りがきちんとできているかどうかを見ます。
目先で儲けることなど、お金さえあれば誰だってできるんです。何故ならトレードは短期的には偶然が左右するから。だから、勝ったトレードの話は、その人の力を判断する材料には全くなりません。
フォローであれば初心者とて簡単に勝てるんです。
でも、損切りは力量が問われます。
きちんと切るべきところで切れているかどうかは、その人の実力なんです。
フォローの時には誰でもそれなりの芸を見せれても、アゲンストになった時にこそ、その人のトレーダーとしての真価が見えるのです。
逆境に立った時、どう踏みとどまれるかどうか、それこそが力量というものだ
と思います。
トータルで利益を残せない理由のほとんどは、勝てないからではなく、負け方が下手だからなんです。
やり方を知らないからではなく、総崩れになるから最後は必ず敗北の道を歩むことになるんです。
何連勝しても、最後には必ずドボンするのだから、いくら勝っても実は同じことなんです。どうでもいいことなんです。そういう人はどうせ最後は負けて終わる決まりなのだから・・・このことに早く気がつくかどうかこそが勝ち残るつための最初の入り口なんです。
逆境にあまりにも脆すぎるんです。
そういう人は、何をやってもダメです。
色んなテクニカルを勉強して、セミナーにも通って、多くの本を読んで・・・でも、何年も何年も勝てないでいる人の多くは、ここのところができていない人が多いんです。
ちょこちょこ勝っても、どこかでずっこける、これを延々と繰り返しているのです。
こんなループを繰り返していては、一生涯トータルで勝てるはずがありません。しかも、悪いことに、そのことに本人は全く気がついていないのです。
こういう人がものすごく多いんですが、そもそも「相場はレンジとトレンドを繰り返している」という当たり前の事実に逆らうトレードをしているのだから、勝てるはずがないんです。
相場の本質に逆らって、心に優しいことをするから、相場に負けるのです。
こういう長期的な必敗のメカニズムの中で、目先の勝利ばかりを追いかけているから何年やっても負け組の苦杯を舐め続けるのです。
長年相場をやっていて勝てない人の話を聞けば、コツコツ勝つんだけど、どこかで最後はドボンする、という人が実に多いです。
いい加減、目先ではなく、自分がやっていることを長期的視点に立って、理解すべきだと思います。
そうでないと、いくら一生懸命に勉強しても、全てムダですよ。
相場の勉強は一生懸命にやるけれど、自分が何をやっているのか、まるで理解していないんです。
よくある話ですが、トヨタで2万儲けた、JFEで1万儲けた、という話ばかりを最初はしていて、でも、よくよく聞けば、パナソニックで50万やられて含み損がある、という典型的ヘタッピーのパターンがあります。
あれは別だから、あれは長期に持つから、とか言ってますが、そういうものをきちんと処理できない限りは、その他大勢の一人に過ぎないのだ、ということが本人にはわかっていないのです。
それぞれのトレードは、これからする1000回のトレードの最初の1回目なのだ。(トム・バッソ)
という視点が何よりも大事です。
そもそも、
個々のトレードが勝ったか負けたかなど、どうでもいいことです。
このどうでもいいこと、にこだわらなくなった時、やっとどうすれば勝てるのか、という入り口に立てるのです。

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当初設定していた損切りを近づけるというのは何も問題がありません。
遠ざけたり、取り消すのがまずいだけです。
ただ、こういう小手先の問題は実は、大した問題ではありません。
問題は、なんといっても滑落死なんですね。
滑落死については、このシリーズで前にも記事にしていますので、読んで頂いた方も多いかと思いますが、非常に重要なことなので、繰り返しも含めて、再度記事を書いておきます。
何故滑落死が起きるのか、というと、「ザイル無し登山の成功体験」がそもそもの原因なんです。
つまり、
①損切りせずに戻ってよかった
②引かされナンピンして助かった
やっぱり我慢が大事だった!!
滑落された方の話を聞くと、ほぼ例外なくこういう成功体験を積んでおられます。
つまり、こういった「死への旅路の成功体験」こそが諸悪の根源なんです。
これを「史上最悪の経験」と言う人もいます。
戻ってよかったね、では絶対にありません。
勝率面から考えれば、損切りを頑張ったり、ナンピンした方が勝率は間違いなく上がりますが、しかし、これこそが落とし穴なんです。
この行為こそ、小さな期待リターンに対する無限大のリスクを背負う地獄行き列車に乗る行為なんです。
目先の勝ちにこだわって、プットオプションを売る行為と同じです。
ここをわかっていない人がほとんどです。
多くの投資家は、目先の勝負で今勝つかどうか、このポジションがどうなるか、にしか気が回っていません。
そこには、
このようなことを繰り返したらこの先何が起きるのか
というマクロ的な視点が無いんです。
トレードとは継続的取引なのだから、今回の勝負で勝つかどうか、よりも、長期的視点のほうが遥かに大事です。
目の前の勝負に勝つか負けるかという確率の視点しか持たずに、長期的な期待値の視点を持つ必要がいるわけです。
勝てないトレーダに共通するのは、短期的な視点でしかトレードを見ておらず、長期的観点が欠けている、ということです。
つまり、
損切り放置やナンピンで成功すれば、次も必ず同じことをする。
そうすれば、いずれ滑落することは明らかなんです。
つまり、滑落の原因を自ら作っているんです。
そうやって救われたことに満足して、つまり、目先のトレードで勝ったか負けたかにしか気持ちが向いていないから、そういう長期的視点でトレードを見れていないんです。
そんなことを繰り返していれば、今日死ななくても、明日は死ぬ。いずれ確実に死ぬ。絶対に死ぬ。
相場に絶対は無いといいますが、規律を欠如したトレーダーの末路は、100%死あるのみです。
それが、自己規律を欠如したトレーダーの末路なんですよ。
例外など0.01%すらありません。
損切りできないトレーダーは、ザイルなしでロッククライミングしているのと同じです。
事故さえ起きなければ、重いザイルなど持たないで登った方が楽に決まっています。
命綱というのは、いざという滑落時のみに役立つわけであって、それ以外の時には邪魔にしかなりません。
損切りも同じです。
普段は、損切りなどしないほうがよかったという場面ばかりが続くんです。
それは、相場の性質を見ればわかりますが、
トレンドなど滅多に出ない
からなんです。
でも、損切りをせずに放置を続けていれば、いずれ絶対にトレンドにぶち当たることになります。
これが滑落死の正体です。
トレンドは滅多に出ないが、どこかでは確実に出る
これがトレンドであり、何故損切りが重要なのかということのバックボーンとなる相場の性質なんです。
損切りせずに、10回に1回、いや仮に100回に1回でもトレンドにぶち当たってしまえば投資家生命を絶たれるほとど打撃を受けるのですから、それを防ぐことは、何より優先するべき事項となります。
こういう背景から、規律を無くした投資家は、目先の勝利に喜んで、100%という恐ろしい死亡率の「死への旅路の切符」を自ら進んで買っているんです。
そういう人は、年間ではボロ負けしていても、たまたま当たった馬券に大喜びしている競馬ファンと同じです。
トレードとは、目先の勝敗を競うゲームではなく、年間でトータルして勝てばよいゲームなんです。
目先の勝敗という目線の延長線上に年間の勝利があると思っている人が多いようですが、それは違います。
目先の勝負はあくまでランダムです。
そんな単発の勝負に勝てたからといって無邪気に喜んで、えへんとなっている人こそ、トレードの本質をまるで理解していないことを晒しているようなものです。
目先の勝負では、やってはいけないことをしても、偶然に勝てることなど当たり前なんです。
そういうやってはいけないことをやって、偶然に勝ったことを成功体験にするから、地獄に落ちるんです。
そうではなく、
単に、損切りせずに助かった&やられた、ナンピンしてよかった&失敗した、という目先の勝敗だけの視点でトレードを捉えるのではなく、継続した取引の中で、何をすべきだったのか、何故自分がそうしてしまったのか、という本当の原因を探らないと、結局また同じことの繰り返しになるだけです。
私の回りを見ても、相場で安定して勝っているトレーダーで、損切りが下手、損切りができない、というトレーダーなど一人もいません。
これは、ただの一人の例外すら無いんです。
つまり、損切りが下手で、放置プレイが得意な人は、この「ただの一人の例外になる覚悟」を持たないといけない、ってことなんですよ(笑)
こう考えると、まず自分は何をすべきなのか、何をやってはいけないのか、絶対に守るべきこととは何か、簡単にわかるはずなんです。
私は、初めて合った人と相場の話をした時に、相手がどの程度の力量かを見るときに、損切りがきちんとできているかどうかを見ます。
目先で儲けることなど、お金さえあれば誰だってできるんです。何故ならトレードは短期的には偶然が左右するから。だから、勝ったトレードの話は、その人の力を判断する材料には全くなりません。
フォローであれば初心者とて簡単に勝てるんです。
でも、損切りは力量が問われます。
きちんと切るべきところで切れているかどうかは、その人の実力なんです。
フォローの時には誰でもそれなりの芸を見せれても、アゲンストになった時にこそ、その人のトレーダーとしての真価が見えるのです。
逆境に立った時、どう踏みとどまれるかどうか、それこそが力量というものだ
と思います。
トータルで利益を残せない理由のほとんどは、勝てないからではなく、負け方が下手だからなんです。
やり方を知らないからではなく、総崩れになるから最後は必ず敗北の道を歩むことになるんです。
何連勝しても、最後には必ずドボンするのだから、いくら勝っても実は同じことなんです。どうでもいいことなんです。そういう人はどうせ最後は負けて終わる決まりなのだから・・・このことに早く気がつくかどうかこそが勝ち残るつための最初の入り口なんです。
逆境にあまりにも脆すぎるんです。
そういう人は、何をやってもダメです。
色んなテクニカルを勉強して、セミナーにも通って、多くの本を読んで・・・でも、何年も何年も勝てないでいる人の多くは、ここのところができていない人が多いんです。
ちょこちょこ勝っても、どこかでずっこける、これを延々と繰り返しているのです。
こんなループを繰り返していては、一生涯トータルで勝てるはずがありません。しかも、悪いことに、そのことに本人は全く気がついていないのです。
こういう人がものすごく多いんですが、そもそも「相場はレンジとトレンドを繰り返している」という当たり前の事実に逆らうトレードをしているのだから、勝てるはずがないんです。
相場の本質に逆らって、心に優しいことをするから、相場に負けるのです。
こういう長期的な必敗のメカニズムの中で、目先の勝利ばかりを追いかけているから何年やっても負け組の苦杯を舐め続けるのです。
長年相場をやっていて勝てない人の話を聞けば、コツコツ勝つんだけど、どこかで最後はドボンする、という人が実に多いです。
いい加減、目先ではなく、自分がやっていることを長期的視点に立って、理解すべきだと思います。
そうでないと、いくら一生懸命に勉強しても、全てムダですよ。
相場の勉強は一生懸命にやるけれど、自分が何をやっているのか、まるで理解していないんです。
よくある話ですが、トヨタで2万儲けた、JFEで1万儲けた、という話ばかりを最初はしていて、でも、よくよく聞けば、パナソニックで50万やられて含み損がある、という典型的ヘタッピーのパターンがあります。
あれは別だから、あれは長期に持つから、とか言ってますが、そういうものをきちんと処理できない限りは、その他大勢の一人に過ぎないのだ、ということが本人にはわかっていないのです。
それぞれのトレードは、これからする1000回のトレードの最初の1回目なのだ。(トム・バッソ)
という視点が何よりも大事です。
そもそも、
個々のトレードが勝ったか負けたかなど、どうでもいいことです。
このどうでもいいこと、にこだわらなくなった時、やっとどうすれば勝てるのか、という入り口に立てるのです。

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