人々に知れ渡った投資戦略の末路
2016/12/18 Sun
お久しぶりのぶりの照焼です。
brexitに引き続き、はたまたサプライズで、トランプが勝ったこと、そして、トランプが勝って上昇相場が起きたこと、ほんとびっくりの連続でした。想定外の連続ですね。
今年は、ほんとにサプライズイヤーとなりました。
これを見ても、如何にファンダメンタルを反映する相場の予測が難しいのか、ということがよくわかることだと思います。
さて、興味のそそられる記事がろんぐて〜るさんのツイッターで紹介されていましたので、それをご紹介したいと思います。
まずは、この記事を読んでみてください。
東証一部への昇格投資法は流行りすぎた!
何故、こういうことが起きるのでしょう。
この件については、前に記事にしたことがありますので、こちらも読んでいただければわかりやすいと思います。
独創性
こちらの記事で、小保方さんを絶賛している部分はすっとばしてもらって(笑)、その下からちょっと目を通していただければと思います。
人口に膾炙する (じんこうにかいしゃする)
ちょっとむずかしい言葉なんですが、意味は、「世間の人々に広く知れ渡り、もてはやされること。」ということです。
故事ことわざ辞典によると、「膾炙」の「膾」は、なますのことで、細かく切った肉や魚のこと。「炙」は、あぶった肉のこと。なますも炙り肉もごちそうで、誰の口にもおいしく感じられ、もてはやされることから、だそうです。
実は、このことが投資戦略においては重大な問題となってくるのです。
前の記事では触れていませんが、トレード戦略が何故大勢の知るところとなったらダメになるのか、という原点の疑問を考えてみようと思います。
何故この点に着目するのかというと、相場を理解する上で重要な手がかりとなるからです。
「せどり」ってご存知ですか。
せどりというのは、店舗の処分品や値付けが甘い商品を安く仕入れて、アマゾンなどのECサイトで高く売るビジネスの事です。
よく、ブックオフとかに行くと、盛んにスマホとかをいじりながら本を吟味している人を見かけませんか。
その人は、せどらー(せどりをしている人)なのかもしれません。
つまり、ブックオフで、甘い値付けがされている本などを買って、アマゾンやヤフオクで高く転売する、ということを狙っている人たちです。
他にも、ヤマダ電機のセールで買ったものをネットで転売するとか、価格差を狙ってサヤ抜きを利益に変えようと頑張っているせどらーさんたちが結構います。
では、せどらーさんたちの利益の源泉はどこにあるのでしょう。
それは、「甘い値付け」にあるわけです。
じゃあ、何故、甘い値付けが存在するのでしょう。
それは、物理的な条件があったりして、情報格差が生じ、その情報格差によって、甘い値付けが残ってしまうわけです。
その甘い値付けを狙って、サヤを抜こうとするのがせどらーのエッジなわけです。
つまりは、情報格差を利益の源泉としているのがせどりである、という言い方もできます。
もし、情報格差が起きなければ、そもそもアマゾンで1000円で売っている本を300円で売るわけがありません。
ここでのポイントは、
情報格差によって(つまり知らなくて)安く売っている人が存在する
ということが何よりも重要なのです。
さらに、そういう安値で売る人がいたとしても、同じせどらーが大勢いて、その300円めがけて押し寄せるような状況になれば、自分がその300円のものを買える隙間はほとんど無くなってしまいます。
つまり、このせどりが成功するためには、
①アマゾンで1000円で売れるものを300円という甘い値付けで売る人が存在すること
②その300円が安いということを知っているライバルが少ないこと
が条件となるのです。
ここで、条件変更をして、仮に、その本はアマゾンの中古で1000円で売れるのだ、ということをみんなが知ったと仮定します。
そうすると、何が起きるでしょう。
①300円という甘い値付けをする人が現れるのか
②300円で売られているその本が見逃されずに放置されているのか
と考えると、いずれもNOとなります。つまり、せどりが不成立となるのです。
ここで、この本についてのマーケットは効率化した、ということになるわけです。
つまり、せどりのチャンスは無くなった、ということなのです。
せどりとは、あくまでも隙間です。大勢が知ることによってせどりできるチャンスは閉じられるのです。
実は、このせどりチャンスもどんどん厳しくなっているのが現実です。
せどりということが、世間で知られるようになったことに加えて、ブックオフなどの業者も値付けをシステム化し、効率化していることがその原因なのです。
もうここまで書くと、次に私が何を書こうとしているのかは、誰しも読めることだと思いますが、一応(笑)簡単に書いておきます。
相場において、エッジとなる隙間は、人の目に触れにくい形でひっそりと存在することはあるのだけれど、本に書かれたり、ネットで評判になることによって、需給関係が効率化され、その隙間は閉じられることとなる
ということなのです。
①その値段で買えば儲かるということをみんなが知ることとなれば、誰がその値段で売るのでしょう
②その値段で買えば儲かるということをみんなが知っていれば、誰がそれを見逃すのでしょう
マーケットとは、売る人と買う人がバランスして初めて成立するものなのだ、という根源的な理由に根拠があることなんです。
こういうマーケットの構造を知らない人が、本を出版する毎に、ネットで書く毎に、投資戦略が1つ1つ消えていくことになっています。
相場というものは、売り手と買い手が双方同数出会ったところが価格となる、という大原則をもう一度しっかりと理解するべきだと思います。
自分が買いたいと思った価格で、同じように売りたいと思う人がいるから、売買が成立するのだ、ということです。
みんなが知っている勝てる方法が存在しないというのは、この大原則に基づく当然の結末なのです。
こういうことを知ってどうなる、と思われるかもしれませんが、人と同じことをする、ということがどういう意味を持つのかなど、マーケットの根本の理解を深めるのに重要なヒントになると私は思います。
NYリバーサルという225先物戦略も昔は有効に機能していたのですが、ある女性が本を出版した結果、一撃で有効性は消えてしまいました。
その本を出版した女性は、「先物は流動性が高いから大丈夫だ」と言っておられたのですが、マーケットの理解があまりにもお粗末だと言わざるを得ません。
結局、知る人ぞ知るその戦略でそれまで利益を得ていた少数の投資家への大迷惑以外、誰の得になることもなく、わずかな本の印税だけが彼女の手に入って終わり、という結末を迎えることとなりました。
本を買った人は全員儲からずに終わったことは言うまでもありません。
今後も、この手の本が出版される毎に、戦略が消えていくことになろうかと思います。
ですので、私は、この手の本が出版されれば読むようにしていますが、それは、他の読者とは違った目線であって、本の出版によって本で紹介された投資戦略の有効性が無くなることをわかっておくために読んでいるのです。
つまり、手品の種明かしをされたら、もうみんなが種を知っている手品は使えない、という意味で読むわけです。
こういうことを書くと、「じゃあ、やっぱり勝っている人というのは、人の知らない秘密の方法を知っているから勝っているのか!!」という疑問がわいてくるかもしれませんね。
システムトレードにおいては、かなりこのご意見は近いとは思います。やはり人には見えていないエッジが重要な役割を果たすものだと思います。
しかし、現実のシステムトレードのエッジなど、非常に小さなスライトエッジであることがほとんどなのですよ。
儲かるかどうか、もうぎりぎりの期待値の中で、相当な検証を重ねて微細なエッジをかすめ取る、というのが現実のシステムトレードなんです。
多くの人が考えているような、そんな簡単に勝てて、そのとおりやったら儲かってウハウハなど、ほぼ存在しない、というのが、私の知る範囲での現実のシステムの姿なのです。
一方で、裁量トレードにおいてのこの質問に対する私の考えですが、「確かにエッジのある戦略を知っていれば楽だけれど、それだけが勝てる理由ではありません。」ということになろうかと思います。
「手法など関係ない。どうでもよい。」という極論を言う人もいますが、逆に私はそれにも賛同しかねます。
トレード技術、目利き、トレード心理面、リスクコントロール面も大事だけれど、同じようにトレード戦略も大事なことに変わりはなく、総合力が大事である、ということだと思うのですね。

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brexitに引き続き、はたまたサプライズで、トランプが勝ったこと、そして、トランプが勝って上昇相場が起きたこと、ほんとびっくりの連続でした。想定外の連続ですね。
今年は、ほんとにサプライズイヤーとなりました。
これを見ても、如何にファンダメンタルを反映する相場の予測が難しいのか、ということがよくわかることだと思います。
さて、興味のそそられる記事がろんぐて〜るさんのツイッターで紹介されていましたので、それをご紹介したいと思います。
まずは、この記事を読んでみてください。
東証一部への昇格投資法は流行りすぎた!
何故、こういうことが起きるのでしょう。
この件については、前に記事にしたことがありますので、こちらも読んでいただければわかりやすいと思います。
独創性
こちらの記事で、小保方さんを絶賛している部分はすっとばしてもらって(笑)、その下からちょっと目を通していただければと思います。
人口に膾炙する (じんこうにかいしゃする)
ちょっとむずかしい言葉なんですが、意味は、「世間の人々に広く知れ渡り、もてはやされること。」ということです。
故事ことわざ辞典によると、「膾炙」の「膾」は、なますのことで、細かく切った肉や魚のこと。「炙」は、あぶった肉のこと。なますも炙り肉もごちそうで、誰の口にもおいしく感じられ、もてはやされることから、だそうです。
実は、このことが投資戦略においては重大な問題となってくるのです。
前の記事では触れていませんが、トレード戦略が何故大勢の知るところとなったらダメになるのか、という原点の疑問を考えてみようと思います。
何故この点に着目するのかというと、相場を理解する上で重要な手がかりとなるからです。
「せどり」ってご存知ですか。
せどりというのは、店舗の処分品や値付けが甘い商品を安く仕入れて、アマゾンなどのECサイトで高く売るビジネスの事です。
よく、ブックオフとかに行くと、盛んにスマホとかをいじりながら本を吟味している人を見かけませんか。
その人は、せどらー(せどりをしている人)なのかもしれません。
つまり、ブックオフで、甘い値付けがされている本などを買って、アマゾンやヤフオクで高く転売する、ということを狙っている人たちです。
他にも、ヤマダ電機のセールで買ったものをネットで転売するとか、価格差を狙ってサヤ抜きを利益に変えようと頑張っているせどらーさんたちが結構います。
では、せどらーさんたちの利益の源泉はどこにあるのでしょう。
それは、「甘い値付け」にあるわけです。
じゃあ、何故、甘い値付けが存在するのでしょう。
それは、物理的な条件があったりして、情報格差が生じ、その情報格差によって、甘い値付けが残ってしまうわけです。
その甘い値付けを狙って、サヤを抜こうとするのがせどらーのエッジなわけです。
つまりは、情報格差を利益の源泉としているのがせどりである、という言い方もできます。
もし、情報格差が起きなければ、そもそもアマゾンで1000円で売っている本を300円で売るわけがありません。
ここでのポイントは、
情報格差によって(つまり知らなくて)安く売っている人が存在する
ということが何よりも重要なのです。
さらに、そういう安値で売る人がいたとしても、同じせどらーが大勢いて、その300円めがけて押し寄せるような状況になれば、自分がその300円のものを買える隙間はほとんど無くなってしまいます。
つまり、このせどりが成功するためには、
①アマゾンで1000円で売れるものを300円という甘い値付けで売る人が存在すること
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ここで、条件変更をして、仮に、その本はアマゾンの中古で1000円で売れるのだ、ということをみんなが知ったと仮定します。
そうすると、何が起きるでしょう。
①300円という甘い値付けをする人が現れるのか
②300円で売られているその本が見逃されずに放置されているのか
と考えると、いずれもNOとなります。つまり、せどりが不成立となるのです。
ここで、この本についてのマーケットは効率化した、ということになるわけです。
つまり、せどりのチャンスは無くなった、ということなのです。
せどりとは、あくまでも隙間です。大勢が知ることによってせどりできるチャンスは閉じられるのです。
実は、このせどりチャンスもどんどん厳しくなっているのが現実です。
せどりということが、世間で知られるようになったことに加えて、ブックオフなどの業者も値付けをシステム化し、効率化していることがその原因なのです。
もうここまで書くと、次に私が何を書こうとしているのかは、誰しも読めることだと思いますが、一応(笑)簡単に書いておきます。
相場において、エッジとなる隙間は、人の目に触れにくい形でひっそりと存在することはあるのだけれど、本に書かれたり、ネットで評判になることによって、需給関係が効率化され、その隙間は閉じられることとなる
ということなのです。
①その値段で買えば儲かるということをみんなが知ることとなれば、誰がその値段で売るのでしょう
②その値段で買えば儲かるということをみんなが知っていれば、誰がそれを見逃すのでしょう
マーケットとは、売る人と買う人がバランスして初めて成立するものなのだ、という根源的な理由に根拠があることなんです。
こういうマーケットの構造を知らない人が、本を出版する毎に、ネットで書く毎に、投資戦略が1つ1つ消えていくことになっています。
相場というものは、売り手と買い手が双方同数出会ったところが価格となる、という大原則をもう一度しっかりと理解するべきだと思います。
自分が買いたいと思った価格で、同じように売りたいと思う人がいるから、売買が成立するのだ、ということです。
みんなが知っている勝てる方法が存在しないというのは、この大原則に基づく当然の結末なのです。
こういうことを知ってどうなる、と思われるかもしれませんが、人と同じことをする、ということがどういう意味を持つのかなど、マーケットの根本の理解を深めるのに重要なヒントになると私は思います。
NYリバーサルという225先物戦略も昔は有効に機能していたのですが、ある女性が本を出版した結果、一撃で有効性は消えてしまいました。
その本を出版した女性は、「先物は流動性が高いから大丈夫だ」と言っておられたのですが、マーケットの理解があまりにもお粗末だと言わざるを得ません。
結局、知る人ぞ知るその戦略でそれまで利益を得ていた少数の投資家への大迷惑以外、誰の得になることもなく、わずかな本の印税だけが彼女の手に入って終わり、という結末を迎えることとなりました。
本を買った人は全員儲からずに終わったことは言うまでもありません。
今後も、この手の本が出版される毎に、戦略が消えていくことになろうかと思います。
ですので、私は、この手の本が出版されれば読むようにしていますが、それは、他の読者とは違った目線であって、本の出版によって本で紹介された投資戦略の有効性が無くなることをわかっておくために読んでいるのです。
つまり、手品の種明かしをされたら、もうみんなが種を知っている手品は使えない、という意味で読むわけです。
こういうことを書くと、「じゃあ、やっぱり勝っている人というのは、人の知らない秘密の方法を知っているから勝っているのか!!」という疑問がわいてくるかもしれませんね。
システムトレードにおいては、かなりこのご意見は近いとは思います。やはり人には見えていないエッジが重要な役割を果たすものだと思います。
しかし、現実のシステムトレードのエッジなど、非常に小さなスライトエッジであることがほとんどなのですよ。
儲かるかどうか、もうぎりぎりの期待値の中で、相当な検証を重ねて微細なエッジをかすめ取る、というのが現実のシステムトレードなんです。
多くの人が考えているような、そんな簡単に勝てて、そのとおりやったら儲かってウハウハなど、ほぼ存在しない、というのが、私の知る範囲での現実のシステムの姿なのです。
一方で、裁量トレードにおいてのこの質問に対する私の考えですが、「確かにエッジのある戦略を知っていれば楽だけれど、それだけが勝てる理由ではありません。」ということになろうかと思います。
「手法など関係ない。どうでもよい。」という極論を言う人もいますが、逆に私はそれにも賛同しかねます。
トレード技術、目利き、トレード心理面、リスクコントロール面も大事だけれど、同じようにトレード戦略も大事なことに変わりはなく、総合力が大事である、ということだと思うのですね。

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