忍耐力
2017/05/26 Fri
またしてもお久しぶりのぶりの照焼です。。。
もう少し頻繁に更新しようと思ってはいるのですが。
コメント欄でのラリーはしているのですが、記事となるとつい億劫になってしまって。
ということで気を取り直して。。。
忍耐力というテーマで少し気がついたことを書きます。
忍耐力というと、何それ、って感じかもしれませんね。
私は、常々色んな人を見ていて、トレードで勝っている人と勝てない人の一番大きな違いは忍耐力にあるのではないか、と感じることが多いです。
というのは、前に書いたとおり、トレードで勝つということは、ちょっとした微差力の違いなのですね。
勝っている人とそうでない人の違いというのは、読みだとか、勝てる方法を知っているか知らないかの違いだ、と思っている初心者の方が多いのですが、そうではないわけです。
プロ棋士たちの実力というのは、実はあまり差がなくて、いつもギリギリのところで戦っています。(羽生善治)
その微差力の大きなファクターとして、忍耐力があるわけです。
そもそも、初心者の方は、相場を当てもののゲームだと理解していますが、それは違います。
ぶっちゃけ、相場など、基本当たらないんです。
相場とは、勝てたと思ったら、次には負ける。この勝ったり負けたりの繰り返しの中で、勝ちを負けよりもほんの少しばかり大きくすれば利益が残るというゲームなんです。
まず、このゲームのルールを誤解しているので、少し当たりが続いたり、ハズレが続くと、勘違いが起こってしまうのです。
その勘違いもあって、忍耐力が無い人は、
勝って奢って、負けて切れる
ということが起きます。
典型的パターンは、ちょっと勝つと、奢りから雑なトレードが始まって、負けが始まります。すると負けを取り戻そうとあがいて、さらに負けが膨れてきます。そして、最後は、ブチ切れて奈落の底に転落、という末路です。
そもそも、勝ちが無ければ負けも知れているのですが、下手に勝つから、ボロ負けするのです。
このスパイラル構造による相場からの退場が後を絶ちません。
相場で勝つと、人はある種の高揚感を感じます。
まるで天下を取ったような嬉しい気分になります。
その天下取りの気分が奢りになって、奈落へのスパイラルが始まります。
だから、相場で勝った勝ったとはしゃいでいる人を見ると、私は、「気の毒になあ~~。」と思うのです(笑)
ここで踏ん張れる忍耐力を相場は試してくるのですが、ほとんどの人はその試験に不合格します。
ここがまずは最大の難関とも言うべき忍耐力のポイントでしょう。
この最大の難関に含まれる部分もありますが、忍耐力が必要な場面を個別で見ていくと、次のような事例があります。
利食いしたい誘惑をふりほどいてじっと我慢して持ち切る忍耐力
損切りしては戻る、損切りしては戻る、この繰り返しの中で、決して手に余る大きな損を出さずにじっと小さく打たれ越す忍耐力
見ているとつい手を出したくなるのを、チャンスが来るまで決して手を出さずにひたすら待ち続けるという忍耐力
負けて負けてが続くとついつい切れてしまって暴走列車をやらかす、ということをしない忍耐力
勝ちが続くと、ついつい気が大きくなって何となく手を出すということをしない忍耐力
負けの金額が一定金額を超えると「放置プレイ」に移行しない忍耐力
とまあ、トレードには、数え上げればキリがないぐらいの忍耐力がいるわけです。
こうして、
勝つトレーダーは、我慢に我慢をして、負けよりも勝ちをちょっぴり多くするゲーム
を続けるわけです。
これが私の言う
相場とは、我慢大会である
という所以です。
さらに、踏ん張るという点においては、重要なことがあります。
それは、
多くの人が、負けると相場から逃げる、ということです。
粘れないのです。
もちろん、奈落に落ちて強制退場ということもありますが、みんな逃げてしまいます。
確かに緊急避難ということはあるかもしれません。
しかし、逃げてしまえばそこで終わりということに違いはありません。
特によく見かける光景は、
負けだすと「仕事がいそがしいから相場が見れない」という本業逃避拳
です。
実は、相場でガンガン勝っている時に「仕事がいそがしいから・・・」などという理由で相場をしない人など一人もいないのですよ(笑)
ガンガン勝てれば、仕事などそっちのけ、いや、さらに勝てば仕事などやめるでしょう(笑)
負けると、相場から逃げる、見なくなる、結局、そうして相場から離れれば、その間の時計はストップしてしまいます。
つまり、相場から逃げている間は、一歩たりとも前に進まないのです。
負けても相場にしがみつく、負けても負けても、食いついて離れない、そういう人は非常に少ないです。
踏ん張れずに、相場から逃げるのです。
すぐに逃げる、見なくなる・・・見なかったことにする、挙句に放置プレイに移行する、それでは前に進めるはずがありません。
何故、ダメな局面で逃げてはダメなのか。
それは、そこで勝つ負けるということではなく、忍耐力に関する重要なポイントがあるからなんです。
同じ年数を戦ってきて、勝てるようになった人と、そうでない人との違いは、
ダメになった時でも、必死で踏ん張れたかどうか、踏みとどまって戦いをやめなかったかどうかの違いが大きい
のです。
相場で勝っている時などどうでもいいんです。
誰だって調子に乗って、毎日損益を計算して、相場も何時間も見てるんです。
勝っている時には、みんな一応の芸を見せるんです。
しかし・・・・
問題は、負けている時に何をして、どう過ごしたのか、ってことなんですよ。
ここで一気に差がつくんです。
勝っている時には、きちんと記録をつけていても、負けだすとやらなくなる。
とにかく負ければ逃げ出す。
ブログを書いている人も、負けだすと書かなくなるのは日常的に見られる光景です。
ほとんどがそうです。
勝てない人というのは、肝心な時に、踏ん張れないんです。
勝って調子に乗っている時は、気持ちもノリノリです。だからどうでもいいんです。
マインドを鍛えることなどできません。
しかし、負けて負けて、もうだめかもしれない、そういう修羅場こそが人を育てるんです。
大変残念なことなんですが、忍耐力というのは、平常時には訓練することが難しいのです。
何故、修羅場が大事なのか。それは、
忍耐力を訓練するためには、修羅場が最大のチャンスだからです。
いいですか、チャンスなのです。
そういうせっかくのチャンスで逃げてしまうから、ずっと心が鍛えられず、いずれまた同じ修羅場を招くことになるのです。
そこで逃げずに踏ん張る。
歯を食いしばって、涙を拭きながらトレードを続ける、という経験によってこそ、忍耐力は鍛えられるわけです。
心とて、筋力と同じで、負荷をかけてやらないと、鍛えることができません。
ウエイトトレーニングのシミュレーションをしたからといって、筋肉を鍛えることなどできないのは当たり前です。
心とて同じなんです。
心とて、負荷をかけてやって鍛えないと強くなど絶対になりません。
そして、心が弱いままでは、相場になど絶対に勝てるようにはなりません。
簡単に奢る。簡単に切れる。簡単にポキンと折れる。そんな弱い心で相場をやって勝てるはずがありません。
どんなに優秀な戦略を使ったところで、弱い心で相場に望めば、あっという間に奈落に転落するのは、火を見るより明らかなんです。
やり方ばかりを探している人は、ここのところが見えていないと思います。
筋力を鍛えるという概念はあっても、そもそも心を鍛えるという概念を持っていない、という人が多いのではないかと思います。
心とて、鍛えないと強くなどなりませんよ。
ちやほやされて育った子供が弱い、というのはわかると思います。
子供を厳しくしつけするのは何のためなのか。
甘やかして育てるのが何故いけないのか。
しかし、いざ自分が相場をやるとなれば、
自分を甘やかし、ちやほやさせ、いい加減、適当がまかり通る、そんなトレードをしている人が多いのです。
安岡正篤は、人を育てる3要素として、「①大病、②投獄、③浪人」を挙げています。
つまりは、修羅場こそが人を育てる、ということなのです。
人前で喋るのが苦手という人が、人前で喋るシミュレーションをいくら続けたとて克服などできません。
最大の効果的訓練方法は、実際に人前で喋ることです(笑)
繰り返し繰り返し人前で喋ることによって、負荷をかけてやってこそ、苦手を克服すことができるのです。
つまりは、1000本ノックです。
わざと負荷をかけて自分を鍛えてやるのです。
つまり、心のウエイトトレーニングです。
そして、そのウエイトは重ければ重いほど効果抜群なのです。
何の抵抗もない軽いウエイトなら筋肉が鍛えられないように、心とてプレッシャーが無ければ鍛えられません。
聴衆がいないところで、一人で人前で喋る訓練・・・が如何に虚しいことか、ってことなんです。
だからこそ、修羅場が最大のチャンスになるのです。
1000人の前で毎日喋るという訓練を続けたら、10人の前で喋ることなど、屁でもなくなりますよ(笑)
しかも、この訓練には、繰り返しが必要で時間がかかります。
ウエイトが必要で時間がかかる、これが心を鍛えるという点において最大の問題点なんです。
やり方を探すとか、相場の勉強や研究するよりも、1000本ノックを優先すべき、というのは、実は、時間のかかる心のトレーニングをまずは先行させるべき、という意味があるのです。
ドラクエでは、スライムをいくら倒したって経験値は増えません。しかし、ボスキャラを倒せば一気に経験値は上がるんです。
トレードとて、ドラクエと同じなのです。
ボスキャラが怖いからといって逃げ回っていたのでは、ゲームで前には絶対に進めません。
そういう辛い場面、追い詰められたところで、踏ん張れたかどうかこそが、その人のその後のトレード人生を左右する経験値となるのです。
そこで失った資金など、その修羅場で得られた貴重な経験値と比べればどうでもいいぐらいのものです。
そもそもそういう場面では既に多くの資金を失った後なんですよ。
そういうチャンスをスキルに変えることもできず、ただ資金を失っただけ、というのであれば、犬死にということになるわけですね。
一応、勘違いがあると困るので書いておきますが、踏ん張るといっても、損切りせずに耐えるとか、ナンピンする、という意味ではありませんよ。
それは、「切れる」「心が折れる」ってことですから、忍耐力が無い人がやることです。
損しても、損しても、きちんと損切りして、
打たれ越す
相場を見続ける。そして、チャンスを探す。
どんなに気持ちが動転していても、バッターボックスに立って、ファイティングポーズを取り続ける。
そして、何故こうなったのか、そうならないためにはどうすればいいのかを考え続ける。
何が問題なのか。何をやってはいけないのか。何をすればいいのか。そういうことを問い続ける。
今、自分はどういう精神状態にあるのか。人がこういう局面に立たされたらどうなるのかを実感する。
そういう時こそ、必死で相場を見続けるわけです。逃げてはダメなんです。
こうやって、
相場を見続け、折れない心を作る
ということです。
勝つためではありませんよ。
折れない心づくりのためにバッターボックスに立ち続けるんです。
そうでないと、次の修羅場でまた転落するんです。奈落に落ちるんです。
相場は、今がよければいい、ということではなく、将来にわたって続くものなのだから、今せっかくのチャンスで滝に打たれなければ、次にまたポッキリと折れるんです。
修羅場とは、忍耐力培い、心を鍛える絶好の機会なんです。これを逃す手はありません。
ちなみに、専業トレーダーの場合、逃げ込む本業がありません。悲しいです。辛いです。しかし、そこで踏ん張ってこそなので、背水の陣を敷くという意味では、専業は有利?かもしれません。
羽生名人は、一時スランプに陥り、迷った時期がありました。
その時、目に入った光景は、60歳を超えても、黙々と自分の将棋を求め続ける多くの先輩たちの姿だったと言います。
10年、20年と、ひとつの物事をずっと長く続けること、継続することが、一番の才能ではないかと思います。(羽生善治)
才能とは、情熱や努力を継続できる力である(羽生善治)
ということで、最後に再びやはり1000本ノック。
結構、しつこいです。。。(笑)
とにかく、やらないとわからないのが相場ですよ。言ってしまえば(笑)
日々、とにかくやり続けること、この継続が力になるんです。
心の鍛錬にも時間がかかりますが、もうひとつ時間をかけて育てないといけないのが目利きなんです。
目利きや土地勘というものは、経験値の時間の係数なんです。
料理人は、毎日、親方に従って築地に通うことでこそ、魚を見る目利きをつけることができるようになります。
肝心なのは、魚の捌き方(手法)ではなく、目利きです。
みんな技術や小手先のテクニックに目が行くわけですが、そんなことは、レシピを見ればわかること。時間も全くかかりません。
時間がかかるのは、目利きと土地勘なんです。
そして、もっと時間が掛かるし、手間暇がかかるのが、マインドを鍛えること、なんですね。
彼を知り己を知れば百戦殆うからず(孫子)
相場を知ること、つまりは、目利き、土地勘を育てること
自分を知ること、つまりは心を鍛えること
この2つがそもそものベースなのです。
これが整ってこそ、次に具体的な戦い方、つまりはやり方が生きてくるわけです。
この逆はありません。
野球技術も、体づくりがあって、強い心があってこそなんです。
それがベースになってはじめて選手としてやっていけるわけで・・・ヘナヘナの心と体では、イチローの技術をもってしても、いい選手になれるはずがありません。
この順番を無視して、相場のこともよくわかっていないし、自分も鍛えられていないという状態で、やり方だけを知ったところで何になる、ということです。
もちろん、神業のように取れる方法があれば別ですが、そんなものはそこらに落ちてはいませんよ。
人と同じような武器で戦う限りにおいては、相場を知り、自らを鍛えてこそ、そこに初めて相場で勝てるエッジが生まれてくるわけなんです。
やり方で差別化する道をみんな模索しているわけですが、私の経験上言えることは、その道はみんなが想像する以上に困難なんです。
野球で言えば、魔球を開発するとか、一本足打法を編み出す、とかそういうことを求めているわけですね。
将棋で言えば、人のやらないトリッキーな作戦で勝つ、ということを意味しています。
しかも、ベテランではなく、初心者がいきなりみんなをやり方で出し抜こう、ってことなんですね。
この道がどれほど困難であるのか、ということは、客観的に考えれば簡単にわかることだと思うのです。
あらゆる機関投資家、ヘッジファンド、ベテラン投資家が追い求めていても、なかなか見えないエッジのある独自の戦略を初心者がみつけようとしている、ということです。
その道30年の骨董品屋を、見習いが出し抜こうってことです。
その道20年のソムリエを、昨日今日ワインを飲んだ初心者が上回ろうってことです。
さらには、
その道30年の骨董品屋と同じことをすれば、同じようにできる、そう思い込んでいるのです。
イチローの真似をすれば、イチローになれると思っているのです。
それがどういうことなのか、こと相場においては見えてはいないのだと思います。
骨董品屋は、具体的な見方とか、方法ではなく、その経験による目利きのよってこそ差別化しているのです。
ポイントは、具体的な方法とか、やり方ではないんです。
そうであれば、やり方は目新しくなくても、目利き土地勘を鍛えて、自分を鍛えて差別化する道のほうが、遠回りのようで実は王道であった、ってことになるとは思いませんか。
魔球を探すのではなく、日々の訓練を通じて「野球を上手くなる練習を続ける」ってことです。
一応、念のためにノックの疑問に少し答えておくと、
1000本というのは象徴的な意味であって、1000回トレードすれば上手くなる、という意味ではありません。
1000本ノックというのは、野球においては「その日に1000本ノックを受ける」ということなので、トータル1000本ということではそもそも無いのですよね。
それから、シミュレーションやシミュレーターを使ってノックする、というご意見もありましたが、それは「手法探し」の一環でしかありません。
実弾を投入してこそ見える景色があるんです。
みなさん、
シミュレーションで奢ったり、切れたりしますか?
実弾が飛び交う戦場では、自分でも全く予想もしない反応をしてしまうのです。
いつも最後に大きな問題になるのは、そういうことなんです。
そういったことを理解し、経験を積んでいくために1000本ノックをするわけです。
実弾を投入しないと絶対に見えない景色なんです。
市場で自らを鍛え、何かを学び取りたいと念じるなら、身銭を投じて、自らの手口を注視し、失敗から教訓を得ることだ。相場には、絶対確実などということはまずないと思うべし。いつ地雷を踏むかわからんのだから。(ジェシー・リバモア)

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もう少し頻繁に更新しようと思ってはいるのですが。
コメント欄でのラリーはしているのですが、記事となるとつい億劫になってしまって。
ということで気を取り直して。。。
忍耐力というテーマで少し気がついたことを書きます。
忍耐力というと、何それ、って感じかもしれませんね。
私は、常々色んな人を見ていて、トレードで勝っている人と勝てない人の一番大きな違いは忍耐力にあるのではないか、と感じることが多いです。
というのは、前に書いたとおり、トレードで勝つということは、ちょっとした微差力の違いなのですね。
勝っている人とそうでない人の違いというのは、読みだとか、勝てる方法を知っているか知らないかの違いだ、と思っている初心者の方が多いのですが、そうではないわけです。
プロ棋士たちの実力というのは、実はあまり差がなくて、いつもギリギリのところで戦っています。(羽生善治)
その微差力の大きなファクターとして、忍耐力があるわけです。
そもそも、初心者の方は、相場を当てもののゲームだと理解していますが、それは違います。
ぶっちゃけ、相場など、基本当たらないんです。
相場とは、勝てたと思ったら、次には負ける。この勝ったり負けたりの繰り返しの中で、勝ちを負けよりもほんの少しばかり大きくすれば利益が残るというゲームなんです。
まず、このゲームのルールを誤解しているので、少し当たりが続いたり、ハズレが続くと、勘違いが起こってしまうのです。
その勘違いもあって、忍耐力が無い人は、
勝って奢って、負けて切れる
ということが起きます。
典型的パターンは、ちょっと勝つと、奢りから雑なトレードが始まって、負けが始まります。すると負けを取り戻そうとあがいて、さらに負けが膨れてきます。そして、最後は、ブチ切れて奈落の底に転落、という末路です。
そもそも、勝ちが無ければ負けも知れているのですが、下手に勝つから、ボロ負けするのです。
このスパイラル構造による相場からの退場が後を絶ちません。
相場で勝つと、人はある種の高揚感を感じます。
まるで天下を取ったような嬉しい気分になります。
その天下取りの気分が奢りになって、奈落へのスパイラルが始まります。
だから、相場で勝った勝ったとはしゃいでいる人を見ると、私は、「気の毒になあ~~。」と思うのです(笑)
ここで踏ん張れる忍耐力を相場は試してくるのですが、ほとんどの人はその試験に不合格します。
ここがまずは最大の難関とも言うべき忍耐力のポイントでしょう。
この最大の難関に含まれる部分もありますが、忍耐力が必要な場面を個別で見ていくと、次のような事例があります。
利食いしたい誘惑をふりほどいてじっと我慢して持ち切る忍耐力
損切りしては戻る、損切りしては戻る、この繰り返しの中で、決して手に余る大きな損を出さずにじっと小さく打たれ越す忍耐力
見ているとつい手を出したくなるのを、チャンスが来るまで決して手を出さずにひたすら待ち続けるという忍耐力
負けて負けてが続くとついつい切れてしまって暴走列車をやらかす、ということをしない忍耐力
勝ちが続くと、ついつい気が大きくなって何となく手を出すということをしない忍耐力
負けの金額が一定金額を超えると「放置プレイ」に移行しない忍耐力
とまあ、トレードには、数え上げればキリがないぐらいの忍耐力がいるわけです。
こうして、
勝つトレーダーは、我慢に我慢をして、負けよりも勝ちをちょっぴり多くするゲーム
を続けるわけです。
これが私の言う
相場とは、我慢大会である
という所以です。
さらに、踏ん張るという点においては、重要なことがあります。
それは、
多くの人が、負けると相場から逃げる、ということです。
粘れないのです。
もちろん、奈落に落ちて強制退場ということもありますが、みんな逃げてしまいます。
確かに緊急避難ということはあるかもしれません。
しかし、逃げてしまえばそこで終わりということに違いはありません。
特によく見かける光景は、
負けだすと「仕事がいそがしいから相場が見れない」という本業逃避拳
です。
実は、相場でガンガン勝っている時に「仕事がいそがしいから・・・」などという理由で相場をしない人など一人もいないのですよ(笑)
ガンガン勝てれば、仕事などそっちのけ、いや、さらに勝てば仕事などやめるでしょう(笑)
負けると、相場から逃げる、見なくなる、結局、そうして相場から離れれば、その間の時計はストップしてしまいます。
つまり、相場から逃げている間は、一歩たりとも前に進まないのです。
負けても相場にしがみつく、負けても負けても、食いついて離れない、そういう人は非常に少ないです。
踏ん張れずに、相場から逃げるのです。
すぐに逃げる、見なくなる・・・見なかったことにする、挙句に放置プレイに移行する、それでは前に進めるはずがありません。
何故、ダメな局面で逃げてはダメなのか。
それは、そこで勝つ負けるということではなく、忍耐力に関する重要なポイントがあるからなんです。
同じ年数を戦ってきて、勝てるようになった人と、そうでない人との違いは、
ダメになった時でも、必死で踏ん張れたかどうか、踏みとどまって戦いをやめなかったかどうかの違いが大きい
のです。
相場で勝っている時などどうでもいいんです。
誰だって調子に乗って、毎日損益を計算して、相場も何時間も見てるんです。
勝っている時には、みんな一応の芸を見せるんです。
しかし・・・・
問題は、負けている時に何をして、どう過ごしたのか、ってことなんですよ。
ここで一気に差がつくんです。
勝っている時には、きちんと記録をつけていても、負けだすとやらなくなる。
とにかく負ければ逃げ出す。
ブログを書いている人も、負けだすと書かなくなるのは日常的に見られる光景です。
ほとんどがそうです。
勝てない人というのは、肝心な時に、踏ん張れないんです。
勝って調子に乗っている時は、気持ちもノリノリです。だからどうでもいいんです。
マインドを鍛えることなどできません。
しかし、負けて負けて、もうだめかもしれない、そういう修羅場こそが人を育てるんです。
大変残念なことなんですが、忍耐力というのは、平常時には訓練することが難しいのです。
何故、修羅場が大事なのか。それは、
忍耐力を訓練するためには、修羅場が最大のチャンスだからです。
いいですか、チャンスなのです。
そういうせっかくのチャンスで逃げてしまうから、ずっと心が鍛えられず、いずれまた同じ修羅場を招くことになるのです。
そこで逃げずに踏ん張る。
歯を食いしばって、涙を拭きながらトレードを続ける、という経験によってこそ、忍耐力は鍛えられるわけです。
心とて、筋力と同じで、負荷をかけてやらないと、鍛えることができません。
ウエイトトレーニングのシミュレーションをしたからといって、筋肉を鍛えることなどできないのは当たり前です。
心とて同じなんです。
心とて、負荷をかけてやって鍛えないと強くなど絶対になりません。
そして、心が弱いままでは、相場になど絶対に勝てるようにはなりません。
簡単に奢る。簡単に切れる。簡単にポキンと折れる。そんな弱い心で相場をやって勝てるはずがありません。
どんなに優秀な戦略を使ったところで、弱い心で相場に望めば、あっという間に奈落に転落するのは、火を見るより明らかなんです。
やり方ばかりを探している人は、ここのところが見えていないと思います。
筋力を鍛えるという概念はあっても、そもそも心を鍛えるという概念を持っていない、という人が多いのではないかと思います。
心とて、鍛えないと強くなどなりませんよ。
ちやほやされて育った子供が弱い、というのはわかると思います。
子供を厳しくしつけするのは何のためなのか。
甘やかして育てるのが何故いけないのか。
しかし、いざ自分が相場をやるとなれば、
自分を甘やかし、ちやほやさせ、いい加減、適当がまかり通る、そんなトレードをしている人が多いのです。
安岡正篤は、人を育てる3要素として、「①大病、②投獄、③浪人」を挙げています。
つまりは、修羅場こそが人を育てる、ということなのです。
人前で喋るのが苦手という人が、人前で喋るシミュレーションをいくら続けたとて克服などできません。
最大の効果的訓練方法は、実際に人前で喋ることです(笑)
繰り返し繰り返し人前で喋ることによって、負荷をかけてやってこそ、苦手を克服すことができるのです。
つまりは、1000本ノックです。
わざと負荷をかけて自分を鍛えてやるのです。
つまり、心のウエイトトレーニングです。
そして、そのウエイトは重ければ重いほど効果抜群なのです。
何の抵抗もない軽いウエイトなら筋肉が鍛えられないように、心とてプレッシャーが無ければ鍛えられません。
聴衆がいないところで、一人で人前で喋る訓練・・・が如何に虚しいことか、ってことなんです。
だからこそ、修羅場が最大のチャンスになるのです。
1000人の前で毎日喋るという訓練を続けたら、10人の前で喋ることなど、屁でもなくなりますよ(笑)
しかも、この訓練には、繰り返しが必要で時間がかかります。
ウエイトが必要で時間がかかる、これが心を鍛えるという点において最大の問題点なんです。
やり方を探すとか、相場の勉強や研究するよりも、1000本ノックを優先すべき、というのは、実は、時間のかかる心のトレーニングをまずは先行させるべき、という意味があるのです。
ドラクエでは、スライムをいくら倒したって経験値は増えません。しかし、ボスキャラを倒せば一気に経験値は上がるんです。
トレードとて、ドラクエと同じなのです。
ボスキャラが怖いからといって逃げ回っていたのでは、ゲームで前には絶対に進めません。
そういう辛い場面、追い詰められたところで、踏ん張れたかどうかこそが、その人のその後のトレード人生を左右する経験値となるのです。
そこで失った資金など、その修羅場で得られた貴重な経験値と比べればどうでもいいぐらいのものです。
そもそもそういう場面では既に多くの資金を失った後なんですよ。
そういうチャンスをスキルに変えることもできず、ただ資金を失っただけ、というのであれば、犬死にということになるわけですね。
一応、勘違いがあると困るので書いておきますが、踏ん張るといっても、損切りせずに耐えるとか、ナンピンする、という意味ではありませんよ。
それは、「切れる」「心が折れる」ってことですから、忍耐力が無い人がやることです。
損しても、損しても、きちんと損切りして、
打たれ越す
相場を見続ける。そして、チャンスを探す。
どんなに気持ちが動転していても、バッターボックスに立って、ファイティングポーズを取り続ける。
そして、何故こうなったのか、そうならないためにはどうすればいいのかを考え続ける。
何が問題なのか。何をやってはいけないのか。何をすればいいのか。そういうことを問い続ける。
今、自分はどういう精神状態にあるのか。人がこういう局面に立たされたらどうなるのかを実感する。
そういう時こそ、必死で相場を見続けるわけです。逃げてはダメなんです。
こうやって、
相場を見続け、折れない心を作る
ということです。
勝つためではありませんよ。
折れない心づくりのためにバッターボックスに立ち続けるんです。
そうでないと、次の修羅場でまた転落するんです。奈落に落ちるんです。
相場は、今がよければいい、ということではなく、将来にわたって続くものなのだから、今せっかくのチャンスで滝に打たれなければ、次にまたポッキリと折れるんです。
修羅場とは、忍耐力培い、心を鍛える絶好の機会なんです。これを逃す手はありません。
ちなみに、専業トレーダーの場合、逃げ込む本業がありません。悲しいです。辛いです。しかし、そこで踏ん張ってこそなので、背水の陣を敷くという意味では、専業は有利?かもしれません。
羽生名人は、一時スランプに陥り、迷った時期がありました。
その時、目に入った光景は、60歳を超えても、黙々と自分の将棋を求め続ける多くの先輩たちの姿だったと言います。
10年、20年と、ひとつの物事をずっと長く続けること、継続することが、一番の才能ではないかと思います。(羽生善治)
才能とは、情熱や努力を継続できる力である(羽生善治)
ということで、最後に再びやはり1000本ノック。
結構、しつこいです。。。(笑)
とにかく、やらないとわからないのが相場ですよ。言ってしまえば(笑)
日々、とにかくやり続けること、この継続が力になるんです。
心の鍛錬にも時間がかかりますが、もうひとつ時間をかけて育てないといけないのが目利きなんです。
目利きや土地勘というものは、経験値の時間の係数なんです。
料理人は、毎日、親方に従って築地に通うことでこそ、魚を見る目利きをつけることができるようになります。
肝心なのは、魚の捌き方(手法)ではなく、目利きです。
みんな技術や小手先のテクニックに目が行くわけですが、そんなことは、レシピを見ればわかること。時間も全くかかりません。
時間がかかるのは、目利きと土地勘なんです。
そして、もっと時間が掛かるし、手間暇がかかるのが、マインドを鍛えること、なんですね。
彼を知り己を知れば百戦殆うからず(孫子)
相場を知ること、つまりは、目利き、土地勘を育てること
自分を知ること、つまりは心を鍛えること
この2つがそもそものベースなのです。
これが整ってこそ、次に具体的な戦い方、つまりはやり方が生きてくるわけです。
この逆はありません。
野球技術も、体づくりがあって、強い心があってこそなんです。
それがベースになってはじめて選手としてやっていけるわけで・・・ヘナヘナの心と体では、イチローの技術をもってしても、いい選手になれるはずがありません。
この順番を無視して、相場のこともよくわかっていないし、自分も鍛えられていないという状態で、やり方だけを知ったところで何になる、ということです。
もちろん、神業のように取れる方法があれば別ですが、そんなものはそこらに落ちてはいませんよ。
人と同じような武器で戦う限りにおいては、相場を知り、自らを鍛えてこそ、そこに初めて相場で勝てるエッジが生まれてくるわけなんです。
やり方で差別化する道をみんな模索しているわけですが、私の経験上言えることは、その道はみんなが想像する以上に困難なんです。
野球で言えば、魔球を開発するとか、一本足打法を編み出す、とかそういうことを求めているわけですね。
将棋で言えば、人のやらないトリッキーな作戦で勝つ、ということを意味しています。
しかも、ベテランではなく、初心者がいきなりみんなをやり方で出し抜こう、ってことなんですね。
この道がどれほど困難であるのか、ということは、客観的に考えれば簡単にわかることだと思うのです。
あらゆる機関投資家、ヘッジファンド、ベテラン投資家が追い求めていても、なかなか見えないエッジのある独自の戦略を初心者がみつけようとしている、ということです。
その道30年の骨董品屋を、見習いが出し抜こうってことです。
その道20年のソムリエを、昨日今日ワインを飲んだ初心者が上回ろうってことです。
さらには、
その道30年の骨董品屋と同じことをすれば、同じようにできる、そう思い込んでいるのです。
イチローの真似をすれば、イチローになれると思っているのです。
それがどういうことなのか、こと相場においては見えてはいないのだと思います。
骨董品屋は、具体的な見方とか、方法ではなく、その経験による目利きのよってこそ差別化しているのです。
ポイントは、具体的な方法とか、やり方ではないんです。
そうであれば、やり方は目新しくなくても、目利き土地勘を鍛えて、自分を鍛えて差別化する道のほうが、遠回りのようで実は王道であった、ってことになるとは思いませんか。
魔球を探すのではなく、日々の訓練を通じて「野球を上手くなる練習を続ける」ってことです。
一応、念のためにノックの疑問に少し答えておくと、
1000本というのは象徴的な意味であって、1000回トレードすれば上手くなる、という意味ではありません。
1000本ノックというのは、野球においては「その日に1000本ノックを受ける」ということなので、トータル1000本ということではそもそも無いのですよね。
それから、シミュレーションやシミュレーターを使ってノックする、というご意見もありましたが、それは「手法探し」の一環でしかありません。
実弾を投入してこそ見える景色があるんです。
みなさん、
シミュレーションで奢ったり、切れたりしますか?
実弾が飛び交う戦場では、自分でも全く予想もしない反応をしてしまうのです。
いつも最後に大きな問題になるのは、そういうことなんです。
そういったことを理解し、経験を積んでいくために1000本ノックをするわけです。
実弾を投入しないと絶対に見えない景色なんです。
市場で自らを鍛え、何かを学び取りたいと念じるなら、身銭を投じて、自らの手口を注視し、失敗から教訓を得ることだ。相場には、絶対確実などということはまずないと思うべし。いつ地雷を踏むかわからんのだから。(ジェシー・リバモア)

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