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繰り返される吐き出しのメカニズム

2017/09/10 Sun

せっかく勝っていたのに、勝ち逃げすることができず、結局、全部吐き出してしまう。

こういうことが頻繁に起きるのが相場です。

しかも、繰り返し繰り返しやってしまう。

次こそは、と思っていても、またしてもやってしまっている。

何度でも何度でもやる。反省を忘れたのか。どうなのか。

負け逃げも難しいわけですが、勝ち逃げもかなり難しいのが相場です。

では、何故、こういうことが起きるのか。

どうして、負け戦を拡大するような真似をするのか。

この

繰り返される吐き出しのメカニズム

とは、どういうことなのか、これが今回のテーマです。



まず、これがどのように起きるのかを考察します。

ある特定のやり方で勝つと、味をしめる、このやり方で勝てるとなる。
勝った理由はやり方にあると思い込む。
自分はこれで勝てるとなる。
勝ちが続けば、確認を続けることになり、その思いは確信に変わる。
意識的にも無意識的にもどちらでもそうなる。
そこで環境が変わる。
途端に勝てなくなるが、本人は勝てる方法だからと思いこんでいるので、どれだけ負けても続けてしまう。
結果、負けをどんどん拡大して、吐き出す。


となるわけです。



そもそも相場で勝てる要因、つまりどうすれば勝てるのか、というのは切実な悩みなわけですが、多くの場合、どうすれば、というのはやり方、つまり、勝てる方法を知る、という手法万能論が自然な流れとして出てきます。

手法じゃない、と言われても、やり方がわからなかったら、そもそもどうしようもないじゃないか。本音ではやはり納得できない。

自己規律とかマネーマネジメントとか、大事だと言われても、いまいちピンと来ない。とにかくまずはやり方を知らないと始まらないんじゃないか。


そう思っている人は多いと思います。

最初、まずはどうやって、というのが当たり前としてあるわけです。

連れて、優位性、という場合も、暗黙の了解で、優位性のあるやり方、という理解になります。

例えば、検証しろ、という人も多いわけですが、検証してそれで勝てるのなら実戦だ、みたいな考え方です。
検証万能論も、突き詰めれば、やり方に依存していることにおいては、手法万能論なんです。



ところが、実際には、特定のやり方が通用するのは、多くの場合、ある特定下の環境において、という限定付きなのです。

いくら検証したところで、ほとんどの場合、その検証期間の環境にアジャストさせた結果になる、のがオチなんです。

環境は変わる

この事実が、手法万能論者には見えていません。

つまり、勝った原因がやり方にある、と思い込むことで、爆死の原因を作るわけです。

もちろん、オールウエザー(全天候型)というものも無いわけではありませんが、レアモノだと考えた方がいいです。



ある特定の環境があって、その特定の環境下でこそ優位性が認められるというのが、ほとんどの手法だ、という厳しい現実があることは、相当経験を積めばわかることなのですが、その段階まで生き延びられる投資家は少数にとどまります。

これは、何度も何度も爆死して、相当の経験を積まないと、理解納得はできないことだと思います。

これを読んでいる多くのみなさんも理屈では理解できても、納得はしていない、と思って書いています。

ここを理解するためにも、1000本ノックは大切なんです。

ノックの中で、爆死経験を繰り返し、どうして昨日まで通用していたことが、突然効かなくなったのか、という不可思議(笑)な経験を何度も何度も繰り返し、手痛い損失を出してこそ見えてくる世界だと思うのです。

株式市場においては、リーマンショック前と後とでは、ガラリと環境が変わりました。
リーマン前には、少々甘いトレードをやっていても勝てたものが、一切通じなくなりました。
リーマン前には緑の草原でしたが、それ以降は正に荒野が待っていました。
何故だかは未だに不明ですが、甘いトレードをしていた負け組が一斉に淘汰されたことが原因だろうか、と思っています。



最終的には、

自分にとって、勝ちやすい環境とは何か、それを探す、といった方が、やり方を探すよりも先にあるべき

ということが見えてきます。

そして、自分の懐に特定の環境を置いて、その特定の環境の中でのみ釣りを楽しむ


といった感覚に落ち着いてきます。

極端には、環境さえ手に入れてしまえば、8割方相場で勝てる準備は終わりなんです。



じゃあ、具体的には、どういうことを環境と言っているのか、というと、

ミクロレベルでは、低位の往来株であるとか、年間を通じてうねりを見せる株、高いボラの新興株、吹き上がっている株、とか、それぞれ特定の環境があって、その特定の環境でこそ見せる特定の値動きを観察するわけです。

マクロレベルでは、アベノミクス初期の吹き上げる環境、高値の往来、じり高、じり安、急落、安値の往来、など、相場全体に資金が入ってきているのか、出ているのか、というリスクオン、リスクオフの流れがあります。
リスクオンの上げ相場の中でも、循環物色があって、大型株から、中小型へ資金がシフトする流れ。
また、リスクオフのなって、一気に資金が逃げ出す流れ。
などなど、各国の金融政策によって、今は世界中の動きが連動しています。



こういうめまぐるしい動きがありますが、低位の往来株というのは、比較的安定した値動きを続けるのですが、それでも永遠ではありません。
これは、当面は続くがいつまでもは続かないインバウンドを当て込んだ家電量販店、のようなものです。

一方で、新興の人気株の命は短い。陽炎やセミのような寿命です。
これは、一発屋芸人ってところです。

ここ一年近く、小型株のいい動きが続いていますが、上げがきつければ、下げも厳しいものとなるのは、相場の習いで、これも永遠には続きません。
これは、かき入れ時の海の家って感じですね。
小型株相場がしばらく続くと、ちょっといい目にあった投資家の群れが、お盆時のクラゲのように大量発生します。
そうなれば、もう夏も終わりで、海水浴シーズンは終盤でしょう。
そんな中で、永遠に小型株に執着しているのは、冬の海で海の家を経営するようなものです。



こうした特定の環境は、永遠には続かないにしても、今は続いている。

じゃあ、その特定の環境における、特定の値動きをどうやって取るか、という発想に行き着くわけです。

相場が正しいのだから、まずは、特定の値動きがあって、その値動きをどうやって取るか、という段階でやっと道具、つまりやり方の出番になります。

その方法というのは、何も既存の道具でなくてよく、今ある値動きに対して、一番最適なものは何か、という考え方をするわけです。

そうなると、特定のやり方にこだわりなど無くなります。

やり方というのは、値動きが先にあって、その値動きをどうやって取るのか、というための単なる道具に過ぎないからです。

この値動きをどうやって取ってやろうか、という発想になるわけです。

一方通行の動きが続く相場であれば、ブレイクでもプルバックでも、極端には飛びつきでも、何でもいいわけです。
何でも飛びついて、持ち越せば儲かる、という相場は時々やってきます。
いよいよ阿波踊りのシーズン到来です。

ブレイクというやり方が勝たせてくれるわけではなく、一方通行の祭りが起きている、ということこそ勝ちの要因なんです。

エッジは、環境にこそあるのです。


やり方など何でもよい、というのは、こういうことを言います。

阿波踊りというは、阿波踊りシーズンだから踊ってもいいのであって、それを職場ででやるとか、普段の町中でやれば、ただの変人、場合によっては警察のお世話になります(笑)

結婚式なら礼服、海では水着、夏ならTシャツ、冬はダウン、と全て、

環境依存

です。

前に、自分に合ったやり方というのが何かわかりません、というコメントがありましたが、私には、シーズンを無視して、Tシャツがいいですか、ダウンがいいですか、という質問に見えました。
何を着るか、の前に、今は夏ですか、冬ですか、というシーズンがあるのです。
そして、自分の好きなシーズンがどちらなのか、ぐらいは自分でわからないと仕方がないのですね。


こういう環境に対する理解をしっかり持っていれば、そもそも環境に依存している、と理解しているのだから、シーズン終了かどうかは、一番敏感にわかっている、ということになるわけです。

翌朝になって、新聞やゴミが散乱して、人が誰もいない桟敷で、一人踊り続けている、そんなナンセンスなことを続けているのが多くの投資家の姿なのですね。





しかし、以上の手法万能論だけでは、大きな吐き出しに繋がることはありません。

むしろ問題なのは、もう一つの重要な吐き出しのメカニズムがあるからなんです。

それは、

儲けに奢って、お調子に乗ってしまう

ということです。

つまり、規律とマネーマネジメントに問題が起きてしまうわけです。

環境優位性のおかげだと認識していれば、ある程度続けば終わりが近づいていることぐらいわかります。

しかし、そうでない大半の人は、儲けが続く中で、知らず知らずお調子に乗ってしまうのです。

この

知らず知らずにリスク許容度が拡大する

ことが実に恐ろしいのです。

お調子に乗る、というのは、具体的には、

扇形の布陣を取ってしまう

ということです。

どういうことかというと、

みんなやってしまうのは、儲かるにつれて、無意識に気が大きくなって、気がつけばどんどんポジを増やしていって、最後に大軍でドボンする、ということです。

この扇形の布陣を取らないだけでも、生存確率は飛躍的に高まります。

扇形の布陣を敷けば、10上げて1下げただけでドボンします。

多くの人は、10上げて2下げれば破綻でしょう。

10上げて1下げれば、7ぐらいは残るように布陣すればいいんです。


(この10上げてというのは、半年かとか1年間でということで、その間に売り買いを繰り返して、儲けが出てくると、次第に全体のポジが大きくなる、という現象を書いてます。)

それを調子に乗って、踊る阿呆に見る阿呆をやってしまうから、ドボンを食らうのです。



儲けというのはものすごく恐ろしいものです。

人の心を蝕み、狂わせます。

結果、利益に酔いつぶれてしまって、自分を完全に見失うのです。

私は、長年この世界で行きてきて、大勢の投資家を見てきましたが、

儲けに酔っている人の目は明らかにおかしい

のですよ。

頭がどうにかなってしまって、誰の助言も聞き入れようとはしません。

自分では、正常な感覚だと思っていますが、ネジが完全にぶっ飛んでしまっているのです。

世界を取ったような気になっていて、目が完全に空を飛んでいる人を大勢見てきました。

しかも、本人は、自分は正常だ、と思っているから、そもそも危険きわまりない。

つまり無自覚ほど恐ろしいことは無いわけです。

こうして、

利益に酔って前後不覚の酩酊状態になったところを容赦ない相場の洗礼が襲いかかります。


これは、ダムの決壊のようなもので、ひとたまりもなく流されてしまって、後は何も残らない、ということが繰り返されるのです。

自分の器を超えた利益を手にした時、人は、酔いつぶれてしまって、結果自爆するです。


この器というもの・・・簡単なものではないです。

繰り返し事故を起こすことでしか、器も大きくならない。


実に厄介な話だと思います。



ここで出てくるのが、

自己規律とマネーマネジメント。

セミナーでは、みんなが寝ているところです(笑)

これが自分の最後の砦として効いてくれるかどうか。
これがサバイバルの最後のセーフティネットとなります。
だからこそ、規律とマネーマネジメントは重要、と言われるわけなんですね。
普段の状態では、セーフティネットなど、どうでもよいと思ってしまいますが、これは最後の砦であり、保険なんです。

自己規律とか、マネーマネジメントとか、言われても、相場経験が浅い人は、よくわからないと思います。

事故を起こさない限り、保険の重要性などわからないのだ

ってことなんです。

この重要性は、相場で長年生き残ってきた人は、みんな知っていることです。知らないのは、経験が無いからだけなんです。

残念ながら、こういうことも、何度も事故を起こして、やって気がつくものなんだと思います。


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金融村の掟

2017/09/17 Sun

先日、次のような相談を受けました。

「父親が退職して、その退職金の全て使って8306三菱UFJを買ったようなのです。配当金が目的のようなのですが、大丈夫なんでしょうか。」

というものです。

この質問への答えを通じて、こういった場合、

①個別株をどのように分析するのか

②そもそも退職金をどう考えるべきか


を分けて考えてみたいと思います。

そして、今回のようなケースから、考察を広げて、金融とは、投資とは、どういう世界なのか、を考えてみたいと思います。

なお、私の場合、テクニカル、ファンダメンタルチェックには、Kabutanと、楽天証券のマーケットスピードを利用しています。



まず、このような投資を配当利回り目的投資と言います。

投資の目的には、2種類あって、配当利回りなどを目的にする投資をインカムゲイン狙いと言い、一方で、値上がり期待の投資をキャピタルゲイン狙いと言います。



せっっかく具体例として、三菱UFJが上がっているので、まずは、銘柄分析をどのようにするのか、について見てみたいと思います。

最初に行う作業は、三菱UFJの事実認識です。
環境認識と言ってもいいのですが、今回は敢えて事実認識と書きました。
まずは、今どういう現状かを事実認識する作業です。
当然予想などは含みません。ここが留意点です。

事実認識と予想を混ぜないこと、これが何よりも大切です。
まず、事実を認識し、次に予想を展開する、自分なりの考察をする、ここを完全に切り離して考えることが、多くの人はできていません。
ここは大変重要なところなので、常に事実なのか、予想なのか、確認しながら作業を進めてください。
まず、事実を認識しないと、分析も予想もへったくれも無いのです。
事実を知らないで、いきなり予想する、というのがダメな典型なんです。

ただし、こういった個別銘柄の分析は、やりだすとキリがありません。
細かく見れば、有価証券報告書のチェックだとか、アナリストレポートを読むだとかありますので、今回、これだけは抑えておきたい最低限度のチェック項目を書いて起きます。



では、まずは、テクニカル面のチェック。

2017-01-620.jpg

これは月足です。
過去の値動きを見ると、2011/11の安値318円、他何度か300円台に突入していますが、ここが安値だということがわかります。
最近の高値は、2015/06の936円。その前には2006/04に1950円があります。
目先的に見ると、動きが鈍いように見える三菱UFJですが、結構大きな値幅で上下していることがわかります。



2017-01-621.jpg
次に日経平均との比較チャートです。
値動き的に見ると、日経平均と連動して動いていることがわかります。
リーマンショック前に高値をつけて、リーマン後の低迷を経て、アベノミクス相場で上げ、という流れです。

ここで見てすぐにわかるのは、リーマン後の戻りが大きくアンダーパフォーム(日経平均の戻りに対して戻りが鈍い)しているということです。

この理由は、日銀の金融緩和による銀行の低収益環境が影響している、ということだと思います。
他の銀行株の三井住友、みずほなどもほぼ同じ傾向です。



一方の業績面ではどうでしょう。

予想PERは、9.5倍、PBRは、0.59倍で、割安株だと言えるでしょう。
配当利回りは、2.64%で、まずまずです。
業績の安定度合いは、2012/03期以降は今の利益水準で安定していて、大きな上下はありません。
結果として、ここ3年間の年間配当は18円を維持しています。

もっと遡ると、2003年までは、不良債権処理が続き、赤字や低収益となっており、その後も2005年、2009年と赤字を出しています。
マクロ環境に大きく影響を受ける株だということで、結果として日経平均との連動性も高い、ということになるわけです。



と、ここまでが、とりあえずの下調べの段階で、事実認識です。
書けば長くなりますが、Kabutanなどを使えば簡単にできることなので、これぐらいは見ておきたいものです。



さて、ここからがこの銘柄についての考察ですが、以上の事実確認をベースにすると、私は次のように考えます。

配当狙いという観点からは、現状業績面は安定しており、今の配当水準の18円を今後も維持する可能性は高い。

ただし、過去の実績から、マクロ環境に大きく左右される株なので、経済状況が悪化すれば、減配もあり得るし、再び株価が300円台も視野に入る恐れがある。

一方で、経済が上向き、日銀が今の極端な緩和を終了すれば、日経平均をアウトパフォームすることが考えられる。


ということで、マクロ環境と金融情勢に大きく影響を受けるため、その動向次第で配当も株価も大きくブレることが考えられる、という実にありきたりの結論となりました。(笑)

ただ、ここまでを自分でしっかりと確認しておく、ということが大変大事なんです。
でないと、自信を持って投資などできません。
こういうこともわからずに、何となく投資している人が大勢いるので、この程度の分析は、最低限自分でできるようにしておく必要があると思います。

注釈ですが、私は、割安株インカム狙いはやりませんので、決して、低PER・低PBRがよいという意味で書いているわけではありません。
あくまで、インカム狙いならば、という前提がある場合、という意味での今回の分析です。




さて、最初に三菱UFJのチェックをしたわけですが、そもそも退職金を全部ここにぶち込むことがどうなのか、という話に移りたいと思います。

退職金の資金の性質ですが、これは老後の蓄えという意味では、失えば大変なことになる資金、ということになります。
最低限、年金で生活できる、ということはありますが、しかし、臆病な資金であることは確かです。

一方で、この方のお父さんは、

下手に相場で儲けようとせず、配当利回り目的で持ち続けることを選択した


という点では、正しい選択であったように思います。

同じ投資でも、インカム狙いとキャピタル狙いでは、全く違います。

そして、相場経験の無い退職者が相場に手を出して、老後の大切な資金である退職金を全て失った、という話はよく聞く話です。
そういう下手な色気を出さずにインカムに徹する限り、そんなに酷いことにはならない、とは思います。

ただ、やはり臆病な資金である退職金なので、できれば、分散することが望ましい、ことではあります。

ここで分散というのは、銘柄分散と時間分散、そして根っこのアセットアロケーションです。




三菱UFJが危ない、ということは今の時点ではありません。
しかし、相場の世界に絶対はありません。

東北震災の前には、電力株は、株価も安定しており、高利回りでもあったので、個人投資家にとって最大の配当利回り株であり、安定的な株価と相まって、東京電力が最大の投資先として人気でした。
しかし、待っていたのは惨劇でした。
大勢の配当狙いの資金、主に退職者の資金が大損を被ったのです。

今後も、三菱UFJには、何事も無いかもしれません。
しかし、それは、地雷原を通過する方法は、目をつぶって走り抜けることだ、と言っているのと同じ結果論なんです。

だからこそ、分散することによって、リスクを減らす必要があります。

少なくともセクターを分けて5銘柄程度には分散することが望ましいと思います。

それから、時間分散。つまり、分割です。一気に買うのではなく、時間をかけて買っていくことで、分散しリスクを下げる、ということです。

高配当銘柄は、色んな証券会社やサイトなどで検索できますし、検索結果からここで書いたような感じで銘柄選別すればいいと思います。




ここで、銘柄選別においての裏技を2つ書いておきます。

一つ目の裏技ですが、、それは、配当利回り目的のファンドの組み込み銘柄を参考にする、ということです。
つまり、真似する、ってことです(笑)
プロに目利きしてもらったものを使う、ってことです。

今、私が見ているのは、マネックス証券の投信のコーナーで、ここで、国内株式の配当で検索すると、26件がヒットしました。
この中で、主に配当利回り重視のファンドを選びます。
その一番上はフィディリティのファンドですが、その詳細ページを開いて、投資信託説明書のPDFをチェックします。
そこで、ファンドの運用実績のところに、「組入上位10銘柄」というリストが書いてあります。
これが、このファンドが主に組み入れている銘柄なんです。
このファンドだと、筆頭は、みずほで6.0%、次がヤマハ発動機で5.7%、結局、上位10銘柄で、実に43%となっています。
このファンドの上位10銘柄に投資すれば、概ねこのファンドにかなり近いリターンが得られることとなります。
配当利回りファンドなので、銘柄の大きな入れ替えもそうありませんから、年次報告の度にチェックする、程度で大丈夫です。

次の野村アセットの好配当ファンドは、三井住友、日産、日本たばこなどを組み入れていました。

こういったプロの目利きにかなった銘柄を真似して、自分のファンドを自分で作るわけです。
最低限、プロの目利き銘柄なので、酷いことにはならない、ということです。

じゃあ、そのまま好配当型の投信を買えばいいじゃないか、となりますが、投信の問題点は、手数料なんです。
今では申し込み手数料がかからないファンドが増えていますが、問題は、信託報酬なんです。
マネックスのサイトを見ても、低いものでも1%、高いものだと2%もかかっています。
そもそも、2~3%の配当を狙って買っているものなんです。
それが、1~2%も毎年毎年信託報酬で持って行かれたら、実質は、配当からの利益のほとんどが投信会社と証券会社の山分けに終わってしまう、という恐ろしい事実が簡単にわかる、ということなんです。

投資家が取っているのは、リスクだけなんです。こんな非合理なことがまかり通っているのが、この金融の世界なのです。

情報弱者は、常に情報強者からむしり取られる宿命を背負っているのが金融の世界である。

マネックスは、申込手数料が無料ですが、そうでない証券会社の場合、さらに高額の申込手数料が取られてしまうので、さらにリスクだけこちらが取る、という感じになってしまいます。
最初の手数料を何年もかけて払うという具合で、ナンセンス極まりないことです。
リートに投資するファンドとかもありますが、そんなものを買うぐらいなら、そのファンドの組み込みをパクって自分でリートのポートフォリオを組めばいいだけです。
絶対に利回り型の投信などやるべきではない、と思います。
毎月分配という美名のタコ配ファンドなど、論外です。

こんな投信を買うぐらいなら、見えている情報で自分ファンドを作ってください。
どんなヘタレファンドを作っても、投信を買うよりは100倍マシです。

ということで、今回のお父さんは、1銘柄集中投資というリスクはあるものの、

金融プロの搾取の構図にはまってはいない

という点においては、合格点だと思います。


金融の世界では、仕組みを知っているものが常に勝ち、知らない者が常に負けるという弱肉強食の世界です。

無知無能は、金融の世界では、悪であり、搾取の対象者なんです。

これこそが

金融村の掟

なんです。




もう一つの裏技は、株主優待と配当のセットで利回りを考える、ということです。
これは、個人でしかできない投資スタイルなので、資産の一部でもやってみる価値はあります。
といって、これは、ZAIなど投資雑誌に特集が出ていますから、裏技でも何でもないのですが、株主優待銘柄に分散投資することで、意外なぐらいの高利回りが得られます。
もちろん個々の銘柄のファンダやテクニカルはチェックする必要がありますが、個人で持つのでしたら、この観点は結構ありだと思います。
目指せ桐谷さん、ってところです。

この投資のいいところは、

キャピタル狙いのように、投資家同士が奪い合いをするのではなく、会社が出してくれるものを横からもらう

という構図にあります。

つまりは、サバンナの食い合いではなく、定期的にエサが供給される動物園のような仕組み、ってことです。

何が利益の源泉になっているのか、自分の利益はそもそも誰が出してくれているものなのか、を理解しておくことは、大変重要なことなのです。


それが、構造理解につながり、引いては収益の安定になるからなんです。

しかも、株主優待銘柄は、優待狙いという買い手が存在するので、株価が下げれば、その買い手が株価を下支えする、という構図もあるのですね。





しかし・・・以上の銘柄分散をいくらやっても、実は防げないリスクが存在します。

いくら分散したところで、株式市場の性質にあるとおり、全部が下がればやられることになるのです。

ここで、一番問題になることは、テールリスク(ブラック・スワンリスク)なんです。

あまり投資において考えられていませんが、とても重要なことです。

これは、何かというと、

テールリスクとは、マーケット(市場)において、ほとんど起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスクのことをいいます。 これは、通常、確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク(大幅下落するリスク)のことを指します。


具体的には、先のリーマンショックなどがこれにあたりますが、今想定されていることは、次のようなイベントリスクです。

①震災
②戦争
③伝染病


めったに起きることはないけれど、絶対起きないということはありません。
実際に、この2つは今では、リアルに想定されていて、最近では防空訓練までされている状態です。
そして、東南海地震などのリスクも近づいている、と言われており、そのための備えを国や各自治体が進めている、のが現状です。

ここで、金融面の混乱については、あまり語られることはありませんが、こういったテールリスクが起きた時に、自分のアロケーションは耐えられるのかどうか、について、常に意識の片隅に置いておく必要があることだ、と私は考えています。

株だけではなく、そもそも円の価値はどうなるのか、不動産は、などなど、資産全般です。
混乱が起きた時、借金漬けの日本の財政状況を考えると、円の価値と信頼は保てるのか、どうヘッジできるのか、など頭の隅には置いておきたいところです。

テールリスクが発生すれば、三菱UFJ単独投資であろうが、5社に分散しようが、結果はあまり変わらない、ということになるかもしれません。

ここで、アセットアロケーション。

つまり、資産を株だけではなく、他の資産に分散させておく意味がここにある、ということになります。

この内容を書くと、本一冊分になるので、詳細は省きます。




以下、余談ですが、テールリスク時の対策では、通信手段の途絶、取引所の閉鎖によって、どのような影響が出るのか、ヘッジ手段はどうするのか、などなど、今回のテーマからそれるので細かくは書きませんが、考えておく必要があるでしょう。

他に、私は、大した備えはしていませんが、パスポートの有効期限をチェックしておく、車のガソリンは基本満タンにしておく、手元現金は常に持っておく、モバイル用PCの準備、などちょっとした気遣いはしています。

ただ、想定されていないテールリスクこそが一番危険ではあるわけなのですが、これはもうキリがないので。

ちなみに私は、心配性ではなく、普通に考えれば、テールリスク対策はあって当然だと思っているだけです。。。

震災などの物理的備えはやっていても、金融面での対策は何もしていない、ということは片手落ちだと思っているのですね。



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あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

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