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現在の環境認識と対応

2018/02/04 Sun

他のことを書こうと思っていたのですが、相場に変化が起きそうなので、みなさん今後の見通しについて不安に感じている方も多いかと思います。
ということで、現在の環境を書いておこうと思います。

次にどうなるのか、を知りたい、というのは、投資家万人に共通することではあるのですが、それは、単なる思惑でしかありません。
それよりも、今後どうしていくのかを考える時は、常に、事実はどうなのかを見ておく必要があります。

多くの人は、この先の予想はしても、事実を確認する作業を怠っているので、結局、当てものの世界になってしまうのです。
それでは、当たるも八卦当たらぬも八卦ということになるので、考えても意味がありません。


では、気になるNYダウのチャートから見て行きましょう。

2017-01-790.jpg

これは、NYダウの週足チャートです。
2016年年初からずっと上がっているわけですが、ここでは、上げ相場の特徴がよく表れています。
それは、目先で下げたとしても、すぐにそこを底にしてすかさず切り替えして新高値を取っている、ということです。
これを上げ相場の押し目と言います(笑)

今回、大きめの下げが入ったわけですが、押し目だとすると、早いタイミングで戻ってまた高値を伺ってくる、という動きが想定できます。
逆に言うと、下げたまま戻りが鈍い状態が続くであるとか、再度安値を割ってくるような動きが出るのであれば、それは明らかにこれまでとは違う動きなわけです。
ある程度の期間で戻って高値を取ってこない状態が続けば、それは、トレンド転換の可能性が高い、と考えられるわけです。
これまでと同じく、押し目を買う、という流れから、戻りを売る、という方針転換をしないと、下げていくトレンドに逆らうことになります。

永遠に上げ続ける相場はありません。どこかで天井を打つのです。


今が、相場の2合目という人はいないでしょう。
少なくとも7合目とかそれ以上だという値動きです。
そうであれば、山頂からの折り返しを警戒する局面に入っている、ということになろうかと思います。

ただ、問題は、天井を打ったとすると、そんな悠長なことを考えている間に、かなり強烈な下げに見舞われてしまう可能性があることです。
下げ相場の怖いところは、コツコツ下げるのではなく、一気にナイアガラが待っていることなので、そこには注意が必要でしょう。

何にしても、ここまでの少し下げては切り上げる動きが変化を起こすかどうか、がポイントということになります。

そうなった時に、こんなに下げたのだからそろそろ上げるはずだ、と考えるのはやめたほうがいいのです。
特に、ポジを持っている場合、上げ相場に慣れてしまっているので、下げても、底に見えて売るに売れないまま放置状態からの塩漬けという黄金パターンにはまる投資家が続出します。
これは、感覚が上げの押し目に慣れてしまって、戻らないことから起きる現象です。
それをやるから、大負けするので、環境が変わったことを客観的に判断すべきなんです。
どこかで、決断すべきポイントを今決めておいて、それを守ることが大事です。
仮にそこが底になったとしても、投資家として生き残るには、それが正しい判断なんです。


これまでは、鈍い下げに急激な上げのリズムだったわけですが、これが鈍い戻りに急激な下げ、というリズムに変わったのであれば、明らかにそれは押し目ではありません。

この値動きのリズムの変化に注意し、客観的に判断すべきです。

投資の判断は常に、主観的ではなく、客観的にすべきです。
そうでないと、相場は単なる当てものになってしまいます。



ここまで読んでいただくと、実にありきあたりで当たり前のことしか書いていないように思われるかもしれませんが、これ以上に有効なチャートの見方を私は知りません。


TOPIXとジャスダックも見ておきましょう。

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マクロ環境においては、米国長期金利が上昇しているわけですが、これは、今に始まったことではありません。
これまで、株式市場が無視し続けてきたことです。
現在、米長期金利は2%台の後半まで上昇しています。
ただ、これが3%台にガンガン乗ってくるようなことになるか、といえば、そこまではという意見が大半ですので、どこかで金利の上昇は落ち着くものだと考えられます。
そうであれば、NYダウもどこかで止まる可能性がある、と言えるのかもしれません。

こういうマクロ環境の認識はさておき、優先すべきは値動きなので、値動きが示す方向へついていくしかありません。

金利の上昇が今回の下げの原因のように言われていますが、これは、今起きている資産インフレ修正のトリガーにすぎないのではないか、とも考えられるため、トレンド転換には一層の注意が必要だと考えています。






さて、ここまでは環境認識でした。
多くの投資家は、要するに、押し目なのか、下げの始まりなのか、を知りたいわけなんですが、それがわかるのは、神のみであって、誰もその答えを正確に当てることなどできません。

わからないものをわかろうとするから、相場がしんどくなるんです。

わからないものを基準に相場をやろうとするから上手く行かないのです。

では、わからないのなら何もできないのか、というとそうではありません。

わからないから、座して死を待てということではありません。

実は、

相場の先読みとポジション管理とは別物なのです。

ここを同一視するから上手く行かないのであって、読めたから勝てた、読めなかったから負けた、ということではありません。

では、どう考えるのか、というと、環境認識と合わせて、リスクから考える、ということになります。

今何も持っていない人は、明日はとりあえず様子見からのスタートでしょう。

デイトレなら、下げ過ぎを買ってみる、ということもあります。

危ないのは、ここまでの上げでポジが膨らんでいる人、扇形にポジションが大きくなっている人です。

ビットコインだと、10でスタートしたものが240になって、80に下げただけだから、まだ儲かっている、と理屈ではなりますが、そうは行かないのは、上げるに連れて扇形にポジが増えていっているからなんです。

相場で大失敗する原因の第一は、この扇形のポジション取りにある

と言っても過言ではありません。

では、ポジが膨らんでいる人はどうすればいいのか、というと、もう早めに逃げるしかありません。

最悪の事態を避けるためには、早めに対処するしか道が無いのです。

ポジション管理の失敗は、相場の読みとは別問題です。

そこが見えていないから、相場の当たり外れで勝ち負けが決まると思ってしまっているのですが、実際の損益に与える影響は、ポジション管理の方が大きいのです。

先程のトレンド認識で、下げが確定した段階というのは、もう結構下げているところですから、扇形陣形を取っている人にとっては、相当損失が膨らんでいる可能性があります。

扇形のポジションを取っているのなら、10上げて2下げただけで破産です。

これが相場の恐ろしいところなんです。

なので、ここはどちらかわからないとしても、ここからもう少しでも下げれば、リスク管理上外さざるを得ない局面になります。

そうでないと

一歩の後退は百歩の後退の始まり

となって、結局何もかも無くすまで付き合う事になりかねないからです。

このように、相場の読みや値動きを認識は共通であっても、実際のポジションをどうするかについては、持っているポジション取りや時間軸によって全く違った対応となります。

先を読めばいい、先を当てればいい、と思っている人が多いのですが、そんな当たるも八卦当たらぬも八卦を頼りにしていては、今はたまたま当たって助かったとしても、いずれ次の機会には、死亡して退場を余儀なくされることになるだけです。
それは、単なる延命でしかありません。

たまたま当ったかどうかを軸に、運任せに相場をしてはいけません。

リスク管理は、自分でできることなんです。

それを運に任せてはいけないのです。

今たまたま当たっても、将来はありません。

いずれその人は死にます。

人に寿命があるのと同じぐらい確実に死にます。


大敗さえしなければ、リベンジはいつでも可能なんです。


相場とは、わからない将来予測を基準にして、運に任せてやるものではありません。

わかる事実を認識して、自分でできるポジション調整とリスク管理をベースにやるものなのです。



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現在の環境認識と対応 その2

2018/02/10 Sat

激動の一週間でしたがお疲れ様でした。

今週の下げの原因として有識者から言われているのが、ボラティリティショートのスクイーズです。

これは、相場が動かないことに賭けていた向きの損切りがこれだけの変動をもたらした、という説です。

いままで、相場が安定的に推移していたので、相場が動かないという方向に賭けるポジションが大きく膨らんでいた、ということだそうです。

相場は、上か下かに賭けるという以外に、動くか動かないかに賭ける、という方法があり、今回は、この動かない方に賭けたポジションが膨らんだところで、爆発した、ってことが原因として言われています。


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日経新聞とかでも話題になっていましたが、典型的的なものがこのVIXショートのETFで、年初には4万円だったものが、一瞬でほぼゼロまで暴落しました。
個人投資家もかなり買っていたようですが、買っていたほとんどの人は、この商品の持つリスクを知らなかったのだろうと思います。

今年に入ってからの動きを除けば、非常に優秀な上昇トレンドですから、テクニカル的には何の問題もない状況でした。

しかし、このトレンドというのは、

単なるチキンレース

だったのです。

ファンダメンタルを理解せずに相場をやる、ということの恐ろしさは、こういうところに出るのだとつくづく思います。
過去には、スイスフランショックなどもありましたが、こうした事例は、テクニカルだけを見る危険性の典型的なものだと思います。
どういうリスクがその商品に内在しているのか、ファンダメンタルを見ずには絶対にわかりません。
もし、ファンダメンタルがわからないのなら、絶対に手を出してはいけないのです。
そういう意味で、私はファンダメンタルがわからない仮想通貨には手を出せずにいるのです。



さて、今回の下げの振幅を大きくした原因としては、間違いなくボラショートがあったと思いますが、ここで2つのシナリオが考えられます。

一つ目のシナリオは、ボラティリティショートだけが原因という説。
もしそうならば、そのポジションが解消されれば、再び上昇トレンドに戻る、というシナリオです。
少し深い押し目になったけれど、それはポジション解消によって、終わったので、ここから再び上昇に戻る、ということです。
そうであれば、今月後半に目先の押し目が終わって、再び上昇トレンドが始まる、ということになるでしょう。



2つ目のシナリオは、そういうきっかけがあったにせよ、大きな流れとして、ここまでの上昇トレンドが一旦調整に入って、リスクオンからリスクオフに転換した、と見るものです。

そうであるならば、乱高下がしばらく続いた後に、相場はグズグズしながらも、戻っては売られを繰り返して、3ヶ月から1年程度は低迷する、というものです。
こちらのシナリオなら、過去のチャートを見るとわかるとおり、どんなに短くても3ヶ月以上先に底を打つということになるので、少なくとも5月あたりまでは買うのは控えるのがいいということになります。

ここまで2年近く、順風満帆で上げてきていたわけですが、これは、金融緩和による金融相場、すなわち過剰流動性相場であった色彩が強いのです。
それが、FRB、ECBの引き締めへの政策転換によって、いつ流れが変わってもおかしくはありません。

リーマン・ショック前も、過剰流動性相場があったわけで、それをFRBが放置したことによって、その反動で強烈な下げに見舞われることになりました。

過剰流動性相場は、放置すればするほど、その後の反動が激しく襲ってきます。

山高ければ谷深し

最悪だったのは、1929年の大恐慌。
これも過剰流動性相場を放置した結果もたらされたものです。

緩めればいいと思っている今の日銀と違って、FRBはこうした教訓を忘れてはいないでしょうから、今、多少株式市場が荒れても仕方がないと考えていると思います。

今回の下げなど、過去の暴落に比べれば、かすり傷程度のものです。
今の範囲なら、ちょうどいい調整程度で、どうってことはありません。

中央銀行の政策に変化なしと考えれば、今後いつ本格調整に入ってもおかしくない、と見ることができるでしょう。



米国債の金利上昇も原因として言われていますが、これもきっかけとしてはあったんだろうと思います。
ただ、2%後半に上がった金利が、この先3%をどんどん超えてくる、というシナリオを持っているアナリストは少数です。

この先、どんどん株が下げるようなら、さすがにFRBの金融政策にも変更が出るでしょうから、これだけを原因とするのも無理がありそうです。



ここで気になるのは、株とドル円の動きの違いです。

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典型的リスクオフ相場であった、2008年のリーマンショック時だと、ドル円の急落を伴っていました。
これは、リスクオフ時においては、
①日本が債権国であるので、リスクオフになると、国内機関投資家が海外リスク資産を売って国内に戻す
②投機筋が低金利の円を借りてドルで運用するリスクポジションのリワインド(巻き戻し)

という動きをすることから起きる円高現象、つまり、レパトリエーションが起きる、というのがリスクオフ時の通例なわけです。
2016年の下げの時にも同じようにドル円も下げています。

ところが、今回は、そのドル円の強い下げの動きが起きておらず、レンジ内の動きに留まっています。

まあ、2017年の株の上げにドル円がついてきていないので、その反動も無いといことも言えるのですが。。。

そう考えると、今回は、リスクオフではなく、一時的な株の価格調整の動きだったのか、と考えることもできるのかもしれません。

月足で見たTOPIXも、調整がもう少しで終われば、単なる押し目と言える動きであろうかと思います。

米金利上昇による米債投資があるのかとか、このあたりの詳しい事情は、アナリストの見解を調べてみて、わかればまた書いてみたいと思います。


それと、妙に弱いのが上海です。
アメリカと中国という2大国の株価が弱いわけですが、これは中国当局の引き締め姿勢が原因とのことですが、上海株の動きも気になって見ています。
下手をすると、伏兵の中国発の第二弾の下げということあり得ると思って見ています。



当然のことながら、上げすぎた株の単なる調整の動きなのか、本格リスクオフの流れに変わったのか、については、もう少し動きを待ってみないとわからないわけですが、ヒントになるのは、このドル円が昨年の安値である107円を割ってくる動きになるかどうか、と見ています。



ちなみに、本格リスクオフになったとしたら、過去の事例を見ればわかるとおり、2008年のリーマンショック以降で、本格上昇相場は、2013年の5年間の低迷を待って始まっています。
2016年年初からの下げでは、年末まで調整が続きました。
そう考えると、全く慌てて買う必要はありません。



どちらにしても、月足チャートを見ればすぐにわかりますが、2016年から始まった上げトレンドは、特殊な環境であり、それが永遠に続くということなどありえません。

新興市場を見てみましょう。
このジャスダック平均など、これが永遠に続けば相場はほんとに簡単なんですが、そうは行きません。
2017-01-800.jpg

このジャスダック平均を見ると、

今回は、まだちびっと下がっただけ

なのですね。

このちびっと下げだだけで、大きな損失を抱えてしまうってことは、どういうことかというと、

扇型のポジション陣形

を取っていることが原因なのです。

相場が順調に進めば進むほど、ポジションが大きくなるから、少し下げだだけでも、致命傷を負うのです。

ここで何とか耐えることができたとしても、もし、今後本格下げになれば、根こそぎやられる、ということになります。

今回、凄い下げだ、と感じている人も多いかもしれませんが、

まだちびっとしか下げてない

です。



2006年に天井を打ったジャスダックが、低迷を経て上げ相場に転換したのは、実に7年後の2013年からです。
この時間感覚を見ておかないと、下げの途中や低迷時期につい買ってしまう、ということをやらかしてしまいます。

経済のファンダメンタルは順調、という政府のコメントなどは絶対に信用してはいけません。
これは、平成の大暴落時でも、リーマン・ショック時でも、繰り返し政府のコメントとして言われていたことです。
私は、この政府見解を聞いていて、吹き出しそうになりました。
何で、毎回同じことしか言えないのかと(笑)



相場は、一旦ガツンと下げを食らうと、戻り売りの波動に転換してしまうことがほとんどなので、そう簡単に戻ることは難しくなります。

これは、ここまで楽観で来ていた投資家に水を浴びせたような状態になって、トントンなら逃げたい、という心理にさせることが原因です。

自分だけでなく、みんなが扇型にポジを膨らませてきた結果起きるのが、大きな上げトレンドです。


そんな楽観的なポジを取ることに冷水が浴びせられれば、みんな慎重にならざるを得ないですから、結果として起きることは、かなりの時間調整なんです。



最初に書いたボラショートのスクイーズだけなら、再び上昇トレンドに戻ることも考えられます。
しかし、本格リスクオフのシナリオも十分あり得ますから、ここからは、ここまでの順風満帆が再び来ると思わずに、環境変化に対応することがサバイバルへの道だと私は思います。





繰り返しますが、こうした相場のシナリオとポジション管理とは別物です。

ポジション管理を優先して、シナリオを見ていく、という順番でないと、生き残ることはできません。

リスクさえ優先して対処しておけば、シナリオに沿って相場に戻ることは簡単なんです。




投資家がよくやる失敗としてあるのは、まだ時間調整が済んでいないのに、慌てて買うことです。

これは、値ごろ感から来るものです。

特に、第一波を上手く逃げられた人が、調子に乗って最初の戻りかけで買ってしまう、ということがよくあります。

こうして、最初の下げで上手く逃げられた人も、第二波、第三波で息の根を止められる、ということが多発します。

何故そうなってしまうのか、というと、

ここまでの順風満帆な相場のトレンドに心が最適化してしまって、その感覚が抜けないから起きる現象なんです。

上昇トレンドに乗る成功体験が心に植え付けられて、環境変化に対応できないことが大失敗の原因となるのです。

多くの投資家は、これまで続いたことが今後も続くと勝手に思い込んでいます。

しかも、その経験とは、たかが1年や2年といったものだけなんです。

しかし、相場が環境変化することは、過去からずっと同じく続いています。

多くの人は、環境変化にあまりにも弱いのです。

習慣的に植え付けられた体験を手放すことができないのです。

それでは、絶滅した恐竜と同じ運命を辿るだけです。




最後にソロスの言葉を書いておきます。

まずは生き残ること

私は特定のルールに従ってゲームに参加しているわけではない。ゲームのルール が変化するのに注目しているだけなんだ。

私の金銭面の成功は、私の将来の出来事を予想する能力とは際立って対照的だ。

(ジョージ・ソロス)



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相場を難しくしている原因

2018/02/18 Sun

相場は、少し落ち着いてきましたね。

2017-01-804.jpg

NY株の戻りはかなりのもので、半値戻しどころか、3分の2戻しを達成する勢いです。

震源地であるNY株は、ここまで戻っていますが、下げの要因の一つと言われていた米長期金利は高いままで張り付いている状態です。

こうやって見ると、今回の下げは、ボラティリティショートのスクイーズだけで終わりなのか、とも思えるような勢いです。

そうであるならば、フラッシュ的な下げだけで、また何事も無かったかのような上げトレンドが継続する、という可能性も高まってきました。

VIXも大きく低下してきています。

ただ、VIXは、そもそもは原因でなく結果なので、単純にVIXが下げたからよかったとは言えないのではないか、と思っています。


対して、225の戻りは非常に弱いです。
これは、注目されていたドル円相場が、昨年来の安値を割った、ということが大きく影響している模様です。

ここから、本格下げの入り口なのか、はたまた、絶好の押し目となるのか。
どちらになるかはわかりませんが、自分の相場観などの思い込みでやると痛い目に合うことになるので、事実を客観的に見ることからシナリオを構築し、失敗したらさっさと逃げること、しか無いと思います。




さて、こうやって落ち着いてくると、ここまで我慢していた人はホット一息でしょうし、手を空かせていた人は、待ってましたとばかりに、押し目買いをしたくなる局面だと思います。

結果として、今回は、それが正解になるのかどうかはわかりませんが、ほとんどの人にはそう見えてしまうものなんです。

何故そうなるのか、というと、

人というのは、慣れと習慣で動く

ものだからなんです。

この習慣というものは、人の行動の大半を支配しているもので、繰り返すことによって、脳にその回路が出来上がってしまいます。

だから、朝起きたらまず何をするか、とか、歯磨きはどの歯からやるか、風呂に入ったらどこから洗うか、通勤電車のどの位置に乗るか、などなど、ありとあらゆる人の行動を支配しているものなのです。

人である限り、この習慣の呪縛から抜け出すことは容易ではありません。

これは、行動パターンだけでなく、考え方の習慣も同じです。

特に頭の固い人というのは、自分の習慣的にやってきたことを破ることがとても苦痛です。

新しい考え方や別の習慣を取り入れるということは、よほどの事が無ければできないようになってしまっているのです。

普通の人でも、この習慣破りをすると、すごく不快に感じるものなんです。

夫婦喧嘩の大半が、お互いの習慣破りから来ている、ことなどから見ても、習慣というののがどれほどのパワーを持っているかがわかります。



さて、本題に戻って・・・

2013年からスタートした上げ相場は、2016年に一旦大きな押し目を作ったものの5年間に渡り続いてきています。

これは、長期に渡る日経平均のチャートです。

2017-01-803.jpg
(画像をクリックすると拡大します。)

こうして見ると、今回の下げは、下げというよりも、まだ、ちょっとした押し目程度だということがわかります。

こうした長期のチャートは、あまり見たことが無い人も多いと思いますが、チャートは長期であればあるほど重要なんです。

基本的には、ここまでの5年間は、押せば買うと儲かる、という状態が繰り返し叩き込まれてきました。

しかし、長期のチャートで見る限り、この5年間というのが、例外的なものであった、ということはすぐにわかります。

こうして多くの投資家は、この5年間の上げ相場というぬるま湯にどっぷりつ浸かってやってきているので、上げ相場に乗っていく、という習慣がついてしまっています。

そうなると、下げてくると、すぐに買いたくなる、そこが底に見える、という感覚が習慣的に起きてしまうのです。

5年間にわたって繰り返し叩き込まれた習慣です。

何故高値で腹いっぱい買ってしまうのか。

毎回にわたって同じ失敗を繰り返すのか。


という答えがここにあります。



相場で生き残るのが難しいのは、この

相場が、習慣という人としての本能、習性を破るような動きをするからである


と言えるのだと私は思っています。

慣れきった動きから、別の次元の動きに変化するその相場の変化に人は、本能的についてはいけないのです。

ここが相場を本当に難しくしていると思います。

習慣による輪ダチから抜け出すのは容易ではありません。

もし、相場が人の習慣にやさしい値動きをするのなら、相場で損する人などいません。

相場の動きが、人の習慣破りをするからこそ、相場で多くの人が負けるのだ


ということを強く意識しておかねばいけない、そう私は常に自分に言い聞かせています。

慣れきった時が一番危ない


ぬるま湯にどっぷりと浸かって、安心している時は、危機的状態にある

そう自分にいつも言い聞かせているのです。


私は特定のルールに従ってゲームに参加しているわけではない。ゲームのルールが変化するのに注目しているだけなんだ。(ジョージ・ソロス)

このソロスの言葉のとおり、

ゲームのルールは突然変わるのです。これが相場を難しくしている最大の要因なんです。



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資金管理のポイント

2018/02/21 Wed

ご質問があって、大型株の配当利回り株を損切りなしで持つという投資戦略についての意見を求められましたので、記事にて回答します。


まず、資金管理と損切りは、イコールではない、ということです。
損切りというのは、資金管理術の一部となります。
資金管理にはいくつかあって、もう一つの大きなポイントに、ポジショニングというものがあるんです。
これは、レバレッジと言ってもいいかもしれません。

例えば、10万円分の株を持つとします。
これは損切りしないのだ、とすると、リスクは最大10万円となります。
この人の全資金が10万円ならリスクは100%です。
しかし、この人が100万円持っているなら、リスクは10%です。
そうであれば、この人は、10%のリスクで株を持っている、とも言えるわけなんです。
それならリスクはかなり限定的ですので、問題ありません。
ところが、そうなると、今度は資金効率が非常に悪くなるのです。
つまり、レバレッジを下げればリスクも下がるし、レバレッジを上げればリスクは上がる、ってことです。

この

リスクと資金効率をどう上手にバランスさせるのかが、資金管理の要諦

なんです。

私の住んでいる短期売買の世界では、狙える値幅はたかが知れています。
となると、レバレッジを上げざるを得ません。
そうなると、リスクを限定するためには、絶対に損切りが欠かせない必須アイテムとなるわけです。

損切りというのは、リスクを限定できる魔法のツールなんで、それを使いこなせさえすれば、レバレッジを上げることができるんです。

逆に言うと、

損切りを前提としないということは、ポジションが小さいからというリスク管理に頼るしかない

ってことなんですよ。

そうすると、資金効率が非常に悪くなってしまいます。

短期でやってて、単位が小さくて、勝っても負けても大したことがない、しょんべん博打、と言われるような小さな単位でこちょこちょやるしかない、という状態に陥る人が結構いますが、こうなってしまうのは、損切りの問題が大きいんです。

いくらやられるかわからないのに、大きく出ることなど出来るはずがないんです。


本能的にリスクを感じて、ビビってしまうんです。

損切りをしない、できない問題点というのは、実はここにあるんです。

短期売買においてなどでも、チャンスにポジションを大きくできなくてビビっているトレーダーの多くは、結局損切りが下手なのが大きな原因なんです。



関連する話で、前の記事にも書いたとおり、勝つにつれてポジションが大きくなる扇形のポジションは危険、調子に乗って増やすな、ということですが、これはレバレッジの失敗なんです。
そうなれば、損切りを設定していても、追いつかないリスクを背負ってしまうことになります。
というのは、いくら損切りを設定していても、下げというのは一撃で来ることが多く、想定以上のヤラレを招くことは今回でもおわかりのことと思います。
こうなると、損切りをきちんとしていても、レバレッジで失敗して、資金管理が上手くできていない、ってことになるわけです。
ですので、リスクとポジションのバランスと、時間軸を伴った資金管理が必要となるわけです。



さらに具体的に掘り下げると、書いておられる投資戦略は、配当利回りをフロア(支え)として、粘るという考え方ですね。
つまり、配当利回りは、株価が下げれば下げるほど、上がりますから、それが最終防衛ラインになる、という戦略です。
大型株は、業績もそれなりに安定しているだろう、という前提もあります。

こういう戦略ももちろんあると思いますが、いくつか考慮しておくべきポイントがあります。
大きくは、資金管理上の問題点、マクロの問題点とミクロの問題点です。
具体的には、3点です。
一つ目は、損切りをしない、となると、やはり資金効率との兼ね合わせが問題になろうかと思います。
2つ目は、本格的下げ相場に遭遇していない、という点です。
3つ目は、配当は変化する、個別企業は事件事故とは無縁ではいられない、ということです。


配当利回りというのは、業績が安定していれば支えになりますが、本格的な不況時期に突入すると、業績そのものが傾いて、減配や無配ということが起こり得ます。
そうなると、相当な下げが起きることは、過去の月足チャートを見れば簡単にわかります。
そうなった時に、今の戦略で耐えられるのか、ということは考慮しておくべきでしょう。
今の安定した相場環境や景気動向が続く、という前提での投資はあまりにも近視眼的だと言えます。



暴落というのは、必ず将来も起きます。


これは100%間違いありません。

この100%起きることに対して、損切りなしというノーガード戦法で戦いを挑むというのですから、本来は相当な覚悟が必要なわけです。

1929年の世界恐慌時には、ダウ平均が実に89.5%の下げとなりました。株価は10分の1になりました。
1987年のブラックマンデーでは、たったの1日で22.6%の下げとなりました。
1989年の日本のバブル崩壊では、日経平均が80.4%の下げとなりました。株価は5分の1になったのです。
これが、ダウ平均や日経平均で起きたことですから、個別企業ではさらに悲惨な下げになったのです。
そこまでは、ということであっても、少なくともリーマン・ショック級程度のことぐらいは近い将来に想定しておかねばいけません。

ちなみに、こういう下げに比べれば、今月の下げなど、かすり傷以下の押し目程度です。
今回の下げで「我慢が大事」と思っているのであれば、将来の爆死の原因を作っただけのことだと思います。



こういうマクロ面でのリスクと共に、ミクロ面では、この企業なら絶対に大丈夫などということは絶対にありません。
あの大企業であった東芝がどうなったか。
安定収益の代表企業であった東京電力の配当狙いで、老後の資金を突っ込んでいた多くの人が311でどれほど悲惨な目にあったのか。
などなど、過去の事例で枚挙にいとまがありません。
311までは、安定配当、配当利回り株の代表企業と言えば、東京電力だったのです。
私の友人も電力株で配当利回りを享受していましたが、311で見事に散りました。
そういったリスクに耐えられるのか、をご自分の中で考えておくべきだと思います。
マクロだけでなく、こういった個別株のミクロのリスクに対応するためには、銘柄分散も欠かせないでしょう。

ここに書いた色んな前提を考慮した結果、あらゆるリスクを想定してやられているのであれば、問題は無いと思います。


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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

旧ブログ:
あらなみの相場技術研究所

あらなみのトレード水先案内人


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