全く勝てない時にまずやること
2018/03/04 Sun
■環境認識
まず環境を見ておきましょう。

NY株が反落したことで、日経も下げました。
しかし、NY株よりも日経の方が戻りが弱く、下げもきつくなっています。
日経の方は、安値更新が目の前に迫っています。
この中で、今回の下げでは、過去の経験則に反するような特徴が幾つかあります。
①今回の下げでは、日本株の下げが主要株価指数の中でも一番大きな下げとなっている。
②一方で、通常リスクオフでは一番売られるはずのエマージングマーケットの株価があまり下げていない。
③米国長期金利とドル円は、昨年までリンクしていたが、今年に入ってから完全に反対の動きとなっている。
特に不可思議なのが、これまでリンクしていた米長期金利とドル円で、今年に入ってから、米長期金利が上昇しながら、一方でドル円が下げていることです。
米長期金利とドル円の相関
この動きは、米国株売り、米国債売り、ドル売り、となっており、まさに米国売りの様相となってきています。
こういう実際の値動きに対して、考察していきます。
まず、一番知りたいのは、今の動きが、果たして上げ相場の押し目なのか、それとも下げ相場の始まりなのか、ということに尽きます。
米国債とドル円の動きですが、佐々木融アナリストによれば、どうやら日本の機関投資家が米国債を売っているのではないか、との推測がありました。
米国は、今回のトランプ政策によって、さらなる貿易赤字の拡大と財政赤字の拡大が懸念されており、そこから米国売りが始まってきた可能性がある、との憶測を呼んでいます。
これは、債権国の米国にとっては、大変よくない状態なわけで、少しでも政策を間違えば、ドル暴落という厳しい局面に陥る可能性があります。
ドルは、債権国通貨なので、海外からの投資によって頑張って買ってもらわないと価値を維持できない、という基本的性質を持っています。
基軸として、強い通貨であらねばならないのがドルなんです。
これが、弱いドルとなると、全体に与える影響は計り知れないことになります。
それと、こちらもよくないニュースですが、appleの減産が伝えられたり、中国のスマホの販売が前年比マイナスになるなど、絶好調であったスマホ関連がどうやら曲がり角に来た、という状況です。
昨年の相場の牽引役であったこのセクターなので、ここが折れると全体に与える影響度は非常に深刻になる情勢です。
何にしても、ここで踏ん張るかどうかが、上げ相場の押し目と言える限界の局面になっています。
ここで踏ん張れなくては、ここから年単位の下げになる可能性がある、というシナリオも考慮すべき状態です。
■全く勝てない時にまずやること
今回もコメントで質問がありまして、「3年目だけれど全く勝てないどころか、さらに悪くなっている。どうなれば勝てる兆しが見えてくるのだろうか。」というご質問がありました。
これについて、長くなるので、記事にて回答しておこうと思います。
まず、負けて負けてというのは、大変お辛い状態だと思います。
しかも、2014年スタートというのは、多くの人が儲かっている時期にもあたりますから、悪い時期に当たったということでもありません。
上げ相場を買っているのに、負けて負けてばかりが続く
そういう状況なので、「どうなれば見えてくるのか」というご質問ですが、それ以前の問題だと思います。
実は、こういう状態というのは、多くの投資家が抱えている問題なんです。
ただ、こういうことを言わないだけで、大勢が同じ状態で悩んでおられることと思います。
こんなことを書くと身も蓋も無いのですが、ほとんどの投資家というのは、下手に売買すれば負けるだけなんです。
なので、本来は、余計な売買などしない、というのが一番いい投資戦略になろうかと思います。
買ったら売買しないで持っているだけというのが一番いい投資法ということです。
それだったら、2014年にスタートしたのだから、少なくとも利益になっていたはずです。
それを売買するから負けるのです。
冷たいようですが、それがほとんどの投資家の実態なんです。
前に、三菱UFJの株を退職金をはたいて買った親が心配だ、という相談がありましたが、買って持っているだけなら、下手に売買するより100倍マシだということなんです。
下手に売買するから負けるのです。
具体的にご質問の方が、どのような売買をしておられるのかは推定になりますが、デイでも同じですが、スイングとして考えると、負けの典型としてあるのは、上がりかけたから飛びついて落とされる、ということを繰り返している、という状態です。
相場というのは、後で見れば、大きく上げているところが目につきますから、つい上がっているところで飛びついてしまいがちですが、そういうところは目先の天井になって落とすことがほとんどなんです。
相場とは、そういう飛びつきたくなるところで大勢を飛びつかせては落とす、というふうにできています。
実際に、上がってきたところでは、出来高が急増しますから、そこで飛びつき買いをしている人が大勢いるわけです。
それが基本的には、下げて水浸しになる、といことを全体として繰り返しているわけです。
そういう「中途半端な飛びつき買い」を続けている限り、10連敗20連敗したとて不思議ではありません。
ここ数年の上げ相場で買っているのに、負け続ける、というのは、間違いなくそういう売買をしているのです。
特に、主戦場とされているTOPIX Mid400銘柄は、銘柄的に見て、業績が安定しているものが多く、大きく動くというよりも、全体の相場環境によって中途半端な値動きで行ったり来たりする、という感じですから、なおのこと飛びつき買いは危険です。
ということで、それでも売買したいという場合には、どうすればいいのか、という対処法に移ります。
まず、上達とか手応えとか言う前に、自分がどういうところで売買しているのかを客観的に見る必要があります。
具体的には、過去のチャートに照らして、どこで買ってどこで売っているのかをチェックしていく作業をする、ということです。
わかって頂きたいのは、過去の自分の売買履歴というのは、宝物だということです。
それをしっかりと検証して、自分の癖を見抜く、という検証をきちんとしないと、
そもそも自分が何をしているのか
がわかっていない、ということになるのです。
負けて負けてという人は、ほとんどこの作業をしていません。
何故こういう作業をしないのかというと、
自分の負けた記録など、何の参考にもならない、と思っている
からです。
いつも書きますが、まずは、
現状分析すること
事実を確認すること
負けている記録なので、辛いことかもしれませんが、自分が何をしているのかもわからないのでは、手の打ちようもありません。
これは、
患者が病院に来た時に、まず診察して、検査して、どこが問題なのかを確認する
という作業と同じです。
そういう検査の作業を無視して、最初から、
どの薬が効きますか、効いた実感はどういう感じですか
と聞かれても、医者は困るんです。
この状態というのは、負けて負けてどうしようもない、という人ほどんどに当てはまります。
そもそも、自分が何をしているのかがまるでわかっていないのです。
検査もせずに、薬を出せ、とか、何の病気か教えろ
と言われても、医者は困ってしまいます。
設備のしっかり整った病院で何をやるかというと、
すごい検査
です。
わかりますか、検査力こそが病院力の違いです。
PETにしても、CTスキャンにしても、すごい設備を整えて何をしているのか、というと、
検査
をしているのです。
すごい機器で治療しているわけではないんです。
ここでも先程の環境認識と同じことなのですが、
まずは事実を確認する
この作業を怠っては、対処法など見つかるはずがありません。
このすごい検査をした結果を見て、やっと現状を把握し、その把握の元に、対処法を考える、というプロセスこそが問題解決への道です。
いきなり、どうしたらいいのか、とか、どういうやり方で、とか、手応えはなど、飛躍しすぎです。
これは、病院に行って、いきなり「薬をください。」「適当に薬を飲みましたが効いてる手応えがありません。」と言っているのと同じだ、ということをまずは理解せねばなりません。
そして、この検査をきちんとして、事実をしっかりと確認できれば、勝つためのプロセスの70%は解決できたも同然なんです。
事実がわかれば、その対処法である 具体的なやり方 は自然と見えてきます。
逆に言うと、事実もわからず、やり方ばかりを追いかけているから、延々と上手く行かない状態を繰り返してしまうのです。
誰にでも当てはまるやり方を求めることは、薬で言えば、何でもかんでも抗生物質を飲むのと同じです。

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まず環境を見ておきましょう。

NY株が反落したことで、日経も下げました。
しかし、NY株よりも日経の方が戻りが弱く、下げもきつくなっています。
日経の方は、安値更新が目の前に迫っています。
この中で、今回の下げでは、過去の経験則に反するような特徴が幾つかあります。
①今回の下げでは、日本株の下げが主要株価指数の中でも一番大きな下げとなっている。
②一方で、通常リスクオフでは一番売られるはずのエマージングマーケットの株価があまり下げていない。
③米国長期金利とドル円は、昨年までリンクしていたが、今年に入ってから完全に反対の動きとなっている。
特に不可思議なのが、これまでリンクしていた米長期金利とドル円で、今年に入ってから、米長期金利が上昇しながら、一方でドル円が下げていることです。
米長期金利とドル円の相関
この動きは、米国株売り、米国債売り、ドル売り、となっており、まさに米国売りの様相となってきています。
こういう実際の値動きに対して、考察していきます。
まず、一番知りたいのは、今の動きが、果たして上げ相場の押し目なのか、それとも下げ相場の始まりなのか、ということに尽きます。
米国債とドル円の動きですが、佐々木融アナリストによれば、どうやら日本の機関投資家が米国債を売っているのではないか、との推測がありました。
米国は、今回のトランプ政策によって、さらなる貿易赤字の拡大と財政赤字の拡大が懸念されており、そこから米国売りが始まってきた可能性がある、との憶測を呼んでいます。
これは、債権国の米国にとっては、大変よくない状態なわけで、少しでも政策を間違えば、ドル暴落という厳しい局面に陥る可能性があります。
ドルは、債権国通貨なので、海外からの投資によって頑張って買ってもらわないと価値を維持できない、という基本的性質を持っています。
基軸として、強い通貨であらねばならないのがドルなんです。
これが、弱いドルとなると、全体に与える影響は計り知れないことになります。
それと、こちらもよくないニュースですが、appleの減産が伝えられたり、中国のスマホの販売が前年比マイナスになるなど、絶好調であったスマホ関連がどうやら曲がり角に来た、という状況です。
昨年の相場の牽引役であったこのセクターなので、ここが折れると全体に与える影響度は非常に深刻になる情勢です。
何にしても、ここで踏ん張るかどうかが、上げ相場の押し目と言える限界の局面になっています。
ここで踏ん張れなくては、ここから年単位の下げになる可能性がある、というシナリオも考慮すべき状態です。
■全く勝てない時にまずやること
今回もコメントで質問がありまして、「3年目だけれど全く勝てないどころか、さらに悪くなっている。どうなれば勝てる兆しが見えてくるのだろうか。」というご質問がありました。
これについて、長くなるので、記事にて回答しておこうと思います。
まず、負けて負けてというのは、大変お辛い状態だと思います。
しかも、2014年スタートというのは、多くの人が儲かっている時期にもあたりますから、悪い時期に当たったということでもありません。
上げ相場を買っているのに、負けて負けてばかりが続く
そういう状況なので、「どうなれば見えてくるのか」というご質問ですが、それ以前の問題だと思います。
実は、こういう状態というのは、多くの投資家が抱えている問題なんです。
ただ、こういうことを言わないだけで、大勢が同じ状態で悩んでおられることと思います。
こんなことを書くと身も蓋も無いのですが、ほとんどの投資家というのは、下手に売買すれば負けるだけなんです。
なので、本来は、余計な売買などしない、というのが一番いい投資戦略になろうかと思います。
買ったら売買しないで持っているだけというのが一番いい投資法ということです。
それだったら、2014年にスタートしたのだから、少なくとも利益になっていたはずです。
それを売買するから負けるのです。
冷たいようですが、それがほとんどの投資家の実態なんです。
前に、三菱UFJの株を退職金をはたいて買った親が心配だ、という相談がありましたが、買って持っているだけなら、下手に売買するより100倍マシだということなんです。
下手に売買するから負けるのです。
具体的にご質問の方が、どのような売買をしておられるのかは推定になりますが、デイでも同じですが、スイングとして考えると、負けの典型としてあるのは、上がりかけたから飛びついて落とされる、ということを繰り返している、という状態です。
相場というのは、後で見れば、大きく上げているところが目につきますから、つい上がっているところで飛びついてしまいがちですが、そういうところは目先の天井になって落とすことがほとんどなんです。
相場とは、そういう飛びつきたくなるところで大勢を飛びつかせては落とす、というふうにできています。
実際に、上がってきたところでは、出来高が急増しますから、そこで飛びつき買いをしている人が大勢いるわけです。
それが基本的には、下げて水浸しになる、といことを全体として繰り返しているわけです。
そういう「中途半端な飛びつき買い」を続けている限り、10連敗20連敗したとて不思議ではありません。
ここ数年の上げ相場で買っているのに、負け続ける、というのは、間違いなくそういう売買をしているのです。
特に、主戦場とされているTOPIX Mid400銘柄は、銘柄的に見て、業績が安定しているものが多く、大きく動くというよりも、全体の相場環境によって中途半端な値動きで行ったり来たりする、という感じですから、なおのこと飛びつき買いは危険です。
ということで、それでも売買したいという場合には、どうすればいいのか、という対処法に移ります。
まず、上達とか手応えとか言う前に、自分がどういうところで売買しているのかを客観的に見る必要があります。
具体的には、過去のチャートに照らして、どこで買ってどこで売っているのかをチェックしていく作業をする、ということです。
わかって頂きたいのは、過去の自分の売買履歴というのは、宝物だということです。
それをしっかりと検証して、自分の癖を見抜く、という検証をきちんとしないと、
そもそも自分が何をしているのか
がわかっていない、ということになるのです。
負けて負けてという人は、ほとんどこの作業をしていません。
何故こういう作業をしないのかというと、
自分の負けた記録など、何の参考にもならない、と思っている
からです。
いつも書きますが、まずは、
現状分析すること
事実を確認すること
負けている記録なので、辛いことかもしれませんが、自分が何をしているのかもわからないのでは、手の打ちようもありません。
これは、
患者が病院に来た時に、まず診察して、検査して、どこが問題なのかを確認する
という作業と同じです。
そういう検査の作業を無視して、最初から、
どの薬が効きますか、効いた実感はどういう感じですか
と聞かれても、医者は困るんです。
この状態というのは、負けて負けてどうしようもない、という人ほどんどに当てはまります。
そもそも、自分が何をしているのかがまるでわかっていないのです。
検査もせずに、薬を出せ、とか、何の病気か教えろ
と言われても、医者は困ってしまいます。
設備のしっかり整った病院で何をやるかというと、
すごい検査
です。
わかりますか、検査力こそが病院力の違いです。
PETにしても、CTスキャンにしても、すごい設備を整えて何をしているのか、というと、
検査
をしているのです。
すごい機器で治療しているわけではないんです。
ここでも先程の環境認識と同じことなのですが、
まずは事実を確認する
この作業を怠っては、対処法など見つかるはずがありません。
このすごい検査をした結果を見て、やっと現状を把握し、その把握の元に、対処法を考える、というプロセスこそが問題解決への道です。
いきなり、どうしたらいいのか、とか、どういうやり方で、とか、手応えはなど、飛躍しすぎです。
これは、病院に行って、いきなり「薬をください。」「適当に薬を飲みましたが効いてる手応えがありません。」と言っているのと同じだ、ということをまずは理解せねばなりません。
そして、この検査をきちんとして、事実をしっかりと確認できれば、勝つためのプロセスの70%は解決できたも同然なんです。
事実がわかれば、その対処法である 具体的なやり方 は自然と見えてきます。
逆に言うと、事実もわからず、やり方ばかりを追いかけているから、延々と上手く行かない状態を繰り返してしまうのです。
誰にでも当てはまるやり方を求めることは、薬で言えば、何でもかんでも抗生物質を飲むのと同じです。

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