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アリの目線と鷹の目線の相場観

2020/03/01 Sun

相場観で相場をやってはいけない、とよく言われますが、さりとて、ほとんどの人は相場観を持って相場を見ているものです。

私とて、思い込みはいけないと思いつつ、相場観を持っていますから、相場観を外すということは難しいと思います。

さて、この相場観ですが、実は、相場を見る視点の高さによって、相場観が変わるということがありますので、それを書いておこうと思います。


まずは、アリの目線である日足から見てみましょう。

2020-03-01_11h26_36.jpg

この日足を見る限り、1週間下げ続けたことで、バンジージャンプの伸びたあたりに見えます。

この伸びたところは、一旦の反発がいつ起きてもよさそうな値位置です。
週末、特に大きなニュースが出なかったことから、月曜日以降で、意外と大きな反転があるかもしれません。

これが、アリの目で見た相場観です。



次に、鷹の目である月足を見てみましょう。

2020-03-01_11h28_34.jpg

同じTOPIXですが、ちょっとイメージが変わったと思います。

日足で見たバンジージャンプのイメージではなく、

やっと下げ始めた

という印象ではないでしょうか。

先ほどの日足とは全く違う印象だと思います。

2008年のリーマンショックと比べれば、まだ下げというのには「おこがましい」ほど下げてはいません。
リーマンショックのスタートにすら到達してはいない、ということがわかります。

このように、視点の高さによって、相場観など簡単に変わるものなのです。



林輝太郎先生は、私が理解する範囲では、次のような考え方を持っておられました。

日足、週足の相場観を持ってはいけない。

相場観を持つのなら、月足で持つこと。

日足は、値動きの傾向を見るもので、相場観を持つものではない。

週足は、中途半端だから見てはいけない。


ここで日足というのは、傾向を見るということで、もう一つの目の「魚の目」を持つ、ということでもあります。
つまり、魚の目を持って、潮流を見ていく、ということです。



私が知る限りですが、相場で勝っている人は、相場を俯瞰して、大きなスケールで相場観を持っている人が多いという印象です。

相場巧者でベテランほど、目線は高い感じですが、これは、長年の経験値がそうさせているのだと思います。

近視眼的ではなく、鷹の目から俯瞰して相場を見ているので、小さな値動きで右往左往しません。

大きな視点を持っているので、自分の相場観にこだわることなく、相場を小さなスケールに押し込めないので、損切りを躊躇なくできるのです。

損切りができない、難しいという人は、日足ベースの箱庭のような相場観しか持っていないから、ちょっと下げただけでも、

「もう底だ~、もう底だ~」

と感じてしまって、切るに切れなくなってしまうのです。



そういえば、下げ始めた25日の月曜日に、日経が1000円下げた感想で経団連会長が、

「こんなに下げるとは思わなかった。」

と言っているのをテレビで見て、ずっこけて椅子から滑り落ちそうになりました。
私から見れば、このコメントは、ほぼ冗談に近いものなんですが、相場をあまり知らない多くの人の相場観など所詮はこんなものなんだろうということがわかります。



相場観のスケールをもう一段上げて、飛行機からも俯瞰しておきましょう。

まずは、TOPIXの年足です。

2020-03-01_20h06_51.jpg


BOXの上限から、やっと下げ始めた印象です。
この程度の下げは、まだ押し目程度で急落というイメージは全くありません。



次に、NASDAQの年足です。

2020-03-01_20h08_16.jpg


2000から、1万まで実に5倍の上昇となって、ちょっと止まったのかなあ、という程度です。
このチャートを見る限りでは、まだ下げてすらいません。
このチャートで見れば、2000年のネットバブル崩壊、そして、2008年のリーマンショックの2回が大きな下げとしてあったわけですが、今回5倍にまで上昇したNASDAQがどこかで大きな下げを演じるとすれば、どこまで下げるのだろう、とつい考えてしまいます。



このように、視点の高さを変えれば、相場観も大きく変わります。

日足ベースでは、一旦のリバがいつ入ってもおかしくないわけですが、一方で、俯瞰して月足などで見る限り、本格調整となると、まだ入り口ぐらいでしかない、ということがわかると思います。

相場観にこだわると、ろくな目に合わないことが多いわけですが、さりとて持ってしまう相場観です。

しかも、

ほとんどの場合は、日足ベースのアリの目線の相場観しか持っていません。

なので、少しばかり目線を上下させながら、アリの目線から鷹の目線で広く見ておくべきだと思うのです。

日々の値動きに拘泥してしまうと、日足の相場観に固執する余り、こんなに下げたのだからと意地になって買いポジションを放置してしまいがちです。

また、ここからちょっとリバが入ると、あそこが底だったのか~、と飛びつき買いをしてしまいがちですが、本格下げ相場になれば、その戻ったところが天井でまた下げる、という展開も十分考えられます。

下げ相場で本当にやられるのは、ここまでの下げではなく、ここからの下げなんです。

リーマンショックで多くの退場者を生んだのは、こんなに下げたからそろそろ買いだ、と大きく下げた後から買って退場になっているのです。


先週書いたとおり、まずは生き残りを優先すること。儲けるのはその後です。

ということで、同じ相場観を持つのなら、ちょと目線を上げておく、ということで、違う景色も見ておくべきだと私は考えています。



最後に、持ってはいけない私の相場観です(笑)

今週末は、感染拡大が落ち着いた状況ですが、これは、日本の検査体制の不備によるものである可能性が高く、今後、検査体制が整えば、韓国同様に一気に感染者の数が急増することが予想されるため、そこでもう一段の相場の変化が起きる可能性が高そうです。
これは、アメリカでの感染状況も同様のようです。

中国での感染拡大が一段落しているのはポジティブなのですが、一方で、中国PMIが35.7という衝撃的なニュースが週末に出ました。
今後、日本をはじめとして、感染拡大に伴う経済への影響が、経済統計として出てくることになろうかと思われます。

こういうファンダメンタルの状況を踏まえると、リーマンショック級になる可能性が高まりつつあると感じています。


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今やるべきこと

2020/03/08 Sun

多くの投資家が気になっていることは、当然ながら、この先相場は戻るのだろうか、下げるのだろうか、ということでしょう。

しかし、そんなことは、いくら考えても、そもそもわかるはずがありません。

そういうわからないことを一生懸命考えるよりも、今、やるべきことがある人が大勢います。

それは、

救命ロープにつかまること

です。

つまりは、損切りです。

こちらの記事が参考になるかと思います。

投資における最も重要な概念

明日以降の株価を予想して、下げそうなら切るけど、上げそうなら様子を見る、といったような考えで相場をやっていては、いつまでたっても持ったままで損を放置することになります。
こういった対応を続けている限り、今回助かったとしても、次回には必ず破滅が待っています。
つまりは、今回助かろうがどうしようが結局は関係ないということなのです。
今回助かったことで、次回も同じことをするわけですから、ちょっと延命できだだけです。
今回、持ち続けたことで、その人の相場人としての運命は、どちらにしてももう終わりです。

相場の上手い下手というのは、上げ相場ではそんなに差が出ません。
上手い人よりも、下手な人が儲けることも多く、めちゃくちゃにやっても、結果として大きく儲かることがあります。

しかし、

いざ下げ相場になったときに、相場の上手い下手の差が如実に表れる

わけです。

上げ相場でコツコツ稼いで、下げ相場でどかーんとやられる


この繰り返しでは、永遠に勝てる投資家になることは無いでしょう。

今ならまだ間に合います。

もし、切るのが難しいと感じているのなら、10分の1でも切ってみてください。

ちょっとづつちょっとづつ切っていく


これが損切りのコツになります。

ここまで損失が拡大したということは、既に予想が外れたってことなんです。
そうであれば、今の時点で、外れを潔く認めて終わりにするべきです。




さて、ちょっとだけ環境認識です。

まず、金融政策ですが、米国があとわずかの利下げ余地がある以外、ECB、日銀ともに、ロープが伸び切った状態で、もう打つ手がほとんど限られています。
日銀が、日本株を買い占めする、とかあるのでしょうか。
特に悪くない景気の状態で、ゆるゆるにしておくから、いざ鎌倉で打つ手なしになるわけです。
大赤字の日本政府もどのぐらいの経済対策が打てるのかと言えば、心細い限りです。

NYダウの長期チャートが紹介されていましたのでご参考まで。

NYダウの長期チャート


そういった金融情勢の中で、環境といっても、新型コロナの今後と相場環境は現在ほとんど同じといってもいいぐらいですので、コロナの話になります。

まず、ネガティブ情報から見ておきます。

私は、今、相場を見るにおいて、アメリカの感染状況を一番気にしています。
というのは、世界の中心がアメリカである以上、極東でいくら感染が拡大しても米国の相場には、あまり影響はありませんが、いざ自分のところに火の粉が飛んで来たら、さすがに対岸の火事とは言ってられなくなります。
特に、ニューヨークの感染状況は注目しておくべきでしょう。
既にニューヨークの感染拡大が始まっている模様ですので、今後の成り行き次第では、相場の大きな変動要因になると考えられます。

インフルと比較される新型コロナですが、感染力は対策を打っていない場合、インフルを遥かにしのぐのではないかと思われます。
イランでの感染拡大はすさまじく、イランの保健省の責任者がテヘランの感染率が30%−40%に達すると認めており、医療崩壊するほどに拡大しています。
日本では、検査体制が整っていないとは言え、まだまだ拡大は抑え込まれているようです。
このまま抑え込まれることを祈る限りです。

日本では、まだ拡大が抑え込まれているとは言え、客ではなく空気を運んでいる新幹線や飛行機の状況など、その経済的影響は計り知れないほど悲惨な状況になりつつあります。
繁華街の飲食店、ホテル、インバウンド系の小売店などなどの状況も凄惨な状況です。
体力がある大企業は別として、この状況が後数か月続けば、中小企業から、バタバタと資金繰りに窮していくことは明らかでしょう。
金融機関にも多大な影響が出てくることになります。
こういう経済状況では、上場企業だからといって安全だとは決して言えない状況になりつつあります。
一過性のものとして抑え込めるのか、当面こういう状況が続くのか、今後の拡大状況次第ということになります。



一方で、ポジティブ情報です。

新型コロナの重症化率や死亡率は、そもそもそんなに高くないんじゃないのか、という話がよく言われているところです。
重症者数や死者数がセンセーショナルにニュースになりますが、それほど深刻なのかどうか、気にかかるところです。
どうやら、今、世界中で検査が一番行き届いているのは韓国のようですが、その韓国での状況は、現在7313名の感染者に対して、50名の死者数で、致死率は0.68%となっています。
Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
これが一番まともな統計結果じゃないかと思われるのですが、実際の潜在感染者はもっと多いことを考えれば、致死率はもっと下がりますし、重症化率も高くはないでしょう。
そうであるならば、今後、時間の経過とともに季節性のインフルのような扱いに収れんしていく可能性があります。
これは、2009年の新型インフルの経過と同じということです。



次に、気温との関係が一部言われています。
新型コロナウイルスが弱くなる環境、強くなる環境
確かに、日本では、北海道が一番感染が拡大しているわけですが、これは偶然なのか、それとも、気温との関係がやはりあるのか、大変気になります。
もし、関連があるのなら、春になれば、感染ペースが収まってくる、ということがあるかもしれません。



ただ、どちらにしても、今、大きな含み損を抱えている人には関係の無い話です。
ここから、連続ストップ高したとしても、今切ることが正解です。
結果論ではないことなんです。
相場観とリスク管理は何の関係もありません。

大きく負けたということは、既にその人にとっての相場は終わっています。
今さら、泣きのもう一勝負ということをやるから、爆死するのです。
今後、NYダウが3000ドル安とか、そういう可能性があると考えて対処すべきです。


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石が流れて木の葉が沈む

2020/03/23 Mon

17日から19日の3日間にかけて、マーケットでは、驚くべき現象が起きました。
それは、アンワインドという現象で、石が流れて木の葉が沈む動きです。

過去の急落時にも、時々起きていた現象でしたが、これほど大規模に起きたことは見たことがありません。
正に、歴史的アンワインド旋風が3日間にわたって、突然吹き荒れました。

アンワインドについての説明は、こちらの五月さんの解説が大変丁寧にされておられますので、こちらを読んでください。

市場の崩壊には表と裏の顔がある

私は、17日の銘柄の動きが奇妙な動きをしていることに気が付いて、何かおかしなことが起きている、と思っていましたが、これが、18日、19日と続くこととなります。

よほど大きなファンドの巻き戻しが起きていると推測されます。
ロングショートの巨大ヘッジファンドが、運用停止などに追い込まれた感じです。


これは、同一セクターの動きとして、

9437ドコモ-9433KDDI

8766東京海上-8630損保ジャパン

9502中部電力-9503関西電力


などでも散見されていましたが、それよりも大きいのは、セクター横断の解消でした。

買いセクター

地銀、運輸、3099三越などの百貨店・8267イオンなど小売り 

売りセクター

8035東京エレクトロン、6857アドバンテストなどのハイテクセクター

などが大規模に行われたようです。

他にも、中小型株においても、色んなところに、巻き戻しの動きが出ています。

このように、先週は、日経平均などインデックスの動きは、やや下げ渋りの動きとなっていますが、銘柄間では、強烈な売りと買いが組み合わさった動きが展開されました。

歴史的な巻き戻し相場であったと言えます。

ファンダメンタル的に悪いと言われているセクターがめちゃくちゃに買われて、ファンダメンタルがいいと言われているようなセクターがめちゃくちゃに売られる動きが出ました。
そうなると、信用売りが多い銘柄が上がり、信用買いが多い銘柄が下がる、という動きにもなっています。

それとリートの売りがすさまじい勢いで出ています。
地銀の売りと言われていますが、ここにもロングショートのヘッジファンドの売りがかんでいるように思えます。
もしかしたら、リートと内需株などを組み合わせていたのかもしれません。

もう一つは、9984ソフトバンクの売りがすさまじかったことです。
これは、9437ドコモの強烈買いとペアというよりも、ソフトバンク単体での材料売りと思われます。

ついでに、サウジアラビアの逆切れによる原油の暴落。
そして、NY州に外出規制が出るなど、アメリカでの止まらない新型コロナの感染拡大が起きています。

COVID-19 Coronavirus Pandemic

そもそも昨年までのアメリカ株の上昇がすさまじかったため、これが反落の動きとなると、相当なところまで下げる可能性があります。
今朝のモーサテでは、失業率が30%になるなどの予想が出てきており、相当深刻な状況になりつつあります。

この材料に加えて、今週は、このアンワインドの動きが続くのか、それとも終わるのか、これが一番の注目点となる、そう思って見ています。

全体が下げ基調にあることから、特に買われ過ぎ銘柄については注目です。


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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

旧ブログ:
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