勝っている人の真似をしても勝てないという悩み その2
2023/01/21 Sat
ちょっと油断すると、すぐに時間が経過してしまいます。
この間、色々とご推察コメントありがとうございます。
みなさん、書いておられること、それぞれが勝てない理由になっていると思いました。
今回ご説明するのは、私の答えであって、これが正解ということではないとご理解ください。
さて、今回ご説明するのは、次の⑥番です。
⑥教えている勝ち組さんも、聞いている負け組さんも、双方が本当の勝ちの理由をわかっていない。
これだけ読むと完全に意味不明だと思いますので、解説していきます。
なるべく短く書きたいのですが、少し長くなります。
それではやっていきましょう。
セミナー、教材など多くの勉強道具に触れる機会が多い昨今です。
また、YouTubeを見ると、無料で一生懸命教えてくれている熱心な方もおられます。
その大勢が使っている代表的なものが、ボリンジャーバンドと移動平均でしょう。
ボリンジャーバンドを使った手法をレクチャーされている方もおられます。
また、移動平均を使って色んなパターンを解説されている高名な投資家さんもおられます。
いずれも、大儲け間違いなし、という話なのですが、では実際にそれを見ている読者さん、生徒さんの多くが勝ち組に回れたのか、というと、ほとんどがそうはなっていないのが悲しい現実です。
高額セミナーを受けて、みんなが勝ち組になった、という話はほとんどといって聞きません。
結局、勝っているのは、講師をしているトレーダーさんだけ、という状況は全く変わりません。
例えば、ボリンジャーバンド。
知らない人はいないと思いますが、これを使って儲けられる、と言っている勝ち組さんはすごい数に登ります。
聞いている読者・生徒としては、
「ボリンジャーを使って自分が勝てないのは、本当の使い方を知らないからだ。」
と思って、さらに熱心に勉強している方も多いですし、高額の授業料を支払って教えを請う方も大勢おられます。
これは、移動平均も同じです。
移動平均を使えば、魔法のように相場で勝てるようになる、という話もよく聞きますし、本もたくさん出回っています。
高名な講師さんが、熱心に教えておられて、大勢の生徒さんも熱心に勉強されていますが、そこから大儲けできたという話はあまり聞きません。
色んな勉強を熱心にされているのですが、結果は散々なことがほとんどなんです。
何故、ボリンジャーを使っても、移動平均を使っても、勝てる人は勝てるのに、その人に教えてもらっている人のほとんどの人は勝てないままなのか。
大勢の生徒さんは、「自分の使い方が悪いのだ。まだ先生の本当のやり方をわかっていないからだ。」と思って熱心に勉強されますが、結局勝てないまま月日が虚しく過ぎていきます。
何故こうなってしまうのか。
自分には、本当に才能が無いということなのか。
そう思ったことが一度や二度ではない方も多いのではないでしょうか。
何故そうなってしまうのかを本気で考えていけば、どうしたら勝てるのかの答えが見えるかもしれません。
さて、ここで、大変示唆に富んだ逸話が書籍「ラリー・ウイリアムズ短期売買法」に書いてありましたので、ご紹介したいと思います。
1991年8月 第28巻8号
農夫とギャンブラーと投機家
トレーディングで金儲けなんて、このビジネスはなんと簡単なゲーム!
ルールは3つか4つかだけ。ただ、人はこのゲームをやり過ぎ、カネを注ぎ込むことになる。なぜか?どうすれば良いのか? 先週末、フロリダでのセミナーで講演したジェイク・バーンスタインは、こんな興味深い話を披露した。
何年か前、ジェイクがある証券会社の顧客の集まりで講演したときのことである。 顧客たちは、主に牧場主や農場経営者、数人の投機家も混じっていた。 講演が終わると、1人だけトレーディングでカネ儲けをした顧客がいて、その人に会ってみないかと誘われたのである。その顧客は別に頭脳明晰というわけではないが、それでもトレーディングでは必ず儲けていた、との話だった。
この老農夫とジェイクはうまが合ったようで、老農夫はジェイクに自分がどんな取引システムを使っているのか知りたいか、と尋ねたのである。「もちろん」とジェイク。「どんな手法なのか、ぜひ拝見したいですね。」
そこで、老農夫はポークベリーのチャートを開き、糸の付いた振り子を取り出した。 チャートの上に振り子をかざすと、彼はジェイクに言った。「このページの上で、振り子が上下に振れたら買い、横に振れたら売りなんだよ。ジェイク、見てしまったね、俺のシステムを!」
ジェイクは後ずさりすると、ちょっと考え、そして尋ねた「それだけですか? 他に何もありませんか?」
「えーと••••••」と、この相場師は口ごもり、「もう1つあるけれど、あんまり意味がないと思うね。その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切ることにしているんだ。」
出発が遅れた飛行機で(爆破予告があったため、 航空会社を変更して) 帰途についた私はこの老農夫の賢明さに思いを巡らしていた。そして、カントリー・ミュージックのラジオ局にダイアルを合わせながら、国道5号線を北上していた午前1時15分、冗談ではなく、本当にケニー・ロジャースの 「ギャンブラー」がラジオから流れたのである。そして胸を打たれたのは、「(ポーカーで) どの手でゲームを続け、どの手で降りるのか、ギャンブラーなら知っていなければ」というメイン・コーラスではなく、そのバックコーラスの「どれを捨て、どれを持っていなければいけないか、ギャンブラーなら知っていなければ」というリフレインだったのである。
あの老農夫は、この歌詞を紙に書いて壁に張っているに違いない、と私は思った。ギャンブラーは、勝ちにつながらないカードを捨てるのである。投機家としてのトレーダーは、農夫やギャンブラーの仕事に、一度注意を向けてみる必要があるのかもしれない。
要点の証明
この発見を反映させるため、私はある実験を試みた。考えていたのは、3つの単純なルールで構成されるTボンドの取引システムを開発することであった。
第1のルールは、今日の終値が8日前の終値より高かったら買い。別に神がかりなことではなく、単に、需要があり、マーケットが上昇傾向にある、というだけのことである。次に、いつこのカードを捨てるべきか、である。そこで、損切りは損失が850ドルに達したレベルに置く。それ以下の手では勝負しないのである。最後に、収益レベルは損失許容レベル(850ドル)の3倍あたり。実際の最高益は3500ドルであった。
そんなルールで、上場以来、Tボンドを1枚ずつトレードして、3万6500ドルも稼ぐことができたのである。最悪のドローダウンはちょっとひどかったが、トレード1回ごとの平均収益は、50ドルの取引手数料を差し引いても、160ドルと魅力的であった。
このシステムは、魔法や高等数学をベースとするものではない。また、戦略と言えばマネー・マネジメントだけである。 ケニー・ロジャースは正しかったのである。
この逸話が本当かどうかは別にして、大変示唆に富んだものだと私は思いました。
ここでラリー・ウイリアムズ氏が言いたかったことは何でしょう。
まず、この勝っている老農夫は、自分の勝ちの理由を
振り子システム
だと信じています。
そして、あまり意味がないこととして、
その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切る
という説明をしました。
勝ち組であるこの老農夫は、自分が勝っている理由を「振り子システム」だと教えました。
つまり、具体的やり方、手法です。
さて、この話を聞いた、ジェイク・バーンスタイン氏とラリー・ウイリアムズ氏が一流のトレーダーだったので、この老農夫の「本当の勝ちの理由」にすぐに気がつきました。
もし、この老農夫の話を負け組の人が聞いたら、「勝ちを引き寄せる振り子」を100万円で買っていたかもしれません。
多くの勝てない人は「相場で勝っている人は、本人が勝っている理由は当然わかっているはずだ。」と思っていると思います。
勝っている人は、この老農夫と同じく、自分は、ボリンジャーや移動平均を使いこなすことで勝っているのだ、と本当に思っているのです。
だから、熱心に移動平均を教えてくれるのですが、聞いている方は一向に勝てるようにならない、という結果が待ち構えていることになります。
私は、最近、ある高名な投資家さんが、高額のセミナーで、これで絶対に勝てると言っていた「あるやり方」を検証ソフトを使って検証してみました。
この人が言うとおりなら、当然システム的に勝てるはずだからです。
ところが、実際に検証すると、勝率は50%を下回り、損益比率も1以下という散々な結果に終わりました。
結局、いくら検証しなおしても、負けるということがわかりました。
よくこれを高額セミナーのネタにしたものだと、ある種感心しました。
じゃあ、この高名な投資家さんは、詐欺師なのか、というと恐らくは違います。
実際には、この「老農夫の錯覚」を起こしていて、実際の勝ちの理由が見えていないのでしょう。
つまりは、
何故勝っているのかという理由を、教える側、教えられる側双方が誤解しているために、「勝ちを引き寄せる振り子」を熱心に勉強する、という愚策をやってしまっている。
ということが容易に起きるのものなんです。
私も、YouTubeなどで、色々と熱心に相場を教えてくれているものを見たりしていますが、この人たちが熱心に教えてくれていることは、実は本質ではないな、ということを感じることが多いです。
その人が勝っている理由は、教えてくれている手法ではなく他にあるということがわかるのです。
何故、こういう錯覚が頻繁に起きるのか、というと次のような理由があります。
ある有名トレーダーさんが次のように言ってました。
損切りできないなんて論外。。
はい、論外なことなんです。
論外・・わざわざ論ずる価値もないこと。取るに足りない、または、もってのほかであること。
論外のことなので、いちいち説明しない、ってことです。
勝っている投資家にとっては、損切りなどということは、息をするのと同じぐらい当たり前のことなので、いちいち意識などしていないし、説明もしないのです。
損切りが完璧にできてこそ、やり方が存在するのであって、論外のことができなければ、やり方などいくら勉強しても無駄です。
何の意味もありません。
強調しますが、
論外のことができなければ、いくらやり方の勉強をしても、何の意味もありません。
こんな論外のことができない人にボリンジャーを教えたとて、勝てるわけが無いってことは、最初からわかっていることです。
ただ、お金を取ってセミナーをやっている高名な投資家さんは、みんなが何に興味があって、何に興味が無いのかを知っています。
つまりは、やり方、手法の話をしないと、お金が取れない、ってことです。
逆に、勝てそうな手法の話さえしていれば、投資家はいくらでもお金を払ってくれます。
手法を教えないと、誰も寄っては来なくて、お金が取れません。
リスク管理セミナー、資金管理セミナー、などやっても、誰もわざわざお金を払ってまで聞きになど来てはくれないのです。
ある有名FXトレーダーさんが次のように言っておられました。
「本当は、資金管理をじっくりやりたいのですが、みんな聞いてはくれないし、めちゃくちゃ人気が無いのでやりませんが、ほんとうは一番大切なことなんですよね。」
実は、勝っている人はわかってるんですが、誰も聞いてもらえないから、やらないだけなんです。
移動平均を使っても、ボリンジャーをいくら熱心に勉強しても、論外のことができていないのに、相場で勝てる道理はそもそもありません。
最初から100%負けるに決まっているわけです。
お前はもう死んでいる
何をやっても、どれだけ努力しても、やる前から、もう負け組が確定しているってことです。
土台が腐っている上にどんな家を建てても無駄です。
歩く体力が無いのに、イチローのバッティングをマネしても一流のバッターにはなれません。
まともな体力が無いのに、100万円のゴルフクラブを使ってもスコアーは伸びません。
道具というのは、土台があってこそ意味があるものなんです。
私の知っている勝ち組トレーダーは、一人の例外も無く、損切りが上手です。
そして、私の知っている負け組投資家のほとんどは、損切りが下手、もしくはできないです。
この差こそが、勝ち組と負け組の違いなので、もうこれが答えです。
前回、私は、
そもそも、コンスタントに勝っている勝ち組さんと全く同じことをすれば、結果もまた同じになる、という理屈は、間違ってはいません。
と書きました。
全く同じこと = 手法
と理解している人がほとんどですが、だからダメなんです。
手法だけマネして、それで全く同じことをしているつもり、など、程遠いです。
本当に、
門前の小僧習わぬ経を読む
です。
そもそも、手法など、好き好きで、自分の趣味趣向で、好きなものをやればいいんです。
勝っている人が、ボリンジャー使ったり、移動平均使ったり、すっぴんでやったりと、好き好きでやっているのがその証拠です。
さて、「全く同じ」ということにおいては、さらに別の大きな関門が待ち受けています。
ということで、さらに他の理由がありますので、次回、もう少し話題を広げて行きましょう。
「全く同じ」というのには、道はまだまだあります。
どれを捨て、どれを持っていなければいけないか、ギャンブラーなら知っていなければ。
ギャンブラーは、勝ちにつながらないカードを捨てるのである。
勝っている投資家は、呼吸をするように損切りする。
おサルの温泉のリクエストが多いと、記事が早くなるという法則があります 笑

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この間、色々とご推察コメントありがとうございます。
みなさん、書いておられること、それぞれが勝てない理由になっていると思いました。
今回ご説明するのは、私の答えであって、これが正解ということではないとご理解ください。
さて、今回ご説明するのは、次の⑥番です。
⑥教えている勝ち組さんも、聞いている負け組さんも、双方が本当の勝ちの理由をわかっていない。
これだけ読むと完全に意味不明だと思いますので、解説していきます。
なるべく短く書きたいのですが、少し長くなります。
それではやっていきましょう。
セミナー、教材など多くの勉強道具に触れる機会が多い昨今です。
また、YouTubeを見ると、無料で一生懸命教えてくれている熱心な方もおられます。
その大勢が使っている代表的なものが、ボリンジャーバンドと移動平均でしょう。
ボリンジャーバンドを使った手法をレクチャーされている方もおられます。
また、移動平均を使って色んなパターンを解説されている高名な投資家さんもおられます。
いずれも、大儲け間違いなし、という話なのですが、では実際にそれを見ている読者さん、生徒さんの多くが勝ち組に回れたのか、というと、ほとんどがそうはなっていないのが悲しい現実です。
高額セミナーを受けて、みんなが勝ち組になった、という話はほとんどといって聞きません。
結局、勝っているのは、講師をしているトレーダーさんだけ、という状況は全く変わりません。
例えば、ボリンジャーバンド。
知らない人はいないと思いますが、これを使って儲けられる、と言っている勝ち組さんはすごい数に登ります。
聞いている読者・生徒としては、
「ボリンジャーを使って自分が勝てないのは、本当の使い方を知らないからだ。」
と思って、さらに熱心に勉強している方も多いですし、高額の授業料を支払って教えを請う方も大勢おられます。
これは、移動平均も同じです。
移動平均を使えば、魔法のように相場で勝てるようになる、という話もよく聞きますし、本もたくさん出回っています。
高名な講師さんが、熱心に教えておられて、大勢の生徒さんも熱心に勉強されていますが、そこから大儲けできたという話はあまり聞きません。
色んな勉強を熱心にされているのですが、結果は散々なことがほとんどなんです。
何故、ボリンジャーを使っても、移動平均を使っても、勝てる人は勝てるのに、その人に教えてもらっている人のほとんどの人は勝てないままなのか。
大勢の生徒さんは、「自分の使い方が悪いのだ。まだ先生の本当のやり方をわかっていないからだ。」と思って熱心に勉強されますが、結局勝てないまま月日が虚しく過ぎていきます。
何故こうなってしまうのか。
自分には、本当に才能が無いということなのか。
そう思ったことが一度や二度ではない方も多いのではないでしょうか。
何故そうなってしまうのかを本気で考えていけば、どうしたら勝てるのかの答えが見えるかもしれません。
さて、ここで、大変示唆に富んだ逸話が書籍「ラリー・ウイリアムズ短期売買法」に書いてありましたので、ご紹介したいと思います。
1991年8月 第28巻8号
農夫とギャンブラーと投機家
トレーディングで金儲けなんて、このビジネスはなんと簡単なゲーム!
ルールは3つか4つかだけ。ただ、人はこのゲームをやり過ぎ、カネを注ぎ込むことになる。なぜか?どうすれば良いのか? 先週末、フロリダでのセミナーで講演したジェイク・バーンスタインは、こんな興味深い話を披露した。
何年か前、ジェイクがある証券会社の顧客の集まりで講演したときのことである。 顧客たちは、主に牧場主や農場経営者、数人の投機家も混じっていた。 講演が終わると、1人だけトレーディングでカネ儲けをした顧客がいて、その人に会ってみないかと誘われたのである。その顧客は別に頭脳明晰というわけではないが、それでもトレーディングでは必ず儲けていた、との話だった。
この老農夫とジェイクはうまが合ったようで、老農夫はジェイクに自分がどんな取引システムを使っているのか知りたいか、と尋ねたのである。「もちろん」とジェイク。「どんな手法なのか、ぜひ拝見したいですね。」
そこで、老農夫はポークベリーのチャートを開き、糸の付いた振り子を取り出した。 チャートの上に振り子をかざすと、彼はジェイクに言った。「このページの上で、振り子が上下に振れたら買い、横に振れたら売りなんだよ。ジェイク、見てしまったね、俺のシステムを!」
ジェイクは後ずさりすると、ちょっと考え、そして尋ねた「それだけですか? 他に何もありませんか?」
「えーと••••••」と、この相場師は口ごもり、「もう1つあるけれど、あんまり意味がないと思うね。その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切ることにしているんだ。」
出発が遅れた飛行機で(爆破予告があったため、 航空会社を変更して) 帰途についた私はこの老農夫の賢明さに思いを巡らしていた。そして、カントリー・ミュージックのラジオ局にダイアルを合わせながら、国道5号線を北上していた午前1時15分、冗談ではなく、本当にケニー・ロジャースの 「ギャンブラー」がラジオから流れたのである。そして胸を打たれたのは、「(ポーカーで) どの手でゲームを続け、どの手で降りるのか、ギャンブラーなら知っていなければ」というメイン・コーラスではなく、そのバックコーラスの「どれを捨て、どれを持っていなければいけないか、ギャンブラーなら知っていなければ」というリフレインだったのである。
あの老農夫は、この歌詞を紙に書いて壁に張っているに違いない、と私は思った。ギャンブラーは、勝ちにつながらないカードを捨てるのである。投機家としてのトレーダーは、農夫やギャンブラーの仕事に、一度注意を向けてみる必要があるのかもしれない。
要点の証明
この発見を反映させるため、私はある実験を試みた。考えていたのは、3つの単純なルールで構成されるTボンドの取引システムを開発することであった。
第1のルールは、今日の終値が8日前の終値より高かったら買い。別に神がかりなことではなく、単に、需要があり、マーケットが上昇傾向にある、というだけのことである。次に、いつこのカードを捨てるべきか、である。そこで、損切りは損失が850ドルに達したレベルに置く。それ以下の手では勝負しないのである。最後に、収益レベルは損失許容レベル(850ドル)の3倍あたり。実際の最高益は3500ドルであった。
そんなルールで、上場以来、Tボンドを1枚ずつトレードして、3万6500ドルも稼ぐことができたのである。最悪のドローダウンはちょっとひどかったが、トレード1回ごとの平均収益は、50ドルの取引手数料を差し引いても、160ドルと魅力的であった。
このシステムは、魔法や高等数学をベースとするものではない。また、戦略と言えばマネー・マネジメントだけである。 ケニー・ロジャースは正しかったのである。
この逸話が本当かどうかは別にして、大変示唆に富んだものだと私は思いました。
ここでラリー・ウイリアムズ氏が言いたかったことは何でしょう。
まず、この勝っている老農夫は、自分の勝ちの理由を
振り子システム
だと信じています。
そして、あまり意味がないこととして、
その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切る
という説明をしました。
勝ち組であるこの老農夫は、自分が勝っている理由を「振り子システム」だと教えました。
つまり、具体的やり方、手法です。
さて、この話を聞いた、ジェイク・バーンスタイン氏とラリー・ウイリアムズ氏が一流のトレーダーだったので、この老農夫の「本当の勝ちの理由」にすぐに気がつきました。
もし、この老農夫の話を負け組の人が聞いたら、「勝ちを引き寄せる振り子」を100万円で買っていたかもしれません。
多くの勝てない人は「相場で勝っている人は、本人が勝っている理由は当然わかっているはずだ。」と思っていると思います。
勝っている人は、この老農夫と同じく、自分は、ボリンジャーや移動平均を使いこなすことで勝っているのだ、と本当に思っているのです。
だから、熱心に移動平均を教えてくれるのですが、聞いている方は一向に勝てるようにならない、という結果が待ち構えていることになります。
私は、最近、ある高名な投資家さんが、高額のセミナーで、これで絶対に勝てると言っていた「あるやり方」を検証ソフトを使って検証してみました。
この人が言うとおりなら、当然システム的に勝てるはずだからです。
ところが、実際に検証すると、勝率は50%を下回り、損益比率も1以下という散々な結果に終わりました。
結局、いくら検証しなおしても、負けるということがわかりました。
よくこれを高額セミナーのネタにしたものだと、ある種感心しました。
じゃあ、この高名な投資家さんは、詐欺師なのか、というと恐らくは違います。
実際には、この「老農夫の錯覚」を起こしていて、実際の勝ちの理由が見えていないのでしょう。
つまりは、
何故勝っているのかという理由を、教える側、教えられる側双方が誤解しているために、「勝ちを引き寄せる振り子」を熱心に勉強する、という愚策をやってしまっている。
ということが容易に起きるのものなんです。
私も、YouTubeなどで、色々と熱心に相場を教えてくれているものを見たりしていますが、この人たちが熱心に教えてくれていることは、実は本質ではないな、ということを感じることが多いです。
その人が勝っている理由は、教えてくれている手法ではなく他にあるということがわかるのです。
何故、こういう錯覚が頻繁に起きるのか、というと次のような理由があります。
ある有名トレーダーさんが次のように言ってました。
損切りできないなんて論外。。
はい、論外なことなんです。
論外・・わざわざ論ずる価値もないこと。取るに足りない、または、もってのほかであること。
論外のことなので、いちいち説明しない、ってことです。
勝っている投資家にとっては、損切りなどということは、息をするのと同じぐらい当たり前のことなので、いちいち意識などしていないし、説明もしないのです。
損切りが完璧にできてこそ、やり方が存在するのであって、論外のことができなければ、やり方などいくら勉強しても無駄です。
何の意味もありません。
強調しますが、
論外のことができなければ、いくらやり方の勉強をしても、何の意味もありません。
こんな論外のことができない人にボリンジャーを教えたとて、勝てるわけが無いってことは、最初からわかっていることです。
ただ、お金を取ってセミナーをやっている高名な投資家さんは、みんなが何に興味があって、何に興味が無いのかを知っています。
つまりは、やり方、手法の話をしないと、お金が取れない、ってことです。
逆に、勝てそうな手法の話さえしていれば、投資家はいくらでもお金を払ってくれます。
手法を教えないと、誰も寄っては来なくて、お金が取れません。
リスク管理セミナー、資金管理セミナー、などやっても、誰もわざわざお金を払ってまで聞きになど来てはくれないのです。
ある有名FXトレーダーさんが次のように言っておられました。
「本当は、資金管理をじっくりやりたいのですが、みんな聞いてはくれないし、めちゃくちゃ人気が無いのでやりませんが、ほんとうは一番大切なことなんですよね。」
実は、勝っている人はわかってるんですが、誰も聞いてもらえないから、やらないだけなんです。
移動平均を使っても、ボリンジャーをいくら熱心に勉強しても、論外のことができていないのに、相場で勝てる道理はそもそもありません。
最初から100%負けるに決まっているわけです。
お前はもう死んでいる
何をやっても、どれだけ努力しても、やる前から、もう負け組が確定しているってことです。
土台が腐っている上にどんな家を建てても無駄です。
歩く体力が無いのに、イチローのバッティングをマネしても一流のバッターにはなれません。
まともな体力が無いのに、100万円のゴルフクラブを使ってもスコアーは伸びません。
道具というのは、土台があってこそ意味があるものなんです。
私の知っている勝ち組トレーダーは、一人の例外も無く、損切りが上手です。
そして、私の知っている負け組投資家のほとんどは、損切りが下手、もしくはできないです。
この差こそが、勝ち組と負け組の違いなので、もうこれが答えです。
前回、私は、
そもそも、コンスタントに勝っている勝ち組さんと全く同じことをすれば、結果もまた同じになる、という理屈は、間違ってはいません。
と書きました。
全く同じこと = 手法
と理解している人がほとんどですが、だからダメなんです。
手法だけマネして、それで全く同じことをしているつもり、など、程遠いです。
本当に、
門前の小僧習わぬ経を読む
です。
そもそも、手法など、好き好きで、自分の趣味趣向で、好きなものをやればいいんです。
勝っている人が、ボリンジャー使ったり、移動平均使ったり、すっぴんでやったりと、好き好きでやっているのがその証拠です。
さて、「全く同じ」ということにおいては、さらに別の大きな関門が待ち受けています。
ということで、さらに他の理由がありますので、次回、もう少し話題を広げて行きましょう。
「全く同じ」というのには、道はまだまだあります。
どれを捨て、どれを持っていなければいけないか、ギャンブラーなら知っていなければ。
ギャンブラーは、勝ちにつながらないカードを捨てるのである。
勝っている投資家は、呼吸をするように損切りする。
おサルの温泉のリクエストが多いと、記事が早くなるという法則があります 笑

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