アリの目線と鷹の目線の相場観
2020/03/01 Sun
相場観で相場をやってはいけない、とよく言われますが、さりとて、ほとんどの人は相場観を持って相場を見ているものです。
私とて、思い込みはいけないと思いつつ、相場観を持っていますから、相場観を外すということは難しいと思います。
さて、この相場観ですが、実は、相場を見る視点の高さによって、相場観が変わるということがありますので、それを書いておこうと思います。
まずは、アリの目線である日足から見てみましょう。
この日足を見る限り、1週間下げ続けたことで、バンジージャンプの伸びたあたりに見えます。
この伸びたところは、一旦の反発がいつ起きてもよさそうな値位置です。
週末、特に大きなニュースが出なかったことから、月曜日以降で、意外と大きな反転があるかもしれません。
これが、アリの目で見た相場観です。
次に、鷹の目である月足を見てみましょう。
同じTOPIXですが、ちょっとイメージが変わったと思います。
日足で見たバンジージャンプのイメージではなく、
やっと下げ始めた
という印象ではないでしょうか。
先ほどの日足とは全く違う印象だと思います。
2008年のリーマンショックと比べれば、まだ下げというのには「おこがましい」ほど下げてはいません。
リーマンショックのスタートにすら到達してはいない、ということがわかります。
このように、視点の高さによって、相場観など簡単に変わるものなのです。
林輝太郎先生は、私が理解する範囲では、次のような考え方を持っておられました。
日足、週足の相場観を持ってはいけない。
相場観を持つのなら、月足で持つこと。
日足は、値動きの傾向を見るもので、相場観を持つものではない。
週足は、中途半端だから見てはいけない。
ここで日足というのは、傾向を見るということで、もう一つの目の「魚の目」を持つ、ということでもあります。
つまり、魚の目を持って、潮流を見ていく、ということです。
私が知る限りですが、相場で勝っている人は、相場を俯瞰して、大きなスケールで相場観を持っている人が多いという印象です。
相場巧者でベテランほど、目線は高い感じですが、これは、長年の経験値がそうさせているのだと思います。
近視眼的ではなく、鷹の目から俯瞰して相場を見ているので、小さな値動きで右往左往しません。
大きな視点を持っているので、自分の相場観にこだわることなく、相場を小さなスケールに押し込めないので、損切りを躊躇なくできるのです。
損切りができない、難しいという人は、日足ベースの箱庭のような相場観しか持っていないから、ちょっと下げただけでも、
「もう底だ~、もう底だ~」
と感じてしまって、切るに切れなくなってしまうのです。
そういえば、下げ始めた25日の月曜日に、日経が1000円下げた感想で経団連会長が、
「こんなに下げるとは思わなかった。」
と言っているのをテレビで見て、ずっこけて椅子から滑り落ちそうになりました。
私から見れば、このコメントは、ほぼ冗談に近いものなんですが、相場をあまり知らない多くの人の相場観など所詮はこんなものなんだろうということがわかります。
相場観のスケールをもう一段上げて、飛行機からも俯瞰しておきましょう。
まずは、TOPIXの年足です。
BOXの上限から、やっと下げ始めた印象です。
この程度の下げは、まだ押し目程度で急落というイメージは全くありません。
次に、NASDAQの年足です。
2000から、1万まで実に5倍の上昇となって、ちょっと止まったのかなあ、という程度です。
このチャートを見る限りでは、まだ下げてすらいません。
このチャートで見れば、2000年のネットバブル崩壊、そして、2008年のリーマンショックの2回が大きな下げとしてあったわけですが、今回5倍にまで上昇したNASDAQがどこかで大きな下げを演じるとすれば、どこまで下げるのだろう、とつい考えてしまいます。
このように、視点の高さを変えれば、相場観も大きく変わります。
日足ベースでは、一旦のリバがいつ入ってもおかしくないわけですが、一方で、俯瞰して月足などで見る限り、本格調整となると、まだ入り口ぐらいでしかない、ということがわかると思います。
相場観にこだわると、ろくな目に合わないことが多いわけですが、さりとて持ってしまう相場観です。
しかも、
ほとんどの場合は、日足ベースのアリの目線の相場観しか持っていません。
なので、少しばかり目線を上下させながら、アリの目線から鷹の目線で広く見ておくべきだと思うのです。
日々の値動きに拘泥してしまうと、日足の相場観に固執する余り、こんなに下げたのだからと意地になって買いポジションを放置してしまいがちです。
また、ここからちょっとリバが入ると、あそこが底だったのか~、と飛びつき買いをしてしまいがちですが、本格下げ相場になれば、その戻ったところが天井でまた下げる、という展開も十分考えられます。
下げ相場で本当にやられるのは、ここまでの下げではなく、ここからの下げなんです。
リーマンショックで多くの退場者を生んだのは、こんなに下げたからそろそろ買いだ、と大きく下げた後から買って退場になっているのです。
先週書いたとおり、まずは生き残りを優先すること。儲けるのはその後です。
ということで、同じ相場観を持つのなら、ちょと目線を上げておく、ということで、違う景色も見ておくべきだと私は考えています。
最後に、持ってはいけない私の相場観です(笑)
今週末は、感染拡大が落ち着いた状況ですが、これは、日本の検査体制の不備によるものである可能性が高く、今後、検査体制が整えば、韓国同様に一気に感染者の数が急増することが予想されるため、そこでもう一段の相場の変化が起きる可能性が高そうです。
これは、アメリカでの感染状況も同様のようです。
中国での感染拡大が一段落しているのはポジティブなのですが、一方で、中国PMIが35.7という衝撃的なニュースが週末に出ました。
今後、日本をはじめとして、感染拡大に伴う経済への影響が、経済統計として出てくることになろうかと思われます。
こういうファンダメンタルの状況を踏まえると、リーマンショック級になる可能性が高まりつつあると感じています。
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私とて、思い込みはいけないと思いつつ、相場観を持っていますから、相場観を外すということは難しいと思います。
さて、この相場観ですが、実は、相場を見る視点の高さによって、相場観が変わるということがありますので、それを書いておこうと思います。
まずは、アリの目線である日足から見てみましょう。
この日足を見る限り、1週間下げ続けたことで、バンジージャンプの伸びたあたりに見えます。
この伸びたところは、一旦の反発がいつ起きてもよさそうな値位置です。
週末、特に大きなニュースが出なかったことから、月曜日以降で、意外と大きな反転があるかもしれません。
これが、アリの目で見た相場観です。
次に、鷹の目である月足を見てみましょう。
同じTOPIXですが、ちょっとイメージが変わったと思います。
日足で見たバンジージャンプのイメージではなく、
やっと下げ始めた
という印象ではないでしょうか。
先ほどの日足とは全く違う印象だと思います。
2008年のリーマンショックと比べれば、まだ下げというのには「おこがましい」ほど下げてはいません。
リーマンショックのスタートにすら到達してはいない、ということがわかります。
このように、視点の高さによって、相場観など簡単に変わるものなのです。
林輝太郎先生は、私が理解する範囲では、次のような考え方を持っておられました。
日足、週足の相場観を持ってはいけない。
相場観を持つのなら、月足で持つこと。
日足は、値動きの傾向を見るもので、相場観を持つものではない。
週足は、中途半端だから見てはいけない。
ここで日足というのは、傾向を見るということで、もう一つの目の「魚の目」を持つ、ということでもあります。
つまり、魚の目を持って、潮流を見ていく、ということです。
私が知る限りですが、相場で勝っている人は、相場を俯瞰して、大きなスケールで相場観を持っている人が多いという印象です。
相場巧者でベテランほど、目線は高い感じですが、これは、長年の経験値がそうさせているのだと思います。
近視眼的ではなく、鷹の目から俯瞰して相場を見ているので、小さな値動きで右往左往しません。
大きな視点を持っているので、自分の相場観にこだわることなく、相場を小さなスケールに押し込めないので、損切りを躊躇なくできるのです。
損切りができない、難しいという人は、日足ベースの箱庭のような相場観しか持っていないから、ちょっと下げただけでも、
「もう底だ~、もう底だ~」
と感じてしまって、切るに切れなくなってしまうのです。
そういえば、下げ始めた25日の月曜日に、日経が1000円下げた感想で経団連会長が、
「こんなに下げるとは思わなかった。」
と言っているのをテレビで見て、ずっこけて椅子から滑り落ちそうになりました。
私から見れば、このコメントは、ほぼ冗談に近いものなんですが、相場をあまり知らない多くの人の相場観など所詮はこんなものなんだろうということがわかります。
相場観のスケールをもう一段上げて、飛行機からも俯瞰しておきましょう。
まずは、TOPIXの年足です。
BOXの上限から、やっと下げ始めた印象です。
この程度の下げは、まだ押し目程度で急落というイメージは全くありません。
次に、NASDAQの年足です。
2000から、1万まで実に5倍の上昇となって、ちょっと止まったのかなあ、という程度です。
このチャートを見る限りでは、まだ下げてすらいません。
このチャートで見れば、2000年のネットバブル崩壊、そして、2008年のリーマンショックの2回が大きな下げとしてあったわけですが、今回5倍にまで上昇したNASDAQがどこかで大きな下げを演じるとすれば、どこまで下げるのだろう、とつい考えてしまいます。
このように、視点の高さを変えれば、相場観も大きく変わります。
日足ベースでは、一旦のリバがいつ入ってもおかしくないわけですが、一方で、俯瞰して月足などで見る限り、本格調整となると、まだ入り口ぐらいでしかない、ということがわかると思います。
相場観にこだわると、ろくな目に合わないことが多いわけですが、さりとて持ってしまう相場観です。
しかも、
ほとんどの場合は、日足ベースのアリの目線の相場観しか持っていません。
なので、少しばかり目線を上下させながら、アリの目線から鷹の目線で広く見ておくべきだと思うのです。
日々の値動きに拘泥してしまうと、日足の相場観に固執する余り、こんなに下げたのだからと意地になって買いポジションを放置してしまいがちです。
また、ここからちょっとリバが入ると、あそこが底だったのか~、と飛びつき買いをしてしまいがちですが、本格下げ相場になれば、その戻ったところが天井でまた下げる、という展開も十分考えられます。
下げ相場で本当にやられるのは、ここまでの下げではなく、ここからの下げなんです。
リーマンショックで多くの退場者を生んだのは、こんなに下げたからそろそろ買いだ、と大きく下げた後から買って退場になっているのです。
先週書いたとおり、まずは生き残りを優先すること。儲けるのはその後です。
ということで、同じ相場観を持つのなら、ちょと目線を上げておく、ということで、違う景色も見ておくべきだと私は考えています。
最後に、持ってはいけない私の相場観です(笑)
今週末は、感染拡大が落ち着いた状況ですが、これは、日本の検査体制の不備によるものである可能性が高く、今後、検査体制が整えば、韓国同様に一気に感染者の数が急増することが予想されるため、そこでもう一段の相場の変化が起きる可能性が高そうです。
これは、アメリカでの感染状況も同様のようです。
中国での感染拡大が一段落しているのはポジティブなのですが、一方で、中国PMIが35.7という衝撃的なニュースが週末に出ました。
今後、日本をはじめとして、感染拡大に伴う経済への影響が、経済統計として出てくることになろうかと思われます。
こういうファンダメンタルの状況を踏まえると、リーマンショック級になる可能性が高まりつつあると感じています。
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コメント
カラ売り派の意見- ikechandesu / URL :
- 2020-03-01 21:35 :
- 編集
年足でどこまだ下げるのか?そのとおりと思います。今年の分はまだ2ヶ月分のローソク足なのですから。年末までの動きの加算された分を見なくては。
ただ、カラ売りに関して、弱気な発言が多いように感じてます。私にしてみれば、これ程やりやすい時期は無かったかと・・・。政府機関の売りが無く一気に暴落が来るわけでは無く(ま、来てもカラ売りは、いいんですが)、先が見えない不安、強気の買い手がいない状態、右肩上がりの相場しか知らない投資家が多い状態、これらを考えると、利確しながらのカラ売りでしょう。
買いでも売りでもそうでしょうが、建玉の維持率をキープした上で、トレードする。銘柄分散によるリスクを下げることも当たり前のことですが・・・。そして、いつでも逃げる状態を保っておく、ことですね。
No title- k2 / URL :
- 2020-03-01 22:06 :
- 編集
今回の日足は素直だなぁ易しいなぁという印象です
まあ、レバ1現物損切り無しに影響する時間軸だから騒ぐんでしょうけど
これがもし30分であったなら、更に売り込まれてもいったん戻っても、どう動いてもトータルプラスのデイトレ場です
No title- タカユキ / URL :
- 2020-03-08 11:32 :
- 編集
リベンジトレードがあちこちで多発するのがこういう状況です。
現物ホールドもつらいでしょうが、短期売買もちょっとした乱れからあれよあれよと墜落してしまうことがあるのがこういう状況です。
売り込んでいても、とんでもなく巻き上がって締め上げられたところでまた落ちる、なんてこともリーマンの時はありましたですね。
とにかく相場の密度が濃い、ですから、ちょっとした心理や姿勢の乱れで、ハイレバで往復ビンタを喰らったりしてしまって、短期間にびっくりするくらいヤラれてしまうという、私も経験がございます。
ほんと~に、我に帰った時にはもう取り返しのつかないダメージを負ってしまっているのですね。もう2週間とか3週間とかで70%とか80%とか今まで積み上げてきたものがごっそり崩れ落ちてしまうという、ホント呆けますですよ。
できれば20%程度くらいで我に帰っておきたいですね。(笑)
負けて取り戻すことを理由としたトレードを行わない。
負けて取引金額を増やさない。
相場をやるということはまさに、「投資における最も重要な概念 その1」の画像のようなことなんですね。
フツーの相場と今のような相場はやっぱり違いますから、改めて気を引き締めておきたいと、そう思うところです。