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テクニカル分析についての考察 その2

2021/06/19 Sat

前回、定義を忘れてたので、一応定義しておきます。

ここでテクニカル分析と書いているのは、ファンダメンタル分析に対するもので、チャート分析全般を意味すると理解してください。
ここでの定義なので、他とは違うかもしれませんが、ここでは、これで行かせてもらいます。

それと、テクニカルなど役に立たない、という話がコメント欄で盛り上がっているので、次回のテーマにしたいと思います。



さて、前回、

テクニカル分析は、それを見ている人が多いから機能するのだ

という考え方に対する疑問を書きました。

これは、

チャートの自己実現

とも言われています。

ここで、チャートの自己実現に関して、いくつかの疑問が湧いてきます。



■疑問その1:鶏が先か卵が先か


そういう分析がなければ、そのポイントは機能しなかったのだろうか。

例えば、

サポートライン

そこにサポートを引く人がいなければ、そこはサポートにはならず、そのまま抜けるのか。

じゃあ、そもそも機能していなかったところに、誰かがサポートラインという線を引いて、その線の引き方が広まったから、そこはサポートになった、という話なのだろうか。

RSIというオシレーターは、ワイルダーが発表したのですが、ワイルダーが発表する前は、RSIは機能しなかったのか。
機能しない相場で、どうやってワイルダーはRSIを作ったのか。

さらに言えば、相場といっても、株やFXだけではありません。
例えば、卵相場というのがあって、検索するとチャートが出てきました。
そこには、一定の下限と上限があって、サポート・レジスタンスが見えます。
トレンドもあります。
卵相場に、テクニカル分析で勝負している人が多いから、サポートが機能しているのでしょうか。
スーパーで卵を買う主婦は、卵価格のテクニカル分析をしていて、サポートラインを引いて分析しているのでしょうか。



■疑問その2:需要と供給

コメント欄にも書いてもらったとおり、そもそも相場の価格が付く、ってことは、そこで売り手の数量と買い手の数量が一致したから値段が付くのです。

もし。チャートが自己実現するのなら、サポートを見ている人が多ければ多いほど機能するわけですから、この売り手と買い手は常に一対一という相場の本質に逆らわないか。



■疑問その3:手法との相関性

テクニカル分析は、手法として取り入れられることも多いものです。
RSIが30を下回ったら買い、とかそういうものですが、もし、そういう手法を多くが取り入れたら、その手法はより有効性を増すってことになるのか。

例えば、サポートの有効性を信じて、大勢がサポートで買うということを実行したら、よりサポートで買うという手法の有効性は増すのか。





さて、こういう疑問に対する面白い話が、今から、20年ほど前にありました。
それは、タートル手法騒動です。
今では、20日間ブレイクアウトという誰でも知っている手法になっていますが、昔は、秘密のベールに包まれていて、その手法を知るためのセミナーは、100万円したとか言われているものです。

20日間の高値というテクニカル分析のサポート・レジスタンスを抜けたら買う、という方法ですが、実に興味深い実験がありました。

その実験場は、

日本の小豆市場

で起こりました。

かつて、日本の小豆市場というのは、過去検証上、世界を見渡しても、最もトレンドフォローが機能する市場でした。
これは、私もリアルで見ていた市場ですから、よくわかるのですが、上げだしたら上がる、下がりだしたら下がる、ということで、この市場で、林研究所の中源線建玉法が検証されて、大いに利益を上げたのは、トレンドフォロー系のやり方だったからです。
この中源線建玉法は、逆張りと書かれてもいますが、ドテンブレイク売買と、押し戻し売買をミックスさせたものなので、今で言えば、トレンドフォローになります。

その小豆市場ですが、そのトレンドフォローに適した市場特性に目をつけたタートル軍団がいよいよ参入してくることになったのです。

当時、世界を席巻していたタートル軍団の青い目のシステムトレーダーがついに日本に上陸したのです。

タートル軍団が参入して、数ヶ月、彼らの手法が20日間の高値安値を狙ってくることが次第に明らかになってきました。
なぜなら、20日間の高値安値のブレイクで巨大な注文が入ることが手に取るようにわかったからです。

さて、ここでクイズです。

その後、タートル軍団は、日本の小豆市場で大儲けできたでしょうか?





結果は、タートル軍団は、負けて撤退することになりました。

うーん、何でだろう、何でだろう。。。

高値をブレイクして、買う人が多ければ多いほどブレイクは機能するのではないのか?

そもそも小豆は、検証上トレンドフォローに適した特性があったのだから、そのまま儲かっておかしくないはずだ。



しかし、そうならなかった理由は、青い目のタートル軍団に立ち向かった、日本の地場筋である小豆のプロ軍団だったのです。

日本のプロ軍団(黒い目筋)は、圧倒的資金量のあるタートル軍団(青い目筋)にどう立ち向かったのでしょうか。

まず、タートル軍団が売買するポイントはすぐにバレました。
その資金の大きさと20日の高値安値という単純さから、数ヶ月しないうちに何をやってくるのかがプロの間ではコモンセンスになったのです。

ここで日本のプロ軍団は考えました。

「とにかく前の20日間の高値まで担ぎ上げればタートル軍団が買ってくる」

このことを理解した日本の小豆プロ筋は、20日の高値安値まで担ぎ上げては、タートル軍団に押し付けて手仕舞いする、という

新たな手法

を開発したのです!!

これで、

高値を買い上げては、20日の高値まで押し上げる

安値を売り叩いては、20日の安値まで押し下げる


というのが、小豆プロ軍団のコンセンサスになったのです。

これによって、20日のブレイクまで持っていけば、タートル軍団が受けてくれるのだから、楽勝で儲かる、ということになったのです。

しかも、さらにさらに、タートル軍団が、損切りするポイントまである程度見えてきたのです。

それは、10日の高値安値、もしくは、20日高値安値のセンターラインでした。

日本のプロ軍団は、20日高値をブレイクさせて、タートル軍団が買ったのを見て、今度は、一気に10日安値まで押し下げました。

これで、タートル軍団は、

のこぎりの刑

に合ったのです!!

つまり、

20日の高値を買わされて、10日安値で損切り

20日の安値を売らされて、10日高値で損切り


大資金で売買してくるタートル軍団の手口がバレたことで、タートル以外の市場参加者は、みんなでタートルを餌食にするようになりました。

これによって、小豆の市場特性と値動きは、一気に変わってしまいました。

それは、

ダマシの連発で、世界で最もトレンドフォローで稼げない市場

へと180度転換したのです。




チャートで売買するような連中がいない市場では、本来あるべきブレイクアウトによって、ブレイクから綺麗なトレンドが発生します。

しかし、チャートで売買する連中が増えたことで、

本来ブレイクすべき局面ではないところでブレイクが多発するようになった

のです。

市場とは、そういうところです。

知ったらしまい

何をしてくるのかが読まれてしまうということは、後出しジャンケンをされるのと同じことです。

テクニカル分析とは、あくまでも自然体でいるマーケットにおいては、本来あるべき値動きを示現してくれます。

しかし、テクニカルで動く連中とそれを利用しようとする連中によって、自然な値動きが歪められてしまうのです。

だからこそ、私は、テクニカルは、使わない人が多ければ多いほど機能するのだ、と理解しています。


こいうことは、今でも現実に毎日目にするところです。






チャートを見ていると、

ダマシ

ということが頻繁に起きます。

でも、そもそも

ダマシって、何に対するダマシやねん!!


って思いませんか。

何が正しくて、何がダマシなのか。

そもそも、チャートとは、値動きとは、勝手に動いているだけなんです。

それを、正しい値動きとか、ダマシとか、勝手に定義しているのは、分析者の知識なんです。



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コメント

Secret

No title

小豆のタートルの話おもしろかったです
それにしても20日とか10日とか
なんで格定的固定的に捉えたがるのかな
拡大トライアングル縮小トライアングルの永続不可は
相場で言える「絶対」なのに

こんにちは。
なるほど。トレードは対戦ゲームですね(^^;
相手がこう来たら、或いはこう来るからこうする。だからあらかじめ作戦、つまりトレードシナリオを立てておく事は有効ですね。

教科書的ではない動き、テクニカル分析が予想する動きと違う動きをダマシと理解してます。大口はこれを利用して個人投資家を焼き殺している、とはメルマガやYoutubeでよく見たり聞いたりしてます。

No title

更新待っていました。ありがとうございます。
より多くを落とし穴に落とすには、より多く知られているパターンを利用したほうが、たくさん落とせるってことですね。
線組も同じイメージですかね。例えば、結果として1つの三尊が完成するまでに、「これ絶対三尊来たー!暴落来るぞ!」からの「新高値更新ふざけるな!」が数え切れないほど起こる。これも、穴に落とすために誰かが吹聴していると思っています。

No title

いやあ、すばらしいです。

これって言い換えたら、いろんな手法が今まであっては消えていったけど、忘れられたらまた使えるようになる、ってこともあるんですね。

新興市場には、まだこれ知らないなっていうトレード手法を試して稼ぐことは可能かもしれませんねえ。

No title

誰も使わないテクニカルを使えばいいと
あらなみさんはそういうものをつかって
おられるのでしょうか

こんにちは。

あらなみさんの小豆相場のエピソードを読んで、大きな資金がテクニカルを壊して行くのだな、と思いました。
テクニカルできれいな上昇だと思って買った途端、何かが仕掛けられていたかのように、ドカンと下がって焦ったという経験があります。
きれいな波に乗って、ホンワカ釣りをしていたら、巨大なボートが荒波をたててやって来て、魚をガーとさらって行った、そんなイメージです。
怖いですね。


長年の疑問が氷解

あらなみさん、こんにちは。いつも疑問に思っていたことが解決しました。
誰もが知っているテクニカル指標(RSIやボリンジャーバンドなど)で、買い時、売り時を決めても失敗するのは何故かということがよくわかりました。
ということは自分で絶対に勝てる効果のある手法をみつけても他人に教えたら逆に利用されるので、絶対に公開してはならないということですね。あらなみ先生が自分の投機手法を明かさないのもこれが理由ですね。相場の裏の真実を明かしていただき感謝します。



No title

>初心者寅次郎
誰もあんたの相場の投稿望んでないから来なくていいよw
ブログ投稿者に対する文句をわざわざ承認待ちにさせられてそれも律儀に待って公開されなかったら文句言うのどうやったらそんな恥かけるのww

No title

>初心者寅次郎
あらなみさんのブログなんだからあらなみさんに都合が悪ければ承認されないのは当然でしょう。
個人が無料で公開しているものに文句をいっているほうがおかしいですよ。
気に入らないなら読まなければいいだけ。
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プロフィール

あらなみ

Author:あらなみ
職業:個別株投機家・専業デイトレーダー

Twitter: @aranami718

旧ブログ:
あらなみの相場技術研究所

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